こと(琴)座

学名:Lyra ( 略符Lyr )
概略位置:赤経18h45m 赤緯:+36° 面積:286平方度
20時に正中する時期:8月下旬 設定者:プトレマイオス

 

 夏の星空で最も明るく、青白く輝く星がこと座のα星ベガです。ベガの南側にある4つの星が作る小さな平行四辺形がたて琴の弦を張った部分だとすると、ベガは竪琴を華やかに飾る宝石と言った感じです。

 ベガは七夕の織姫星としてもおなじみの星です。天の川を挟んだ対岸で輝く牽牛星(わし座のα星アルタイル)と共に、夏の星空を舞台とした美しい七夕伝説として昔より伝えられています。七夕の7月7日は梅雨のまっただ中ですし、たとえ晴れたとしても東の空から昇って間もないので、あまり見栄えがしません。七夕は旧暦の祭りですので、旧暦の7月7日(毎年8月上旬)に楽しんだ方が良いようです。

 ベガは、全天で4番目に明るい星なので、その輝きは、まさに夏の星空の女王ともいえる美しく輝く星です。
 名前は、アラビア語の「落ちる鷲」と言う意味から名付けられました。ベガとその両側の星で作る「への字」が翼をたたんで降りてくる鷹の姿をイメージさせるところから名付けられたようです。

 こと座は、たいへん歴史のある星座で、フェニキアの「こと」という星座に、この星座の原型が見られます。
 ギリシャ神話では、琴の名手・オルフェウスの持っていた竪琴が天に昇って星座となったと伝えられています。

 オルフェウスには、エウリディーケという美しい妻がいました。ある時、花を摘みに出かけたエウリディーケは、毒蛇にかまれ、死んでしまいました。オルフェウスは、冥土の王・はですに「エウリディーケを生き返らせてほしい」と願ったのですが、冷酷なハデスは願いを聞き入れてくれませんでした。
 そこで、オルフェウスが竪琴を弾き始めると、ハデスもその音色に心を奪われ、「地上に着くまでは妻の顔を見てはならない」と約束をした上で、エウリディーケを地上に返すことを許してくれました。
 オルフェウスは、エウリディーケの手をひいて地上へつながる階段を上っていきましたが、地上まであと一歩の所まで来るて心を抑えきれなくなり、思わず振り返ってしまいました。エウリディーケはたちまち引き戻され、ハデスも二度とは返してくれませんでした。
 オルフェウスは悲しみに暮れ、竪琴と共に湖に身を投げたと伝えられています。

 

晴レル夜・星座録