作/ななりう
前編 
(使用上の注意※転入生になりきってお読みください)
はじまりはじまり・・・・
きーんころーんかーんころろーん♪
きーんこらーんかーんころろろーんん♪
始業のチャイムが長閑に鳴り響く、朝の校舎。見慣れない建物の内部を、きょろ
きょろと見渡して、不安と期待の入り混じった複雑な気分で心も身体も落ち着かない。
「一緒に入りますか?呼んでからにする?」
担任の神宮先生が、眼鏡の奥の優しそうな目を細めて、穏やかな口調だけどどこか
いたずらに問い掛けてくる。
「あ、じゃあ一緒で・・・」
父一人、子一人。父さんの急な転勤で、季節はずれの転校を余儀なくされてしまっ
たけど、担任は大丈夫な気がする。後はクラスメートがどうなるか・・・。制服が間
に合わなくて、デザイナーズブレザーの学校でこれは目立つなあと、今までいた学校
の、昔の青春ドラマの主人公たちが着ていた物と寸分たがわぬ、オーソドックスな学
制服を見下ろす。
「ちょっとにぎやかさん揃いだけど、気のいい連中だから、心配しないようにね」
「はあい・・・・」
するなといわれて、すんなり緊張が解けるはずはなく、がらっと開いたドアの向こ
うに、勇気を持って歩き出した。
黒板に大きくかかれた自分のフルネーム。40人分の瞳があわせて80個、じーっ
とこっちを見つめている。
気分は蛇ににらまれたかえる?動物園のパンダ?なんとなく視線が痛い。鍼のむし
ろってこんな感じ?
「みんな、わかってると思うが仲良くするんだぞ。それから、むやみに触ったり
迫ったりしない!紳士的にいけよ。お前ら元気はみ出し気味だからな、おびえさせな
いように。わかったら両手上げてー」
上がった80本の腕にびっくり。この先生にこの生徒ってこと?
「よーし。それじゃ勝志と真森、きりーつ。2人を救助係に任命する。しっかり面
倒見てやれよ」
窓際の席に2人並んで立ち上がる。いかにもやんちゃっぽい子と賢そうな男の子達。
「せんせーい、真森君はいいけど勝志は自分の面倒で手いっぱいじゃないんですかー?」
「浮田、鋭い突っ込み!補佐決定。これも試練と思って精進すべし」
「げーっ!ちょー失敗」
「というわけで、あの3人に何でも聞いて。もちろん残りの37人と僕にもね」
実に明るいクラスである事は、よーっくわかったHRでした。
「僕が佐倉真森で、こっちが遠山勝志。みんな下の名前で読んでるから。よろしくね」
「勉強のことは真森に聞いてくれ、他のこたあ何でも俺に聞いてよ」
隣りの席になった、先程の賢そうな方の少年が真森君、やんちゃな方が勝志君。話
し方でもなんとなく役割分担がわかる感じ。
「こちらこそ宜しく。いろいろお世話になると思うけど」
「あははははっ!勝志の場合すぐに世話かける方になるんじゃないの?」
横から他のクラスメイトのちゃちゃが入って、勝志君の方はそれを追っかけていっ
ちゃった。
「・・・落ち着かないやつだけど、悪いやつじゃないからね」
うん、そんな感じ。大丈夫そうかな。
「楽しそうで、よかった!」
正直な気持ちを声に出したら、真森君はほんわかって感じに微笑んで、周りの空気
が一気に親しく包んでくれたような気がした。
それからはもうすごいスピードでクラスになじんじゃって、あっという間に転校生
という看板はとっぱらわれて、元からいたんじゃないかっていうくらい染まってた。
特に真森君は授業の遅れてるとことか、先生よりわかりやすく教えてくれたり、学
校以外の街の事とか、クラスで流行ってる本の事とか教えてくれたし、勝志君は遊び
の事とか、食べ物のことに関しては誰よりも率先して教えてくれて、ほんとに頼もし
い救助係りっぷりを発揮してくれた。
「感謝感激雨あられってね!」
「ん?それって美味いのか?」
「勝志、飴もアラレもお菓子のことじゃないって」
毎日が、こんな感じで過ぎていますって、前の学校の親友にでも手紙を出しておく
としようか!
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