「K2_2009登山隊日記」:H21.6.25〜7.5 |
■6月25日〜7月5日(ベースキャンプ開設、ABC設営&上部偵察)
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【6月25日(木) 保坂隊長報告】
6月23日(火)「ゴレU〜コンコルディア」
●アプローチマーチも最終章に入りゴレUより半日〜1日で夢のコンコルデイア
>K2が正面に見える所で、ご対面を果たし、いろんな思いで各自眺めています
>南にミデアムPk ゴンドコロ氷河を隔て、昔秋田の隊のチョゴリザ峰、バルトロカンリ、
ガッシャーブルム山群、G4峰、ブロードPk、K2、クリスタルPk、マーブルPkが囲み、
巨人達に囲まれたコロシアムの闘士の如く錯覚し、戦慄を覚えます
(この高度では順化していない隊員はとても心配のよう!)
6月24日(水)「コンコルディア〜ベースキャンプ到着」
●ポーターが帰る日、6時の食事を早々と済ませパッキング
>隊荷は、88名のポーターと3名のナイケ役のおかげでBC入り
(ポーターはチップを受け取り、帰途に着く)
>BC入り途中、胃の小さくなった田中隊員が体力の限界で少しダウン
>PM4時までに全員到着し、電気工事を行い、パソコンのチャージ可
>BC入りを日本事務局の高橋副事務局長へ衛星携帯で電話(約1分間)
>BCの各隊に保坂隊長が挨拶を済ますせました
(イタリー ドイツ2隊 スイス、ポーランドが同一ルートをC1から上がって行くのが見えます)
●BCについて
>氷河の夜は気温−6度〜−8度に下がっています
>我隊のBCの位置は南西稜の真下に作りました。南南東リブは1ピッチ上にあります
>ブロードピークのC1〜C2の登路が見えます(両ジャイアンツに囲まれた所です)
>これから毎日眺め、我々だけの登攀生活が始まります(200名のポーターはもう居ません)
>K2山頂、PMは雪煙があがっています(強風を意味します)
6月25日(木)「ベースキャンプ」
●BCで食料、装備等のチェック作業
>BCで隊荷の食料と装備の仕分け作業(田中、児玉、小林、大友、井筒、小野寺)
>無線チェック(小谷部)
>保坂、遠藤、西川、サデックは、ルート偵察と先行隊への挨拶をし、上部偵察
>国際隊14名 韓国隊1名、ドイツ隊のガリンダ(竹内岳洋氏の親友)がローツエより転身
>入山の挨拶を済ませ、ルート決定の為のルートを目で追う(6名の国際隊が南南東リブに張り付き)
(3名のハイポーターと多国籍の14名でまだ増えるとの事で、隊員も人数は把握していないとの事)
>韓国隊のキムホンビン氏はセブンサミッターでシェルパを連れて来ています(南東稜との事です)
>スキー登山の2名のスエーデン隊は1名墜落死
(ヘリで搬送されましたがヘリポート用具は我隊が提供しました)
>急遽 メステントを180ドルで借りました
>午後ミーテング結果 南東稜ルート(下記写真右端のルート)に決定いたしました(韓国隊と一緒の予定)
(隊員間でデスカッションをした結果の決定です)
>PM2時BC開き実施(ネパールのプジャにあたる安全祈願祭でパキスタン流で立食のティパーティで
イスラム教国にならいイスラムの安全祈願と隊員紹介、現地スタッフ紹介の順で無事終了)
>ルートが決まったので、隊荷のABC移動(約4時間)が立ちはだかりますが、3名のローカルポーターを
セッテングし交渉した結果、25ドルで交渉成立(高所ポーターはないので、お願いした次第です)
※6月26日はABC荷揚げを兼ねて偵察予定(登山はこれからが本番)
【K2の雄姿とベースキャンプの様子)】
【コンコルディアよりK2を望む】 |
【ベースキャンプ風景】 |
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【6月29日(月) 保坂隊長報告】
6月26日(金)〜6月28日(日)「ベースキャンプ〜ABC設営&荷揚げ」
●26日〜28日にかけて、隊員とハイポーターでABC設営と荷揚げ敢行(隊員の長靴を借用)
> 28日は雪でしたが、ABCに上がった保坂、西川、児玉の3名は上部偵察を行い、登路を雪と岩
の間に設けました(200mほど上部を偵察し、腐り気味の新雪を下降)
>帰路K2のBCは新雪のため、他隊は全員レストしていました
>韓国隊でチャを頂き、国際隊でコーヒーを頂き、交流を図り帰ってきました
(同ルートの韓国隊とはフレンドリーに対応していい関係で登山をしたいと思っています)
>BCでは、粗悪ガソリンのため故障していた2台のジェネレーターが田中隊員の手で回復
(粗悪ガソリンはフィルターをしても、すぐ沈殿物を生じ、その都度ろ過が必要)
>これを聞きつけた国際隊のエクアドルの隊員が早速 発電機を持参で頼みに来ました)
(PM5時に直った機械を持って「サンキュウ連発」で帰っていきました)
>点火プラグも不調で6個取り寄せ手配中です
