やさしいアトピー性皮膚炎のお話
良く理解して、さぁ、悩まないで!


1.アトピー性皮膚炎って、どんな病気?

かゆみを伴う発疹が繰り返し繰り返し出現し、肌の乾燥・皮膚の炎症を特徴とします。発疹は顔や首、肘や膝のくぼみに表れやすく、ひどくなると全身に広がることもあります。

約80%の患者さんは、5歳までに症状が表れます。アトピー体質(素因)という遺伝的な要素が関係しています。また、気候の変化・発汗・精神的ストレス・体調・過労・日光などが悪化を促す要素と考えられています。加えて、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の一つであり、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などにかかりやすい傾向があります。

アトピー性皮膚炎


2.世界的に増加するアレルギー疾患

アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎などアレルギー反応が原因で起こる疾患をいわゆる「アレルギー疾患」と呼びますが、近年、アレルギー疾患は世界的に増加傾向がみられます。

厚生省が1992〜1996年に行った「アレルギー疾患の疫学に関する研究」の結果によると、何らかのアレルギー疾患を持っている人は乳幼児28.3%、小中学生32.6%、成人30.6%と、およそ国民の3人に1人がアレルギー疾患を持っていることが判明しています。

また、学童を対象に実施されたアレルギー性鼻炎についての調査では、1970年代の前半には0.8〜2.2%であったものが、70年代後半には4〜10%と、約10年の間に5倍程度増加したとの報告がなされています。

注)アレルギー反応は、体の中に異物が侵入した時に起きる過敏な反応


3.どうやって治すの?

良く似た疾患が沢山あります。まずは皮膚科の専門医を受診し、診断・重症の程度などを確定してもらいましょう。治療は大きく3つに分かれます。

1.原因・悪化因子の探索と除去

乳幼児期は食べ物(卵や牛乳等)がアトピー性皮膚炎の憎悪因子(アレルゲン)となることがあります。しかし、アトピー性皮膚炎と診断されるとすぐに食事制限が必要と考えられる方がいらっしゃいますが 必ずしもそうとはいえません。根拠の無い食事療法は成長期にある子供さんには返って危険なことかもしれません。

乳幼児期を過ぎると、ダニ、ハウスダスト、カビなどの環境的な要素が憎悪 因子となりやすくなります。これらの環境的な要素は生活の中の工夫や努力によってかなり減らすことができます。普段からこまめな掃除を心がけ、室内を清潔に保つことが大切です。特に寝室の掃除や換気は念入りに、また寝具のダニ対策も重要です

2.炎症を予防するスキンケア

アトピー性皮膚炎の患者さんの肌は、健康な人に比べると皮膚の防御機能が弱いのが特徴です。皮膚の炎症を予防するには日常のスキンケアが特に重要です。皮膚を清潔に保ち、水分と油分を補給することで、皮膚をよりよい状態に保つことができます。

・毎日の入浴が大切です。注意点は、強く洗い過ぎない・石鹸は十分に落とす・熱いお湯や刺激の強い入浴剤は避ける、などです。

・保湿剤を効果的に使いましょう。特に入浴の後や、冬季などには、効果的です。

・その他の注意点として、室内は清潔に保つ、適温・適湿を保つ、新しい下着は使用前に洗濯する、すすぎを良くし石鹸分を残さないように洗う・爪を切りなるべく掻かないようにする、などがあります。

・いわき市の小学校だけなのかもしれませんが、学校にいくと必ずジャージに着替えて一日中 食事の時も運動の時も同じジャージを着続けているようです。汗のしみこんだままのジャージを一週間も着続けているお子さんもいるようです。小学校入学前まではよくコントロールされていた子供さんが急に悪くなった例をみることがおおいのはこんなところに原因があるのかもしれません。

3.炎症を抑える薬物療法

皮膚の炎症を抑える目的でステロイド軟膏・非ステロイド軟膏・最近使用されるようになったプロトピック軟膏などの塗り薬を、また、かゆみを押さえる目的で抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬などの飲み薬を処方します。症状・重症度・季節などに応じてきめ細かく薬を調剤していますので、指示通りに正しく根気強く治療しましょう。

アトピー素質をなくすことは難しいことですがアトピー性皮膚炎をコントロールしていくことは可能です。