Sirian's Diablo II Page

抗議

更新: 2001.6.4



2001年5月24日から6月4日まで,Diablo 2 ページを全面的に削除・掲載保留とし,次の2点に対し抗議してきました.すなわち,Diablo 2(と引き続きその拡張)における PvP の Hos 仕様,および,その仕組みを用いて同意しているわけではない他人のキャラを攻撃することを Blizzard が顧客に対して公に推奨していることに対してです.この抗議は,Blizzard から前向きな返事がない限り永久に続けるつもりでした.このサイトのファンの多くが,これに関して意見のメールを書いてくれました.その90%は,Blizzard の返事によらず,このサイトを閉鎖するのは思いとどまって欲しいというものでした.そのうちいくつかの議論は十分納得できるものだったので考えを改めました.サイトを再開し,これからはこの抗議ページでこの点について意見を表明してゆくことにします.
この件について私の関心が続くかぎり−そして Blizzard が抗議に対して前向きな行動を起こさない限り−このページを掲載し続け,この視点を Blizzard が忘れないようにし,新しいプレーヤーにそのことがわかるようにし,問題の詳細を説明し,また意志に反した Hostility は不適切で悪評判でゲームの楽しみを直接何度も繰り返し奪う機能だと信ずる Diablo コミュニティーの非常に多くのプレーヤーの意志の表明の場所にしてゆきます.
ゲームの PvP 要素を廃止しろと言ったのではありません.同意の上でキャラクタ同士の対戦を楽しむ人たちがいます−Duelist 達ですが,彼らに対しては何の文句もありません.一部の人達は,ゲーム内で様々な方法を使っていやがらせをしてくる相手に対抗する手段が欲しいと考えています−そういうオプションは残すべきだと思います.いつ何時でも PvP の攻撃は受けて立つという人たちは,そのことをゲームの味付けぐらいに考えています−そういう人に対しても文句はありません.また,そういう相手を捜しては追いかける PK に対しても文句はありません.私が唯一受入れられないのは,PvP をする気のない PvM プレーヤーに対して,それとわかっていながら Hostility 機能を用いて困らせたりいじめたりする人たちです.このゲームに PvM 向けのマルチプレーヤーオプションがないのは非合理的です.Blizzard 自信が Diablo 2 は主に PvM ゲームとしてデザインされていると主張しているのですから.それがもし本当なら,どうして PvP プレーヤーが誰でも PvM ゲームに進入して混乱させたり,さらにはゲーム自体を壊してしまうようなことができるようになっているのでしょうか.どうして PvP 要素を完全に排除するオプションがないのでしょうか.そして PvM を楽しもうとするプレーヤーが PK プレーヤーと言い争ったり,気が散ったり,余計な負担を感じたりせずに PvM に集中できるようになっていないのでしょうか.
多くの人はゲームを作る時にスイッチを作るという提案をしています.それで Hostile 可能か不可能かはゲームを作る人が決めるわけです.別の提案は,同様なスイッチをキャラクターに対して設けるというものです.キャラクターは Hostile 可能と平和オンリーのどちらかになり,それらのカテゴリーは完全に別々になります.ちょうど Hard Core のキャラクタがスタンダードのキャラクタと分離しているようなものです.また,ゲームを作った人に,ある特定のキャラクタやアカウントがそのゲームに入れないようにできる権限を与えるという提案もあります.それぞれに長所短所があり,新しい問題が起き,またそれを逆手にとられる可能性もあります.逆の立場の意見としては,PK システムをどのように変更しても,たとえば WP トラップのような別の方法で他人を攻撃する輩がゲーム中にあふれるだけだから,Hostile 機能による警告が出るだけ今の方がまし,というのがあります.そういうものは確かに問題となるかもしれませんが,少なくとも,許可を得ずに Hostile にするだけでゲームを混乱させることができる,というのよりは手間のかかることでしょう.Realm にある Hard Core の Hell ゲームのすべてに対して,たった一人の PK が次々とゲームを移動しては全員に Hostile 宣言するだけで実質的に停止状態にできます.ほとんどのプレーヤーは Hard Core キャラクターには思い入れがありますから,危険は犯そうとはしないし,権利の主張さえもしないでしょう.
