ボート

「ボルス。今、暇か?」
 唐突に声をかけてきたパーシヴァルの言葉に、問われたボルスは首を傾げた。
 まだ日も高いと言うのに、彼は甲冑を着込んでいない。書類整理をする時には着ていないことが多いみたいだが、今日はその仕事ではなかったはずだ。そして、公休日でもない。
 いったい何事だろうかと訝しみながらも、ボルスは素直に頷いて見せた。
「ああ。とくに何も無いが・・・・・」
「そうか。では、ボートに乗った事はあるか?」
 その言葉を聞いた途端。ボルスは一気に怒りモードに突入した。
 コレは、自分に対する嫌がらせの一種なのだろうか。
 ビネ・デル・ゼクセに居を構える者にとって、そこの港に自分の船を持つことは一種のステータスとなっている。
 実家であるレッドラム家は有数の貴族だ。その自分が船に乗った事がないはずはない。少し考えれば分かることだ。とくに、頭の良いパーシヴァルなら簡単に。
 それでもあえて聞いてくると言うことはなんなのだろうか。
 何か深い意味があるのか。はたまた貴族の出である自分に対して、遠回しに嫌味を言ってきているのか。
 事の真意を測ることが出来ず、ボルスはとりあえず不快を表すことにした。
「・・・・・それは、レッドラム家に対する挑戦か何かか?」
「なんでそうなるんだ?ただ、事実を確認しているだけなのだが。」
「だから、それが挑戦なのかと聞いている!ビネに居を構える貴族が船に乗ったことが無いわけ無いだろう!」
 そのボルスの叫びに一瞬不思議そうに首を傾げたパーシヴァルだったが、すぐに合点がいったという顔をし、小さく笑みを零してきた。
「ああ、なるほど。そう言ったことは忘れていたよ。自分には関係ないことだったからな。気を悪くしたのなら謝る。少し、聞き方を誤ってしまったようだ。」
「いや・・・・。分かれば良いんだ。」
 素直に謝罪してくるパーシヴァルの様子に一人で熱くなっているのも馬鹿らしくなり、ボルスの怒りは急速に冷めていった。
 その様子を見つめながら、パーシヴァルがなにやら思案している。
「そうだな。船に乗ったことがあるのなら、ボートくらい乗ったこともあるんだろうな。・・・・・よし。ボルス。少しつき合ってくれないか?」
「つき合うって・・・・・。どこにだ?」
「来れば分かる。」
 何がなんだか分からないボルスにそう一言言い捨てると、パーシヴァルはさっさと歩いていってしまった。
 しばらくの間呆然とその後ろ姿を見送っていたボルスだったが、すぐに正気に戻り、慌てて後を追い始める。
 何はともあれ、彼から誘ってくることなど滅多にないのだ。ついて行かなかったために二度と声をかけて貰えなかった、などと言うことになったら寂しすぎる。
 もしかしたら、彼なりのデートへの誘いの言葉かも知れないし。そうだとしたら、かなり嬉しい。いや、むしろそうであってくれ。
 先を行くパーシヴァルの背中を追いかけながら、そんな事を考えたボルスだった。




















 たどり着いた場所は、城の近くに大きく広がる湖のほとり。
 そこに、4人の子供が集まっていた。その子供達が、パーシヴァルの姿を見つけた途端、嬉しそうに顔を輝かせ、我先にと駆け寄ってきた。
 何事だと目を見開いて驚いているボルスの事など気にした様子も無く、パーシヴァルは子供達に柔和な笑みを向けている。
「ちゃんと割り振り出来ましたか?」
「はい!言われたとおりに、二人ずつのペアを作りました!バッチリです!」
「そうですか。」
 ニコニコと語り合っているパーシヴァルと子供達の様子を眺め見ながら、ボルスはしきりに首を捻っていた。
 状況がさっぱり分からない。船など、どこにも見当たらないし、そもそも自分と船とどういう繋がりがあるのだろうか。
