File3.召魔の少女
File.3-2 明日のために
翌日の昼過ぎ、昨日と同じホテルでアルバイトへの説明会に出席する5人の姿があった。
GM「必要な書類については既に昨日の内にもらっているから」
阿弥華「後ろの方にいて、怪しげな奴がいないか観察してます」
GM「で、みんなの担当は、阿弥華とつばさがステージ脇で設営や衣装替えの手伝い、慧瑠が客席の案内兼警備、洵とみさきが場外の列整理ね」
みさき「だよ」
GM「で、説明は特に何事もなく終了したと。で、場内の人間は客席の配置をきちんと頭に叩き込んでおくようにとも注意されたよ」
つばさ「うちらは関係ないと」
みさき「僕たちは外で『こっちにいかないでくださ〜い!』ってやるのね」
つばさ「最後尾はこちらで〜す」
慧瑠「私の前には通路があるはずです(笑)」
GM「それは何か違うぞ」
つばさ「あ、スタッフの中に怪しそうな人はいませんか?」
GM「そういうのを探す人は直観のチェックをしてみて」
洵「成功〜」
慧瑠&つばさ&みさき「失敗」
阿弥華「ファンブル〜」
GM「とりあえず、説明会の会場にいる人間では怪しそうなのは見つからなかった」
洵「え〜、誰もいないの〜」
GM「他に特にアクションを起こさないのならこれで解散ということになるけど?」
みさき「本人から話は聞けないの?」
GM「本人は今、リハーサルの最中だよ」
洵「そうだよね」
阿弥華「『あぁ〜♪』って歌ってるのね」
みさき「(ボソッ)はてしない〜♪」
GM「で、ステージスタッフの2人は衣装替えの打ち合わせとかがるので、これからアリーナのほうへ移動するので残ってくださいと言われた」
慧瑠「他の係は解散? だったら俺もついていって2回の客席辺りで見てる」
洵「じゃあ、会場周辺でも見回ってみますか?」
みさき「うん。もう一回回ってみますか」
慧瑠「2階席とか3階席に怪しい物がないかどうか調べて回るよ」
GM「知力は幾つ?」
慧瑠「23」
GM「・・・特に怪しい物は見つからなかった」
慧瑠「見つからなかったのなら、ステージの連中が終わるまで客席で見物して待ってるよ」
GM「で、外の二人のほうだけど、直観は幾つ?」
洵「20」
みさき「16」
GM「・・・特に怪しい人や者は見当たらなかった」
洵「黒のスカイラインは無かったですか」
GM「見当たらなかったね。ではステージのお二人さん」
つばさ「スタッフに怪しい人がいないかどうか観察してるよ」
GM「今はステージ上でリハーサルをやっていて、バックバンドやスタッフがあわただしく働いている」
つばさ「怪しそうな人はいない?」
GM「直観は28だっけ? ・・・特に怪しいというわけではないけど、目を引いた人間が5人ほどいる」
つばさ「顔を覚えておくけど、どんな人?」
GM「2人はバックバンドで、あとの3人はスタッフ」
洵「話し掛けてみよーよ〜」
つばさ「え〜、でもぉ〜」
慧瑠「いきなり人見知りしてるんじゃねーよ」
GM「で、バンドのほうの1人はギターをやっている30代半ばぐらいの男性で、もう1人はキーボードをやってる20代半ばぐらいの結構いい男」
つばさ「まっ!」
慧瑠「『まっ!』じゃねーよ」
洵「ほらほら、話し掛けてこい」
阿弥華「ゲットしてこい」
GM「で、スタッフは舞台装置のセッティングの指示を出している人間と、照明のチェックをしているのと、音響のチェックをしているのの3人ね」
慧瑠「ライトとかはネジが緩んでないかちゃんとチェックしとかないとダメだよ」
つばさ「そうだね、それは夜に誰もいなくなってから」
阿弥華「緩めるの?」
つばさ「緩めないから!(笑)」
慧瑠「ちゃんと固定されているかどうか調べないとな」
つばさ「特に歌ってる人の真上とかね」
GM「で、“ケイ”なんだけど、見た目は10代の半ばか後半かって言うぐらいの感じで、髪は肩口ぐらいまで伸ばしているけど、背格好はつばさと似た感じですね」
慧瑠「ほぉ〜う、それは影武者になれるということだね(笑)」
つばさ「いやぁぁぁぁ〜〜〜っ!!!」
GM「別にそうしろとは言わないよ。するのは君たちの勝手だから(笑)」
この後念のため一同で、会場内の見取り図や、ステージ上の配置を確認しておいた。
阿弥華「とりあえず、どっちかを見張っておきますか」
