秋田県内の貴重な昆虫

 2002,11.28更新

 

秋田県内に分布する貴重な植物は約30種であるのに対し、貴重な昆虫は約140種と多い(1987年・秋田県・自然環境管理計画)。その後も毎年新しい種が更新されているが、その中から県内に種の北限地や南限地があるもの、及び生育場所がただ一カ所のものを紹介する。県内には研究者が少ないので、新発見の可能性が大。(成田弘氏の解説参照)

県内で新種4種を初確認 00,11,26
建設省東北地方建設局は、県内の雄物川・米代川・子吉川の3水系と玉川ダム周辺の
動植物を調べる「11年度河川水辺の国勢調査」を発表したが、その中で次の4種が
県内で初めて生息が確認された。
  ・ウスイロアカキリバ(玉川ダム周辺)
  ・カラスナミシャク(玉川ダム周辺)
  ・クロテンキノカワガ(玉川ダム周辺)
  ・フタキボシカネコメツキ(玉川ダム周辺)
また準絶滅危惧種としてレッドデータブックに掲載され、県内では生育地が限定されて
いるエゾゲンゴロウモドキも同ダム周辺で確認された。

最近の発見…平成10年7月中旬、ヒカゲチョウを県農試;佐藤福男氏が田沢湖町で発見(県内118番目のチョウ)これでヒカゲチョウは東北6県全てで生育が確認された。(チョウの新発見は平成5年のキタアカシジミ以来)

絶滅危惧種(6/7・県発表)

絶滅種  
  オジロサナエ
絶滅危惧種
  ホンサナエ
  アオサナエ
  ヒメサナエ
  コシボソヤンマ
  カトリヤンマ
  ヤブヤンマ
  テラニシセスジゲンゴロウ
  トビモンエグリトビケラ
  オツネントンボ
  マダラナニワトンボ
  オオキトンボ
  タガメ
  チンメルマンセスジゲンゴロウ
  ババホタルトビケラ
  ハンエンカクツツトビケラ

◎解説
 県自然保護課は7日、県内の野生植物や淡水魚のうち「絶滅の恐れのある種のリスト」を公表した。
・植物では分布が確認されている約1900種のうち、絶滅20種、絶滅危惧種547種、準絶滅162種。
・淡水魚は生育が確認されている約100種中絶滅1種、絶滅危惧7種、準絶滅危惧6種。
・水生昆虫は成育が確認されている約280種中、絶滅1種、絶滅危惧15種となっている。
 そのうち水生昆虫については、これら絶滅危惧種がどれも同程度に危ないというわけではなく、絶滅寸前のようなものから昆虫についての情報が少ないため、稀な種にあげられたものもある。
 トンボ類は減っているものがあげられ、ゲンゴロウ類は採集された数が少なく、調査の歴史も浅いので、減っているというよりもすごく稀な種という基準で判断したよう。

T,北限地の昆虫

チョウ類
@アオスジアゲハ
…本荘市(幼虫の食草;タブノキがある。タブノキの北限は青森県深浦町なので、生育地の北上もあり得る。今後の観察が重要)。
A
ギフチョウ…由利郡。県内におけるギフチョウの食草はカンアオイだが、日本海側を北上して秋田県に達してから、ヒメギフチョウの食草ウスバサイシンでも生育するようになった。鳥海山麓の生育地にはヒメギフチョウと混在する。
Bジャコウアゲハ…能代市。
            鷹巣町内(太田・糠沢地区の2ヶ所)の米代川堤防で生育を確認
Cクロアゲハ…
大館市・北秋田郡(最近、青森県で幼虫が発見されたという)。
Dヤマトシジミ
…秋田市〜男鹿。

トンボ類
@チョウトンボ…能代市。
Aマダラナニワトンボ…由利郡。
B
アオサナエ…山内村(絶滅寸前)。
Cカオジロトンボ…八幡平・栗駒山系のみ。

甲虫類
@オオイチモンジシマゲンゴロウなど数種…由利郡。
Aマツノマダラカミキリ…男鹿半島(青森県でも見つかったとか?)。

バッタ類
@スズムシ…五城目町(県天然記念物。現在、絶滅状態)。
Aハネナガイナゴ…僅少。

ガ類
@ゴマシオケンモン
Aクロテンキリガ

U,南限地の昆虫

@
ヨコスジヨトウ…天王町。
A
キタヨトウ…天王町。
B
クシロモクメヨトウ…秋田市。

V,県内に生育地一カ所の昆虫

@
ムツアカネ…栗駒山系(僅少)。
A
アオハダトンボ…山内村(僅少)。
B
アオサナエ…山内村(僅少)。
Cオオコツノアリ…園部が森吉山麓で発見
(国内唯一の採集記録)


 
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