写真と淡彩画を楽しむ
― 海外旅行の思い出を絵に ―
藤 井 二三雄

藤井 二三雄(武高30会会員)
FUJII, Fumio
1952年武生第一中学校、1955年武生高等学校を経て、1960年早稲田大学理工学部機械工学科を卒業。同年(株)富士重工業入社。スバルの変速機及びエンジンの設計、生産技術、サービス部門の業務に従事。1992年から(財)工業所有権協力センターへ、2004年からは(株)発明通信社へと転職し、2011年に退職。現在は読売文化センターの淡彩画教室に通っている。(埼玉県狭山市在住)
富士重工業時代
富士重工業に入社して最初の配属先が、スバルの変速機の設計部門であった。世の中にはまだ自動変速機のない時期に、この「オートマチック変速機」の設計に挑戦することから私の技術者人生が始まった。設計製作が完了し製品化が一段落した後、今度はエンジンの設計へと進み、さらに、これらを製造する生産技術部門の業務にも従事した。その後、本社でのスバルサービス部門の業務を担当したが、これらにより、自動車製造にかかわる一連の重要な業務を経験することができた。
工業所有権協力センター時代
仕事が一段落した1992年10月、(財)工業所有権協力センター(IPCC)に転職して、特許の調査をすることになった。ここは、出願された特許が本当に特許として認められるかどうかを調査する財団法人であり、百数十社の会社から派遣されてきた技術者の集団である。各人それぞれ専門分野が異なるため仕事の内容も異なり、仕事を通じての横のつながりは極めて少ない状況にあった。
その反面、同じ「趣味」をもつ人達の集まりがかなり盛んで、私も、まだ存在していなかった「写真倶楽部」を立ち上げた。写真撮影会や写真展の開催などを行い、財団の月刊報である「IPCC News」の表紙写真として、私が撮影した写真を何回か載せてもらったこともある。その一例をここに掲げる。これはアンヌボワ城での一情景で、鴨が池に飛び込んだ直後の一瞬を写したもの。私のお気に入りの1枚である。
この時代には、かなり時間的余裕も出てきたので、他にもいろいろと挑戦する機会があった。例えば、夫婦で参加出来る歩く会「健歩会」では、関東を主に、多くの地域を歩くことが出来たし、太極拳や謡曲のグループにも参加したりした。太極拳は、仕事の終了後に行う会であったが、IPCC退職後も、地元の公民館での太極拳グループに入った。また謡曲は、その講師が職場の仲間だった関係もあって気軽に参加でき、ここで初めて謡曲というものを習った。宝生流の謡曲で、週1回の練習を行い、東京・水道橋近くの「宝生・能楽堂」で演じることも出来た。
発明通信社時代
2004年3月にこのIPCCを定年退職した。68歳になり完全リタイアと思っていたところ、人事部から(株)発明通信社で特許調査の仕事をやらないかという連絡を受け、結局引き受けることになった。
ここでは週3日の勤務であったため、趣味に掛ける時間がさらに多く取れるようになり、川越市にある読売文化センターの淡彩画教室に入り、淡彩画の制作を楽しんだ。2011年にこの発明通信社を退職してからすでに5年近くが経過したが、現在では、この淡彩スケッチにかける時間が非常に多くなっている。
海外旅行の写真と淡彩画
富士重工業を退職した1993年に、夫婦での海外旅行としてヨーロッパ6ヶ国に行き、この旅行が極めて楽しかったこともあり、以来、毎年海外旅行をするようになった。これらの旅行の際には、数多くの写真撮影を行うことを慣わしとしており、その後これらの写真をベースにして淡彩画を描いている。
ここでは、私の撮影した思い出の写真をいくつか紹介し、またそういう写真をベースにして描いた淡彩画も幾つか紹介したい。ただ残念ながら、この文集ではカラーでの紹介が出来ないとのこと、是非オリジナルの情景の美しさを想像していただければと思う。
◆ 福井県・常神半島
最初に、武高30会関連での写真を1枚紹介する。2007年11月に越前市文化センターで「こしの都千五百年プロジェクト」シンポジウムでのパネル討論が開催された。その前日に、同窓の高橋
保氏の案内で、同じく東京から駆けつけた同窓のパネリストたち(江尻正員氏・岩井仁氏)と一緒に、幻の魚「クエ」の料理を囲みながら過ごした場所である。日本海に沈む美しい夕日を見ることが出来た。
◆ エカテリーナ宮殿(ロシア)
サンクトペテルブルクから南へ約25km行ったところにあるロマノフ歴代皇帝たちの夏の離宮。2010年10月に富士フォトサロン(東京・六本木)で開催された写真展「世界遺産遥かなり」に出展した作品。
◆ チンクエテッレ(イタリア)
イタリア北部の港町ポルトフィーノから海岸沿いを南下したところにある町で、崖の斜面に建てられた建物。2012年10月の写真展「世界遺産遥かなり」に出展した作品。同じく、富士フォトサロン(東京・六本木)で開催された。
◆ 淡彩画:ハルシュタット湖(オーストリア)
湖畔に沿って、木造の家屋が連なる道を歩いた先にある展望台からの光景。わずかに突き出た岬に建つ教会の塔がアクセントになり、アルプスの山々に囲まれて独自の景観を生み出している。対岸からの連絡船が入港する光景を見ることが出来た。2014年4月の読売文化センター・川越淡彩画教室展示会への出展作品。
◆ 淡彩画:水辺に映える街テルチ(チェコ)
街の周囲に3つの池があり、池の畔から眺める建物は池に映りすばらしい景観となる。塔と赤い屋根が池に映える光景をスケッチすることが出来た。1992年ユネスコ世界遺産に登録されている。同じく、2014年4月の展示会への出展作品である。
おわりに
技術者の第2の人生を彩る主役は趣味であり、いろいろと試行錯誤の結果到達した写真と淡彩画の世界は、私の日常に思わぬ灯りをともしてくれたように思う。これからの余生を、この趣味の世界も含め、思い切り楽しんで行きたいものと思っている。

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