Let’s Dig!〜詩人 あずま菜ずなの世界〜 |
葦の海の道を
クリスタルグラス一杯の
海洋深層水
ごくごく とくとく
なえた細胞にとどく
胸もとの焼けあとに
遠い国の海がうまれた
つよい東風が
葦の海をしりぞかせ
道がひらく
水のかべにひかる 鱗片
あんぐりと口をあけ
波頭は 沈黙をたもつ
海の真中のかわいた道を
神に選ばれし民は
あるいてわたり
牛 馬 羊の 群れ
ふりむけばエジプトの兵士
追っての馬
もどれないかくごの手綱をひき
しんがりを行く
いたんだ葦
異邦人のわたくし
荒涼たる旅の道に
乳白色の波がたち
グラスのなかの潮騒に
左の乳房を
ふたたび 葬る
深紅のバラの咲く
牧師館の庭
浮雲が ひとつたゆたう
かんかん照りの天空に
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