うみへび(海蛇)座 東西に最も長い星座

学名:Hydra ( 略符Hya )
概略位置:赤経10h30m 赤緯:-20 面積:1303平方度
20時に正中する時期:4月下旬 設定者:プトレマイオス

 うみへび座は、うねうねとやたら長い星座です。頭の部分は冬の星座のこいぬ座の隣から始まり、かに座、しし座、おとめ座といった春の星座の南側をまたいで、尻尾の先は夏の星座のてんびん座まで達しています。その全長は東西に100度に達し、頭の部分が昇ってから全身が昇りきるまで6時間もかかってしまいます。

 うみへびの心臓にあたるところに、オレンジ色の星が輝いています。光度は2等星ですが、周りに明るい星が少ないので、意外と目立ちます。この星は、「うみへびの心臓」という意味の“コル・ヒドレ”といいますが、“アルファルド”という呼び方が一般です。アルファルドとは、アラビア語で「孤独なもの」という意味です。明るい星が少ない春の南空で、独りぽつんと寂しそうに輝いていることから名付けられたのでしょう。

 星座絵では普通の蛇の姿で描かれていますが、うみへび座の正体は、ギリシア神話に登場する怪物“ヒドラ”です。
 ヒドラはレヌネア地方のアミモーネの沼地に住む水蛇で、人の背丈の20倍もある巨体な上に、1つの胴体から九つの首が生えています。牛や羊ばかりでなく、人間までをも襲うどう猛さで、人々を困らせていました。
 ヒドラは英雄ヘルクレスとの死闘の末、倒されてしまいました。ヘルクレスを憎んでいた女神ヘラは、ヒドラの死を悲しみ天に上げて星座となりました。

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