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#1 さよならジュピター(1984)



地球人口180億人、地球外でも5億人に達した西暦2125年の太陽系を舞台に、

ブラックホールの太陽への衝突を回避しようとする人類の闘い等々を描く。

原案・脚本・総監督は、日本を代表するSF作家・小松左京。

監督はこれが初監督作となり、同年には『ゴジラ』も手がけた東宝の橋本幸治。


主演・三浦友和、助演・小野みゆき、岡田真澄、平田昭彦、マーク・パンサーなど。


「NASA及び宇宙に挑むすべての人々に」




       どうですか、ご覧になりましたか?

 

       いや、ご覧になりましたっていうか……。

 

       まあ、Discord繋いで同時鑑賞会やってるのにご覧になりましたかもないですよね

 

       そうだよ?(笑)

 

言   収録日の本日14時から鑑賞会をして、お互い休憩を挟んでの19時半からこの感想会が始まっている訳ですけども。

 

       すぐ感想会に入っても良かったんだけどね。

 

       まあ……見終わった後にね、どちらからともなく「ちょっと休憩しようか」と(笑)

 

       なかなかの情報量だからね。

 

       ちょっとお互い、気持ちの整理をしようということでね。

          話すにしても、こまめに区切りを付けながらやっていこうと思います。

 

 小松SFと東宝特撮

 

       僕なんかは割とマニアックな視点から見ちゃうから、

          先にゴンベの眼からどう見えたのか聞きたいんだよ。

          あまり詳しくないでしょ、SFとか東宝特撮映画とか。

 

       東宝特撮については、僕も少しは人より見てる方だけどね。

          確かにSFについてはよく分からないかな。

     その手の小説も読まないし、映画もまあ、真面目に見たのは2001年宇宙の旅[1]』ぐらいだし。

     あれだけ見て語るならば……「SFってわけが分からないや」だな。

 

       アレで言ってしまうとなあ……。

     別に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー[2]』とか『アイアンマン[3]』だって、SFの範疇に入れていいんだよ?

 

       それを入れていいのであれば、少しは楽しくもなるけどね。

          でもまあ、SFというと非常にうるさい方々がいるとも聞いてるし、

     なんか宇宙船が飛んでて知性体がどうの精神がどうの、

     小難しい観念的な話が繰り広げられるってイメージがあるかな。

          この映画にしたって「火星で地上絵が見つかりました!」で始まったから……

          あれ、言っちゃっていいのか?(笑)

 

       大丈夫だろ、冒頭も冒頭だし。

 

       あの導入なんかは「いかにもSFだあ」って感じですよ。

          ここから人類の進化がどうのスターチャイルド[4]がどうのになっていくんだろうなと。

          でもまあ、これがどんどん裏切られていきますよね。

          アクションだったりラブストーリーだったり怪獣映画だったりが入ってきて。

          これは何映画なんだ? と思ってるうちにどんどん進んでいく。

 

       この映画のフォーマットについて、東宝オタクとして一つ言うなら、

     制作陣がやりたかったのは多分『妖星ゴラス[5]』なんだよね。

     あれも天体衝突を防ぐために、人類があらゆる手段を取って頑張るって話だから。

 

       そうだね。モロにその絵面になってるシーンもあるし。

 

       極限状態における人間の団結や社会の様相を描くっていうのは、

     わりと小松さんが好きなとこなんだよ。

    『日本沈没』然り、『首都消失』『復活の日』然り[6]

     で、そこで人間が陥るところの極限状態をどれだけ緻密に作り上げるかが、

     小松左京の終末SF系作品の醍醐味なんだと思う。

    ただ『ゴラス』が割とストレートに人類の団結を描いてるのと比べて、

     この映画は結構そういう時の人間のエゴなんかも見せてるってのが違いかな。

 

       小松原作で東宝配給というのでは先に『日本沈没』があるけど、

          こっちはより特撮ファンに対する目配せが強い感じはあるかもね。

          主人公の名前からして「本田英二[7]」だし。

     まあ、それは単なる偶然で、実はホンダからの出資狙いで命名されたって話もあるけど……。

 

