6.鳥族


霊鳥
 神の使いや、神の乗り物とされる鳥。太陽や神秘的なものを体現しており、古くから畏敬の念を持って崇められてきた。

ヴィゾフニル(Vizohunir)  出身地:北欧
 北欧神話で世界の中心に生えるイグドラシルの樹のてっぺんに住む光り輝く雄鶏。名前は「木の蛇」という意味である。自ら光り輝いてイグドラシルを隅々まで照らしている。

ヴクブ・カキシュ(Vucub Caquix)  出身地:マヤ
 マヤの神話物語『ポポル・ヴフ』に登場する巨人。自らを「太陽であり光であり月である」と称したため、神々は天国の双子フナプーとイシバランケーを送り込んだ。二人はヴクブ・カキシュに傷を負わせると、老人に化けて彼に近づき、治療するふりをして彼の力の源であった歯を抜き、目を抉り取った。

ガルーダ(GarudaGaruda)  出身地:インド
 ヴィシュヌの乗騎である神鳥。ナーガに母親を人質に取られ、神々の所からソーマを盗み出してくるよう命じられた。神々を蹴散らしてソーマを手に入れたが、その帰りにヴィシュヌに遮られたが、ブラフマーの仲介によって和解し、ヴィシュヌの乗騎となる替わりに不死身の体を手に入れた。その後、策を以ってナーガより母を取り戻した

キニチ・カクモ(Kinich Kakmo)  出身地:マヤ
 コンゴウインコの姿をしたマヤの太陽神。

サンダーバード(Thunderbird)  出身地:北米
 チノーク・インディアンの起源とされる巨大な鳥。“老いた南の風”が旅の途中で捕えた鯨を十字に切り裂いたところ、鯨がサンダーバードに変じ、サドルバッグ山の頂上へと飛んでいった。そこでサンダーバードが産んだ卵がインディアンになったとされている。

ジャターユ(Jatayu)  出身地:インド
 インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する禿鷲の王。ラクシャーサの王ラーヴァナがラーマの妻シーターを誘拐するところに遭遇し、ガルーダの姿に化けてラーヴァナに立ち向かったが敗れてしまった。

スザク(Suzaku)  出身地:中国
 朱雀。風水において四方を守護する四神の一。南方を守護し、火を属性にもつ。普段は梧桐の木に住み、竹の実を食べている。人界には竹が実を結ぶ六十年に一度現れるといわれている。

スパルナ(Sparna)  出身地:インド
 「美しい翼を持つ者」という意味の名を持つインドの霊鳥。中国に伝来して鳥の王、金翅鳥となった。

ハンサ(Hamsa)  出身地:インド
 ブラフマーの乗り物とされる白いガチョウ。ブラフマーへと到達しようと修行するバラモン僧の象徴ともされる。

フェニックス(Phoenix)  出身地:エジプト
 死と再生を繰り返す火の鳥。その生き血を飲んだものは不老不死になるとされる。生まれて500年経つと、その身に染み付いた汚れを清めるために炎の中に自ら飛び込み、幼鳥となって再生する。エジプトの霊鳥ベンヌがギリシアに伝わって生まれたものとされる。

ベンヌ(Bennu)  出身地:エジプト
 エジプト神話で、オシリスの心臓から飛び出したとされる聖なる鳥。太陽の化身であり、復活の象徴でもある。ギリシアに伝わってフェニックスとなった。

ホウオウ(Houou)  出身地:中国
 鳳凰。雌雄一つがいで現れ、平和をもたらすとされる瑞鳥。鳳が雄で、凰が雌とされる。その鳴き声は簫に似ており、鳳凰が飛ぶときはその徳によって、雷も鳴らず風雨も止み、河川は溢れず草木もゆれないとされる。

ヤタガラス(Yata-garasu)  出身地:日本
 八咫烏。神武天皇の東征の際に熊野山中で道案内役を務めた三本足の烏。アマテラスの命により降臨した加茂建角身命(かものたけつぬのみこと)の化身した姿である。


妖鳥
 風の力を体現したり、死者の魂の運び手とされる鳥型の悪魔。下級の妖鳥の中には女性型をしたものもおり、人間を魅了することもある。

アエロー(Aello)  出身地:ギリシア
 ハーピーの女王三姉妹の長女。その名前は「嵐」や「疾風」という意味である。冥府の王ハーデスの使者として使者を冥界へと誘う役目を持つ。

オキュペテー(Okyupete)  出身地:ギリシア
 ハーピーの女王三姉妹の次女。その名は「速く飛ぶ者」という意味である。

カラドリウス(Caladrius)  出身地:ヨーロッパ
 病人の元に現れ、その病を癒してくれる霊鳥。しかし、手遅れの病人に対しては見向きもしないという。ヨーロッパの土着信仰がキリスト教に吸収されたものと考えられる。

ケライノー(Kelaino)  出身地:ギリシア
 ハーピーの女王三姉妹の三女。その名は「黒い雲」という意味である。海神ポセイドンと結婚し、カイラスとゼテスの二人を産んだ。

