No.24 私が出会った道
― 友の会とその活動 ―
高 橋 洋 子
高橋 洋子(武生30会会員)
TAKAHASHI, Yoko
旧姓真目。1952年北新庄中学校、1955年武生高等学校を卒業。同年4月、粟田部日の出織物株式会社勤務。1957年福井織物調整組合勤務。1958年結婚し三重県にて居住。以後、夫の勤務転勤で岐阜県・三重県内に住む。1976年、家の事情で夫は単身勤務のまま、武生に帰り農業をする。「友の会」は1968年に入会し現在も会員。「武生友の会」に所属し、総リーダーを5回務める。2015年には「食」のリーダーとして活動。最近は家庭菜園での野菜作りを楽しみながら日々を過ごしている。(福井県越前市在住)
戦後70年の昨年は、戦争にまつわる多くのニュースや番組がテレビで流され、戦争を振り返る大切な年でした。
私も福井の大空襲の時、真っ暗闇の中、何10機とも知れぬB29爆撃機が低い唸り声のような音を立てて頭上を飛び、まもなく、私の家の背後にある三里山の頂きの一角が真っ赤な火の色に染まり、大人の話で福井空襲と知り、恐ろしさに震えた覚えがあります。
私たちは戦前・戦中・戦後の激動の中で子ども時代を育ったのです。日本中が戦争の傷跡から立ち直るのに必死の時代でした。終戦の年から10年後、私たちは高校を卒業。私は直ぐに就職し、数年後には結婚して、夫の勤務地三重県での生活が始まりました。知り合いも勿論なく、家に電話もない時代でした。子どもに恵まれ平穏な生活でしたが、私の心の中で、いつの頃からか何かを求めていたように思います。
そんな町で、近所の方から家事家計講習会に来ませんかとお誘いを受け、二度ほど出掛けたことがありました。その後、勤務地が三重県から岐阜の工場へと変りましたが、その数ヵ月後にまた家事家計講習会への誘いを受け、そのときも出掛けてみました。そこで初めて、この会が「友の会」であることを知り、同時に雑誌「婦人之友」の愛読者の会であることを知ったのです。早速、会員の方に婦人之友を数冊お借りして読むうちに、私の求めていたものがこの会にあるように思えたのです。
早速、見学のため例会に出席しました。そこではまず読書があり、次いでお互いの感想を聞き合い、話合います。その後、活動報告や協議事項が続いて閉会となります。
また別の日には、衣・食・住・子育てのグループ別にテーマを決めて勉強が始まりました。どの場面でも皆さんは真剣に、生き生きと話されており、互いに学びあう喜びが表情に表れているような気がしたのです。この会には 私が以前から求めていたものがあると感じました。それで直ぐに入会させて頂きました。
ここで「友の会」の紹介をさせていただきます。先ず「婦人之友」創刊者の羽仁もと子さん(1873〜1957、青森県八戸出身)は、日本で初の女性新聞記者となり、1903年に夫吉一さんと「婦人之友」を創刊。間もなく <羽仁もと子案 家計簿> を新しく発表します。1921年には「自由学園(私立学校)」を創立し、相次いで1930 年に読者の集まり「全国友の会」を設立されたのです。最晩年まで「婦人之友」の巻頭言に「友への手紙」を書き続け、その殆どが著作集21巻に収録されています。「思想しつつ 生活しつつ」「おさなごを発見せよ」など、いのち・生きることへの深い洞察に溢れた著書があります。聖書の理念に基づき、婦人の啓発に力を注がれた実践の女性だと思います。
「全国友の会」は国内外に187の友の会があり、海外も含め会員は約2万人になります。福井県には福井友の会と武生友の会の二つがあります。武生友の会は昭和23年に6人で発足し、以来60有余年、たくさんの先輩の方が実践と指導を重ねてこられました。「健全な家庭から健全な社会が作られる」という創立者の理想が、友の会活動の中心を支えています。
友の会に入ってから、私は第一に我が家のお金の出し入れ ―― つまり収入と支出の予算に筋道をつけたいと思いました。 <羽仁もと子案 家計簿> について羽仁さんは「この家計簿は私の家庭のやりくりから考えつきました。収入内でよい生活をするのです」と言っています。
そこで私も支出の予算立てに取り組みました。生活費を引き出しに分けるように15の費目に分けていきます。毎月必ず必要な食費や電気・水道料などの費目、教育費のように長い目でみる必要がある費目、将来の予測への準備費など、この家計簿は、費目分けが非常に合理的でわかり易いのです。
