01年の生き物ニュース

2002年生き物ニュース

 2002,1,11〜12,26

12/26 花巻地方の松くい虫被害が拡大

 花巻地方の松くい虫の被害は14年度も拡大の一途をたどっている。今年度前期(4〜9月)の被害量は、前年度同期比で2.7倍の約730立方メートルに上っており、既に前年度の被害総量(500立方メートル)を上回っている。地域別には花巻市、東和町に集中しており、今年は大迫町でも初めて被害が確認されている。10月以降も被害木が相次いで見つかっており、被害総量が1000立方メートルを超えるのは必至の情勢だ。
 市町別の被害量は、花巻市で364立方メートル、大迫町で13立方メートル、石鳥谷町で79立方メートル、東和町で273立方メートルに達している。
 前年度同期と比べると花巻市と石鳥谷町で約2倍、東和町では約5倍に急増しており、花巻市と東和町では既に昨年度の総被害量を上回っている。
 被害地域では、花巻市が胡四王山、東12丁目、石鳥谷町は新堀地区、東和町は中内地区などに集中しており、被害はさらに周辺地域に飛び火している。
 各市町では、森林組合に事業委託して被害木の防除作業を進めており、前期は被害木すべてを焼却処分。事業費は1200万円に上った。
 松くい虫被害は、マツノマダラカミキリを媒介して病原体のマツノザイセンチュウがマツの樹内に侵入、枯死させるもの。花巻地方では平成八年に花巻市で初めて確認されて以来、年々被害が拡大しており、今年は大迫町でも初めて被害が確認されるなど、被害エリアが北上している。
 花巻地方振興局管内では、13年度に林業、行政機関が連携して「松くい虫被害情報ネットワーク」を整備したほか、今年度は石鳥谷町と大迫町の監視補助員を増員するなどして、被害の早期発見に努めている。

12/21 カメムシの新駆除剤、市街地でも撒布OK

 富山県農業総合研究センターは19日までに、水稲栽培に深刻な被害を及ぼす害虫カメムシを駆除する新たな技術を確立した。駆除剤を直径2a程度の粒状に固めたものを水田にまく方法で、周囲に成分が飛び散らないことから、市街地の水田でも利用できるのが特徴である
 カメムシは出穂した稲に付着し、栄養素を吸うことで収獲された米粒に斑点を残す。見た目が悪くなることから、米千粒のうち1粒でも確認されると等級が下がり、生産農家にとって駆除対策は水稲栽培の大きな懸案事項とされている
 同センターの調べでは、カメムシの県内発生数は増加傾向にあり、1999(平成11)、2000(同12)年度には大量発生している。県内では、トゲシラホシカメムシ、アカヒゲホソミドリカスミカメの2種類が確認されている
 従来のカメムシ駆除は、水田に粉剤を撒く方法が取られていた。しかし、粉が周辺にも飛散するため、市街地に水田を持つ生産農家は付近の民家に配慮せざるを得ず、カメムシ対策に頭を悩ませていた
 新技術では駆除する成分を水溶性粒剤とすることで、課題を解決。実験を重ねた結果、粉剤を用いた場合とほぼ同様の防除効果が得られた。範囲を限定して散布できるため、作業の省力化にもつながる
 19日までに、農薬取締法に基づいた農薬登録を受けた。出穂時期である来年7月上旬から使用でき、同センターの笠島哲病理昆虫科長は「カメムシ対策はこれまで粉剤に頼るしかなかった。市街地の生産農家にとって朗報になると思う」と話している

12/3 仙台の中学生、自然認識度が低下

 仙台市内の中学生は、身の回りでツバメやホタルの姿を見たり、秋の虫ウマオイの鳴き声を聞いたりと、自然と親しむ機会が、1994年度と比べて減っていることが、市がまとめた2001年度「生きもの認識度調査」で分かった。動植物の認識度は秋保、生出、七郷などの田園地帯で大きく低下する一方、中学生より保護者の方が高かった。
 市環境都市推進課は「都市化が進み、仙台の動植物が減ったことに加え、身の回りの生き物に気付かない中学生が増えたのが要因。環境教育の重要性が高まっている」と話した。市は、調査結果を11日に開催する「生きものフォーラム」で発表し、自然環境への関心を高める方策を探る。