けっきょく,だれ一人として,それが私の意見に対する反論のどういう部分であった にせよ,Blizzard Entertainment が顧客に対して,互いに無礼な行動を取り,他人のゲームに押し入って邪魔することを一種の楽しみとして推奨しているということに対する正当な理由を与えていません.少なくともそれだけは止めなければなりません.Blizzard がゲームをどのようにデザインしようが勝手ということはあります.が,彼らがそうと知りつつ不作法や他人を軽蔑することを推奨するということは別の話です.アジアではオフライン PK という問題が起こってきています.プレーヤーがすでに仮想世界のねたみ,恨みや攻撃を現実世界に持ち込んでいます.ヨーロッパやアメリカで同じことが起こるまでどのくらいかかるでしょうか.現実世界の取り返しがつかない暴力行為に展開する可能性があるのでしょうか.タダのゲームだよ,そんなたいそうな問題じゃない,という人がいますが,人がいてゲームをしているのです.そして一部の言葉や態度,行動が非常に低俗なのです.Blizzard は顧客の行動についての直接の責任はないでしょうが,しかし責任はあります.私は Blizzard がその責任を放棄しているように思うのですが,健全なゲームプレイ,少なくとも無害 なゲームプレイを推奨し,全顧客に対して公平で相手を尊重した扱いをする責任です.つまり,憎悪を助長したり促進したりしない責任,これは当然ですが,もっと積極的にそういう憎悪が起こらないようにして,彼らが娯楽の企業であって人種差別や暴力の団体ではないことを明らかにする責任です.娯楽としてやってよいことには限界があります.Jenny Jones ショーで,出演者が感情的になる場面設定が事前の合意なしに設定され,その結果一人の出演者が別の出演者を殺害するという結果になってしまったことを忘れてはいけません.命が失われましたが,そのショーにおける現実のヒトに対する無神経な扱いがなければそうはなっていなかったはずです.Blizzard は,そこまでは行っていませんが,同じ道をたどっています.いつか彼らが,あるいは同じような会社の一つが,過失または補助の罪で刑事告発を受けたとしても驚くことはないでしょう.激怒しただれかが,ゲーム製作者によって推奨された不適切な何かにしたがって行動し,現実世界でゲームを実行してしまったという理由でです.その可能性について,今何らかの注意をはらい,そういうことを未然に防ぐ必要があります.ゲームにそれほど真剣になる必要はないはずですが,一部の人はとにかくゲームに真剣すぎるのです.
もう一つ,なぜ PvM ゲームをするのに,すべてのゲームで故意でない Hostility というオプションが必要なのでしょうか.プレーヤーが private ゲームに逃げ隠れることなく PvP 無しの選択を出来るようにしたとしたら,失われてしまう設計上の要素はいったい何でしょうか.私の Lurker Louge からの Diablo II 仲間の二人が,そのことを最もうまく表現しています.
ちょっと想像してみろ.Doom III で,ID Software が,誰でも事前の合意なしに瞬間的にデスマッチゲームを協力ゲームにできるボタンを提供したとしたらどうだ.おそらく Blizzard は D2 に「協力」ボタンを設けるべきだ.そのボタンを押すと,誰であっても瞬間的に自分のパーティーに入って自分と一緒に戦うようになる.相手から相手のゲームを強制されるのならば,こちらも相手に自分のゲームを強制できるべきだ   - LiquidDamage
Blizzard がここで(法的にではなく倫理的な意味で)咎められるのは,彼らが他人の意志に反して攻撃を仕掛けることをゲームの特徴の一つとはっきり認めていることだ.Pub ゲームで Hostile 可能と不可能を作ると困る理由は何もない.(両方ではなく)Hostile 可能ゲームしかないことで利益を得る唯一のグループは,戦うつもりのない人ばかりを好き好んで攻撃するやつらだ.それはいじめだろう.ゲームじゃない.公園でチェスやってる人の駒をひっくり返しておいて,「そんなものは家でもできるだろう」と言うのと何も変わらない.   - Vormaerin
Blizzard が支持しているのは,まさにそういう行動です.再考を強く要求します.インダストリーリーダーになったのだから,それらしく振る舞う時期です.優先順位を変更して,何よりもまずいじめや競争的な暴力ではなく,礼儀と互いの尊重のもとにすべてのゲームをデザインし直す時期です.