 頭の上にクエスチョンマークを出していたボルスに、パーシヴァルがにこやかな笑顔を浮かべながら振り返ってきた。
「さて。ではボルス卿。甲冑を外して頂けますか?」
 その思いも寄らなかった言葉に、さらに首を捻る。
「・・・・なんでだ?」
「万が一、湖に落ちても浮かんでこられるようにですよ。ちなみに、泳げますよね?」
「あ、当たり前だろ!」
「それは良かった。」
 ニッコリと笑っているけれど、ボルスに向けられたパーシヴァルの視線は、さっさと脱げと言うように厳しいものだった。その視線に、逆らってはいけない強制力を感じたボルスは、渋々と甲冑を外していく。少しは説明してくれても良いのにと、内心でぼやきながら。
 全身を守る甲冑を全て外し終えたボルスは、微妙にふて腐れ気味にパーシヴァルへと向き直った。
「・・・・・これで良いのか?」
「ええ。では、ボルス卿にはこちらのボートの操船をお願い致します。」
 そう言いながらパーシヴァルの細い指先で示されたものを見やれば、そこには細長い箱のようなものが水の上に浮いていた。
「・・・・・なんだ。これは?」
「ボートですよ。・・・・・知らないのですか?」
「ああ。初めて見る。」
 力強く頷けば、一瞬の間の後にパーシヴァルが盛大なため息を付いてきた。
 自分は何かいけないことを言っただろうか。視線で問えば、諦めたように首を小さく振ったパーシヴァルが傍らの子供達に謝り始めた。
「申し訳ありません。やはり人選をミスしてしまったみたいです。もう一度バーツに交渉してきますので、もう少し待っていて頂けませんか?」
「それは良いですけど・・・・・。」
 問われた子供は、言いよどむ言葉の後にチラリと視線を流してくる。その視線の先には、ボルスがいた。
 バーツの名が出た途端、不機嫌も露わなオーラを迸らせた男が。
「何をしたいのか分からないが、あいつに出来ることは俺にも出来る!」
 バーツへの対抗意識から、思わずそう叫んでいた。そんなボルスに、パーシヴァルはその瞳にあからさまに不審の色を浮かべて見つめ返してくる。
「しかし、ボートを漕いだ事はないのでしょう?」
「無くても出来る!俺は騎士だぞ!」
 パーシヴァルに自分が使えない男だと思われるのがイヤで、そう強気に捲し立てた。何よりも、バーツよりも自分の方が役に立たないと思われたくないのだ。パーシヴァルにとって、自分が一番頼りになる男でいたいのだ。
 そんな胸の内を感じ取ったのか、パーシヴァルが呆れたような視線を向けてくる。しかし、すぐに諦めたようにため息を吐き、小さく頷きを返してきた。
「・・・・・わかりました。では、先に漕ぎ方を教えて差し上げましょう。」
「ああ。頼む。」
 力強く頷くと、もう一度ため息をつかれた。
 これは、早々に漕ぎ方とやらをマスターしないとならないな。自分がいかに頼りになる男なのか、証明するためにも。と胸の内で呟いたボルスは、より一層気を引き締めたのだった。



























「・・・・・だから、左右の動きを一緒にしないといけないと何度も言っているでしょう。」
「そんなこと言われても、バラバラになるんだから仕方ないだろう!」
 いくら教わっても、上手くボートを先に進めることが出来ない。上手くどころか、全然前に進まない。どうしたものかと悩んでみたが、悩んだところで先に進めるようになるわけがない。
 ガムシャラにオールと言われたものを動かしては、その場でグルグルと回り続けているボルスだった。
 そんなボルスの様子をしばらく無言で見つめていたパーシヴァルは、これ以上無いくらいに盛大な溜息をついてきた。
「・・・・ほんとうに。剣を扱うことにしか脳のない人ですね。」
「な・・・・っ!なんだとっ!」