 市はこれまで、74年度と94年度に認識度調査を行っている。今回は昨年11月、市内の中学1年生と家族計3437人を対象に実施。ツバメの姿、カッコウの鳴き声など従来からの動植物9種類に、新たにタンポポ、カエルなど3種類を加え、居住する中学校区内の認識度を調査した。
 「ツバメを見た」と答えたのは全体で48.5%、中学生では46.6%。74年度に比べ約23〜27ポイント、94年度との比較では約4〜6ポイント認識度が下がった。ホタル、トンボ、モンシロチョウなども同様の傾向。セミの鳴き声は全体で85.2%、中学生では83.5%で、94年度よりは回復した。
 認識度の低下が顕著なのはウマオイの鳴き声。「聞いた」は全体で38.6%、中学生では29.9%にとどまり、94年度の全体46.5%、中学生40.7%、74年度の全体74.6%、中学生75.5%と比べ、急激に鳴き声を聞く機会が少なくなっている。
 94年度も調査した9種類の合計について中学校区別に変化を見ると、泉区の南光台東、太白区の愛宕、泉区の将監東などで認識度は上昇したが、若林区の六郷、七郷、太白区の秋保、青葉区の広陵で大きく落ち込んだ。

 調査では「自然に親しみを感じているか」も質問した。中学生では「感じている」「感じている方である」が計51.1%。前回と比べ「感じていない」が増加し、「感じている」が減少した。
 市は「杜(もり)の都環境プラン」の中で、10年度に実施予定の認識度調査では、94年度を上回る数値を目標に掲げている。
 フォーラムは12月11日午後2時から仙台市青葉区のエル・パーク仙台で開かれ、宮城昆虫地理研究会の高橋雄一代表ら5人が、パネル討論する。問い合わせは市環境都市推進課022(214)8242へ。

12/2 移入種の繁殖防止を/環境省がフォーラム

 環境省沖縄奄美地区自然保護事務所(青山銀三所長)は20日、辺土名高校で「野生生物保護の現場から現状と問題点―九州・沖縄の野生生物保護センターのまわりで」と題してフォーラムを開いた。
 同校の多目的教室には生徒や地域住民ら約60人が集まり、沖縄、奄美と長崎県対馬の4つの保護センターの自然保護官が講演。スライドなどを使った講演に聴き入り、野生生物や保護活動について考えた。西表野生生物保護センターの鑪(たたら)雅哉自然保護官は、毒を持ち生態系に影響を与えるオオヒキガエルについて、島内侵入への対策や住民の協力で島内での繁殖防止や駆除に努めていることを報告した。
 対馬野生生物保護センターの山本麻衣自然保護官はツシマヤマネコを取り上げ、えさ場となる山間農地の再現の取り組みやヤマネコの生息状況の把握などの課題を説明。やんばる野生生物保護センターの沢志泰正自然保護官はヤンバルテナガコガネの密猟問題に関し、密猟者の摘発や海外産テナガコガネの密輸対策が必要と指摘した。
 奄美野生生物保護センターの阿部慎太郎自然保護官は、奄美大島の野生生物とマングースの駆除事業について、現状を報告。フリーディスカッションでは、会場からオオヒキガエルの侵入ルートや侵入防止策などについて質問が出た。

