Let’s Dig!〜詩人 あずま菜ずなの世界〜


詩集『焼け跡の羊』を語る

 『焼け跡の羊』は私の二冊目の詩集である。1998年に出版した初詩集『赤い羊』によせて、福井詩人会議「水脈」会員の阪下ひろ子さんは次のように述べている。=岡本一平がかの子に言ったそうな。日本橋の真ん中で真っ裸で大の字に寝ころぶ勇気がなければ小説は書けないと。『赤い羊』と題された詩集を読んだとき、不意にこの事が思い出された。
 これは『焼け跡の羊』に納めてある16編の詩についても言える。キリスト者として自らの生きたい世界を信じる姿勢を崩さずに、大げさに言うなら返り血を浴びる覚悟で赤裸々な自分を曝け出している。詩の多くは季節の移り行く日常のなかでの出来事に心象世界を重ねて描写している。私と同時期に同じ病名で手術を受けた友人が突然亡くなった事が、この詩集の出版を急がせた理由でもある。『赤い羊』以後に書いた詩と、それらの詩作品からイメージして描いた油絵を4点収録し、題字を夫に頼んだ。解説は敬愛する「水脈」代表の詩人・稲木信夫氏が=詩の重さと信仰=と題して、未熟な私へ貴重な励ましの言葉を賜った。
 仏教大国福井の地にあって「球根」の詩の書いたように信仰、希望、愛といった聖書の救いに根ざしたGoSUPEL POEMを通して、沈黙と祈ることを学びこの先も癒され、生かされている恵みを発信していけたら幸いに思う。

 あずま菜ずな
 1949年 山梨県生まれ
 1998年 詩集「赤い羊」(新風舎)
 福井県詩人懇話会会員
 福井詩人会議・水脈会員
 
 




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