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ディヌ・リパッティ(DINU LIPATTI, 1917〜1950, ルーマニア)

呼称:世紀のリリシスト

1917年ルーマニアに生まれ、今から50年以上も前の1950年に、 わずか33歳でこの世を去った天才型のピアニストです。 モノーラル時代のピアニストは今日省みられることは少なくなりましたが、にもかからわず、 リパッティの名が今なお、ショパン演奏史、否、20世紀のピアノ演奏史に燦然と輝いているのは、 ひとえに、残された数少ない録音の素晴らしさのためです。

リパッティのピアノ演奏の魅力は、生来のバランス感覚に基づいた清潔な詩情とデリカシーだと思います。 彼のピアニズムを一言で言い表すとすれば、繊細、清潔、透明、端整といった表現が相応しいと思います。 ピアノ演奏技術も「当時としては」という保留なしに完璧で、その音楽の中に宿る奥深い真実を 探り当てる独特の鋭敏な感性を併せ持った、まさにピアノの天才、詩人でした。

リパッティは、晩年、持病の白血病と闘いながら命を削る思いでレコーディングに取り組んでいたと言います。 彼の演奏は録音でしか聴くことができませんが、 ショパンに関しては、14のワルツ集、 ピアノ協奏曲第1番、ピアノソナタ第3番や、舟歌、ノクターン第8番、マズルカOp.50-3、 エチュードOp.10-5,Op.25-5の録音が残っています。 いずれも彼の最晩年の録音で、既に迫り来る死を避けがたい運命と悟っていたからなのか、 これらの録音から、そのような病の苦悩を微塵も感じさせないのは、芸術家としての精神的な強さを感じます。

リパッティは、その類い稀なセンスによって、爽やかな詩情とファンタジーを、控えめで ありながらも過不足なく伝えてくれます。その天国の花園を思わせる香しくも爽やかでデリケートな ショパン演奏は、彼が僕達に残してくれた大切な宝物です。これほど、ショパンの音楽の語法に 精通した演奏を聴かせてくれるピアニストは、ディヌ・リパッティをおいて他にいないと僕は感じました。

録音が非常に少ない夭折の天才ピアニストが今日これほど多くの場面で語られるのは、その録音の 一つ一つが傑出しているからです。録音の少なさ、演奏活動期間の短さにも関わらず、今なお ショパン弾きとして語り継がれているという事実が、リパッティの才能の偉大さを逆説的に 物語っています。

参考書籍

ディヌ・リパッティ 伝説のピアニスト夭逝の生涯と音楽

リパッティのCD

リパッティのCD

ショパン・ワルツ集

ブザンソン音楽祭における告別コンサート

ショパン・ピアノ協奏曲第1番、モーツァルト・ピアノ協奏曲第21番

ショパン・ピアノソナタ第3番、モーツァルト・ピアノソナタ第8番他

シューマン・グリーグ・ピアノ協奏曲

バッハ、スカルラッティ他、ピアノ小品集

ディヌ・リパッティ・ディスコグラフィー
◆シューマン・グリーグ・ピアノ協奏曲(シューマン=カラヤン指揮、グリーグ=ガリエラ指揮、フィルハーモニア管)
◆ショパン・ピアノ協奏曲第1番(アッカーマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管)
 モーツァルト・ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467(カラヤン指揮ルツェルン音楽祭管)
◆ショパン・ワルツ14曲、エチュードOp.10-5「黒鍵」、Op.25-5、
 マズルカ第32番嬰ハ短調Op.50-3、ノクターン第8番Op.27-2

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