「マスターシリンダーの選択」


 ブレーキチューニングのひとつにマスターシリンダーの選択というのがあります。これは、制動力をはじめとする絶対性能よりも、微妙なタッチ等、フィーリングを強く意識したチューニングといえるでしょう。
 まず、ピストン径ですが、大まかに言って大きくなればタッチは「カチッ」としたものとなり、小さくなれば同じ圧力でも大きな制動力を加えることが出来ると言えます。

 また、ピストン径だけでなく、ブレーキレバーそのもののレバー比や、レバー形状の微妙な違いによってもかなりフィーリングは変わります。そのために、FマスターシリンダーをNS250やNS400Rと同じ5/8インチ、つまり約15.9mmでレバーの異なるRC30用に変えたり、レバーだけでも変えたりすれば、握ったタッチが「カチッ」としたものに変化するわけです。

 逆に少し柔らかめのタッチが好みならば、スズキやカワサキは柔らかめの傾向が有るようなので、同じ5/8インチのGSX−R750用やZXR750用等を使うのが良いかもしれません。さらに、NSR250RやNC30等の14mm径を使って、小径化するという方法も有りますが、反対に5/8インチを越えるサイズは純正部品の範囲ではおそらく無いので、大径化したい場合は、APやブレンボ等を使うしかないでしょう。

 ところで、レバーのみの変更についてですが、スズキのマスターシリンダーにホンダのレバーと言った組み合わせはやめましょう。一見ボルトオンの如く付いてしまうのですが、常にレバーがマスターシリンダーを少しだけ押した状態となるので、一度加わった圧力があまりリリースされず、やがてブレーキレバーを握らないのにフロントブレーキを引きずりはじめ、最後にはフロントロックして飛んでしまいます。これは恐いし、痛いですよ〜!