議会と議員の品格

3月19日 3月市議会定例会は採決を行い全議案を原案どおり可決し閉会した。午前中の各委員長報告、予算案修正案の提案に対し再会後に討論が行われた。私は市役所第一庁舎、新市民会館の実施設計や建設関連予算について全額の減額とエムウェーブに次世代エネルギーパークを建設しようとする関連予算の全額を減額する共同提案した修正案に賛成する討論を行った。市役所第一庁舎、新市民会館については合併特例債の活用期限延長に伴い、市民合意の形成のために時間をかけるべきと主張した。また、次世代エネルギーパークは収支予測についての過大な見積もり、エムウェーブの利用客の増加を主眼とするかの設置目的の不明確な点など、わずか3回の協議会において建設先にありきの経過を強調した。残念ながら、賛成少数で修正案は否決されたが今後の展開に歯止めを掛け、警鐘をを鳴らすことはできたと考える。

そして、目立ったのが賛成討論と言いながら要望をこれでもか、これでもかとノタマウ、市長を支える会派の議員諸氏の言動である。「賛成するのだから少しくらいは私の要望も聞いてもらいたい。」その程度ならまだ目をつもろう。しかしである。賛成より要望が多いとは何事だ。諸施策に要望が反映されていないなら賛成しなければ良いではないか。反対できないなら、忸怩たる思いがあるなら賛成討論などするなと言いたい。議員が採決に際し自らの意志を示し方は3つしかない。即ち、賛成か反対、あるいは棄権(退席)である。「市長の提案した議案には反対できない」とノタマッタ保守系議員もおいでになったが、議会の権能を放棄していると言わざるを得ない。経験豊かな、経験豊かな先輩議員ならともかく2期目、3期目の議員諸氏が賛成より要望が多い賛成討論を行う現状を嘆かずにはいられない。

東の会津若松、西の四日市と言われるように議会改革が進んでいる四日市市を視察させていただいたが、その際に改革派の現議長は改革の中心となったのは清新な風を持ち込んだ2期、3期の議員の改革への情熱が年功序列、市長提案を何の疑問もなく可決する議会を変えたと強調された。市長を支えることを至上命題とする会派に所属し、期数序列で委員長や議長・副議長人事にやっきになっている彼らが目を覚まさなければ議会は変わらない。ひいては市政は変わらない。

現職議員(当時)の酒気帯び運転を契機に制定された議会基本条例、政治倫理条例が床の間の掛け軸となることなく機能することを強く願うものである。

私の修正案の賛成討論は以下のとおりです。

34番、市民ネットの池田清です。私は、議案第1号 平成24年度一般会計予算に対する修正案に共同提案者の一人として賛成の立場で討論を行います。

修正案の内容は、総務費の総務管理費中、財産管理費の市役所第一庁舎建設事業2億1,900万8千円のうち、旧市民会館解体に要する経費を除く1億8,784万4千円及び市民会館管理費の長野市民会館建設事業2億4,706万7千円のうち、旧市民会館解体に要する経費を除く2億403万1千円を減額する。また、商工観光費中、観光費のうち、次世代ネルギーパーク整備事業2千50万円を減額するものです。  

すなわち 市民の関心が大変高い 市役所第一庁舎及び長野市民会館建て替え事業について、旧市民会館解体に要する事業費を除いて減額することが一点。もう一点は本会議一般質問をはじめ、経済文教委員会においても活発な議論が展開された次世代エネルギーパーク整備事業について全額の2千50万円を減額するという、極めて明瞭で分かりやすい修正案であると考えます。

