No.39
水墨画の世界を楽しむ

― 編集者への書簡 ―


堀 田 恵美子


堀田 恵美子(武高30会会員)
HORITA, Emiko

 旧姓柳瀬。雅号 堀田雪苑。1937年、越前市(旧今立町)大滝に生まれる。1952年岡本中学校、1955年武生高等学校を卒業。1993年東洋画院会長五島青滝先生に師事。1996年から水墨画美術団体「東洋画院」に所属し、くらしの墨画展(福井新聞社後援)に連続出展。1997年に全国公募美術展「全日展」に初出品し入選。2000年からは連続入選を果たし、特に2004年、2005年、2007年には全日展大賞を受賞。また書についても1985年に山田大雪先生に師事し、翌1986年以来、日本墨書会に所属。現在、東洋画院同人、全日展特別審査会員。(福井県福井市在住)



 8月も終わりともなれば、さすがに朝夕はしのぎやすくなって参りました。その後お変わりございませんか。先日お電話をいただきました傘寿記念文集への執筆の件につきまして、お返事が遅れてしまいました。急に何か文章をと言われましても、たかが一主婦。今まで、毎日毎日をぼんやりと何も考えずに過して参りました身ですので、なかなか文筆が進みそうにありません。悪しからずご了承下さい。

 平凡な日常生活の中で、何かやっておかないと一生つまらない人生で終ってしまうのではないかと、今までに何度か不安に思ったことがありました。そんなときに、知人の紹介で絵を習ってみないかと言われ、現在の先生にお目に掛かることになりました。今から20余年も前のことです。これが私の水墨画との出会いでした。

 いきなり目の前で先生が絵を描かれ、たった一本の筆でいろいろな表現を描き出され、それを見て一瞬驚きました。こうして私もいろいろな絵が描けたら面白いなと気付き、毎日一筆でもいいからと、一生懸命練習を重ねていきました。そのうち一週間に一回の教室がとても待ち遠しくなってきました。

 習い始めて2年目、先生から東京での全国公募展に出品してはどうかと薦められ、幸いにもいきなり良い賞をいただくことができました。

 それから後は、いろいろな賞をいただくことになり、2004年には全日展大賞を、翌年にも続けて大賞を、さらにその翌々年には三度目の大賞をいただくなど、大変な光栄に浴しました。

 
 

 このような授賞式の折には、東京へ出向いて東京在住の友人たちとも会い、一緒に食事をするなど、とても楽しい時間が過ごせました。また、この間に、小さいながらも3回の個展を開くことになり、私にとっては大変嬉しい出来事でした。
 20年前までは、朝から夕方まで家事のことしか考えなかった私でしたが、絵にめぐり逢え、いろいろな人との出会いがあり、それだけでも幸せだと思うようになりました。

 以上、何だか自分だけの自慢話のようになってしまいましたが、何も出来なかった私、何も考えなかった私でも、ほんの少しの努力とチャンスさえあれば、何とかなるものだと思いました。生まれつき絵の才能があったわけでもなく、ある日突然、立派な先生にめぐり会ったことが、私の大きな転機になったのだと思います。

 作品は小品(色紙)から掛軸、大きさは8号から50号まで、300点以上描きました。現在家に約半分くらいの作品が眠っております。なお、今現在は先生が体調を崩され、私自身も年齢を重ねて、ここ暫く筆を休めております。

 同封しました資料・写真などは、お返しいただかなくても宜しいので、文集の中で何か皆様の参考になるようでしたら、お話のあった挿絵としてなど、どうぞご自由にお使い下さい。

[編集部注] 2015年8月28日付け書簡を、ほぼそのまま
       の形で文集用原稿とさせていただきました。