No.17
粽とつるし柿

― 郷土伝統の名産品を作り続けて ―


京 藤 みつ子


京藤 みつ子(武高30会会員)
KYOUTOU, Mitsuko

 旧姓 林。1952年武生第二中学校、1955年武生高等学校を卒業。結婚後、家庭の主婦として、また農業にも勤しみつつ、今日に至る。この間、今庄名産の粽とつるし柿の製法を極め、多くの人たちに喜ばれている。(福井県南条郡南越前町在住)


 

 もうすぐ満80歳。夫の勤務を陰で支え、家業の農業にも精を出してきた普通の主婦の一人です。でもまだ車を運転して街の人々のお手伝いが出来るなど、若い時よりも今のほうが少し忙しく、かつ充実しているように思われます。

 私自身、勤めに出ていた訳ではありませんが、田畑がありますので、その時期にはとても忙しくしていました。それでも、「今日中にこれだけはどうしても」というような仕事はあまりありませんでしたので、時間的には自由でした。

 そういうわけで、6月には粽(ちまき)を包み、秋には約400年の伝統を誇る今庄つるし柿を作ったりしていました。粽は多い時には2千本近く巻き、つるし柿は1万個ほど作っていました。粽はすべて贈り物に、つるし柿は半分くらい出荷していましたが、どちらも年寄りから伝えられたもので、見事な芸術品だと思っています。とくに私の粽は、5枚の笹の葉で巻く独特の形状のもので、差し上げたすべての方々にとても喜んでいただきました。

 作り続けてすでに60年近くになりますが、高齢化とともに、粽用の笹の葉を山奥まで採りに行くのが次第に困難になりました。それでも、数を減らして巻いています。しかしつるし柿にいたっては、乾燥前はとても重たくて、竿に掛けて乾燥場へ運ぶのが無理になり、とても残念ですが2年ほど前から暫く中断しています。

 現在では、いろいろな美味しいお菓子や珍しい食べ物が世の中に溢れていて、どんなに田舎でも、また直接お店で買うことが出来なくても、ネットで注文すれば簡単に手に入る時代です。労力を掛けて作る物は敬遠されがちになり、それらを作っていた方たちの老齢化も手伝って、だんだん姿を消しつつあります。

 でも、粽を湯掻いた時の笹の葉の良い香りやつるし柿の自然の甘さは、何物にも変え難いもので、人々を幸せにし、安らぎを感じさせる食べ物だと思います。近頃、その味がまた注目され、粽を好む子供たちが増え、つるし柿を美味しいと感じる若者が増えつつあるというのは嬉しい限りです。是非この作り方と味を、若い人たちに受け継いで欲しいと願って止みません。

 周りの人々が、健康で幸せな日々を送られますよう、また、少しでもそのお手伝いが出来ますようにと願いつつ、古き良き伝統を守り、かつ後世に残して行くために、もうひと踏ん張りしてみようかと思っている今日この頃です。