モスクワのレニングラードスカヤホテルの朝食は洒落たカフェテリアで。2ヶ月半に及ぶ放浪の旅も今日を入れて残り3日となった。連休の最中、横浜港から始まった今回の旅。シベリヤ鉄道から見た大平原の地平線。ユーレールパスを利用しての1か月に及ぶヨーロッパ周遊。 憧れのポーランドを3週間で回るバスツアー。  ベルリンの壁、チェックポイントチャーリーを通って西ベルリンから東ベルリンへの緊張感ある越境。そして、大変な苦労の末に買うことのできた東ベルリンからモスクワへのチケット・・・ 酸味のある黒パンをかじりながら、苦いコーヒーを飲む。

ホテル内の床屋でどうにか散髪を済ませ、一月半ぶりにロシアホテルにタクシーで向かう。懐かしのホテルのドアマンが「Здравствуйте(ズドラーストヴィチェ):今日は」と挨拶してくれた。ホテル内の外貨ショップ(べリョ−スカ)に入る。豊かな品ぞろいに再び驚く。街の商店では目にすることのできない輸入品が棚一杯に陳列されている。外貨を持っている人、持っていない人。その違いはあまりに大きすぎる。共産主義国家のリーダーとしてアメリカの対抗軸であるソ連、その首都モスクワ。何を手に入れるにも行列、行列、そして行列。

その行列の最後尾に並ぶ。レーニン廟のレーニンの遺体を見学するための行列だ。 エンバーミングという遺体処理技術によって眠っているように見えるレーニンの遺体を立ち止まることなく見終わる。革命の父は死後も永遠にソ連を見守ることになるのだろうか。そもそも、ソ連が永遠に続くのか大いに疑問だが・・・次号に続く