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―――深夜。気配がして、目を覚ました。
寝室は暗く、カーテンの隙間から月明かりは細く室内を照らすだけだった。
静かな室内には時を刻む時計の音が響いている。
薄闇に目を慣らしていくと、扉が開いているのが視界に入った。
…?
俺は寝る前には戸締りはしっかりとする方だと思っている。
特にここ最近、ジェイドがちょくちょく侵入してこようとしてくるので鍵はきっちり掛けている。
鍵はきっちり―――いや、ドアノブがぶっ壊されている。
ようやく頭が働き始めた。
掛け布団を思いっきり取り払う。
案の定、俺の両足の間に身を滑り込ましているデカイ図体があった。
「…ジェイド、お前は一体そこで何をしている!?」
怒りのあまり声が震える。
めくった布団の下で、俺は見事な“ご開帳”の格好をさせられいた。
「申し訳ありません、起こしてしまいましたか?」
「起こしたかじゃない!」
どこの世界に弟子が自分の師匠の寝込みを襲ってくるというのだ。
「どうぞお気になさらずにお休みください。俺は勝手にやらして戴きますから」
とっさにジェイドの顔面を蹴り上げた。これぐらいしないと手を動かすのを止めないだろう。
「貴様ぁ〜いい加減にせんかぁ!」
ストンピングを何十発か食らわせた。
が、素足の裏から小さな悲鳴を聞こえ動きを止めてしまった。
その瞬間を狙っていたのだろう、一気に目の前までジェイドの顔が迫ってきた。
―――鼻骨でも折ったのか?鼻血を流している。
手当てしてやらないとキレイな鼻梁が曲がったままになりそうだ。
「ま、待てジェイド」
手を伸ばして顔に触れようとした途端、大昔の映画の『キャリー』のように大量の血を浴びた。
「いいえ、待てません!」
…興奮の余りに吹き出た鼻血だった。
力尽くで顔を近づけてくるのを躊躇なく、左フックでぶっ飛ばす。
「この、馬鹿もん!!俺はそうゆう気は全くないぞ!」
こっ恥ずかしいかしさを捨て、己の貞操を守る為に臨戦体勢をとった。
ジェイドは部屋の反対側まで転がっていったというのに光の速さで飛んで戻ってきやがった。
「照れないでもいいですよ」
右手に回り込む!と、思わせておいてフェイントで低いタックルで両足を刈ってくる。
とっさに右足を引き、顔面めがけて膝蹴りを食らわす。
「いい加減にしろ!!年寄りをからかってお前は楽しいか!?」
「からかうなんてとんでもないです!俺は心底、レーラァをお慕いしているんですからぁ」
蹴り上げた足を膝裏から取られ、片足タックルからのスイープでベットに引き倒される。
マズイ!マズイ!!マズイ!!!
グランドに持ち込まれたらウェイトに勝るジェイドに多少なりとも有利になりかねない。
案の定、倒れこんだ俺をガッチリと両足でホールドしたまま俺の顔を見下ろしている。
何故これだけの技術を身に付けておきながら実戦に活かせないのだろう。
「大丈夫ですよ、レーラァ。ヴァルハラに連れて行ってあげますよ」
そ・れ・は・ウ・ソ・だ!!!!!
俺の腕を袖絡めで押さえ込み、ニコニコしながら顔を近づける。
「あぁ本当に俺、幸せです」
マウンド・ポジションの状態で天使の微笑みを向けられても信用する事は出来ない。
「こんなにもレーラァを好きでいて良かったって思った事ありません」
そう言うと、サラサラとした金髪が俺の顔に覆い被さってきた―――
――――――――――…………
………………………………ッ……………………ッ!…………
〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
わずかに自由に動かせた指先で高速タップをする。
ようやく自由になった口で大急ぎで呼吸する。
「…お前なんか育てるんじゃなかった」
この馬鹿、俺の肺の空気を全部吸い込みやがった。
「そんな酷い事言わないで下さい」
嬉々として笑いかける顔には全く邪気が無い。
「今夜はたっぷり、今までの恩返ししますから♪」
―――目の前が真っ暗になった。
当初シリアス版だったが何処までやって良いか悩んだ挙句、
ものすごーく軽い感じにしてみました。
世間的に、こんな文章を許してもらえるかどうか・・・。
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