さそり(蠍)座
学名:Scorpius ( 略符Sco )
概略位置:赤経16h30m 赤緯:-26° 面積:497平方度
20時に正中する時期:7月下旬 設定者:プトレマイオス
 さそり座を見つけるポイントは、赤く輝く1等星の“アンタレス”と大きなS字につらなっている星の並びです。アンタレスがさそりの心臓をあらわし、S字の形がさそりの体を形作っています。形が整った星座なので、探しやすいうえに、蠍の姿も想像しやすい星座です。

 さそりの心臓として輝くアンタレスは、ギリシア語で『火星に対抗するもの』という意味で、火星と赤さを競うように赤く輝くことから名付けられたそうです。
 距離は600光年、大きさは太陽直径の約200〜800倍にも達する星で、もし、アンタレスを太陽の位置においたとすると、地球の軌道もその中に含まれてしまうほどの超巨星です。

 さそり座は、原型が古代バビロニアの時代に見られる古い星座です。アンタレスは、しし座のレグルス、みなみのうお座のフォーマルハウト、おうし座のアルデバランとともに、王家の運命を占うロイヤル・スターとして重要な星とされていました。
 ギリシア神話では、世界中でいちばん強いのは自分だと自慢していた狩人オリオンを怒った大神ゼウスの后(きさき)ヘラが、オリオンを退治するために送った大さそりと伝えられています。
 星座になってからも、オリオンはこのさそりを恐れ、さそり座が東から昇ってくる頃になると、こそこそと西へ沈んでしまい、さそり座が西へ沈むのを待って、おずおずと東から昇ってくる様は、このギリシア神話を象徴しているようで面白い光景です。

 

晴レル夜・星座録