星が降った夜!!
 2001年11月19日未明。私は目の前の光景に 我が目を疑いました。それは、星が次々雨のように降ってくるような光景で、「これは夢じゃないよね・・・現実だよね!」って何度も思いました。
 頭上に広がる星空に、雨のようにしし座流星群が次々と大出現していたのです!!。

 

 2001年の「しし座流星群大出現への道」は、1週間前、11月13日からの気象情報の収集から始まりました。
ここ数年間の天候を振り返ってみると、西高東低の冬型の気圧配置が続いていました。冬型の気圧配置になると、日本海側は悪天候になってしまいます。さて今年はどうなのか??

 1週間前(13日)の週間予報
 大出現の予報される夜の1週間前、地元の地方気象台から発表された週間予報は、11月18・19日共に「曇り時々晴れ」と、まずまずの天候が予報されていました。
 しかーし!週間天気などというものは、ほとんどの場合あてになりません!。晴れの予報ほど日を追うごとに悪天候と化するのが当たり前!。
 冬型の気圧配置になったことをもふまえ、太平洋側への移動も考えていました。
 そして、インターネットで気象関係をあつかったサイトから情報を収集が始まったのです。

  観測候補地・・・
 当日の天候が「文句なしの晴れ」となれば、家の前の畑で観測を行えます。しかし、悪天候だったり「怪しい晴れ」の予報だった時は、もちろん遠出をするつもりでした。
 この時点で移動を考えていた地域は東北地方の太平洋側〜栃木県・群馬県〜長野県。当日の天気予報を見てからの移動時間を考えるとこの辺りとなります。
 しかし、普段は遠出してまで観測に行かな私。もし、遠出したとしてもいったい何処で観測をしたらいいものか?。

 月刊天文12月号に記載されていた「大都市圏から行ける!しし群おすすめウォッチングスポット」を参考にしようかと思ったのですが、この時、98年に福島県の滝根町にある星の村天文台での失敗が頭をよぎりました。

 ・・・大出現が予測された98年。
 この年の地元の天候は「くもり→雪」となるため、今年と同様太平洋側に移動しました。関東の星仲間と一緒に観測をすることとなり、過去に訪れたことがある星の村天文台で観測を行うことになりました。
 いざ天文台に到着してみると、そこには大勢の人集りが!。しかも駐車場にはヘッドライトをつけた車がうろうろしています。さらに、報道カメラが強力なライトを煌々とつけて取材しています!。もう、流星観測どころではありません!。空も曇ってしまって最悪の流星観測になったのでした!!。・・・

 と、いうことで、雑誌で紹介した観測地や各地の天文台付近なんかは大勢の人が押し寄せることも考えられます。
 さて、何処に行ったらよいのか??。と、悩んでいると、すきちかもどメンバーの西村君から「秘密の観測スポットがあるから一緒にやらない?」と声をかけてもらうことができました。場所は北関東で当日の移動範囲でしたので、候補地に挙げておいて、当日の天候次第で決めることにしました。

 11月15日
 出現ピーク予報がある夜の3日前です。
 3日前にもなると天気予報の信憑性は上がってきます。
 この日発表の予報では、18日「くもり時々晴れ」19日「晴れ時々くもり」とまずまずの天気予報です。

 アストロアーツのHPにあった「しし座流星群特集」で、気象に関して詳しく開設しているページを参考に、いろいろな気象関係のHPからデータを収集しました。
 これらのデータをまとめてみると、私が移動しようと思っている地域の天候は「くもり時々晴」または「晴時々くもり」と、まずまずの天気予報でしたが、「弱いながらも冬型の気圧配置が続くでしょう」、「19日は移動性高気圧に覆われるでしょう」との概況予報があり、とても微妙な感じでした。全国主要都市の週間予報では仙台だけが「はれ」の予報でした。

 この時点での第1観測候補地は宮城県南部〜福島県沿岸。第2候補地は岩手県沿岸。第3候補地は北関東方面となりました。西村君と一緒にやることも考えたのですが、もし、行き先が曇ったりして「すきちかもど全滅!!」となるおそれがあるため、西村君とは別行動をとり単独でやることにしました。