       ああ、そういうのもあるのか。

          確かに、ちょっと技術信奉者的な主人公ではあったね。

 

       ただ東宝特撮の歴史っていう文脈とは別に、

          この映画の成り立ちに関しては海外SFの流れも絡んで来てるよね。

          1977年にアメリカで『スター・ウォーズ』が公開されて、

          翌年の春までにスピルバーグの『未知との遭遇』も出るわで、

          日本でもSWが封切られる1978年までに各社こぞって宇宙ものを撮り出したと。

          調べてみたら、まず東宝から小松左京に話が行ったのもこの時点なんだってね。

          東映は石森・野田昌宏で『宇宙からのメッセージ[8]』を撮ったし……

 

       円谷プロも78年に『スターウルフ[9]』ってTVシリーズをやってる。

 

       そう。ただ小松さんは、この時には話をいちど保留にしたらしいんだよ。

          急造の便乗企画じゃなくて、じっくり腰を据えてSFを企画したいと。

          そういうわけで東宝は、年末に大慌てで『惑星大戦争[10]』を作ってる。

 

       あっちの方がよくまとまってるんだよなあ……

 

       こら、まだ早い!(笑)まあ、福田純・中野昭慶[11]コンビだからね、

          むしろこういう急造企画こそ平常運転って感じだろうけど。

          で、5年の間に小松左京はSF作家を集めて16回のブレストを重ね、

         79年半ばにシナリオ初稿が上がって、翌年からノベライズ版が連載開始と。

 

       そっちの方がずっと評判いいんだよなあ……。

 

       だから早いって。あともう少しだから!

          ……えー、83年春に台本完成、監督は『日本沈没』の森谷司郎で予定してたのが、

     森谷さんが亡くなったので助監督だった橋本幸治に決まったと。

     こっからがすごいよ、特技監督は新進気鋭の川北紘一[12]に決まり!

 

       メカデザインはスタジオぬえ[13]になり!

 

       音楽も羽田健太郎[14]とくりゃもう、気合の入り方が分かるってもんですよ!

          こりゃあすごいことになるぞ!

 

       うん……

 

       ……え?

 

 どうしてこうなった?

 

       いや、正直に言うと、これは確かに当時の日本特撮の集大成だよ。良くも悪くも

 

     (笑)……ど、どこが悪いって言うんだ! 良いとこしかないんじゃないのか!

          ほら、冒頭の火星極冠爆破シーンとか凄かっただろ!?

 

       いや、あれは凄いよ!

     たぶん東宝ステージに水と発泡スチロール敷いて、上のスチロールを発破した上で水を抜いてるんだけどね。

     アナログの極みだけど、本当に氷に見えるもん。



     これがアメリカなら、洪水の映像に上から爆発を重ねるんだよ。

     それも確かに一つのやり方だけど、絶対に細かいところでアラが出てくる。

     こういう所の見せ方は、当時でも日本の方がブッチギリで上手かったね。

 

       見えづらだけ処理したのとはちがう実在感があるよね。

 

       うん。水に混ぜ物してそれっぽく流れるようにしたりしてるから、

          木星の海を宇宙船が渡っていく所とかも本当にそれっぽく見える。

          影の付け方まで計算してるからね。

          だから本当にこれは、間違いなく当時の日本特撮の全てが詰まってると思うよ。

          良いところが全部集まってる。あと悪いところも。

 

       悪いところも!?……って、さっきと同じ流れになっちゃったよ。

          だから一体、どの辺がダメだったっていうんですか!

 

       どう考えても 詰め込みすぎなんだよ!

 

       わははははははは(笑)

     そうですか!? 色々見られてお得じゃないですか。

 

       まともな映画の3本分ぐらい入ってんだろこれ!