11/30 「いのちのまほろば」パネル展示

 環境省や兵庫県のレッドデータブックをもとに、絶滅の恐れがある県内の動植物を追いかけた神戸新聞連載中の企画「いのちのまほろば」のパネル展が28日、神戸市中央区、JR神戸駅南側地下街のデュオぎゃらりー2で始まった。
 同企画は、人知れず姿を消していく身近な生き物の「今」を記録し、共生を目指して、理想のふるさと像を模索する狙いのシリーズ。2002年度の関西写真記者協会賞では企画部門銀賞を受賞し、現在も毎月、第2、第4木曜日に掲載し、連載は55回を重ねた。
 これまで同紙が企画した内、ツキノワグマやアオハダトンボ、マヤランなどの写真と生態を紹介したパネル約40点を展示し、取材班がニュースで紹介した紙面もある。12月10日まで。

11/28 徳島県の「田んぼの生きもの調査」、魚類27種とカエル4種確認

 徳島県は、農業用排水路など水田周辺の生物の生息状況を把握する「田んぼの生きもの調査」の本年度の結果をまとめた。それによると、県内7水路で魚類27種、カエル4種を確認。このうち絶滅の恐れがある県内の野生生物をまとめた県版レッドデータブックに希少種として記載されているスナヤツメ(ヤツメウナギ科)やメダカなど8種が見つかった。
 調査個所は、昨年度から調べている麻名地区(石井、鴨島両町)、以西地区(徳島市)、吉野川地区(徳島、鳴門両市と松茂、北島両町)、那賀川北岸地区(小松島市と羽ノ浦、那賀川両町)の4水路に、今年初めて調べた海部川沿岸(海南、海部両町)、半田用水地区(半田町)、三好南岸地区(三加茂町)の3水路を加えた計7水路。
 6月下旬から9月上旬にかけて、県の農地整備担当職員が水路ごとに5、6地点を選び、投網などを使い魚類とカエルを捕獲。県立博物館に分類してもらった。
 その結果、県版レッドデータブックで「絶滅危ぐI類」に分類されているスナヤツメが海部川沿岸で見つかった。「絶滅危ぐII類」のメダカは麻名、吉野川、那賀川北岸、海部川沿岸にいたほか、ドジョウは那賀川北岸、海部川沿岸で確認された。
 生息環境の変化によって絶滅の恐れがある「準絶滅危ぐ」では、水質のよい川にすむカジカと同じ種類のアユカケが三好南岸に、タモロコ(コイ科)が以西、吉野川で見られた。生息に特定の環境条件が必要な「留意」はヤリタナゴが麻名、以西、那賀川北岸に、カワムツ(同)が以西、モツゴ(同)が吉野川、那賀川北岸でそれぞれ確認された。
 調査は環境と調和した農地整備を進める参考とするもので、昨年度から全国一斉にスタート。県農山村整備課では「思ったほど種類は確認できなかったが、コンクリート3面張りの水路でも段差などで流れがよどむ場所には生物が多いことなども分かった。今後の事業に生かしていきたい」と話している。
 水生昆虫などの調査も、して欲しかったですネ

11/18 大陸のトンボを国内で初めて発見、採取

 富山県射水郡大門町二口のトンボ愛好家で自営業、二橋弘之さん(58)が国内で初めて「マンシュ ウアカネ(イソアカネ極東亜種)」というトンボを高岡市伏木地区で発見、採取した。井 上清国際トンボ学会長ら専門家が確認。23日から都内などで開かれた日本蜻蛉(とん ぼ)学会で報告した。  マンシュウアカネは、アカトンボと呼ばれるアキアカネなどと同じアカネ属。東、北部 ヨーロッパやシベリア西部などに分布するイソアカネの亜種で、サハリンやロシア沿海地 方、中国北東部からモンゴルにかけて生息するとされる。イソアカネより一回り大型で、 羽の前縁部分が黄だいだい色にくすんでいる。  二橋さんは10月4日、希少種の「タイリクアキアカネ」など飛来種を探すため、伏木地 区を訪れ雄1匹を採取。足のもも、すね両方の外側が黄色いことなど、これまで採取した アカネ属と違うため、2男で東京大大学院生、亮さん(24)=千葉県柏市=に連絡。亮 さんを通じ、井上会長ら専門家3人に確認を依頼した。全長四五ミリ、腹から尾までの腹 長は29_。  帰省した亮さん、友人の東京大3年、土畑重人さんと舟橋村舟橋、会社員、荒木克昌さ ん(35)の3人も同月六日、伏木でそれぞれ雄1匹を採取した。4人は日本蜻蛉学会 員。二橋さんと亮さんはこれまで県内で初発見となるトンボを、2人で計8種も確認して いる。  10月1日頃、台風21号が太平洋沿岸を通過して北からの風が強まり、マンシュウア カネなどが大陸から飛来したと考えられる。  トンボは国内に200種余り生息しているが、二橋さんは「国内初の記録とは予想してお らず、うれしい。次は雌を採取したい」と話している。成果は亮さんが学会で発表、近く 学会誌「Tombo」にも掲載する。