 11月17日
 17日夕方発表の地元の天気予報は、18日「くもり時々晴れ」19日「晴れ時々くもり」とまずまずの予報でした。
 しかし、18日の予想天気図を見ると、等圧線の間隔が開いているものの西高東低の冬型の気圧配置となっていました。メッシュ予報で、18日深夜〜19日ぼ朝にかけての天記予報を見てみると、東北の日本海側は「くもり」となっていました。

 すきちかもどメンバーの西村君と鈴木君が予行演習?をかねて、しし座流星群の観測に出掛けていましたが、流星はあまり出現しなかったと言うことでした。

 11月18日
 いよいよ、アッシャー博士が予報した大出現の極大夜の日です!。
(極大夜=流星が最も多く出現する夜のこと。今回の場合は18日の夕方〜19日の明け方までのことをいいます)

 朝に発表された地元の天気予報は、18日「くもり時々晴れ」19日「晴れ時々くもり」と前日と変わらぬ予報でした。
 実際の天候は晴れ間はあるものの、大きな雲のかたまりがあちこちにある状態でした。

 お昼の天気予報では「しだいに移動性の高気圧が張り出してくるでしょう」との概況予報がありましたが、確実に「晴れ」とは言い切れない予報でした。とりあえず、昼過ぎから太平洋沿岸を観測地を探しながら南下し、天候の様子を伺うことにしました。

 2時過ぎに出発して太平洋側に出たのですが、晴れ間は多いものの雲が多い天候でした。観測地を探しながら福島県沿岸地方を南下していると、上空はしだいに雲が広がって怪しい天候になってきました。 

 空の西〜北側が一面曇っていて南〜東側が晴れている状態で、丁度くもりと晴の境目にいるような天候です。 携帯電話でのインターネットで、気象衛星「ひまわり」による雲の様子を見てみたのですが、解像度が小さすぎてよく解りません・・・。

 19時前の天気予報が気になり家に電話すると、地元の今夜の天気予報は「夜間はくもりで経過し19日の午前3時頃から晴れて来るでしょう」という予報とのこと・・・。確実性が無いので、もうしばらく南下しながら様子を見てみることにしたのですが、天候は回復する傾向にありません・・・。 

 観測に出掛ける前の鈴木君に電話して詳しい最新の気象情報を提供してもらいました。
「んーその辺(いわき市の北側)が寒気のふき抜け道とっているみたい・・・な感じだね。寒気が弱まれば天候は回復するんだろうけど・・・こっちに来る?」。

 時刻は20:30を過ぎ。んーーーどうしよう??確かに南側は晴れ間が広がっているようだ。ここから群馬県まで移動して間に合うのか??!。日光地方という手もあるけど・・・。
 しかし、ここから日光方面に向かうには、いったんいわき市に南下した後、郡山まで北上してから東北道を南下しなくてはなりません。遠回りだ・・・とりあえず、いわき市まで国道6号線を南下する事にしました。

 いわき市に向かって南下していると、しだいに天気は回復傾向に!。いわき市の光害をさけるため途中から郡山方面へ向かうことに。そして、さらに天候は傾向に!!。
 もう、こうなったら、この周辺で空が開けている所を探すしかありません!!が、ここは阿武隈山系の山間部。土地勘もない私は何処に行けばいいのか??。

 このときに思いついたのが「滝根町にある星の村天文台」。しかし、98年の悪夢がよみがえります・・・。
 どっかいい所はないか?!?。一応、滝根町に向かいつつ、空が開けている所はないのか?!?。
 街灯もない県道を走っていると、ある看板が目に付きりました。
 「さっきからあの看板があるな・・・。何かのレジャー施設でもあるのかな?でも、こんな山奥に??。そんなに遠くないみたいだし、もしかすると駐車場が使えるかもしれない。取り合えず行ってみるか。」

 看板の案内どおりに走り、適度なワインディングを駆け上がると、小高いところにある施設にたどり着きました。
 キャンプ場や入浴施設などがあるレジャー施設(名前は秘密!)で、建物の周辺には街灯があるものの、少し離れたところにあった「第3駐車場」は街灯もない真っ暗な状態でした!!。しかも、誰もいません!!。車から降りてみると、空は十分に開けています。東南と西側に街灯りによる光害がありますが、気になるレベルではありません!。天頂付近は4等星は確実に見えています!!。冬の天の川もわかり、星空の状態も良好!!。
「ラッキー!!」
本当に偶然たどり着いたところが、こんなにしし座流星群の観測に条件の良い所とは!!
本当にラッキーでした!!!