 心の底から呆れたと言わんばかりの言葉に、ボルスの怒りと羞恥が一気に頂点に達し、沸き上がる怒りに任せてパーシヴァルに掴みかかろうと、思わずその場に立ち上がった。しかし、ボートの上は不安定で、立ち上がった振動で足下がぐらぐらと揺れだした。その動きにつられるようにボルスの身体も揺れ、危うく湖に落ちそうになったところを慌てて元の位置に座り込む。
 そもそも、別のボートに乗っているのだから掴みかかる事など出来はしないのだが、ボルスはそんな事に気付いてはいなかった。
「大丈夫です、ボルス様っ!グルグル回っているのも楽しいですよ!」
 悔しさと恥ずかしさでギリギリと奥歯を噛みしめていたボルスは、急に目の前から上がった明るい声音に、ハッと意識をその声の方へと引き戻した。そして、慌てて視線を声のした方へと向ける。
 そこには、全身から喜びのオーラを発している少女が一人。どこかで会った事があるはずなのだが、名前が出てこない。誰だったかと首を捻ったところで、ようやく思い出した。
 彼女は、いつも城門のところに立っているセシルだ。いつも付けているぶかぶかの甲冑を外し、綺麗な金髪を風に靡かせていたので、全然分からなかった。毎日のように彼女の姿を見ているのに。
 自分の観察力の無さに少し恥ずかしさを感じながら、ボルスは窺うようにセシルに確認をしてみた。
「そ・・・・・そうか?」
「はいっ!ね?メルさん!」
 その言葉にボートが揺れるぐらいに大きく頷きを返したセシルは、自分の隣に座っている少女へと言葉を向けた。
「え・・・・・?え、ええ・・・・・・・・・。」
 向けられたメルは、ビクリと肩を震わせた後、力無く頷きを返してくる。そんなメルの反応に、彼女の右手に装着されている人形が、ゲヘゲヘと笑い声を上げた。
「いい男が目の前に座ってんだ。同じ景色しか見えなくても気分は良いってモンだぜ!なぁ?メル!お前は面食いだからなぁっ!げへへへへへっ!」
「・・・・・ブランキー。少し黙ってて・・・・。」
 いつもだったらここでもう一芝居始まる所だが、今日のメルは右手に装着した人形を殴り付けるのではなく、人形を持っていない方の手で口元を押さえ、必死に何かを堪えていた。どうやら船に酔って芝居を打つ元気も無いらしい。
 もともと船に酔う性質なのか、グルグル回っていたのが悪かったのか。何となく後者である気がして、ボルスは申し訳なさに顔を歪めた。
「・・・・・すまん。俺がもっと旨く扱えたら良かったのだが・・・・・・。」
 こんな年端もいかぬ少女に、こんな下らない事で真面目に謝罪している自分に恥ずかしさを感じながらも、ボルスは小さく頭を下げた。あまり大きく動くと、船が揺れるのだ。
 そのボルスの言葉に、メルは慌てて左手を振って来た。
「そんな!気にしないで下さい。楽しいですから、私!」
「そうそう!こーんな顔してて、こいつは男好きなんだからよっ!酔ってのだって、船にじゃなくて、兄ちゃんの色男振りに酔ってンのかもしてないぜ?なぁ?どうなんだよっ!」
「いいから、黙っててって言ってるでしょう!」
 先ほどまで青い顔をしていたのは何だったのかと思うくらい、メルは激しくブランキーを殴りつけ始めた。そのたびに、船が大きく傾げる。
 目の前で繰り広げ始めた一人芝居と、いつ転覆するか分からない危険に冷や汗を掻きつつ、ボルスはパーシヴァルへと視線を向けた。
 助けを求めるように。
 だが、彼は助けの手を差し伸べてはくれなかった。ボルスの事を馬鹿にするような色をその瞳に宿しながら微笑むだけで、言葉一つかけずにどんどん遠くに去っていく。
「・・・・・薄情者・・・・・。」
 思わず恨み言が口から付いて出る。
 ボートを扱えるなんて言わなければ良かったと心の内で反省したが、後の祭りというもの。