10/21 ホタル舞う自然空間を、児童が池を整備

 秋田県雄勝町の院内小学校(齊藤勝志校長、86人)が、「ホタルの水辺計画」に取り組んでいる。同校出身者からの寄付金を基に、5ヵ年計画で生息できる環境づくりを進めるもので、既に池作りが始まっており、児童たちは光が乱舞する夏の夜の光景を心待ちにしている。
  同計画に取り組む発端になったのは、同校出身で元東海大海洋学部教授の山本護太郎さん(88歳、東京都府中市)が雄勝町役場に500万円の寄付を申し出たこと。山本さんの申し出は、「古里の自然も失われてきた。例えばビオトープ(野生生物の生息空間)などで自然環境を整備して、子供たちに観察できる一助にしてほしい」という内容だった。早速、同校児童と山本さんとで手紙の交流が始まり、山本さんのアドバイスからホタルの研究に取り組むようになった。

 同町教育委員会と同校では、1年がかりで「水辺計画」を作成、学校近くの水路を借りて三日月型の池を作ることにした。池の幅は最長2.3b。餌となるカワニナが固着できるよう周辺に石を敷き詰め、河床には珪藻を付着させるための大小の石を配置。さらに護岸には盛り土して草を植える計画。既に6年生18人と父母らが水路を掘り、石を敷き詰めた。
 児童たちは、周辺のホタル発生マップを作成したり、カワニナの観察に取り組んできた。来年秋には、東成瀬村の「ホタルの里」からホタルの幼虫を分けてもらい池に放すことにしている。
 同校では「順調に行けば再来年夏には飛び交うホタルを観察できる。息の長い計画だが、トンボやメダカも放して児童たちが触れ合える自然空間を作っていきたい」と話している。

10/12 南方系ウラギンシジミ岩手県内で初確認

 主に福島県以西に分布するシジミチョウ科のウラギンシジミが、岩手県内では初めて陸前高田市で今夏確認、採集された。南方系のチョウだが1990年代以降、宮城県内で確認されるなど北上の動きがあった。関係者は温暖化の影響で分布域が拡大しているとみている。
 ウラギンシジミは、陸前高田市立博物館の熊谷賢学芸員らが8月22日、同市矢作町で採集した。メスで羽を広げた時の幅は約4.5a。表は黒っぽい地に薄水色の紋があり、裏は一面が白色で、飛んでいるときは銀色っぽく輝いて見える。
 同博物館によると、ウラギンシジミは90年代に入り仙台市周辺などで確認され始め、これまで最も北での確認は、95年の宮城県志津川町での目撃報告だった。
 同博物館の砂田比左男専門研究員は「他のチョウでも北上している状況がみられる。温暖化が影響しているのではないか」と分析。チョウに詳しい北上市立博物館の佐竹邦彦専任研究員も「本県で確認されたのは初めて。温暖化の何よりの証拠だ」と話している。