それを言ったうえで,彼らがゲームのこの要素を変更するか,あるいはそうすべきでないと私に納得のいく説明ができるのでないかぎり,あるいはそうなるまでは,私は断固として抗議を続けるつもりです.しかしながら,Blizzard と私以外に,この抗議に関係する3つのグループの人たちがいます.私のサイトのファン,一般的な意味で Diablo コミュニティー全体,そしていやがる PvM プレーヤーを PK していじめる人たちです.もし Blizzard と自分だけの問題ならば,彼らの製品に金を支払うのをやめて,できる限り多くの新聞やメディアを通じて最も効果が大きい抗議をすることでしょう.彼らにとっては取るに足りない苦情かも知れませんが,それでもお金はお金です.ちりも積もれば山となります.大きいか小さいかわからないですが,嵐が起こって,そして私は去り,ビジネスは今までどおり続くでしょう.しかし,それであとの3つのグループはどうなるでしょうか.私のファンはサイトとコンテンツにアクセスできなくなり,楽しみが減って何もいいことが残りません.コミュニティーは「罰を受ける」ことになる.(私の抗議に対して非常に多くの人々がまさにこの言葉を使いました.)Blizzard が私の抗議を無視することにした場合,唯一利益を受けるのは PK 達です.そのわがままな態度や行動を非難する者が一人減り,人々を自己挑戦,協力プレイ,チーム行動といった別の世界へと引き入れようとする源が一つへるわけですから.
残念なことに,それでは,完璧な対応というのがありません.全部を得ようとするのは無理があります.最初の予定どおり Blizzard と直接対立することは可能ですが,それは副作用が大きいです.また,一般的な意味において,彼らをサポートし続けることも出来ます.自分のサイトや,彼らのゲームを買ったり,プレーヤーコミュニティーに参加したり,あるいは,彼らがやったいいこと,ゲームの楽しい面,顧客からの他の要求への対応の仕方をほめながらも,この抗議を主張し続け,この問題を忘れないように,いわば消えないトゲであり続けることもできるわけです.私はファンからの大合唱に説得されました.ファンの多くは私より賢く冷静なようです.けっきょく後者の対応のほうがよいということですので,そうなります.
私と私の抗議に対するサポートの意をこれまで表明し,またこれからも表明してくれるすべての人に感謝したいと思います.Lurker Lounge のホストの Bolty には特に感謝したいです.また,Spiderdrake, LiquidDamage, Jester, Occhidiangela, Vormaerin, Zarathustra, Flux と Diabloii.net の人達にも感謝します.そして私のファンの一人ひとりが私に同意したしないにかかわらず丁寧なメッセージを送ってくれたことに対して感謝します.ありがとう.あなた達みんなが私の気持ちを変えてくれたのです.
最後に,Blizzard エンターテインメントとそこで働く人達には,この件に関して私が最初乱暴で直接に敵対的な口調で対応したことをおわびいたします.その時の感情自体は正直なもので,私はいまだに同じように感じていますが,だからといってああいう形で怒りをぶちまけるのは許されることではありません.二つの間違いが合わさって正しいものが出来たりはしません.私は決して利益のために人にこびへつらったりしませんし,二流の顧客として取り扱われたくもありません.ひょっとすると,そのことで PvM を支持する顧客の多くが今の PK 仕様に対してどれだけ強く不満を抱いているかを彼らに示すために役に立ったかも知れませんが,しかし,私は少し行きすぎました.いくつかの点で私は間違っていました.丁寧な対応でもっと効果的にこの件を取り扱うことが出来たはずです.私は,主張や行動や責任について考え直したり,間違いを認めたり,ポリシーを変えることについて心を開いています.Blizzard さん,あなたはどうなんですか.
- Sirian



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訳注:これは,Sirian の抗議ページを,原著者 Sirian の許可を得て Piko_Poko が日本語に翻訳したものです.
Sirian's Protest Page has been translated into Japanese by Piko_Poko with permission of the original author Sirian.