ケルンは、ローマ植民市として建設されたライン川中流の古い都市であり、その名はラテン語で植民市を意味する Colonia に由来する。古代から現代に渡って交易と地域政治の中心として栄えてきた。 ユネスコ世界遺産に登録されている街のシンボルであるケルン大聖堂の正式名称は、ザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂。ゴシック様式の建築物としては世界最大であり、現在はカトリック教会の管理下にある。その大きさに圧倒されながら中に入る。ひんやりとした空気が体を包む。巨大なステンドグラスが荘厳な光を放っている。今日までどれほどの多くの悩める人々を見守ってきたことか・・・
ケルンに別れを告げブリュッセルに向かう。ブリュッセルには日本の大手企業に勤める従姉のご主人が駐在員として滞在されている。駅から会社に電話する。フランス語が受話器から聞こえてくる。英語の問いかけに、きれいな英語で対応してくれた。あいにく不在であったが伝言を伝えてくれた。午後6時に待ち合わせ場所からピックアップしてもらい、暮らしているマンションへ向かった。ご飯を炊いてくれた。50日振りに食べた米の味は最高だった。食後まだ明るい中、旧市街地を案内してもらった。市の中心にある広場:グランプラスは1695年、ルイ14世率いるフランス軍の砲撃に遭い、広場を取り囲む建物のほぼ全てが破壊されたが、5年後にはもとの姿を取り戻した。現在は毎日花市が立つほか、さまざまなイベントの会場として利用され、いつも人々で賑わっている。市庁舎を中心にギルドハウスが立ち並ぶ眺めは圧巻だ。
そして有名な小便小僧。17世紀にフラマン人彫刻家ジェローム・デュケノワによって作られた身長56cmの可愛らしい彫像。知名度は抜群なのに像が小さいので世界三大がっかりの一つとか。ちなみにあとの二つは、シンガポールのマーライオンとコペンハーゲンの人魚像とのこと。いつの日か確かめたいものである。
翌日、ロッテルダム、ハーグを回りアムステルダムに到着する。中央駅からダム広場を通って国立美術館へ向かう。目的はレンブラントの「夜警」。この作品は「フランク・バニング・コック隊長の市民隊」という題名であり、火縄銃手組合からの依頼で描かれた。このような集団肖像画ではどの登場人物も平等に描かれるのが基本であるが、レンブラントは画面に動きをつけ、物語性の高い集団肖像画を描いた。「夜警」は面が黒ずんでいるため、夜の様子を描いたと考えられ付けられた名前であるが、実際には左上から光が差し込んでおり、昼の時間と思われる。世界史の教科書にあった絵を今鑑賞している。1642年に描かれた363×437cmの大きな名画が350年近い時間を越えて語りかけてくる。・・・・次号に続く