10/10 ベッコウトンボの生息池が移転計画

 大分市中ノ洲の昭和電工は、同社が所有する6号埋め立て地にあるベッコウトンボの生息池の移転計画を進めている。トンボ研究家によると、ベッコウトンボの生息池の移転は難しく、全国でも成功例はないという。研究家らは、計画の成り行きに注目しながらも「できればそのままにしてほしい」と話している。
 ベッコウトンボはレッドデータブックに絶滅危ぐ種として掲載され、種の保存法で保護の対象とされている。捕獲には環境省の許可が必要など、保護するために法で規制している。県内では、中津市の野依新池や、大分市の6号埋め立て地、新日鉄大分製鉄所の敷地内のため池に生息しているのが確認されている。
 関係者によると、現在、生息池は埋め立て地の遊休地にある。将来の開発に備え、中ノ洲の同社敷地内に移転させることにしたという。環境省には2001年11月、捕獲申請を提出し、許可を得ている。
 その後、新しい池の造成を終えた。トンボの移転は九州大学に委託。現在、池に植物を植え、小さい水生動物を入れるなど、環境が安定するのを待っている。トンボの卵を採取し、大学の研究室でふ化、育成に取り組んでいる。
 同社は「今のところ、トンボ生息地の6号地を開発する具体的な計画はない。しかし、将来、開発が必要になる場合を考慮してトンボの保護を目的に、新しい池を造る検討を始めた。池の移転は難しいと聞いており、まだどうなるか手探りの状態」と話している。
 一方、日本蜻蛉学会の会員で、環境省希少野生動植物種保存推進員の倉品治男さん(大分野生生物研究センター)によると、ベッコウトンボ生息池の移転は、全国の数カ所で取り組まれたが、成功例はいまだに聞かないという。「可能なら今のままの環境でベッコウトンボを保護することができるといいのだが」と話している。
 大分県内には94種類ものトンボが確認されており、全国でもトップクラスの多さ。きれいな水など豊かな自然環境がある証拠とされている。

9/23 クロメンガタスズメ 田辺市で初確認

 トマトやナスなどの葉を食い荒らす熱帯系の大型のガ「クロメンガタスズメ」(スズメガ科)の幼虫が、田辺市で初めて確認された。寒さに弱く、これまでのところ和歌山県内で大発生したという報告はないが、古座川町では数年前から越冬して繁殖している。確認地域が徐々に北上しているとみられ、農作物への被害も予想されるだけに、注意が必要だ。

 クロメンガタスズメの幼虫が見つかったのは、田辺市湊八幡町の民家の庭。鉢植えのユウガオに4匹の幼虫がつき、葉を食い荒らしていた。幼虫は黄色で、体長約12a。住人が16日、同市稲成町動鳴気のひき岩群ふるさと自然公園センターに持ち込み、昆虫に詳しい南紀生物同好会副会長の後藤伸さん(田辺市秋津町=72歳)が確認した。

 古座川町では平成10年から毎年見つかっている。同会会員の谷幸子さん(同町池野山=54歳)によると、昨年冬には、地中約20aのところに潜ってサナギになっているのを確認した。10年当初、食害に遭ったのはトマトとナスだけだったが、今年はゴマやアサガオの葉も食い荒らしているという。
 谷さんは「この幼虫は同じところばかり食べず、少しずつ食い荒らしていくので見つけにくい」と話している。

 新宮・東牟婁地方をカバーするJAみくまのは「ナス科の植物、特にトマトを好んで食べているようだ。大きな被害はこれまでのところ聞かないが、食害に遭ったという農家の声は、徐々に増えてきている」と話している。

クロメンガタスズメ
 羽を広げた大きさが約10aの大型種。成虫は胸背に人面模様があるのが特徴で、色は黒と黄色。幼虫は若齢が緑色だが、老齢になるにつれ黄色に変わる。東南アジアやインド、北アフリカなどの熱帯、亜熱帯に広く分布している。国内では南西諸島から九州に生息。四国などでも確認例がある。