つばさ「え、え、え〜と、じゃあキーボードを(笑)」
阿弥華「じゃああたしはギターのほうね」
GM「スタッフの方は?」
洵「片方がスタッフで、もう片方がバンドじゃないの?」
阿弥華「どっちがいい?」
つばさ「じゃあ、バックバンド」
阿弥華「じゃ、こっちはスタッフのほうを見張ってるから、何かあったら呼ぶように」
つばさ「は〜い」
阿弥華「じゃあ、スタッフに近づいて、何か運ぶ物はありませんかって聞いてみる」
GM「『このスピーカーあっちの端まで持っていって』って、台車にのせてある大き目のスピーカーを指差してるよ」
阿弥華「台車ごとヒョイッって運ぶ」
GM「ヒョイッは無理だよ、いくらなんでも!(一同笑)」
阿弥華「じゃあ、ガラガラって運んでく」
GM「まぁ、雑用は山のようにあるので色々とやっていてください」
阿弥華「その合間に雑談して情報を仕入れておくから」
GM「はいはい。で、バックバンドのほうだけど、打ち合わせしてるのかどうかまでは聞こえないけど、いろいろと話しているみたいだね」
つばさ「色目使ってるんでしょ!(断言)」
5人はリハーサル終了後、照明などに仕掛けが無いかチェックするために再びアリーナへの侵入を試みた。
しかし、マネージャーに話を通していなかったため、鍵の閉まった通用口の前で呆然とする他なかった(笑)
阿弥華「間抜けだ・・・」
慧瑠「俺ら、手際が悪すぎ・・・」
GM「では全員直観チェックをしてみて。・・・全員失敗?」
慧瑠「もういい、俺は帰るよ。あ、マネージャーさんに電話をかけておいて、明日調べたいことがあるから早めにくるので鍵を持ってきておいてって頼んでおく」
GM「じゃあ、その辺については警備の人に話を通しておきます」
慧瑠「お願いします」
阿弥華「今何時ぐらい?」
GM「んー、11時ぐらいかな」
洵「あ゛ー、終電がぁ〜〜〜!」
つばさ「押井先輩の家に泊まろー!」
洵&みさき「そうしよー!(笑)」
慧瑠「部屋ないから、下のスタジオで寝てね」
GM「今日は金曜日だぞ」
慧瑠「あ、悪ィ、ライブやってるから寝る場所ねぇや(一同笑)」
GM「君たちホントに手際が悪すぎ(笑)」
結局、慧瑠はそのまま帰宅、みさきは父親を電話で呼び出して迎えに来てもらった。(つばさもそれに同乗し、そのままみさきの家に泊まった)
阿弥華と洵は現地のビジネスホテルに宿泊した。
そして翌日・・・
慧瑠「じゃあ、昨日も言ったとおり早めに行くよ」
みさき「早めに行くって聞いてたから、早めに来た」
阿弥華「うんうん」
GM「では前もって話が通してあったので中に入れてもらえたよ」
慧瑠「じゃあ、昨日確認しておいたあたりの照明をチェックします」
GM「構造上の関係で上に昇れるのは1人か2人だけだよ」
阿弥華「じゃあ、あたしが行ってくる」
GM「直観と知力で高いほうは幾つ?」
阿弥華「直観が20」
GM「・・・特に緩んでいるのは見つからなかったし、怪しい物も見つからなかったよ」
阿弥華「多分大丈夫だよ。一応全部きつく締め直しておいたから」
慧瑠「御影先生の力で締めたら外せなくなるんじゃない?(笑)」
そんな事をやっている間に他のスタッフもやってきたので調査は終了となった。
その後、慧瑠は客席、阿弥華とつばさは舞台袖、洵とみさきは外へ移動し、コンサートに向けての準備が着々と進んでいった。
GM「で、しばらくすると『おはようございまーす』って挨拶しながら“ケイ”がやってくるよ」
阿弥華「見た感じは結構似てるの?」
GM「顔はそんなでもないけど、やっぱり背格好は結構似た感じだね。後姿なら髪型ぐらいでしか区別がつかないぐらいに似ている」
阿弥華「じゃあ、ヒマだったらつばさに付け毛をつけて『似てる、似てる〜』って遊んでる」
つばさ「え? え?」
洵「でも、間違ってなんかされた方が面白いよね」
慧瑠「まあね、さらわれるのはつばさの方がいいよね。気にしなくていいし」
つばさ「ひでぇっ!」
洵「まぁ、いざとなったらこっちのほうは自力で何とかできるし」
GM「自分で脱出してくるヒロイン(笑)」
つばさ「じゃあ、いいよ、面白がって自分でもつけてるから」
GM「コンサートが無事にスタートして、お客さんが全員中に入ったけど、外の2人はどうする?」
