立久恵峡 182×367cm

岳 182×367cm

潮騒 182×367cm

波濤 182×367cm

寂光 92×46cm

寄せる波 46×92cm

渓流 182×367cm

流れ 91×182cm

 136×79cm

滝 91×46cm

池映 79×136cm

朝霧に包まれた竹林で、大きく伸びた筍に出会った。
朝の光は、眠りの中にある筍のうぶ毛にたまっていた露を鮮明に映し出した。
自然の宝玉とも言うべきその露は、一瞬キラリと輝いた。

それは印度最南端のコモリン岬で、明けゆく時の流れとともに,霧の中から、
神秘性に包まれて姿を現した聖堂の映像と大きく重なった。

心象の世界から覚めた時、朝日は辺り一面に拡がり、私の影も長く竹林の中迄
すいこまれていた。

桜 182×367cm

偉大なる自然

常清の滝 182×91cm

春立つ野(スケッチ) 54×76cm

(スケッチ) 38×54cm

平成五年一月、三越広島店より「広島アジア大会」に美術面で協賛するにつけ、
作品展を開催して頂きたいとの依頼を受けた。私は感謝を込めて承諾した。
しかし自選展という事で承諾したことを大いに悔やんだ。
私が五十余年の歳月を画き続けてきた事は事実だが、過去の絵を展示すると
いうことは過去を振りむく老齢化した消極的な自分の心をあらわに露出するこ
とに外ならないと思うと、たとえ寸時たりともそのような安易な考えをおこし
た自分が情けなく、自分自身に反省を求める外なかった。
私は出来るだけ新作でやろうと決意した。新作でやろうと思っても、どれだけ
の作品が出来るかは、やって見なければ答は出ない。約二十ヶ月という制限さ
れた期間、自分の才能を試し、自分と闘って見ようと思うと、血騒ぎ肉躍ると
いう言葉の如く、心の躍動を覚え、若き日に返ったようだった。体力の減退は
如何ともすることは出来なくても、言葉では表現できない内なるものがむらむ
らと湧き返り、体の熱くなってくる現象に驚きを覚えたのだった。
展覧会構成上、野の詩、晩秋の記録等々出品したが、此の度、再度加筆したも
のである。

振り返って見れば二十ヶ月という期間は自分との斗いは勿論であるが、二十四
時間という如何ともすることの出来ない一日を短くうらめしく思ったのも事実
である。

作品の善し悪しは別として、精一杯目的に向って制作し続けてくることの出来
た幸に感謝し、これを記念して画集が発刊されることは私にとって喜びに耐え
ない。

展覧会開催、及び画集出版に関し、多くの方々に御支援頂きました事、紙面を
借り厚く御礼申し上げます。