 とりあえず、真っ直ぐ進めるようにならなければ帰るに帰れないのだ。何しろ、いつの間にやら湖岸は大分離れているのだから。
 まずは真っ直ぐ進めるようにならなければと、ボルスはオールを握る手に力を込めるのだった。




















 なんとか岸にたどり着いた時、ボルスは精も根も尽き果てていた。
 目の前では延々とメルの一人芝居が繰り広げられ、つき合いが良いのか天然なのか、セシルがそれを諫めているのか煽っているのか分からない感じで会話に加わり、騒々しいったら無かった。騒々しいだけではなく、そのたびに船が傾げるので真っ直ぐ進む事もままならなかったのだ。ボートを漕いだのはコレが初めてなだけに、余計。
 金輪際ボートになんぞ乗るかと心に誓いながらぐったりと肩を落とすボルスを尻目に、子供達は嬉々として騒いでいる。
「とっても楽しかったです!今度また乗せて下さい!」
「良いですよ。時間が空いたときに連れてきてあげますから、子供だけで乗らないようにして下さいね。」
「はーい!」
 元気に手を挙げて返事をする子供達に、パーシヴァルは優しい瞳を向けている。その笑顔を、疲れ切っている俺を労るためにもこっちに向けてくれ。と心の中で訴えるボルスだったが、パーシヴァルはチラリとも視線を向けてくれない。
 その冷たさにホロリと涙を流しているボルスを余所に、子供の一人が嬉々としてパーシヴァルに声をかけた。
「パーシヴァル様!今度は、渓流下りに連れてって下さい!」
 その言葉に、一瞬パーシヴァルの身体が動きを止めた。
 心なしか、笑顔も凍り付いている気がする。
 なんなんだろうと顔を覗き込むと、気を取り直したように微笑み直したパーシヴァルが、進言してきた子供に向き直った。
「・・・・・・そんなこと、誰から聞いたんですか?」
「バーツさんです。子供の時に、パーシヴァルさんと良くそれで遊んだって。凄い楽しいから、一度やってみろって教えて貰いました!」
「・・・・・・あのやろう・・・・・・。」
 浮かべた笑みを崩すことなく、子供には聞こえないような小声でそう呟いたパーシヴァルの拳を見ると、なにやら力が加わっている。小刻みに震えるくらいに。
 パーシヴァルにそんな反応をさせるその『ケイリュウクダリ』なるものに、俄然興味を覚えるボルスだった。
「・・・・・それは、危ないから止めておきましょう。あなた方がもう少し大きくなったら教えて差し上げますよ。」
「でも、パーシヴァルさんも子供の時にやっていたんでしょう?」
「だから、危ないと言っているのです。経験者の言葉は聞くものですよ。」
 どうにかしてその意見を取り下げようとしているパーシヴァルに、ボルスはぼそりと声をかけた。
「・・・・・・・俺もやってみたいな。」
 その呟きに、子供達の方を向いていたパーシヴァルの顔が、グルリとボルスの方へと向けられる。そして、冷たい視線を声音で、問い返された。
「・・・・・・・なんですって?」
「だから、俺もそれをやってみたい。今日のように失敗はしないと誓うぞ。今度連れて行け。」
 パーシヴァルに冷たい瞳で見つめられている事に慣れているボルスは、その視線と声音に臆することなく、キッパリと言い切った。断ることは許さないと、ジッと顔を覗き込んで。
 そんなボルスの態度に驚いたように目を見張ったパーシヴァルは、次に困惑したように眉を寄せ、逡巡するような間の後に、諦めたように盛大なため息をついてきた。
 そして、あからさまに気が進まないと言いたげに口を開く。
「・・・・・・分かりました。今度連れて行って差し上げますよ。」
 その言葉に、子供達がワッと歓声を上げた。だがパーシヴァルは、そんな子供達に釘を刺すように、言葉を続けた。