みさき「前のときも怪しい人が外にいたって言ってたから、外を周ってみます」
洵「駐車場に例の黒いスカ○ラインは停まってない?」
GM「・・・特には見当たらなかったよ」
洵「じゃあ、みさきと一緒に外を周っている」
GM「…そうすると、裏の関係者用の通用口の近くで、入り口を注視している男を見つけた」
みさき「その人って、昨日見かけた人と同じですかって、洵先生に聞いてみる」
洵「んー、それはどうかな?」
GM「どうも別人のようだね」
慧瑠「こう、キュッってしちゃえば?(喉を切る仕草)」
洵「そんないきなり(笑)」
みさき「とりあえず、物陰に隠れて見張ってみますか?」
洵「うん、そうしよう。で、中のみんなに変な人発見の連絡だけはしておく」
慧瑠「舞台袖の2人には待機しておいて貰って、俺も外に出て裏に行ってみる」
洵「その人は1人でいるの?」
GM「1人だよ」
洵「で、裏口をじーっと見ているわけ?」
慧瑠「じゃ、そこに『おつかれー』って普通に近づいていくよ」
みさき「こっちも『おつかれー』って近づく」
慧瑠「中ヒマだから交代ね」
みさき「はーい。普通のスタッフのふりをして中に入っていきます」
GM「じゃあ、その場に残っている2人は直観チェックをしてみて」
慧瑠「成功」
洵「クリティカル!」
GM「するとその男はコンサートの半ば過ぎ位に立ち去ろうとしているよ」
洵「ついて行った方がいいかな?」
慧瑠「俺たちがここを離れる必要はないでしょ。ついて行きたいんなら止めないけど」
洵「じゃあ、声だけかけてみようかな」
GM「すると男は走って逃げるよ」
洵「え!? じゃあ追いかける」
GM「では敏捷性のチェックをしてください」
洵「失敗〜逃げられちゃった〜〜」
阿弥華「愚か者」
洵「申し訳ございません」
みさき「多分、同じところにはまた現れないよね? 反対側で見張っています」
慧瑠「俺も元のところに戻るよ」
GM「では、その後は何事もなくコンサートは終了しました」
みさき「一応彼女と最後まで一緒にいたほうがいいのかな?」
慧瑠「まぁ、女性陣2人はいっしょにいたほうがいいんじゃないのか」
GM「じゃあ、“ケイ”は楽屋のほうに戻っていくけど」
阿弥華「ついて行く。で、入り口が見える範囲で離れて見張っている」
つばさ「じゃあ、その反対側にいる」
GM「そうやってしばらく見ていると、例のバックバンドのキーボードの兄ちゃんが楽屋にやってきて、扉の所で“ケイ”となにやら話をしているね」
つばさ「まぁた色目使ってやがるな」
阿弥華「耳をダンボにして様子を窺う」
つばさ「同じく」
GM「・・・小声でしゃべっていたので何をいっているのかは聞き取れなかったけど、表情から察するに“ケイ”の方は困っているような感じだね」
つばさ「モーションかけているのかな?」
GM「男の表情を見るとモーションをかけているのとはちょっと違うみたいだね」
つばさ「お? 怪しいぞキーボード男」
阿弥華「2人の方にツカツカと歩いて近づいていく」
GM「近づいていくの? そうすると、それに気づいた男は立ち去っていくけど」
つばさ「その後ろを手帳を持ってこそこそつけていく」
GM「何故に手帳?」
つばさ「ほら、ばれた時に『すいませーん、サインくださーい!』とかってできるじゃん(笑)」
阿弥華「こ、姑息だ・・・」
GM「すぐに自分の楽屋に戻っていったよ」
つばさ「ふーん。要チェックだなとか思いながら“ケイ”の楽屋のほうに戻るよ」
GM「で、阿弥華の方は?」
阿弥華「『お疲れ様です』って近づいていくけど」
GM「そうするとマネージャーが『何かあったんですか?』って聞いてくるけど」
阿弥華「コンサート中に怪しい人影を見つけたことを報告しておく」
GM「なるほど、気をつけることにしましょう」
阿弥華「あと、あのギターとキーボードって別の事務所の人なんですか?」
GM「そうです」
阿弥華「どこの所属の人ですか?」
GM「2人とも社長の知り合いの事務所から紹介された人で、ギターの方は結構有名なアーティストのバックバンドを何度もやっているベテランで、キーボードの方は最近デビューしたばかりの新人」
慧瑠「『ベテランつけるから、若いのの面倒見てくれない?』って感じか」
