将棋倶楽部24のレーティング

日本最大の将棋レーティングについて考える


  • 将棋倶楽部24では、レーティングの計算が1回の対局毎 に行われますが、これはオーソドックスなレーティングと違うところです。
  • また、将棋倶楽部24のレーティング計算式は、「16±4%式」 という言い方をされることがあります。
  • これは、期待勝率の計算式が一次関数 であることをいってるのですが、この点もまたオーソドックスなレーティングとの違いのひとつです。

 R点の授受

 将棋やチェスだけに限らず、近年はさまざまな競技でレーティングが行われています。 レーティングでは勝敗結果に基づいて負けたほうから勝ったほうへR点が移動しますが、その計算規定はレーティングの運営主体により異なります。 特にR点授受の計算方法には様々なバリエーションがあります。

 ここでは、将棋倶楽部24のR点授受の方法とオーソドックスなレーティングのR点授受の方法との違いについてみることにします。

  倶楽部24の計算方法

 倶楽部24のレーティングは、以下の規定に基づいて1回の対局毎に 計算されます。

  • 同じ点数同士の場合は、勝った方に16点プラス、負けた方に16点マイナス
  • 点数が異なっていれば、次の方法により計算
    勝った場合
    新しい点数=はじめの点数+(16点+(負けた方の点数−勝った方の点数)×4%)
    負けた場合
    新しい点数=はじめの点数−(16点+(負けた方の点数−勝った方の点数)×4%)

 他のレーティング計算規定との比較を容易にするため、一般化した形に書き直すと以下のように表現できます。

    Rn = Ro + K(W-We)
    Rn:新しい点数
    Ro:はじめの点数
    K:定数(=32)
    W:得点(勝った場合1、負けた場合0)
    We:期待勝率

 ここで We は以下のようになります。

    We = 0.5 + 0.00125dr
    dr:レーティングの差(=R点差)

 当然ながら、k=32を式に代入すると、倶楽部24の計算規定に書かれてあることと同じになります。 計算式が示すところ、期待勝率の計算式は一次関数 の形をとっています。

< 計算例 >
  • 1500点の人が1700点の人に勝ったときの計算例

    勝った人(=1500点)
    We=0.5+0.00125×(1500-1700)= 0.25
    Rn=1500+32×(1-0.25)=1500+24=1524 よって1524点
    負けた人(=1700点)
    We=0.5+0.00125×(1700-1500)= 0.75
    Rn=1700+32×(0-0.75)=1700-24=1676 よって1676点

  オーソドックスな計算方法の例

 レーティングの運営主体によって計算方法はバリエーションに富んでいます。 中でも、オーソドックスなものは以下の計算式ですが、1試合毎にではなく、複数の試合の結果をまとめて計算 することのほうが一般的です。

    Rn = Ro + K(W-We)
    Rn:新しい点数
    Ro:はじめの点数
    K:定数(k=32,24,16,12,8 等、運営主体により異なる。 複数のk値を採用している運営主体もある。)
    W :得点(勝点1、負点0、引分0.5)
    We:得点の期待値(=期待勝率の合計)

 まず、ここまで、式の格好は倶楽部24と全く同じです。 倶楽部24と違う点は、

  • 複数の試合結果のトータルでWWeを計算するのが一般的であること
  • 引分試合でもR点が移動すること
  • k値のとりかたにもバリエーションがあること
があげられます。

 さらに、 We(=期待勝率)の計算式は倶楽部24のWeの計算式とは明確に異なります。

    We = 1/ (10 -(dr/400) +1)
     
    dr:レーティングの差(=R点差)

 期待勝率の計算式は倶楽部24と違って一次関数の形をしていません。 これは、「Bradley-Terry Model」 と呼ばれています。 Weは、関数電卓やパソコンがあれば計算できますが、そうしなくても早見表を参照することで簡単に知ることができます。

< 計算例 >
  • 1500点の人がK=32の競技会で6ゲームを戦った時の計算例
  • 結果は、1700点の相手に引分、1600点の相手に勝ち、1850点の相手に負け、1900点の相手に引分、1800点の相手に負け、1550点の相手に勝ち

    1. 自分のR点(=1500点)から相手のR点をそれぞれ引くと、-200、-100、-350、-400、-300、-50
    2. それぞれの点差に対応するWe(=期待勝率)は 0.240、0.360、0.118、0.091、0.151、0.429
    3. それぞれのWeを合計すると 0.240 +0.360 +0.118 +0.091 +0.151 +0.429 =1.389
    4. W(=得点)を合計すると 0.5 +1 +0 +0.5 +0 +1 =3
    5. 3(=Wの合計)から1.389(=Weの合計)を引いて1.611
    6. 1.611に32を掛けて51.552
    7. 四捨五入して52、よって新しい点数は1500 +52 =1552

 *本計算例の出典はhttp://www.swissperfect.com/handbook/USCFrating.htmです。

  「16±4%式」と「Bradley-Terry Model」

 「16±4%式」とオーソドックスな「Bradley-Terry Model」の特徴について、グラフから以下のことがわかります。

  • 「16±4%式」は直線「Bradley-Terry Model」は曲線
  • R点差が0のときの勝率は両者ともに50%
  • 「16±4%式」ではR点差200のときの上手勝率75%、R点差400のときの上手勝率100%
  • 「Bradley-Terry Model」ではR点差200のときの上手勝率約76%、R点差400のときの上手勝率約91%

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