山階鳥類研究所所長・山岸哲先生の講演を聴く

2月14日、山階鳥類研究所の所長の山岸哲先生の講演がホテル犀北館で開催されました。清泉女学院大学の主催です。清泉女学院大学の教授で同学院教育文化研究所所長の玉城司先生からご案内をいただき参加しました。玉城先生は小田切中学校の2年先輩です。先生は長野高校、金沢大学、早稲田大学大学院を経て現在の職に就いておられます。小田切中学校ではバスケットボール部の先輩でもありました。そして山岸先生は当時、小田切中学校の理科の先生で、そしてバスケットボール部の顧問でした。42年ぶりの再会になります。当時からこんにちこのように再会するとはとても想像できません。感慨もひとしおです。

さて、山岸先生の講演は大変興味深いものでした。先生は現在新潟大学の特認教授としてトキの飼育、放鳥そしてトキと自然と人間の共生に取り組んでおられます。講演の中で先生は「人間と野生動物の共生という言葉が叫ばれますが、僕の考えでは、共生とはお互いの分をわきまえた上で、互いが生きている状況です。「野生動物は愛護すべき」という建て前が先行し、人間の分を犯している動物も野放しにしているのが現状で、日本各地でさまざまなトラブルを起こしています。動物愛護が建て前だったはずなのに、自らに害があると分かれば、とたんに有害鳥獣として殺しにかかる、人間とは実に身勝手な生き物です」と述べられました。

「お互いの分をわきまえる」とても大切なことではないでしょうか。鹿も猪もそして熊さえも人間とのほどよい距離を保つことによって共生ができてきました。ところが里山があれ、奥山との境がなくなりました。そのことが人間と野生動物との距離をなくしてしまいました。我が故郷である小田切の状況もまさにそれに当てはまります。里山を再生することによって、奥山との境を明確にすることにより野生動物と人間との適切な距離がうまれます。昨年、仲間と立ち上げたと「風土マイル小田切」の活動の一つに里山の再生があります。今年の活動の中で、少しでも里山の再生の足がかりができればと思います。

玉城先生の司会によるシンポジウムの終了後、山岸先生と話すことができました。42年ぶりの再会を先生も懐かしく思っていただいたようです。まさに私の原点である小田切を「どげんかせんといかん」。その気持ちを更に強くする一日でもありました。