2000,11,23掲載 県内の松食い虫被害 2000,11,29更新

        県内の松食い虫被害発生地域
県内の松食い虫被害発生地域 2000,11,28現在
        平成12年11月28現在

     ★被害マップの凡例
      …被害のない市町村
     ■ …マツノマダラカミキリが確認
         された市町村
     ■ …平成12年度被害発生市町村
     …被害発生市町村

     秋田県の資料 平成13年2月現在

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 秋田県内では今、松食い虫(マツノザイセンチュウ)
被害が急速に広がっている。
県内で被害が初めてが確認されたのは、昭和57年、
由利郡象潟町小砂川地区の松林。以来、海岸沿いの
黒松を中心に徐々に北上を続け、被害地域は現在、
48市町村に上る。特に昨年と今年の夏は、2年連続
の猛暑で虫が活発に動き回り、松の赤枯れ被害が激
化した。
 11年度の被害量はピークだった8年度に次ぐ、2万
600立方に達した。本年度は新たに4市町村でも被害
が発見されており、前年度を上回る被害が予想される。


 11月28日の県森林審議会に於いて、仙北郡西木
村で新たに松食い虫被害が確認された。
これで、被害は県内49市町村となった。

 赤枯れを起こすのは、体長1_未満のマツノザイセン
チュウ。松の樹皮を食べるマツノマダラカミキリの体を
媒介して木々の間を移動し、松内部の樹脂細胞を破
壊し、これにより木全体が乾燥、まもなく枯死する。
マツノザイセンチュウは、カミキリムシ一匹の体内に、
平均で約1万5千匹も存在し、一生(4〜5日)の間に
100個あまりの卵を産むとされ、その爆発的な繁殖力
で被害を蔓延させると言う。
 これに対しては、薬剤散布、被害木の破砕や薫蒸、
焼却などの方法が取られるが、木質内部のセンチュウ
のため、なかなか有効な対策がない。
 県や関係市町村では、カミキリムシをおびき寄せる薬
品を入れた「誘因器」を松林内に設置して、監視態勢を
整えたりしているが、松食い虫被害地の北限の地とし
て、防除態勢が喫緊の急務である!

 マツノマダラカミキリは、いろいろな温度別飼育実験の
結果、おおよそ13℃以下の温度条件では卵・幼虫・蛹
とも、ほとんど育たないことが分かっている。
 卵が孵化するまで、幼虫が翌年羽化できる大きさにな
るまで、越冬した老熟幼虫が蛹になり成虫になるまで、
更に成虫が交尾して産卵できるようになるまでに必要な
温度条件「発育有効積算温量」が各発育段階毎に計算
された。その結果、発育限界温量がおおよそ13℃、
一世代に要する有効積算温度はおおよそ1000日度と
推定される。

 この有効積算温量は1000日を超える地域が、理論
的にマツノマダラカミキリの分布・定着可能地域であり、
従来、秋田県平野部〜岩手県南部とされ、同地域の
山岳地帯の他、岩手県中部以北や三陸地方、青森県
では1000日度に満たない地域なので、マツノマダラカ
ミキリが一年で一世代を完了するには温量が足りない
地域のため、分布・定着できない地域とされていた。
 しかし昨年から今年にかけての猛暑や高温で、県内
では鹿角市まで分布可能地域となり、被害の拡大が
危惧される。
 また平均気温が単純に1.5℃上昇すると、青森県
平野部まで1000日度の地域が広がることから、予断
を許さない状況と思う!