 

       いや5本ですね

     対立する組織に属する主人公とヒロインの『ロミオとジュリエット』的悲恋劇と、

          火星と木星で見つかる異星人文明にまつわる『未知との遭遇』的探求譚。

          中盤からのブラックホールがどうのこうのの災害パニックもの要素に、

          バブル前にして60年代のヒッピー文化を描いた教育映画的側面。

          あとサメとイルカのファイトが見られる動物パニックもの成分、

          パツキンと三浦友和のSEXが見られるソフトポルノ映画。あ、6本だ。

          劇中劇の『三大怪獣』と『決闘巌流島』も入れたら8本ですよ[15]

 

       冷静に考えてみようよ。それっておかしいじゃん?

 

       ……うん(笑)

 

       細かくは評価できるところもあるんだよ。

          無重力SEXシーンなんかよくネタにされてるけど、

          あそこだって細かい描写までちゃんとSF的に理由付けされてるし。

 

      「ラブ・ガス使う?」「少し……」のくだりね(笑)

          やっぱり笑っちゃうんだけど、まあ言わんとすることは分かる。

 

      「宇宙でのSEXはこうなる!」ってのを、小松左京はきっと大真面目に考えたんだと思う。

 

       たぶん16回の会議の7回目くらいで延々論じ合ったんだろうね。

          ただあそこの時点では、三浦友和とヒロインは意見が対立してる訳じゃない。

          木星を太陽化するのは傲慢だのどうのこうのって真面目な議論をしてるんだけどさ、

          そんな政治やら環境問題やら絡む大事な話をしようって時に

     ラブ・ガスとかキメてまぐわってんじゃねえよ! とは思わざるを得ないよね。

 

       だいたい自分ちの計画に異を唱える環境保護団体のリーダーが突入してきてさ、

          帽子取ったら昔の彼女だったからSEXするってどういうことだよ!?

 

       あのシーンがやたら長いから、一回映画のテンポがぐっと落ちるんだよね。

          そこでいかにも大事そうに話してるから、

     こっちは木星いじっていいのか問題が映画の大事なテーマなのかと思うんだよ。

          そのわりにこの時点で主人公はおかしいし、

          その後出てくるヒロイン側の教団もやっぱりおかしいし……。

 

       どっちもどっちだから、教団が善玉なのか悪玉なのか分かんない。

          主人公の同僚爆殺したから「やっぱ悪玉なんだ」と思ったら、

          直後にユーミン[16]BGMにして以下にも善良な感じで登場してきたりして。

          内部描写が妙に生々しいのもなんなんだ?

 

       あれは小野みゆきが頑張り過ぎたせいだと思うな(笑)

     確かに、教団がらみのシーンは特にヘンなことになってるよね。

     極め付けがあの驚愕のアニマルファイト。

     メカニック描写にはあんなに気を使うくせに、あそこだけとんでもないチープさ。

 

       きょうびアサイラム映画[17]でも見ないサメだよね(笑)

 

       血もドバドバ出るしさあ……。

 

       まあ、あの過剰さが東宝特撮だなって感じはするんだよ。

          いっぱい見てきたもん、ああいう詰め込み過ぎ。

          『ゴラス』だってそうなんだ、なんの脈絡もなく巨大なセイウチ[18]が出てきて、

          無軌道に暴れたあげくあっさり殺処分されるくだりがあってさ。

          『フランケンシュタイン対地底怪獣[19]』のアメリカ版も、

     フランケンシュタインがようやくバラゴン倒したと思ってたら、

          いきなり出てきた無関係の大ダコ[20]とケンカして終わるんだよ。

          なんか怪獣でも出さないと子どもに見てもらえないと思ってるところがある。

 

       子どもを掴みたいわりにはグロもあったぞ? 平田昭彦[21]が死ぬシーンもそうだし。

          あそこなんか一瞬スプラッター映画みたいになってたけど。

 

       あれは東宝のああいうジャンル演出の不慣れが出たんだと思うな。

          日本特撮は基本的に人間の流血描写とかないからさ。

          あそこの描写は、怪獣でよくやるみたいに、

     派手に血を出すことで陰惨な感じを弱めようとしたのが裏目に出た可能性はある。

 

