ある週末だった。 仕事から帰宅し、午後7時に、5歳になる娘と妻とで夕食をとる。 メニューは妻の手作りのロールキャベツに、コンソメスープだった。 とても美味しい。 ……僕の嗜好はこうだ。僕はふつうの料理であれば、嫌いな食べ物というものが ひとつもない。つまり、この世には、好きな食べ物しかないのである。 もちろん、とくに美味しい料理はあるが、その場合「とても」美味しい、と表現する。 前に進む