9/21 学者も注目、チョウ寄生のハエを研究

 チョウのオオゴマダラの幼虫に寄生するハエについて那覇市の高良優樹君(10歳、真嘉比小学校5年)が観察・研究を続けている。この寄生バエは和名もなく、これまであまり知られていなかったことから、専門家からも高良君の研究に関心が集まっている。
 高良君が寄生バエに気づいたのは2年前の秋ごろ。大好きなオオゴマダラの幼虫の体内を破って別の幼虫が出てくるのを発見し、採集したらハエが羽化したことが分かった。「オオゴマダラを減らしたくない」との思いから、高良君はそれ以降、家の庭や本島中北部などでオオゴマダラと寄生バエの観察を始めた。
 採取した寄生バエを標本にして、鑑定してもらった結果、ドリノインコスピチオイドスと呼ばれるハエと判明。
 高良君によると、「ドリノ」は幼虫をオオゴマダラの体内に寄生させ、体を食い破ってサナギになり羽化するという。
 鑑定した九州大学大学院の嶌洪教授は「『ドリノ』は今まであまり研究対象となっておらず、オオゴマダラへ寄生するという話も聞いたことがない。研究する価値はある」と述べている。
 高良君によると、今夏はオオゴマダラなどのチョウが減少する一方、「ドリノ」などの寄生バエが増えているという。「他の人にもチョウの魅力と寄生バエの恐ろしさを知ってもらいたいから早く発表できるように頑張りたい」と高良君は奮起している。

9/18 アサギマダラ、宝達山頂に飛来ピーク

 日本列島を縦断しながら世代を繰り返すチョウとして知られるアサギマダラが、石川県押水町の宝達山山頂で群飛のピークを迎えている。生態的には未知の部分が多く、長距離移動する力強さがどこにあるのかなど謎を秘めたチョウだけに、県内外の愛好家がその優美な姿の観察に目を凝らしている。
 アサギマダラは茶色に淡いブルーの斑点が特徴で、羽を広げると10a前後。激しく羽を動かさず、体の割に大きな羽でハンググライダーのように風に乗って移動する。アキアザミやコシアブラの花のみつを吸い、ブナ林で一晩羽を休め、翌朝、次の飛来地へと移動する。
 南方から気温の上昇に伴って北上し、東北地方で産卵。8月には羽化し、9月から標高300b以上の山地を移動しながら南下する。石川県内では宝達山のほか、白山や石動山、医王山、鉢伏山で見られる。鹿児島県種子島や沖縄県宮古島、台湾などに移動した記録がある。
 宝達山頂では毎年、県内のチョウ愛好家により1000頭以上が確認されている。10年以上調査を続けている百万石蝶談会の松井正人さん(47歳、金沢市)は今年これまでに237頭を確認している。アサギマダラは10月初旬に一斉に南下を始め、県内から姿を消す。

9/10 環境副読本「ふるさとのトンボは今」が完成

 秋田県大館市の自然保護団体「大館自然の会」(明石良蔵会長)の環境学習副読本「ふるさとのトンボは今」が完成した。全労済の「第10回全労済助成事業(環境問題)」から50万円の助成を受けて2000部作ったもので、市民の森など生息地に足しげく通って撮りためた40数種のカラー写真を100枚以上掲載。捕食や産卵の様子など生態系の中に息づく営みも紹介している。希望する学校などに寄贈する予定。
 「トンボ生息地の復活と保全」を合言葉に、トンボ公園(市民の森内)の造成などをしている同会が昨夏から2年がかりで作った。
 ふんだんに使われている写真は景観も合わせて約120枚。同公園や芝谷地、長木川など市内の生息地にいるほとんどの種が写っているという。
 県内で初めて生息が確認されたルリイトトンボや、原種に近いムカシヤンマなど貴重種も掲載。飛行ルートを予想し、粘り強く待ったかいがあって、撮影が難しい飛行中の様子を撮ることにも成功した。
 一番の労作はオニヤンマ。飛ぶスピードが速いため、36枚撮りフィルムに1枚も写っていないことも。生息地3ヵ所に計10回は通った。躍動感にあふれた姿が表紙にほぼ実物大で載っている。
 トンボがハエを食べる様子や、天敵に食べられる様子、交尾、産卵など生々しい自然の営みも掲載。食物連鎖の厳しい状況の中で生きていることを知って欲しいと言う。

