「NS400Rの熱病」


 NS400Rを見ていると、きっと熱に苦しみながら作られたんだろうなと思います。そもそもNS250Rとほとんど変わらないスペースに1.5倍の発熱量のエンジンを載せているわけですし、例えばドライヤーのような電動ファンが追加されているのを見ても、やっぱり苦しそうだなあと思ってしまいます。

 実際にNSオーナーの多くが熱で苦しんでいて、特に多い2つの例を挙げると、まず渋滞にはまるなどして低速で走行すると、すぐに水温がレッドゾーン近辺まで上がってしまい、ライダーも暑くて苦しくなってしまうこと。それとNo.2チャンバーの熱でシートや右のサイドカバーが熱くなり、夏であろうが冬であろうが金玉火鉢となってしまい、酷いときには右モモや股間に火傷を負う場合さえ有るそうです。
 以上のような現象は、NS400Rの構造を見れば、「なるほどありそうだな!」とも思えることですが、やはり個体差なのか、それほどでもないと言う場合もあります。サイドカバー裏側の断熱シートを全部取り除いているのに、そんなに熱くならないと言う人もいます。
 とはいえ、やはり多くのNS400Rが熱的問題を抱えていることは事実で、オーバーヒート対策と居住性の改善は、いろいろと考えて行きたい問題です。

(マスター追記:400につきましてはアンダーカウルに2番シリンダー近辺にエアを導入するダクトが有り、夏場は特にアンダーカウルが無いと、高速走行でもシートが熱くなります。熱対策の観点からもアンダーカウルは必需品です。なお、250に400のアンダーは付きますが、400に250のアンダーは付きません。これはエキパイ側のチャンバーの取り回し部分の逃げが250のアンダーには無い為です。


 それと関連して、No.2シリンダーが焼き付き易いと言う話も有りますが、これはNSに限らず横置きV型エンジンにはいつも付いて回る問題でしょう。V型エンジンの後ろ側はどうしても冷却効率が悪く、熱的に苦しくなるのでキャブセッティングを前側よりも濃いめにして発熱を抑えるというのは良くある方法で、NSの場合はパワージェットの番数が、No.1、3キャブレターの#88に対して、No.2キャブレターのは#92と高いものになっています。中にはメインジェットまで少し高めにしている人までいるようです。