「でも、そのときにはもう少し大人を連れて行かないといけないので、すぐに行くことは出来ませんよ。待てますか?」
「はい!」
 一斉に頷く子供と一緒に、ボルスも頷いてみせる。余計なオプションは付いているけれども、パーシヴァルと遠出が出来るのならば、こんな嬉しい事はない。その日を夢見てひと月でもふた月でも待てる自信があるボルスだった。
 喜びを露わにはしゃぎだした子供達の様子に苦笑を浮かべながら、パーシヴァルは皆に帰宅を促す言葉をかけていく。次回の約束を取り付けているせいか、素直に帰路に付いた子供達の後ろ姿を見送ったパーシヴァルは、彼等の姿が見えなくなってからようやく、自分も自室へと戻る道へと足を向けた。
 当然のようにその隣に並んで歩くボルスに、パーシヴァルは不機嫌だと言う事が露わな声で口を開いた。
「どう言うつもりだ。子供を煽るようなことを言い出したりして。」
「・・・・・お前の子供の頃に、興味を覚えただけだ。お前がやっていた遊びは、俺と全然違うみたいだしな。好きな人の事を知りたいと思うのは、当然の事だろう?」
 それだけが理由では無いが、それも理由の一つなのでそう告げた。彼の顔色を窺いながら。多分、彼は怒っているだろうから。
 そう思ってその端正な横顔を覗き込めば、恨みがましい目で睨み付けられた。
「だったら、子供のいないところで言え。・・・・・・まったく。バーツもろくな事言わないな・・・・・。後で叱って置かないと。」
 ブツブツ零すパーシヴァルの言葉に、軽く首を傾げた。
 そんなに警戒するほど危険な事なのだろうか。その『ケイリュウクダリ』という物は。ボルスには、どんなものかまったく想像が出来ないのだが。
「そんなに危ないのか?」
 思わず問い返せば、間髪入れずに頷かれた。
「ああ。下手をすれば死ぬな。大人でも、子供でも。慣れていても危険なんだ。正直、お前じゃ本気で頼りにならない。」
「なっ!なんだと!」
「当たり前だろ。ボートもろくに扱えないんだからな。」
 サラリと言われた言葉に、ボルスは口ごもった。
 それは事実なので言い逃れは出来ない。
 悔しそうに唇を噛みしめるボルスの様子に、パーシヴァルは慰めるように軽く肩を叩いてくる。いや、慰めるようにと言うよりも、馬鹿にしたようにと言った方が正しいかも知れないが。
「ま、子供達は何とか誤魔化して忘れさせるとするさ。お前も忘れておけ。」
「そんなこと出来るかっ!」
 折角パーシヴァルの過去に触れられるチャンスなのだ。しかも、余計なオプション付きだとは言え、デートのような事が出来るチャンスなのだ。このチャンスを逃してなるモノかと、叫ぶボルスの言葉にも気合いがこもる。
 その気合いを遊びに対する興味の為だと思ったのだろう。パーシヴァルは不思議そうに首を傾げて見せた。
「・・・・・・・・そんなに、やりたいのか?」
「ああ。やりたいな。」
 それならそれで構わないと力強く頷き返せば、パーシヴァルは意外そうにその瞳を数度瞬いた。その後、聞き分けの無い子供に向けるような笑みを浮かべて、こう返してくる。
「じゃあ、ボートくらいまともに扱えるようになって置くんだな。そうしたら、連れてってやるよ。」
 ニッと笑いながらボルスを置いて歩き去っていくパーシヴァルの後ろ姿を見送りながら、ボルスは己の拳を握りしめた。
 必ず、ボートを扱えるようになってやると、心に誓いながら。





 それからしばらくの間だ。城の近くの湖で、ボートを漕ぐ一人の騎士の姿が現れ続けたのは、言うまでもない。






















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ボルスは色々な事が不器用臭くて可愛いですな。