9/6 能登島で日本初のマルカメムシ

 石川県ふれあい昆虫館の富樫一次館長が能登島町で採取したカメムシ目マルカメムシ科の1種が、日本で初確認であることが四日までに分かった。マルカメムシ研究の第一人者である国立科学博物館(東京)の友国雅章博士に鑑定を依頼した結果、日本に生息している12種類とも違い、初めて確認された品種、との鑑定結果が出た。
 マルカメムシは平地に生息していると言われ、富樫館長は1996年7月、能登島町佐波の海岸沿いの雑草地でメス1匹を採取した。体長約4_、全体は茶褐色だが、胸から頭部にかけて黄色のはん紋があり名前の通り丸い体形をしている。
 図鑑で調べても正確な名前が分からず、この7月に標本を友国博士に持ち込み鑑定を依頼していた。その結果、国内で確認されている12種のマルカメムシ科とも合致しないことが判明した。また、中国大陸で30種類が確認されているが、それとも一致せず、友国博士は「北陸で日本未確認の種類が見つかったのは予想外だ。名前の確定にはもう少し時間がほしい」と驚いている。

9/1 雌雄モザイク個体のクワガタ捕獲

雌雄モザイクのノコギリクワガタ 鹿児島市田上町で左半身がオス、右半身がメスのノコギリクワガタが見つかった。ひとつの体にオスとメスの染色体が共存する「雌雄モザイク個体」と呼ばれ、自然界では数万〜数百万匹に1匹の確率という。
 見つけたのは同市西陵5丁目の東條文春さん(18歳、鹿児島高専3年)、辰広さん(13歳、西陵中2年)の兄弟といとこの迫田大輔さん(27歳、星ケ峯3丁目)。14日夜、3人で同町内の雑木林にクワガタ捕りに行き、クヌギの木を揺らしたところ、木の幹から落ちてきた。
 「はじめは角が折れたものと思ったが、よく見るとメスの角があった」と迫田さん。辰広さんも「目の位置や足の長さが違ってびっくりした」。クワガタは現在、迫田さんの自宅で大切に飼育されている。
 県立博物館の廣森敏昭学芸主事と成見和總学芸指導員によると、この体形は親の染色細胞に核が2つあることなどが原因。同博物館が発見を確認したのは1986(昭和61)年以来、5匹目という。角以外にも、体色や足、触角の長さも違うという。

8/30 三沢市仏沼湿地で希少種トンボ発見!

 希少種の野鳥オオセッカの繁殖地として知られる三沢市仏沼湿地で、絶滅状態にあるとされるオオキトンボが確認された。25日、同市に住む親子が観察、写真に収めた。
 オオキトンボは、環境省のレッドデータリスト絶滅危惧II類に分類され、県レッドデータブックAランク(最重要希少野生生物種)に指定されている。
 撮影したのは、県自然観察指導員連絡会会員の三沢市大町1丁目、安藤一次さん(49)。安藤さんは夏休み最後の日曜日、小学校1年生の二男諄(まこと)(6歳)と一緒に仏沼でトンボやバッタの観察をしていた。諄君が黄色いトンボに気付き、安藤さんが撮影、採取して種を確認後、放した。
 オオキトンボは木造町などで生息が確認されているが、個体数が極めて少なくほとんど絶滅状態にある。

