市民会館建て替え・市長の白紙表明は偽装?

市長は1月7日、市民会館基本構想(案)を市民ネットに説明した。「建設場所は権堂地区とし、施設構成は建設検討委員会の提言どおりメインホールを1,300〜1,500席程度の音楽ホールとする。また300席程度の演劇ホールも設ける。イトーヨーカドー長野店を解体し、市民会館を建設するとともに長野大通りを挟んだ長野電鉄ビルも解体し、商業施設と駐車場を含むビルを建設する」という総事業費は115億円の大プロジェクト(市民会館は77億から80億円)である。市長選においては、「建て替えの要・不要を含め白紙」として争点となることを避けたのではないか。11月の市民会議においても「白紙表明」しつつ、建設検討委員会は「建設を前提」に議論を進めてきた。建設ありきの「白紙表明」の公言は選挙を勝ち抜くための偽装と言わざるを得ない。まさに争点隠しである。

1月8日、市長は第一庁舎及び市民会館基本構想案(案)について記者会見を行った。記者とのつっこんだやりとりは興味深いものだ。議会において発言されていない、いや発言できない本音を吐露されている。(一部開き直りというか、逆ギレも見受けられるが。)さて、その中には看過できないというか、議会を軽視しているというか、市民をある意味尊重していない発言もあると私は考える。その何点かについて私の考えを述べさせていただく。

その1 市長発言『私があの時点で、「争点にすべきではない」と申し上げた一番の理由は、どなたが市長になっても、この問題については、例えば、やらないということを標榜して選挙に勝ったらかわいそうだということで、あえて申し上げた。これしか方法がない。やらないということを出してやったら、私は、長野市のためにならないと思ったから、これを争点にはしないと申し上げた。市民会館を造ることに反対と言って当選した方が、もう一回やらなければならなくなるということが絶対あるはずである。この財政難に、このチャンスしかやれない。だから、あえてこれを争点にはしなかった。だから、私は選挙中に一切このことに触れていない。そういう意味で申し上げた。』

私の考え 『心配はご無用である。それぞれの候補が自らの信念で練り上げた政策を持っで当選するために闘っている選挙において、市民会館の建設を白紙に戻すことを標榜した候補者が勝利したのであれば新市長がその主張を具現化すればそれでよいのではないか。敗者は潔く去ればそれでいい。それが市民の意思でなのだから。財政云々などまさに心配はご無用である。』

その2 市長発言『行政としては、建設を前提に検討を進めてきたことは説明したとおりである。白紙といったのは「選挙の最中は白紙」ということで、私も選挙中は一言もお話していない。11月16日に市民会議を開催し、その後は、市行政の立場である。組織として、市行政としては建設を前提としているということで進めている。選挙とは関係ない話である。』

私の考え 『市長の立場と行政の立場を使い分けるのは詭弁である。行政は選挙によって選ばれた市長の意思によって様々な施策を具現化するのではないか。市長は行政のトップである。即ち、市長の意思=行政の意思と考える。』

その3 市長発言『市民会議も含めての民意である。他にも議会、検討委員会などの意見も含めて考えている。「選挙対策で白紙と言った」と受け止めるならそれも結構。そのことを否定はしない。この問題を争点にすることは長野市のためにならないと判断した結果である。我々の陣営の中では理解されていたことである。これを選挙の争点にして私が負けたら、長野市のためには本当に困るということで判断した。ある意味、それが私の選挙戦術だったのかもしれない。』

私の考え 『市民を尊重していない。陣営の皆さんは市民を代表していない。多の候補がかわいそう、市のためにならない。忖度していただかなくてもいい。一方で、「私が負けることは長野市のために本当に困ると」言い切る強い意志には敬服する。その執着が651票の差に結びついたのかもしれない。しかし、逆にまさに651票の差しかなかったのだ。その重みを真摯に受け止めていただければならない。私はかく考える。』

「白紙」とは「まだ何も決めていない。何も決まっていない。これから決めていく」ということなのではないか。それが普通の、まっとうな解釈というものだと思う。市長は何も書かれていない真っ白な紙の上に時間が経過すると現れてくる魔法のインクを持っておられるのか。熱によって文字が現れるあぶり出しのように。ご自身やご自身の意思・指示のもとに施策を具現化する行政当局にしか見えないインクで既に全て記入済みの紙(建設ありき、結論ありき)を市民に示しながら「私は白紙である」というのはまさに偽装と言われてもしかたがないのではないか。以上、私の率直な考えを披瀝させてもらった。様々な視点から総合的に判断し、2月12日に市長に対し意見具申をしたいと考えている。