(イスラマの気温仕様では濃度が濃く、5000mでは使用できません「一難去って又一難」)
>南東稜へのルートを決めた為に、基部にABCを急遽、設定しました
>当初は4時間かけたセラック帯も、順化した隊員は1時間半で到達です
>ABCへの到達回数が2回と、ABC上部を狙う時期に入ってきました
>ドイツのガリンダは早速アルパインスタイルで上部に上がっていったとの事で、ベースキャンプ界隈
ではクレージーの噂です(本人としてはローツェで順化しているので 当然の事でしょうが、、、、、、 )
●【隊員動向】
・小谷部隊員は酸素飽和度が上がらず「40%」、昨今は復調気味ですがABCへ2回到達です
・西川、遠藤、児玉隊員は良好です
【隊員の様子(ABC&ベースキャンプの食事)】
【ABCへのセラック帯を行く】 |
【ABC設営】 |
【こまち麺と料理】 |
【こまち麺を食す(穂高君美味しかったよ!)】 |
※「穂高君」は児玉隊員の息子さんで、「こまち麺(米粉麺」を日本から差し入れて貰いました。
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7月5日(日)「BC(標高5010m)、ABC(5267m)から上部偵察」
●ABCび4名(保坂,遠藤,児玉,西川)が停滞(ルート工作)
>BC:朝は雪、AM10時頃から晴れ/ABC:午前中は雪、午後から晴れ
(前日まで天候が悪く,本日午後から久しぶりの晴れ)
>明日、天候がよければABC上部キャンプ設置場所の偵察(出来れば設営まで)する予定
>「C1」を韓国隊のC1より上部に設置したいのですが、僅かな晴れ間を使って探しましたが、中々
適地が見つかりません
>田中さんの胃の調子が悪く、本日、国内隊員の上小牧ドクターに衛星携帯電話で問診したところ、
ベースキャンプより上部には上がってはならないとドクターストップ
(よって,田中さんにつきましては、今後の病状を見ながら、登山活動をすることになります)
>小谷部隊員はダイアモックスを3回服用し、無事BCの高度に順化し、体調を回復
>猪熊さん(気象情報提供業者)とは、メールの送受信を確認済みですが、現在は状況を見ながら、
いつから気象予報をお願いするかを「様子見」しているところです
【ベースキャンプとABC上部偵察の様子)】
【雪のベースキャンプ風景】 |
【韓国隊のC1から下部を見下ろす】 |
(左から、西川隊員、ハイポータ「アリムサ」、児玉隊員)
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【隊員より「一言コーナー」】
【前回までの分】
■保坂隊長から(6月22日)
> 体調良好。お世話になった方々に、元気です。日々是好日です。
前進、前進また前進です。明日は夢のコンコルデアに入ります。 有難う。 保坂。
■児玉隊員から(6月22日)
> 東西文化の入り乱れるこの地で言葉の通じ合わない人達の協力を得て山を登ろうとしています。
目標はただ一つです。 頑張ります。 児玉。
■大友隊員から(6月25日)
> 山盛苑の皆様メール有難うございました。スカルドから7泊8日キャラバンにてBCに到着しました。
K2の大きさに感動しております。
2ヶ月あまりの山行を楽しみ、隊員が登頂できるよう精一杯がんばります。 大友輝子
■遠藤隊員から(6月25日)
>応援してくれた皆様有難うございました。ここまで25日間かかってBCに到着しました。
本やテレビで見ていたK2が目の前にあり。感激です。
しかしここまでキャラバンを含め非常に長かったーーーー。
今のところ体調も良く、明日から本格的登山の開始、気持ちが高ぶって来ます。
安全に無理せず、しかも山頂を目指したいと思っています。
■小林隊員から(6月25日)
>おかげさまでようやくK2のBCに到着しました、。これから登山開始です。
ベストを尽くします。
■保坂隊長「2回目」から(6月25日)
>岳連の皆様、指導委員会の皆様、小原田の皆様、岳修会の皆様、こまくさ山岳会の皆様
郡山山岳団体連絡協議会の皆様、ワイルドワン様、アイワコーポ様、大塚製薬様
ヤマト無線様、有明様、NHK福島様 おかげさまでBC入りです。
BCより感謝のメッセージです。『シュークリア』 保坂 昭憲
■小林隊員「2回目」から(6月28日)
>小林隊員3ヶ月の外国滞在と責任感で隊務の輸送から離れてこれから登山に専念
する
■井筒隊員から(6月28日)
> 無事 6月24日BCに入りました。怪我病気なく元気に過しております。安心ください。
■保坂隊長「3回目」から(6月28日)
> 保坂元気です食事がうまい 事務局お世話になります。
チャパティ&ダルスープ 。今日山羊 上がる 楽しみ!
【今回追加】
■小谷部隊員から(7月5日)
>みんなから遅れましたが、ようやくBCの高度に順化し、登山のスタートラインに立てました。