 時刻はもうすぐ23時になる頃でした。しばらく星空を見上げていたのですが、流星を見つけることはできませんでした。やはり、しし座が昇ってこないうちはあまり見えないのかな?。ずっと運転していた疲れもあることから、しし座が顔を出すまで、しばらく休憩をとり、大出現に備えることにしました。 

 大出現!!
 しし座が昇り始めた0時30頃から機材の準備の取りかかりました。いっこうに誰一人来ません。天候も変わらず晴れています!!。
 撮影は1時から始めました。撮影を始めてから(準備中もそうだったかもしれませんが)結構しし座流星群が見えるようになり、少しずつではありますが、流星の数が増えてきているように感じました。

 そして!、はっきりした時刻は記録していませんが、2時前頃から急に流星の数が増えだしたのです!。しし座の方向を見ていたのですが視界の中心や外側にも次々に流星が現れるのです!。
 「何だこれは!凄いぞ!!」
 星空を見上げるとしし座の方向から次々と流星が現れるのです。
 1つずつどころか、2〜3つの流星が一度に現れるのです。もう寒さも忘れるほどの勢いでしし座流星群が四方八方に現れます!。
 爆発を伴う火球も現れます!。
 「ワーッ!・ウォーッ!凄ーい!!、爆発した!!」
 自然に声が出ます。
 もうすでに流星の数をを数えることは不可のな状態です。撮影データなんかもうどうでもいいような状態でした。

 秘密の場所で観測中の鈴木君に電話すると、向こうも「ワーッ!アーッ!凄ーい!!」お互いに歓声が上がるので会話ができない状態です。
 まさに「星降る夜」!!。
 流星の数はどんどん増えていきます。アッシャー博士の予報では2時31分が1回目のピークでしたが、ピーク時刻を過ぎても、次々に流星が現れるので、いつが出現のピークだったかわからないほどでした。

 3時頃、西の空から雲が流れだし、2回目のピーク時刻の3時19分頃は薄雲に覆われてしまい、星がほとんど見えない状態になってしまいました。
 ところが!、星が見えなくてもしし座流星群は見えるのです!!。
 雲が厚いところでも、雷が光るように雲が「パッ」と明るく光ったりしています。
 これはには驚きました!。
 凄すぎます!!。

 3時30分頃から雲がしだいに厚くなってきたので、お湯を沸かし小休止する事にしました。寒さを感じないとはいえ、外気温は−2°でした。熱いコーヒーが食道を通って胃袋に流れ込むのがよくわかりました

 4時30分頃よりしだいに雲が消え始めましたが、しし座流星群は消えません!。勢いはちょっと弱まったように感じられましたが、相変わらず四方八方に出現しています。薄明が始まっても同じです。星空がすっかり明るくなり、撮影を止め、後片づけをしている最中も、しし座流星群は見えていました。

 夜勤をしていても眠くなる時間なのですが(一晩起きているのだからいるのだから当たり前!!)不思議と眠くならないのです。きっと興奮状態だったのでしょうね!。なんてったって寒さも忘れる状態でしたから!!。

 帰り道・・・
 さて、エンジンをかけ、帰ろうとしたのですが、いったい私は何処にいるのか??
 昨晩は案内標識を辿りながらひたすら走ってきたので、ロードマップを開いても何処にいるのかわからない状態でした。
 眠気もないので、とりあえず休憩は取らずそのまま帰路に就きました。道成に適当に走っていると、ICの案内標識を見つけたので、高速に乗り家路につきました

 

 

しし座流星群の写真です。
50oでしし座を撮影した写真です

2時35分から4分55秒の露出ですが7つの流星が写っています!
流星の出現時間は、左上:2時39分、中央下2時37分、右中央2時37分
流星を逆にたどっていくと輻射点がはっきりとわかります。
24oで冬の大三角を撮影しました。構図に失敗しました

2時15分から4分55秒の露出です。
8個のしし座流星群が写っています(微かですが・・・)
こちらの方向を見ていない(見られない)にので、流星の出現時刻は不明です

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