       映画ってジャンルごとに、要求されるリアリティのラインが違うじゃない。

          戦争映画と怪獣映画とでは、相応しい血の出し方も変わってくるわけだよね。

          そこの統一とか、せめてもの調整もしない状態で描写が並んでるから、

          どこを真剣に受け止めてどこを絵空事として楽しんだらいいのか分からなくなる。

         SF的考証がいくらしっかりしてても、それじゃ気付きにくいよね。

          例えば木星に近づいた時に輪が見えるところとか、

          ボイジャー1号[22]の調査結果をいち早く取り込んでるすごい描写らしいんだけど。

 

       でもそこらへんに関しては、時代とともに塗り変わっていく部分もあるから。

          たとえば探査船が遭難するところで、

     冷凍睡眠中の船員をシステムが声かけて起こそうとする場面があったじゃん。

     モニターに「Wake Up!」って文字が出るあの衝撃的なシーン(笑)

 

       ガッチガチに凍ってるのに、中からスイッチ押さないと出られないっていうね。

 

       あれなんかも現代の眼で見ると笑いどころになっちゃうけど、

          オートメーション技術が今みたいに展開してくるって発想があれば、

          そりゃあんなシーンにはならないよ。

          集まった作家の誰かが思いついたら、絶対ちゃんとやってるんだから。

 

       現実はSFよりも奇なりってところだね。

          「スーツケースが自走する[23]」だけがオートメーションじゃなかったわけだ。

 

       それな!(笑)

   

『さよならジュピター』は何を残したのか

 

       全体的になんでああなっちゃったのかというと、

          やっぱり脚本の作り込みがうまく映画に落とし込めなかったんだろうね。

 

       初稿は3時間分あったらしいからね。

 

       量的にも映画にするのが難しいし、時期もちょっと悪い。

     77年に小松左京のところに話がきてから脚本がまとまるまで5年ちょいの間に、

          『スター・ウォーズ』3部作もすっかり終わっちゃって、

     SFブームが下火になってきた状態で実質的な制作がスタートしてるからね。

          予算も想定の3分の1ぐらいしか出なかったので、

          さっき言ったように小松さんも色々と資金繰りを考えたと。

 

          で、この段階でアメリカから原作買い取りの案が出たんだけど、

         条件が「アメリカ人を主役にすること」「原作者が制作権を手放すこと」だったので

          断ったという話があるみたい。

          たぶん「日本人の手で本格SFを!」というところに相当こだわってたんだね。

 

       それは伝わってくるし、少なくとも技術的には勝ってるところもある。

          本当に、良かれ悪しかれ日本人の作った映画なんだよな。

 

       脚本のスケールを少し絞って映画にしなきゃいけないとなったときに、

          引き算の仕方を間違えたって感じだね。

 

       日本人は引き算下手だからなあ……。

 

       こうなると『スター・ウォーズ』が先に禅の心を説いてるってのも皮肉だね。

 

       まあ、その辺は後の仕事でちゃんと反省されてる気もするけどね。

     この監督さんは同じ年に『ゴジラ』[24]も監督してるけど、

          こっちのゴジラは昭和版で膨らみ過ぎたイメージをちゃんと削ぎ落として、

         「すげーこわい人類の敵」ってことですごくよくまとめてあるし。

 

       なるほど。

 

       それでも小松左京はたぶん、初稿では全部の意見をまとめきってたんだよ。

 

       マジで?

 

       それが出来ちゃう人なんだよ。

          あの宇宙ステーションで働いてた人とか、きっと全員に設定用意してあるぜ。

 

       ええ!?

     あの終盤にいきなりイクラおにぎり食べながら出てきたやつとかも!?[25]

 

       終盤にいきなりイクラおにぎり食べながら出てきたあいつにもだよ。

          あのイクラがどこでどういう理屈で養殖されたのかも考えてあると思う。

          でもそれって、日本SFっていうか小松左京がすごいってことになるんだ。

          小松左京にしか出来なかったっていう意味では、

     この映画はやっぱり日本SFの敗北なのかも知れない。

          ああ結局あの人なのか……って思ったSF作家も少なくなかったんじゃないかな。

 

          そんなことないよ、って言えるんだけどね、後々のことを知ってると。

          ちゃんと後に続くSF作家は出てるよって。

          冲方丁とか円城塔とか、亡くなられてしまったけど伊藤計劃とか[26]

          SFはちゃんと日本が誇る文学ジャンルになったよって、言えるんだけどね。

 

       いい話みたいになってきたのでサッとまとめてしまいましょうか。

 

       わかんねーSFの話になって興味を失ったな?

