第三回之三『スーパーマ○オ、じつのところ』


K みんなに忘れられてる歴史的事実ってのが

Y はい

K あるでしょ

Y どういうことですか

K え……まあ、簡潔に言うと

Y うん

K ク○パ城からピー○姫を助け出したのはオレだってことやねんけど

Y ……ふっ

K これがあんまりねー

Y 整理が付けへんな……整理が付けへんな

K 分かってもらえてへんなと思って

Y ええと、いいですか?「クッパ城から」

K うん

Y「ピー○姫を」

K うんうん

Y「助け出したのは」

K うん

Y ……あなたなんですか?

K ……まあ、オレだっていうね

Y あなたなんですか?それは……お疲れ様でした

K(笑)いや、ホンマに

Y そうですかあ

K ゲームの世界でこそ、彼女を助けたのは

Y マ○オ

K とかね、ル○ージとか仲間たちってことになってますけども

Y 有名な事実です……いや、事実ってことになってるけども

K その模様を語ったゲームがいわゆる『スーパーマ○オ』だということになってます

Y ですね

K うん……あれホントはボクなのよね

Y それはどういう経緯なんですかね?

K いや、普通にもう……あれは何年生かなあ

Y 学生時代ですか

K 小学五年生くらいかなあ……キノコ達と下校してたんですよ、バーっと

Y キノコ達と?

K いや、同級生、同級生

Y ……はい

K ピノキオくん

Y ピノ……いやいや!

K ピノキオくんとピ○コちゃん

Y ピ○コちゃん!?

K ピ○コちゃんやと違うマンガになってまうけども(笑)

Y いや、ピノキオも別でしょう!

K 帰りながら「野球する?サッカーする?」言うて

Y そんな、揃って二頭身程度のやつらが

K「あ、どうするどうするー?」みたいなこと言うてて。いつもつるんでたんやけど

Y 僕はついぞ見たことないけどなあ

K その日はピノキオが一緒に遊べへんて言うのよ

Y きちんと確認しときたいんやけど……ピノキオなんやね?

K うん、ピノキオ……ピノキオ?ピノキオちゃうわ!

Y やっぱりかい!キノ○オやろ!?

K そう、キノ○オ!

Y ピノキオは鼻が伸びる人形や!いつもつるんでた奴の名前を忘れたんなや!

K まあ、そいつもイッコ上におったからな、間違えたわ

Y 見たことない言うねん(笑)

K おまえが知らんだけや!えー、そんで、ピノキオが

Y キノ○オね

K キノ○オが……(笑)キノ○オが「今日はちょっと……」って言うのよ。俺らが「え、なんで?」って訊いても「いや、ほんまに今日はちょっと……」

Y そんな、オンナみたいな

K 俺もおかしいなと思いながら「あ、ホンマ?」って。ならキノコと帰るわって

Y ピ○コな

K どっちでもええねん、こっちの方は

Y(笑)

K「なんやアイツ、つれへんな~」って二人で帰ったのよ、その日は

Y はい

K で、次の日学校に行ったら先生が言うわけよ

Y ほう

K「今日はちょっと……」

Y ええ!?

K(笑)ああ、ちがうちがう、単にそういう切り出し方やねん。続きをちゃんと聞いて!

Y びっくりしたわ~

K「今日はちょっと……皆さんにお知らせがあって……あのー……ちょっとみんなに……コレはあんまり言ってほしくないんだけど……」

Y ぶつぶつした喋りやな

K「外ではコレは……まあ……まあ……校内では別に……アレなんだけど」

Y もう再現せんでええから、パッと言うてくれます?

K「隣の組のピー○ちゃんがちょっと……」

Y ふはははは(笑)

K あ、コレは渾名ね

Y 先生もそれで呼ぶんかい(笑)

K「あ、ピー○ちゃんってみんな分かる?モモカちゃんのことよ」

Y モモカちゃん……

K「そのピー○ちゃんが昨日いなくなってしまった」と。昨日の朝方って言うてたかな。見当たらなくなったと。「見当たらないのよ」言うてたけど

Y ぼくらの五年ときの先生って男じゃなかったです?