コカクチョウ(Kokaku-chou)  出身地:中国
 姑獲鳥。人間の少女を攫って育てるとされる中国の怪鳥。攫われた少女はコカクチョウになるという。羽毛を脱ぐことで天帝少女と呼ばれる人間の女性になり、それを着ることで元の姿に戻る。天の羽衣伝説のように、衣を隠されたために人間の男の妻となったという話も残されている。

タイホウ(Taihou)  出身地:中国
 大鵬。中国の伝説に登場する霊鳥。その翼は天を覆い隠すほどに巨大で、真昼が夜になったかと錯覚させるほどである。鯤と呼ばれる巨大な魚が変じた姿であり、北の果てにある天の池に住むとされる。

タクヒ(Takuhi)  出身地:中国
 中国の次之山に住むとされる鳥。姿形はフクロウに似ているが、人の顔を持ち、脚は一本しかない。夏の間は眠っており、冬になると活動を開始する。タクヒの羽毛を持つものは落雷の難から逃れられるとされている。『真・女神転生』ではメガドライブ版に、『真・女神転生II』ではGBA版にのみ登場する。

タンガタ・マヌ(Tangata Manu)  出身地:イースター島
 イースター島で崇拝されていた鳥神。部族の族長の称号でもあり、その名は「鳥人」の意味である。

ネヴァン(Neamhain)  出身地:ケルト
 →バイブ・カハ

バー(Ba)  出身地:エジプト
 エジプトにおいて、死者の魂がなるとされる人間の頭を持った鳥。死が決まった瞬間にバーになり、冥界へと飛翔していくとされる。

ハーピー(Harpuia)  出身地:ギリシア
 「掠め取る者」という意味の名を持つ翼人。女性の上半身に鳥の翼と下半身を持つ。元はクレタ島の風の女神であった。

バイブ・カハ(Badhbh Cath)  出身地:ケルト
 ケルト神話において、戦と殺戮、愛を司る三位一体の女神。その名は「戦の魔女」あるいは「戦のカラス」の意味である。モーリアン、ネヴァン、マッハの3人からなり、3人とも神々の王アガートラームの妃である。
 ・モーリアン(Morrighan)=バイブ・カハの長。灰色の長髪に、同じ色のマントをまとった美女の姿をしている。他の二人がアガートラームとともにクロウ・クルーワッハに殺された後もただ一人生き残った。その後、クー・フーリンに恋をするが拒絶され、彼に呪いをかける。また、アーサー王伝説に登場する魔女モルガン・ル・フェイもモーリアンが原型となっている。
 ・マッハ(Macha)=「赤毛のマッハ」とも呼ばれ、その名の通り赤い髪に赤いまつげ、真紅の服を身にまとい、赤毛の馬に乗って戦場を駆け巡る。ケルトの伝説において、何度も転生して現れており、豊穣の女神としても崇められている。
 ・ネヴァン(Neamhain)=名前は「毒のある女」の意味であり、「戦の狂乱の女王」とも呼ばれる。戦場において、戦士たちの頭を混乱させ、同士討ちを引き起こすとされる。

フィアラル(Fiarar)  出身地:北欧
 北欧神話において、ラグナロクの訪れを告げるとされる雄鶏。神々の国アースガルズ、巨人の国ヨトゥンヘイム、冥界ニブルヘイムのそれぞれ一羽ずついる。

ホラワカ(Holawaka)  出身地:エチオピア
 エチオピアのガラ族に伝わる鳥。人間に神託を伝える役目を負っていたが、人間に不死の神託を授けるために地上に降りてきたが、誤って蛇に神託を伝えたために人間は不死を得ることが出来なかった。

マッハ(Macha)  出身地:ケルト
 →バイブ・カハ

モーリアン(Morrighan)  出身地:ケルト
 →バイブ・カハ

ヤマチチ(Yamachichi)  出身地:日本
 山地乳。コウモリが歳をとるとノブスマになり、さらに年月を経るとヤマチチになるとされる。鳥のように尖った口を持っており、寝ている人間の枕もとに忍び寄ってその寝息を吸う。寝息を吸われた人間は翌日に死んでしまうとされている。

ルフ(Rukh)  出身地:アラビア
 ロック鳥とも呼ばれるアラビアの巨鳥。象を足に捕まえて飛ぶことが出来るほどの巨大な体の持ち主で、象を一飲みにするような大蛇も食べるといわれる。『アラビアン・ナイト』にも登場し、太陽と天空の象徴とされている。


凶鳥
 凶兆の象徴たる鳥たち。凶鳥の多くは死者の化身であったり、冥界に住まう邪悪な者どもであったりする。

アレクト(Alekut)  出身地:ローマ
 →フリアイ

アンズー(Anzu)  出身地:バビロニア
 バビロニアの神話に登場するライオンの頭部を持った怪鳥。万物を支配する力を持つ「天命の石板」を大気の神エンリルの下から盗み出すが、狩猟の神ニンギルスに敗れて「天命の石板」を奪い返された。

