小品展作品集
画家の素顔 寺 本 泰 輔(比治山大学副学長・美術)から抜粋
其阿弥さんの創作への挑戦的意欲はいささかの衰えをもみせていない。小品展は,確かに其阿弥さんが見せる堂々たる「夢」「塔」などといった幽玄の世界の大作とは趣が異なる雰囲等ある。しかし、画家は胸に響いた「記憶」や「ヒラメキ」をスケッチ・小下絵、あるいは小品として描き留めるので、小品群の展観は画家の「素顔」、「懐の内」を垣間見る貴重な機会なのである。
作品にはここ数年来、訪れているヨーロッパの教会を描いた作品が少なくない。日本の寺院を幻想的に描いて、我々を静寂な世界に導いてくれる。其阿弥さんは、東西の寺院を比較して言う。
「日本の寺院には幽玄を感じるが、ヨーロッパの寺院には神秘性は伺えても、幽玄さはない」
「日本の寺院は伽藍など横に広がるが、ヨーロッパの寺院は天上に向かって限りなく伸びようする」
石材のヨーロッパと木造の日本の建築工法、宗教性や歴史性からみてその違いは当然のような思いもするが、画家としての直感的な受け取り方は興味深い。
教会が自己存在の強さを示しているとするなら、日本の寺院は木の問隠れにたたずみ、己を啓しているのかも知れない。其阿弥さんの鋭い感性が言わせる言葉である。
小品展だからこそ鑑賞者の方々も、日本画家・其阿弥赫土の「素顔」に触れる貴重な機会を得らると言えよう。
サクレクール寺院(フランス)
戦跡(ドレスデンにて、ドイツ)
城塞都市(カルカータ、イタリア)
教会(パリ郊外にて)
ドレスデン城の一角(ドイツ)
マイセンにて(ドイツ)
古城(ウイーンにて、オーストリア)
マイセンにて(ドイツ) 山上都市(スカンノ、イタリア) 教会(マドリッドにて、スペイン)
教会(アッシジにて、イタリア) 教会(ウイーン、オーストリア)
教会(ペンテダッテロにて、イタリア) 山上都市(スカンノ、イタリア)
海の幸 山海の幸 里の幸
筍(たけのこ) 寿菜
ざくろ 伊勢えび
ばら 小菊と壷 蒼い花
けいとう けいとう
紅い花 紅い花
干魚(ほしさかな) ふくろう 唐辛子