そしてこの家計簿で一番の特徴は公共費という費目があることです。これは友の会のめざす「家庭は簡素に 社会は豊富に」へと、社会に貢献するささやかな「お金のボランティア」なのです。1日10円(1か月300円、1年で3600円)の公共費は80年以上続いてきました。
なお、この公共費のはじまりは 1934年秋の東北大凶作の時に羽仁さんが農村支援を呼びかけたことでした。募金が始まり、1937年には「1日1銭拠金」となって続いてきた活動で、近年では阪神淡路大震災、東日本大震災の際の支援のほか、国際協力・教育・社会福祉にも用いられています。この拠金は余ったから出すのではなく、自分の生活実態の中で少なくともこれだけは出せるという主旨のものであり、子どもたちにとっても、お小遣いの中から協力できる費目となっています。
私は、この家計簿に半年・1年と記録してみて、ようやく予算が立ちました。会員としての私の自立への一つの段階だったと思います。人生には常に山あれば谷もあります。二度、三度と困難に出会ったとき、家計簿を見直すことでようやく乗り越えたこともあります。家計簿は我が家の羅針盤であり、過去の記録には我が家の歴史が綴られていると思います。
友の会では、6,7人で組む地区毎の「最寄り」と「学び」の二つの組織に入って活動しています。全員の課題は家計簿ですが、私が学びに選んだのは「食」のグループでした。「衣は一代 食は末代」(衣生活はその時代その人のもの、食生活は家族や社会のいのちを伝えて繋ぐもの)と私たちは考えます。
田舎に育った私には、材料を選ぶ目、献立の幅、調理法など、一つ一つが課題でした。食グループでの学びは大きくて、少しずつ毎日の食卓が変っていきました。数年経つ頃には、友の会が主催する年に一度の家事家計講習会にも深くかかわるようになり、リーダーとして務めた時もありました。
なお、平成27年度に武生友の会が取り組んだ行事を以下に記してみました。
越前市文化協議会主催の行事に参加 3月 春の息吹祭 (今立ふれあいプラザ)
(友の会紹介、活動報告、会員の作品紹介)7月 遊ぼう・学ぼう夏休み体験学習 (文化センターにて)
(フェルトを使ったボタン付けと手芸)武生友の会 主催 11月 家事家計講習会
テーマ: 予算立て 入るお金と 出るお金、しっかり把握で 健全家計
発表内容:
衣 …… 旅立ちの服、洋服の一寸(ちょっと)直しの会員制作品
食 …… 野菜を無駄にしない決め手は?
鍋帽子を使って茶碗蒸し作り・簡単でおいしく。
注):鍋帽子(なべぼうし)とは布製綿入れの鍋覆いで、
余熱利用の保温調理グッズ
住 …… 物の整理、使用別・季節別の整理
(整理ダンスの中をすっきりと)
注):テレビで暮らしの整理法を助言される
“スーパー主婦”は、大抵が全国友の会の会員。
家計 … 予算と途中決算の反省について
・6ヶ月決算をしてみて
・現金合わせをしてみて
・一人暮らしになってみて
28年3月 制作品セール
・エプロンや小物作り、ケーキ類、季節のふきのとう味噌など、
会員手作り作品を販売
・利益の一部は日本赤十字社などへ寄付
このような活動を通じて、「家庭は簡素に 社会は豊富に」を生き方の原点に、生活を膨らまさない、自分の家庭の適量を知って無駄のないシンプルな暮らし方を考えよう、そして家庭と繋がる地域・社会・世界を見つめよう、これが家庭を守る生活者としての大事な務めだと私は思い至っております。
また、私たちは先人より多くの「譲り」を受けてきましたが、受け取り育てたものを次の世代へ、母からこどもへと伝え続けたいとも願っています。「婦人之友」や羽仁さんの著書の読書に導かれ、多くの友と交わり、これからも新たなテーマに取り組んで行きたいと思います。
私たちの集いの終わりに必ず歌う歌をここに紹介させていただき、終わりといたします。
野の花の姿 ♪ 野の花をみよ その純粋さをみよ 野の花のような 純真な思いがほしい やすらかな やすらかな 野の花の姿で 多くの友のなかにいよう
武高30会は同じ時代を共に歩み、学んだ仲間です。この歌のような気持ちで、私たちをつなぐ楽しい集いにこれからも参加していきたいと思っています。
― おわり ―