将棋倶楽部24のレーティング日本最大の将棋レーティングについて考える
全体のR点の推移レーティングの運用が長期にわたると、参加者のR点が全体的に上昇したり(Rのインフレ)、あるいは低下したり(Rのデフレ)することがあるそうです。 倶楽部24ではどうなのでしょう。 レーティングは安定しているのでしょうか? 倶楽部24のレーティングは、人為的な管理がなく、システムそのものが自己完結・自立していると緑石は考えています。 そういう意味では、自由放任の市場原理が支配している、いわば、R点市場に例えることができるかもしれません。 市場原理に委ねるだけで大丈夫なのでしょうか? ここでは、倶楽部24のR点が全体的にはどのように推移しているのか 見てゆきます。 レーティングの安定度を知る方法やり方は「活動的な会員のR点分布を知る方法」とほとんど同じです。 調査時点の異なる複数のデータセットを準備して、適当な抽出条件を設定し、サンプル全体の平均点や中央値を時系列で並べて検討するというものです。 具体的には以下の条件で抽出した、[sample-A:人数不定]、[sample-B:8,209人]、[sample-C:5,923人]、3種類のサンプルを準備しました。
ここでのポイントは、活動的な会員のレーティングを、同一のサンプル集団同士で比較すること です。 倶楽部24には次々に新しい会員が入ってきますし、逆に足が遠のいている会員もいます。 知りたいのは、倶楽部24で継続的に活動している会員の、過去から現在に至るR点データ ということになります。 従って、全体のR点の推移をみるためには、sample-Bとsample-C に着目することになります。 全体のR点の推移
半年間に10局以上の対局をこなしているグループであるsample-Bにおいては、平均Rが単調減少しており、その減少幅は1年間で4.1点になります。 半年間に100局以上の対局をこなしているグループであるsample-Cにおいては、単調減少ではないにしても低下傾向を示しており、その減少幅は1年間で2.4点になります。 sample-Aは、データ採取毎の参加者が異なるのですが、平均Rが単調減少しており、その減少幅は1年間で40.4点になります。 今回の解析結果、特にsample-B と sample-C に着目すると、24Rは2002年から2003年にかけて徐々にデフレが進行していたことが伺えます。 全体のR点の推移に関するバックデータはこちらレーティングは安定しているのかここまで提示したデータにより、倶楽部24の全体的なR点は低下していることが明らかになりました。 今後の課題として、R点は何故低下するのか、低下傾向はいつまで続くのか、倶楽部24のレーティングは安定しているのか がポイントになりそうです。 1970年代の中頃には、アメリカチェス協会(USCF)のレーティングの平均が低下していることが明らかになり、これに対処するためにボーナスポイントを初めとする様々な対策が考え出されています。 Rのデフレは倶楽部24だけの問題ではなく、レーティングには付き物のようです。 倶楽部24のデフレ傾向はいつまでも続くものではなく、今後さらに安定化すると緑石は考えていますが、それについては稿を改めたいと思います。 |