K「見当たらないのよ」って言うたの

Y ああ、はい(笑)

K いや、ちゃんと男やで。でも説明のときは優しい感じの口調で行くやんか

Y なるほど

K「いなくなってしまったのよ。だからみんなも気を付けてくれ」と。ボクらも「こわいなー」てひとしきり言うて。それでみんな一緒に帰ろうってことになって、キノピオに「おーい、一緒に帰ろうや」と声掛けたら……「いや、今日はちょっと」とまた言うのよね

Y あら、また言いましたか

K「あ、ホンマ?気ぃ付けや~」ってボクは帰って。で、次の日やったかな……強くなるためにエノキダケを買いに行ったんやけど

Y(笑)ああ……エノキダケを

K エノキダケはもう、タンパク質がもう……なに? 栄養バツグンやから。これは強くなるぞ、エノキダケを食べるぞ、もう「みんなで食べようか!」言うてたんやけど

Y はい

K 家族でね

Y 家族で

K で、帰り……もう七時くらいで真っ暗で。そしたら「助けてくれ……」と道端からキノ○オくんが出てきて

Y おお

K「実は僕は……ピー○ちゃんと暮らしてたんだけど」

Y 暮らしてた?

K「ピー○ちゃんと僕と……マ○オ……やっぱり二人で暮らしてたんだけど」

Y マ○オを入れるかどうか考えて省きよったな

K(笑)「いとこ同士で暮らしてたんだけど」

Y 分かったよ、なにがあったんや

K「ちょっとね……誘拐って言うか、さらわれちゃって」

Y ボヤーンとした事件やなあ

K「四組にク○パくんっているじゃない?あの子がさらっていっちゃって」

Y 犯人、同級生だったんですか!?

K「お金持ちのク○パくんが」

Y はい、お金持ちなのね

K「なんて言うんだろう……コレはちょっと伏せといてほしいんだけど」

Y この期に及んで伏せる事があんのかい

K「好き過ぎて」

Y 犯人とその動機までがこの時点で分かってもうたがな。もうほとんど解決やで

K いや、ただお金持ちやからね。各方面に顔が効いてるから

Y ああ、なるほど

K「ぼくも色んな方向に動き掛けてみたんだけど」

Y 何気にキノ○オもすごいな

K「で、あいつの家って大きいから『ク○パ城』って呼ばれてるじゃん」

Y えらいダラダラ喋り続けるなあ

K「どうもそこに監禁されてるみたい」

Y うわ、場所も分かってもうたやん

K こんな色々分かってる誘拐事件もないですよ

Y でも助けられへんのや

K「警察に言ってもダメだった。あいつは大物政治家の息子だから……」

Y 余りにリアルなパワーやな

「くそう」

Y ここで(笑)

K ボクは「よし、俺が助けに行ったろう」と。ピー○にはまあ……

Y そんなに興味はないけどと

K そこをおまえが言うたらアカンやろ(笑)ピー○のことはそんな知らんかったのよ。でもまあ、キノ○オとは……

Y やっぱ友情があると

K なんでそんなテンポ上げてくねん

Y キノ○オが怠け過ぎたと思うわ

K でもアイツとはやっぱりその……ウサギ跳びとか一緒にした仲やから

Y わはははは(笑)まあ、一緒にタータンを回ったからな

K あんなに耐えたんやから

Y わはははははは

K で、乗り込んで行ってん。もう二ついっぺんにキノコを食べて。もう「ン・ン・ン・ン・ン~」てなもんや

Y おお、エノキダケを

K ン・ン・ン・ン・ン~っ!

Y おお、おお、おお(笑)

K パワーがもう、すっごい溢れてんねん。栄養がとんでもないから

Y みんなで食べようか言うてた分までいっとるからね

K ン・ン・ン・ン・ン~っ!

Y 効果音は分かったから

K あ、コレ言うとくけど、ノド通る時の音やで?

Y のどごし音ですか!

K 寝ていたク○パの耳にその音が届きました

Y えーっ!

K「なんや、この音?」ク○パはブラインドを開けました

Y またえらいオサレやな

K あの爪でやで

Y わはははは

K「むっ、あれは……守備を固めろ~っ!」

Y テンポ上がったなあ

K 兵士がどんどん集まって来るわ

Y ク○ボーとか○コ○コとかが来ますよね

K ボクはもうク○ボーを踏みつぶして踏みつぶして……

Y かしゅっ!かしゅっ!言うわね

K たまにカタい奴とかおって

Y あ、そんなんもおんねや

K ちょっと乾いてる感じやねん。潰れるとき細かい粉みたいなんが飛ぶわ

Y 嫌なディテールやなあ

K まあ、そんな感じで退治して行って。廊下を片っ端から「ガラガラ……ピ○チはどこだ!?」「ガラガラ……ピ○チはどこだ!?」

Y 行くわな、ガラガラ……あ、引き戸なんや(笑)

