「破筆の妙」
破筆で山水を描く、
そこには妙に心象がある。
偶然性を満ちた破筆(破った筆)の働きにより、ある一種の意外な味わい深い「筆跡」を醸しだしてくれる。その筆跡が森羅万象にさまざまな姿も形成され、連想を自由のまま、紙の上に神遊する。そこから層空間の静と動・現われた墨線や面は一つの律動感にあふれる。限りのない心情(作者)と連動させながら、無限な精神世界の覚醒を喚起されることができる。古人の言葉に「形を忘れ、意を得む…つまり心に感得して手が応じ、画意が働いてそのままできあがるのである。その理法に達し、魂がこもる、はるかな天の意を感得している…」それが「破筆の妙」である。
破筆水墨山水小品
「胸中の丘壑」を得て
“深く精神で会得すれば、自然に画境はすべて天の働きに近づき、
人間わざ出なくなる。此は活筆というのだ。”
すなわち活筆=破筆の線と面の精妙さを神会すべきである。