GM「まぁ、そんなとこだね」
つばさ「スキャンダルを起こして自分が有名になっちゃおうとしてるのかな?」
GM「で、名前はギターのほうが金原義人(かねはら・よしと)、キーボードの方は金城礼一(かねしろ・れいいち)」
慧瑠「で、明日の警備についての善後策だけど・・・」
つばさ「会場の出入りはボクが変装しておく?」
慧瑠「同じ服着て2人で並んで入るの(笑)」
つばさ「じゃなくって、ボクがマネージャーと一緒に会場入りするの」
阿弥華「で、彼女はあたし達と一緒にくるのか」
慧瑠「それもOKだな」
阿弥華「あと、無駄かもしれないけどバンドの2人についても調べてみたら?」
洵「あとほかに何かありますか?」
つばさ「じゃあ、おとり作戦でいきますか」
GM「とかいう話をマネージャーさんとしていると『一度スタッフTシャツって着てみたかったんですよねー』って声が(笑)」
みさき「本人が出てきたの?」
つばさ「た、楽しそうだね・・・」
阿弥華「じゃ、決定ね」
GM「すると、阿弥華の両手を握って『よろしくお願いしますねー』ってにこやかに言うよ」
慧瑠「じゃあ、帰りからおとり作戦決行してもいいかな」
ということで“ケイ”に変装したつばさとマネージャーは車に乗って一足先にホテルへと戻り、他のメンバーは本物の“ケイ”を護衛して慧瑠の車でホテルへと戻っていった。
そしてそのまま警護も兼ねて同じホテルに宿泊したのだった。
慧瑠「あ、一応俺は会場のほうに戻っておく。警備員に話を通してもらって中に入れてもらう」
GM「中に入ってどの辺りにいる?」
慧瑠「客席2階の人目に付かない辺りにいる」
GM「すると夜更けにステージのほうに人の気配がするよ」
慧瑠「ほぅ、こっそりと見る」
GM「するとステージ脇の階段を上がって照明のほうに行くよ」
慧瑠「様子を見る」
GM「2階席からでは死角になって何をやっているのかは見えないけど」
慧瑠「じゃあ、降りてステージが見える位置まで隠れながら近づく」
GM「では敏捷性のチェックをしてみて」
慧瑠「ダメ、失敗」
GM「すると丁度照明のほうから降りてきた男とバッチリ目が合ってしまった」
慧瑠「そしたら声をかけるよ『よう、こんなところで何をやってんだ兄ちゃん』兄ちゃんじゃないかもしれないけど」
GM「当然逃げるよ」
慧瑠「捕まえる」
GM「敏捷性のチェックは・・・成功? なら捕まえられたよ」
慧瑠「誰だ? 見覚えはある?」
GM「名前は知らないけどアルバイトのスタッフの1人だね」
慧瑠「なるほどね〜『で、君はこんな時間に何やってるのかな?』」
GM「『そ、そっちこそ何やってるんだよ!?』」
慧瑠「夜間警備だよ、夜間警備。君みたいなのが出ないために(笑)」
GM「間違ってはいないな(笑)。『わかったよ、しゃべるから離してくれ』」
慧瑠「はいはい。逃げたら大変なことになるからね」
GM「で、兄ちゃんが言ったことを要約すると、上の照明が落ちるように細工しておく代わりに金を貰う約束をしたらしい」
慧瑠「で、誰に頼まれたの?」
GM「名前は知らないけど、20代後半から30代前半ぐらいの男だそうだ」
慧瑠「なるほどね」
GM「ここまで話したんだから見逃してくれよ〜」
慧瑠「いやぁ、でもこういう事件があった以上報告しないわけにはいかないよね」
GM「嘘つきぃ〜〜〜!」
慧瑠「俺は『許してやるとは言ってないよ』(一同爆笑)」
GM「人のことは言えないが・・・極悪人だよアンタ・・・」
慧瑠「俺は『逃げたら大変なことになる』とは言ったけど、『逃げなかったらどうする』かは一言も言ってないし」
GM「き、汚ねぇ・・・」
慧瑠「『はい、じゃあ警備室に行こうね〜』で、コイツを警備員に引き渡したらマネージャーと警備の責任者の人に報告しておく」
GM「そしたらマネージャーから照明のボルトの締め直しを頼まれたよ」
慧瑠「はいよ〜。さっさと直しておく。で、終わったら2階に戻って隠れておく」
GM「徹夜をするのなら耐久力チェックをしてくれ」
慧瑠「ダメ、失敗」
GM「なら、ゆっくり寝るまで特技以外の判定の時にはスワップ・ダイスが使えなくなるという事で」
慧瑠「じゃあ、朝になったら伊吹先生を呼び出して、交代してもらったら仮眠室を借りてゆっくり寝るよ」