イツマデ(Itsumade)  出身地:日本
 以津真天。埋葬されなかった死者の魂が妖怪化して生まれた怪鳥。疫病が流行した年に現れるとされ、野ざらしの死体の処理を急がせるかのように「イツマデ」と鳴く。

オンモラキ(Onmoraki)  出身地:日本
 陰摩羅鬼。『百鬼夜行絵巻』で紹介されている妖怪の一つで、墓に入ったものの十分な供養を受けなかった死者の霊魂が変じたものとされる。十分な供養を望んでいるため、経文読みを怠っている僧侶の前にしばしば現れる。

カウ(Kau)  出身地:中国
 火烏。古来より、中国では太陽には三本足の烏が住んでいるとされ、その烏が太陽を運んでいるのだと考えられていた。十羽の烏が交代で天に現れていたのだが、尭の時代に十羽が同時に天に現れたため、地上は灼熱地獄におちいった。尭の命を受けた弓の名人ゲイは立て続けに九本の矢を放って烏を射落としたので、太陽は一つとなって気温も元に戻った。

カマソッソ(Camazotz)  出身地:マヤ
 マヤ神話の地下世界シバルバーにある「コウモリの館」に住む悪しきコウモリ。大きな歯と鉤爪を持っており、双子の英雄シュバランケとフンアフプがシバルバーを訪れた時に、二人は吹筒に頭を隠していたが、好奇心にかられたフンアフプが頭を出した僅かな瞬間にその首を切り落とした。切り落とされた首はシバルバーの住人によって吊るされたため、シュバランケは亀をフンアフプの首の代わりとして生き返らせた。その後、策を使ってシバルバーの住人の気をそらした隙にフンアフプの本当の首を取り戻した

グルル(Gurr)  出身地:スリランカ
 スリランカの伝承に登場する鷲の魔物。ヒンズー教の霊鳥ガルーダが、宗教的に対立していたスリランカの民衆によって災厄をもたらす悪魔とされたもの。

スチュパリデス(Scymphalian)  出身地:ギリシア
 ギリシア神話で、スチュパリデス湖に住んでいる怪鳥。青銅製の翼や爪、嘴を持っており、人や家畜を襲っていたが、ヘラクレスがヒドラの毒を塗った矢で退治した。ヘラクレスの十二の難業の一つである。

チョンチョン(Chon-Chon)  出身地:南米
 非常に大きな耳を持った人間の頭の姿をしており、その耳を翼のように使って夜間に空を飛ぶ。その鳴き声は死の前触れだと言われている。

チン(Chin)  出身地:中国
 鴆。鷲ほどの大きさをしており、赤い嘴と紫がかった緑色の羽を持っている。体内に猛毒を持っており、この鳥から採った毒は鴆毒と呼ばれ、古来よりしばしば毒殺に用いられてきた。

ティシポネー(Tisipone)  出身地:ローマ
 →フリアイ

ヒッポウ(Hippou)  出身地:中国
 畢方。崑崙の西方に住んでおり、その名は鳴き声からつけられた。鶴に似た鳥だが、一本足で体は青く、そこに赤い模様があり、嘴は白い。ヒッポウが現れた都市には怪しげな火災が発生するとされている。

フケイ(Fukei)  出身地:中国
 西方の鹿台之山に住んでおり、雄鶏に似た体に人の頭を持っている。その名前は鳴き声に由来しており、フケイが現れると戦争が起こるといわれている。

フリアイ(Furiae)  出身地:ローマ
 地獄に住んでいるハーピーの呼び名、ギリシアではエリーニュスと呼ばれる。復讐を司る三位一体の女神であり、ネメシスと司るものは重複しているが別の神である。真鍮の翼と爪で神の怒りに触れた咎人に絶える事のない苦しみを与える。
 ・アレクト(Alekut)=「休まない女」と言う意味の名を持つフリアイの一人。
 ・ティシポネー(Tisipone)=「復讐の殺害」という意味を持つフリアイの一人。
 ・メガイラ(Megailla)=「嫉妬」という意味の名を持つフリアイの一人。

フレスベルグ(Hresvelgr)  出身地:北欧
 世界樹イグドラシルの梢に住む巨大な鷲。その名は「死者を飲み込む者」という意味であり、その名の通り死者の魂を食うと言われている。巨人族の末裔であり、巨大な翼をはためかせて風を作り出している。梢から世界を見下ろしているために多くの出来事を知っている。ニーズホッグと大変仲が悪く、ラグナロクが終わった後もニーズホッグと死者を奪い合いつづけるとされている。

メガイラ(Megailla)  出身地:ローマ
 →フリアイ

モー・ショボー(Mo Shobou)  出身地:モンゴル
 「悪しき魂」の意味を持つモンゴルの悪霊。愛を知らずに死んだ少女の魂がモー・ショボーになるとされる。長い髪と赤い唇の美少女の姿で現れ、旅人を誘惑して脳味噌を吸い尽くすといわれる。




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