ぎょしゃ(馭者)座

学名:Auriga(略符Aur)
概略位置:赤経06h00m 赤緯:+42 面積:657平方度
20時に正中する時期:2月中旬 設定者:プトレマイオス

 

 2月上旬の宵ころ、真上を見上げると「将棋の駒」のような形をした五角形を見つかることができます。この五角形の星の並びが、ぎょしゃ(馭者)座を見つける目印になります。明るい星が形づくる簡単な図形なので、すぐに見つけられると思います。

 ぎょしゃ座の北側に輝く1等星カペラは、ラテン語で『小さな雌山羊』という意味で、「大神ゼウスが幼いころに乳を与えて育てた雌山羊」といわれています。
 カペラは1等星の中でもっとも北寄りにあるため、日本では地平下にしずんで見えない時間が短く、時間さえとわなけらば、ほとんど一年中見ることができます。さらに、北海道より北の地方に行くと、一年中沈むことがない『周極星(しゅうきょくせい)』として見えるようになります。

 『馭者』ってあまり耳にしない言葉ですが、『馬車に乗って馬を操って走らせる人』のことを言います。ぎょしゃ座のモデル?となった馭者とは・・・古代ギリシア・アテネの三代目の王、エリクトニオスの姿とされています。
 エリクトニオスは生まれつき足が不自由であった(一説では足の代わりに蛇の尻尾が生えていたとも・・・)ため、それを補うために四頭立て(馬四匹で)の戦車を発明し、それを巧みに操って戦場を駆けめぐった勇者といわれています。そのため、カペラを馭者とする戦車の姿が星座として表わされていました。
 しかし、現在のぎょしゃ座の姿は、戦車を操る勇者どころか、ごく温厚そうな老人が子ヤギを抱きかかえる絵になっています。これは、ぎょしゃ座の歴史が大変古く、古代バビロニアのころには、すでに、子山羊を抱いた老人、子山羊を抱いた御者等のぎょしゃ座の原型と思われる星座が設定されていたことから、その姿をあてはめたらしい?と考えられています。

 ぎょしゃ座の五角形の南東付近に双眼鏡を向けると、同じ視野の中にM36、M37、M38という三つの散開星団が仲良く並んでいるのが見えます。私は“ぎょしゃ座の三兄弟”と勝手に名前を付けて呼んでいます。

 

 

晴レル夜・星座録