まず、市役所第一庁舎及び長野市民会館建て替え事業の減額について申し上げます。1年前の3月議会において第一庁舎建設事業8千526万4千円及び市民会館建設事業費1億3千51万7千円が原案どおり可決されました。その内容は基本設計委託料と旧市民会館の解体費等です。 市民ネットは耐震強度が不足し震度5強の揺れにより倒壊の恐れのある市役所第一庁舎は来庁者の安全を守る立場から、また東日本大震災の教訓として災害対策の拠点としての役割を考慮して第一庁舎は建設すべきである。一方、イトウヨー堂解体後の跡地、権堂東街区そして最終的に現在地と建設地が二転三転した市民会館については市民への説明不足、管理運営のソフト面の議論不足があることから合併特例債の活用期限である平成26年度中の建設にはこだわらず時間をかけ、市民合意を形成すべきとの立場を堅持しつつも、市民会館の建設予算を計上していないこともあり、予算案には賛成しました。

そして、それから1年、市役所第一庁舎及び長野市民会館建て替え事業については様々な課題に直面して今日に至っています。この間、理事者にはっぱをかけられながらも特別委員会を中心とした議会からの疑問、意見、提案に真摯に対応いただいた建設事務局の職員の皆様には感謝を申し上げます。

1年の経過について逐一振り返りませんが、節目節目の事柄について思い起こして見ますと、4月:建設基本計画の策定、5:月旧市民会館解体作業開始、6月:議会における議論、7月:両施設の建設の是非を問う住民投票条例の制定を求める直接請求、8月:9月議会における市民から直接請求された住民投票条例案、市民ネットと政信会が共同提案した住民投票条例案の否決、9月:市議会議員選挙、市民説明会、12月:議会における議論などなど

こうした一連の動向を見ても市役所第一庁舎及び長野市民会館建て替え事業は決定事項であり、既に終わってしまったことでないことは明らかです。そして、予算審議は総務委員会の所管事項となったものの市役所第一庁舎・市民会館調査検討特別委員会が部局横断的に調査・検討する意義と役割がいかに大きいかを再認識するところです。午前中の経済文教委員会並びに総務委員会委員長報告にあったように、新市民会館運営管理基本計画案、また基本設計案について市民説明会行っていくようにとの要望が出されていることに象徴されるように市役所第一庁舎及び長野市民会館建て替え事業については十分な市民合意が形成されているとは言い難い現実があります。

昨年9月の市議会議員選挙において市役所第一庁舎及び長野市民会館建て替え事業の是非が争点としてクローズアップされることはありませんでしたが、多くの市民が高い関心を持っていたことは確かです。市民への情報提供と丁寧な説明は不足していたことが政治不信となり投票率の低下に繋がってしまうことを危惧するのは私だけではないと思います。形成過程からの情報公開と施策の実現過程について今回の事例を教訓としていかなければならないと考えます。以上から、合併特例債期限内の性急な事業を一時休止させるため、両施設の建設事業費は減額すべきと考えます。議員各位の賛同をいただきたくお願いいたします。とりわけ住民投票条例案を共同提案し、暑い中、街頭宣伝を共に行った当時の政信会:現改革ながのの皆さんには重ねて賛同をお願いするものです。

続いて、 2点目 次世代エネルギーパーク整備事業です。本会議一般質問において、また委員会審議においても多くの議論がありました。暮れも押し迫った昨年12月に第1回目の整備協議会を開催し、これまで3回の協議会を開催しただけで事業を進めようとしています。あまりに性急と言わざるを得ません。この間、議会会派説明を1回行っていますが、メインテーマをはじめ、なぜエムウェーブなのか、不明確な収支予測、10万人とする過大な来館者予測などなどの疑義に対し、説得力のある回答がありません。本会議答弁にあったように、期限にとらわれず、時間をかけ、事業内容や収支計画など慎重に議論を重ねるべきです。

この3月現在、33件の次世代エネルギーパークが資源エネルギー庁から認定されていますが、今回の事業計画案はどれと比べても見劣りしているといわざるを得ません。改めて事業全体について議論を行うことが先決です。したがって、次世代ネルギーパーク整備事業全額の2千50万円を減額すべきと考えます。以上、議員各位の賛同をお願いしまして、賛成討論とします。