K ああ、うん。どっちかと言うと、そうね……「和」寄りの城やったわ

Y 頭ん中でイメージがガラッと変わったわ、いま

K そこでもガラガラーかいな

Y(笑)しかしまた、えらい簡単に開くんやなあ

K いや、奥まで来たら意外と開いてるもんやで

Y ははははは(笑)ああ、なんか分かるわ。そこまで来たらもう開いてるわな

「え、どうしたん?」ってク○パは言うわけ

Y しらばっくれてるなあ(笑)

K それはもう、めっちゃしらばっくれてるわけ、まずは

Y これでごまかせたら儲けモンですわな

K「ピ○チ姫を返せ!」と俺は言うわ

Y 問答無用ですわ

K「このク○ボーの残骸を見ろ!コレはおまえが差し向けたんだろ」と

Y 差し向けたって言うか、家やっちゅうねん

K まさにク○パはそこを言うのよ。「コイツらはウチのガードマンとしておまえを怪しいとみなしたんやから、襲い掛かって当然ちゃうんか」と

Y 一気にそっちが悪い感じになって来てるで

K ボクは三つ買った最後のエリンギを

Y エリンギが出てきたか(笑)

K エリンギ……ちゃうわ、エノキダケや

Y エノキダケや!

K エノキダケをこう、ク○パ睨みながら食べるわけよ。もう「ン・ン・ン・ン・ン・ン~っ!!」ですよ

Y 読んだら分かりにくいと思いますけど「ン」一回増えてますからね

K これでもうク○パは本性現したわ

Y「アカン!行くしかないわ!」と

K アルコール度数高めのお酒をガーっと口に含んで

Y 何やってんの!?

K ライターを口の前に持ってきて、ボーッ!と

Y え、そうやってたの!?

K 火ぃ吹いてん

Y そんな、大道芸みたいな仕組みやったんや

K「くらえ!ボーッ!……あちゃちゃちゃちゃ」

Y まあ、基本自分にも掛かるわな

K 若干勢いが足りてないんですよ

Y 勝手に独りで火だるまや

「ピ○チはどこだ!」とボクは訊くわ

Y ちょっと待ったれよ

K 一歩こう、更に前に出て言うわ

Y いまク○パ火だるまやねんって

K「ここにはいない」とク○パは言うわけ

Y おお、律儀やな

K「そんなワケないだろう」とボクは酒を含んで、ボーッ!……こっちは上手くやったのよ

Y おお、おお

K「それが出来るなら」とク○パは居場所を教えてくれたのよ

Y 良かったやん

K はははははは(笑)なんやねんそれ

Y いや、なんかもう分からんもん

K なんでえな、分かるやろ

Y なんで火がちゃんと吹けたらOKやねん

K 考えてみいな、おまえは姫を隠してるとするやろ

Y うん

K おまえは火を吹けへんわけや

Y うん

K で、誰かが姫を助けに来ました。あなたは火吹きで勝負を挑んで失敗しました

Y そこがあれへんねんて!なんで火をそこで……

K でも相手は吹けました。あなたは諦めました

Y いや、だから……

K でも、ピーチ姫はもうピノキオ先輩に○○れとんねん

Y えっ

K「オレにはもうどうも出来へん。オマエには出来るか!?」って言われて

Y ………

K こうして相手も諦めました

Y ………

K そういうモンやろ?

Y ウン

K(笑)なんせイッコ上やからな

Y イッコ上やからな

K せやろ

Y ……自分、ぜんぜん助けられてへんやん

K 任○堂はだから、途中ンとこまで話を買ったのよ

Y そうとう気を付けて話を編集したと思うわ

K 対象年齢の振れ幅はあるからね

Y コントラストがすごいわ

K これを任○堂が買っての大ヒットですよ

Y 羽や、メタルや、足していったワケや

K あ、それもこっちに元があるのよ

Y そうなん?じゃあその話を

K また次回に

Y え、次回!?

K そんなんもええやん(笑)連載みたいな感じで

Y そんなこと言うて……ちゃんと次やれよ?

K それはキミが憶えてるかどうかや。次んときに「マ○オの続きを……」って言うてくれたらやれるわ

Y そんな勝手な!

K 聞きたいやろ、スーパーマ○オ2

Y 1に関しては後悔したけどな……