     まあ……繰り返しになるけど。

          ストーリーの取捨選択の下手くそさとか、作劇のまずさとか、悪いところもいっぱいあるけど、

          東宝特撮・SF映画としてはマジで1984年時点での集大成かなと思います。

 

       なるほど。

 

       でもこんなんとか『北京原人[27]』とか作ってたせいで

          あの素晴らしい東宝大プールを手放さなきゃいけなくなったのは、

          マジで反省した方がいいからな!

 

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[1] 1967年のイギリス映画。スタンリー・キューブリック監督。謎の石板モノリスによるヒトザルの究極進化の過程を、美麗かつ静謐な映像で描く。アーサー・C・クラークの小説版から一切の説明を省いた難解極まる語り口と、見る者全てを置き去りにするラストシーンの展開はあまりにも有名。

[2] 2014年のアメリカ映画。ジェームズ・ガン監督。マーベル社による「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」第10作。少年時代に誘拐され、宇宙海賊として育ったバカが、お尋ね者集団「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を結成するまでを描く。スペース・オペラに80年代ポップスのノリを融合させた作風でMCUでも屈指の人気を誇るシリーズ。続編に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』(2017)および同『Vol.3』(予定)がある。

[3] 2008年のアメリカ映画。ジョン・ファヴロー監督。軍需会社の社長トニー・スタークが、アフガニスタンで武装勢力に誘拐されたことを契機として正義に目覚め、パワードスーツに身を包んで自ら戦いに身を投じる。コミックでは目立たない存在であったアイアンマンをフィーチャーし、のちのシリーズ成功の礎を築いたMCU1作。続編に『アイアンマン2』(2010)および同『3』(2013)がある。

[4] 2001年宇宙の旅』のラストで人類進化の果てに誕生した胎児。それ以上のことは私にも説明のしようがない。

[5] 1962年公開。円谷英二による東宝特撮映画の記念すべき50作目として制作された大作特撮。地球に接近する巨大天体ゴラスとそれに総力を挙げて対抗する人類を描いていく。初めて映画制作にSF考証を取り入れた作品であり、荒唐無稽なはずなのにリアリティを感じる緻密な特撮描写は後年の日本SFに大きな影響を与えた。

[6] それぞれ、1964年(復活の日)1973年(日本沈没)1983年(首都消失)に発表された作品。こうやって並べると小松左京は10年に一回のペースで日本を滅ぼしているのがわかりますね?

[7] 『ゴジラ』や『妖星ゴラス』などをタッグで手がけた本多猪四郎(1911-93)本編・円谷英二(1901-70)特技監督へのオマージュと思われる。

[8] 1978年公開。こちらも2匹目のドジョウを狙った和製スペースオペラだが制作は東映。やっぱり製作費10億円をかけた超大作だが、国内だけでなく海外でもかなり評価され、1980年のサターン賞の最優秀外国映画賞にもノミネートされている。

[9] 1978年製作。エドモンド・ハミルトンの小説を原案とする円谷プロのスペースオペラドラマ。OPがとてもかっこいいので是非聞いてほしい。

[10] 1977年公開。『海底軍艦』のリメイクかつ超急ピッチで製作された本作だが、海外……特にドイツでは大ヒットを記録したそうだ。ドイツ人もドリルの魅力には抗えなかったのだろう。

[11] 共に東宝所属の映画監督。福田は「若大将」「コント55号」シリーズなど軽快な作風で知られ、中野は70-80年代の東宝特撮を特技監督として支えた。ゴジラシリーズにおいては『対ガイガン』『対メガロ』『対メカゴジラ』(72-74)でタッグを組んでいる。

