H25.11.23〜24:「第11回
北日本海外登山研究会」の開催 |
当日は、
・日本ヒマラヤ協会(HAJ)理事長「伊東 満」氏(福島)
・日本ヒマラヤ協会(HAJ)理事「粂川 章」氏(栃木)
・日本登山医学学会 国際医療福祉大学「上小牧憲寛」氏(栃木)
・2013年栃木K2登山隊隊長「北村 誠一」氏(栃木)
をお招きして、海外登山についての講演をいただきました。
女性4名を含めて20数名の方々の参加をいただき、白熱した意見交換が行われました。
また、親睦会では割烹「出羽屋」さんの豪華料理で舌鼓を打ち、集会場での2次会では、
皆さんが持ち寄った地酒・ワイン等で、宴会は夜遅くまで大変盛り上がりました。
(幹事の西川山岳会の皆様をはじめ、関係者の皆様、大変有難うございました。)
【講演題目(講演順)】
@ 「ヒマラヤ登山における高所医学について」(高山病の防ぎ方、治し方)
日本登山医学学会 国際医療福祉大学 上小牧憲寛 氏(2006年チョモランマ登頂者)
>高山病気の分類
・急性高山病 (AMS:Acute Mountain Sickness)
【症状】
頭痛(局所性ではなくびまん性)、睡眠障害、食欲低下、ぼんやりして元気がない
末梢性高所浮腫、重篤な動悸、吐き気、嘔吐、軽労作下での呼吸困難
※注意:非常にぼんやりしたり、傾眠の場合(HACE?)
安静時呼吸困難(HAPE?)
・高所肺水腫(HAPE:High Altitude Pulmonary Edema)
【症状】
安静にしても呼吸困難(息切れ)が増悪したり、チアノーゼがみられる。
仕事の遂行能力の目立った、あるいは急速な低下(虚弱化)
咳嗽、胸部絞扼感、泡沫呼吸、頻脈、血性あるいは泡立った痰の喀出
・高所脳浮腫(HACE:High Altitude Cerebral Edema)
【症状】
鎮痛剤に反応しない重篤な頭痛、ふらつき、運動失調、回転性めまい
幻視、幻聴、理性を失った行為、最終段階:昏睡と呼吸麻痺による死
・慢性高山病(CMS:Chronic Mountain Sickness)
>低体温症の状について重症度分類
・軽度:参考体温35℃〜32℃
【兆候】
意識清明、生命兆候の低下なし、活発な震え
・中度:参考体温32℃〜28℃
・高度:参考体温28℃〜24℃
・重度:参考体温24℃〜15℃
【兆候(中度〜重度)】
徐脈や呼吸数の低下といった生命兆候の低下
意識レベルの変化 (発語不良、つまづき、知的技能の減弱、言葉や疼痛刺激への反応低下を含む)
非常に寒いが震えが消失 (注:この兆候は酩酊状態では変化し信頼性が低いと思われる)
>雪崩埋没について
【死因】
・窒 息:80%
・外 傷:19%
・低体温: 1%
【生存までの時間的概念】
・first drop(18分:生存率34%)までに埋没者を引き出すこと。
・second drop(2時間:生存率7%)までに組織救助が到着し、生存を諦めずに捜索・救命をすること
※雪崩は窒息が主たる死因で。迅速な救助が求められます(人工呼吸は必ずします!)
>詳細は下記の出典(ホームページ)を参照願います。
・UIAA: Advice and recommendations AMS, HAPE, HACE - Emergency field management (日本語訳:上小牧憲寛氏)
http://www.theuiaa.org/upload_area/files/1/UIAA_MedCom_Rec_Japanese_Vol_2_AMS_HAPE_HAPE_2008_V2-2.pdf
・アラスカ州寒冷障害へのガイドライン2003(2005改訂)
http://www.sangakui.jp/medical/alaska/
・IKAR 国際山岳救助協議会医療部会よる治療勧告2000 登山者向けの現場での凍傷治療
http://www.sangakui.jp/medical/ikar2/
A 「パキスタン:マッシャーブルム、インド:マリ峰、ネパール;チュルー最東峰 登山報告」
日本ヒマラヤ協会(HAJ)理事 粂川 章 氏(63歳)
<登山歴>
1974年 アラスカ マッキンレー 登頂(6168m:2012年の測量前は6194m)
1990年 中国 ムーシュ・ムスターグ(6638m)
1996年 インド ヌン峰(7135m)
1999年 インド ストックカンリ 登頂(6153m)
2001年 パキスタン ガッシャーブルムU峰 登頂(8035m)
2007年 パキスタン マッシャーブルム(7821m)
2011年 インド.マリ峰 初登頂(6585m)
2013年 ネパール.チュルー最東峰 登頂(6038m)
B 「日本のヒマラヤ登山(最近の動向)」
日本ヒマラヤ協会(HAJ)常務理事 伊東 満 氏
<1936〜2011までの登山者数>
・登山隊:2190隊/入山者(重複あり):13185人/死亡者:287人/死亡率:2.2%
・標高別登山者数
【8000m峰】
登山隊:540隊/入山者(重複あり):3328人/死亡者: 84人/死亡率:2.5%
【7000m峰】
登山隊:729隊/入山者(重複あり):4757人/死亡者:118人/死亡率:1.7%
【6000m峰】
登山隊:921隊/入山者(重複あり):5100人/死亡者: 85人/死亡率:2.2%
・登山隊の推移
>1980〜90年代の年間70〜80隊をピークに2012年、2013年は20〜30隊と減少
<2004〜2013までの入山峰ベスト5>
1位:エベレスト (8848m) 57隊
2位:マナスル (8163m) 32隊
3位:チョ・オユー (8848m) 20隊
4位:ムスターグ・アタ(7546m) 14隊
5位:シシャパンマ (8027m) 11隊
<2013年パキスタン「シムシャール峰」の踏査報告>
C 「2013年栃木K2登山報告(6月〜8月)」
2013年栃木K2登山隊隊長「北村 誠一」氏(46歳)
※残念ながら登頂はできなかったが、山の仲間との絆を深めることができたことが人生においての大切な宝物!!
【会員からの登山報告等】
@ 「アルプス オートルートの縦走スキー参加(平成25年3月)報告」(福島:保坂 昭憲 氏)
(フランス:シャモニー〜スイス:ツェルマット)
A 「キリマンジャロ登頂(平成25年10月)報告」(新潟:小林 重一 氏)
(ツアー登山:日本からのガイドとして参加)
※御参加の皆様、遠路遥々ご参加していただき大変有難うございました。
また、西川山岳会をはじめ、関係者の皆様大変お世話になりました。
みなさん、来年(平成26年11月15日〜16日予定)は秋田県で会いましょう!!
【研究会の様子】
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