ハバロフスク空港からアエロフロートのイリューシンで新潟空港までは2時間10分のフライトである。12時55分、定刻に離陸する。隣の席のロシア人と会話する。21歳の男子学生はサーカス団の通訳として日本へ行くのだそうだ。流暢な日本語だ。私のロシア語もほめてくれた。そして2時間後、眼下に緑豊かな日本の大地が見えてくる。整然と区切られた田んぼの稲が実に美しい。そしてスムーズなランデイング。

時計は午後3時5分。1時間の時差がある。時計の針を戻す。日本時間午後2時5分だ。長いようであっという間の2か月。様々な思いが去来するが、思い出の詰まったバッグを背負って飛行機を降りる。ロシア人のスチュワーデスに「スパシーバ、ダスビダーニャ」と声をかける。

「Спасибо!、До свидания!」ときれいなロシア語が返ってくる。ロシア再訪はいつのことか。そしてそれはかなうのか。私は入国審査の列に並んだ。  ・・・世界一人旅:欧州編は今回が最終回です。長年に亘ってのご愛読ありがとうございました。