[12] 1942125 2014125日。昭和後期から平成の東宝・円谷特撮を支えた偉大な特技監督。ド派手な光線の打ち合いや擬人化を排除した動きに定評があり、VSシリーズ以降のゴジラ像はこの人の影響が強い。

[13] 企画制作スタジオ。色んな(ホント色んな)名作SFのメカデザインを手掛けている。

[14] 1949年生まれの日本の音楽家。『超時空要塞マクロス』(1982年)やゲーム『ウィザードリィ』シリーズの楽曲を手掛けたことで知られる。

[15] 『三大怪獣 地球最大の決戦』は1964年公開のゴジラシリーズ第5作。悪役として人気怪獣キングギドラが初登場し、ゴジラが70年代のヒーロー怪獣に向けて大きくイメージを変化させる契機となった。『宮本武蔵 完結篇 決闘巌流島』は1956年公開の東宝映画。稲垣浩監督・三船敏郎主演による『宮本武蔵』三部作の完結篇。

[16] 女性歌手・松任谷由実の愛称。

[17] アメリカの映画製作・配給会社。『シャークネード』『ダブルヘッド・ジョーズ』を初めとする低予算バカ映画の製作で知られる。

[18] 妖星ゴラス中盤、南極の氷の底からでかいセイウチ(南極怪獣 マグマ)が現れる。……ただ、実はコイツ爬虫類らしい。南極なのに。どう見てもセイウチなのに。

[19] 1965年公開。広島の原爆に消えた不死身のフランケンシュタインの怪物の心臓から生まれた巨人。彼は「人間」か「怪物」か?を巡っての人間たちのドラマと人食い怪獣バラゴンとのスピーディーな格闘シーンが魅力の東宝怪奇特撮の傑作。続編の「サンダ対ガイラ」もおすすめ。

[20] 物語終盤、富士山麓で地底怪獣を倒した巨人は劇場公開版では地面の崩落に巻き込まれ命を落とす。……のだが後にテレビで放送されたものと海外公開版ではなぜか湖から出た巨大なタコと戦い、命を落とす。どうやら富士五湖には巨大タコがいるらしい。観光時にはお気を付けて。

[21] 東宝所属の俳優。1927年生まれ。本多猪四郎や福田純、稲垣浩監督作品の常連として様々な役を演じた。『ゴジラ』(1954)でゴジラを自らの命と引き換えに葬った芹沢博士や、『ウルトラマン』(1966-67)でゼットンを一撃で爆殺した岩本博士の役を務めたことでも有名。翌年癌で他界し、本作が遺作となった。

[22] 1977年にNASAが打ち上げた無人宇宙探査機。1979年に木星へ接近し、衛星や環の存在、イオの火山活動などを観測した。1980年に土星へ達し、2012年には太陽圏を離脱。2020年現在、地球から最も遠くへ達している人工物とされる。

[23] 2125年のハイテク描写として、独りでにスーツケースが走るさまがわざわざクローズアップされるシーンがある。

[24] 1984年の日本映画。橋本幸治監督。『対メカゴジラ』以来9年の沈黙を破った『ゴジラ』のリブート作品。ゴジラが原発からエネルギーを吸収する描写や、戦術核兵器による駆逐を提案する米ソ、非核三原則の立場からこれを拒む日本首相など、当時の日本の状況における真摯なポリティカル・シミュレーションの性格が強い。橋本幸治はこれを最後に監督業から退き、プロデュース業に専念することになる。

[25] 映画の終盤、主人公が木星爆破作戦に赴く際に脈絡なく登場し、おにぎりを食べながら同行を志願した隊員のこと。役名不詳。

[26] いずれもゼロ年代を代表するSF作家。自分は『蒼穹のファフナー』(冲方)『Self-Reference ENGINE』(円城)『屍者の帝国』(伊藤)が好き。読んで。

[27] 「東宝特撮のクソ映画と言えば?」という問いになると必ずさよならジュピターと並んで語られる作品。いつかここで語ることになる……なるのかな……辛いなー……