春闘討論集会・山口二郎氏の講演に共感!

自治労長野県本部春闘討論集会が開催された。講演を聞いた。演題は「日本政治の右傾化と労働組合の戦い」、講師は北海道大学大学院教授の山口二郎氏である。テレビにもよく出演される辛口のコメントテイターである。社民党にも理解があり、福島党首とも度々対談されている。民主党が政権を奪取した3年4カ月前、鳩山党首の信頼も厚く、当時の民主党に期待をよせる知識人の一人であり、民主党を理論的に支える知識人の一人であった。あったというのはその後の菅政権ではあまりお呼びがかからなくなり、野田政権となっては全く疎んじられたからだ。

民主党の壊滅的敗北を冷静に、客観的に分析してくれた。「自民党の勝利は不労所得」と言い切られた。日本人の国民性と、政治的未成熟が政治選択におけるリアリズムの欠如が結果として民主党を否定することにより自民党に白紙委任状を与えることになったと論は進む。

政治的成熟とは? 山口氏は私もその論理展開に大いに共鳴する丸山真男氏を引用する。1958年発行の「政治的判断」の一節「反対党にやらせてみて、もし悪ければ次の選挙で引っ込める」「全体の政治状況とにらみ合わせて、もう少しこの線が引っ込んだ方がいいのではないか」という全体状況と関連させる判断、文脈的思想の必要性を論じられた。しだいに付いていけなくなるとともに、同時に睡魔にも襲われる。

改憲勢力が2/3を占める平和が危うい状況や200兆円の国土強靱化、防災・減災に建設国債が発行され、景気回復を至上命題とする安倍政権。期待先行で円安・株高が進む状況を歓迎する経済界。悲観ばかりではいけない。悲観的楽観主義で行こうではないかと一人、合点する。

山口氏曰く政治は期待と幻滅を内包している。「民主主義とは、それ自体に、これが民主主義か?という幻滅の感をあらかじめビルト・インされた form of government なのであった」そして、不条理との戦いとして、アルべール・カミュ『ペスト』を引用して締めくくった。則ち「今度のこと(ペストの流行)は、ヒロイズムなどという問題じゃないんです。これは誠実さの問題なんです。こんな考え方はあるいは笑われるかもしれませんが、しかしペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです。(誠実さとは何かと問われて)僕の場合には、つまり自分の職務を果たすことだと心得ています」

今、就いている仕事、果たしている職責を誠実に果たすことが明日に繋がると私も共感した。まさに田中正造の「辛酸また佳境に入る」ではないか。「情勢は大変厳しいけれど、悲観せず、絶望せず、希望を持って前向きに、そしてひたむきに進みます」今年の年賀状の私の決意と合致しているではないか。勇気と元気をもらった。明日に向かって頑張って行こう!

  • 熱弁をふるう山口二郎氏
    【熱弁をふるう山口二郎氏】