8/28 病害虫防除の貴重な資料展示

 北上市成田の岩手県立農業ふれあい公園農業科学博物館で、企画展「農薬が少なかった時代の病害虫防除」が開かれている。病害虫を捕獲するための農具をはじめ、農薬を散布するために改良が重ねられた噴霧器の数々など、県内の農家で実際に使われていた貴重な資料およそ30点を展示。9月29日まで。
 企画展では、通常は展示していない収蔵資料の中から、「病害虫防除」に関連した農具をメーンに選んで展示し、戦後の新農薬の普及に前後させながら、農作業の変遷を分かりやすく伝えている。展示された農具は、いずれも県内各地の農家で実際に使われていたもの。
 殺虫効果のある農薬が普及していなかった戦前には、病害虫を捕獲するために工夫を凝らした農具が使われており、稲作では、さおの先に半円柱の金網を取り付け、稲をなでるように水平に振ることで、葉に付着した害虫をすくい取るという地道な作業が、一般的に行われていた。
 この農具は、イネドロオイムシという害虫の名前から「どろおいとり」と呼ばれ、同企画展でも実物を展示。また、苗代に種まきした後、種の腐敗を防ぐため、種を土中に埋めるために使われた「鎮圧器」なども展示されている。

8/22 アリモドキゾウムシ、久米島で根絶確認

 2002年度の沖縄県特殊病害虫防除対策本部会議(本部長・天願貞信県農林水産部長)が20日、那覇市のサザンプラザ海邦で開かれた。会議ではアリモドキゾウムシ、イモゾウムシについて不妊虫放飼の防除効果を示し、根絶に向け順調に進んでいることが報告された。久米島町で実施するアリモドキゾウムシ根絶事業は、県の調査では根絶が確認され作業を終了し、近日中に国の確認調査に引き継ぐ。
 本島南部3市で13年ぶりに発生が確認されたミカンコミバエについて県のミバエ対策事業所から「糸満市でゼロ確認など収束に向かっている。あと一歩の防除協力を」と協力要請があった。
 5月17日に豊見城市で誘殺確認されたミカンコミバエは、豊見城市の38カ所、糸満市の5ヵ所、那覇市の14ヵ所で果実への寄生が確認された。
 その後、7月31日の調査で豊見城市が3カ所、7日は糸満市でゼロなど、防除対策で収束に向かっている結果報告があった。
 一方、01年度は42トラップで44匹が確認されるなど、急激な再侵入増加が確認された。参加者から「防除には多額の費用がかかる。侵入経路の特定が必要だ」と意見があがり、植物防疫所や地区税関など関係機関の連携で水際防除の徹底を確認した。
 02年度も引き続きウリミバエの不妊虫放飼など防除対策を継続するとともに、本島南部で地上防除の回数を増やす。またイモゾウムシをわなに誘引するのに、イモに代わり光を利用することなどが報告された。

8/17 クマゼミ大量発生、温暖化影響で分布域拡大?

 茅ケ崎市内の公園で今夏、クマゼミが大量発生していることが15日までに、同市内の市民グループの調査で分かった。これまでに抜け殻が400個以上見つかっている。クマゼミは、県内では県西部と三浦半島で発生が確認されているだけで、専門家は「クマゼミの北限が同市域まで広がっている。温暖化の影響の可能性が高い」と分析している。
 クマゼミの大量発生が確認されたのは、JR茅ケ崎駅の北約400bに位置する同市立の「中央公園」。広さ約4万uの公園内には、クロマツやケヤキ、シラカシをはじめとする中高木など数千本が植栽されている。
 市民グループ「茅ケ崎野外自然史博物館」(森上義孝館長)などの調査によると、羽化の時期とされる7月23日から8月11日までに、公園内のケヤキの大木周辺を中心に雄159、雌240、雌雄不明3の計402個のクマゼミの抜け殻が発見された。
 確認できていない高木の抜け殻を含めると500匹程度のクマゼミが発生しているとみられている。同公園では昨年、19個の抜け殻が見つかっているが、うち2個は一昨年の個体だという。
 同グループによると、今夏はほかにも、市内浜見平で5個のクマゼミの雄の抜け殻が見つかっている。
 クマゼミは、南方系で国内セミ類最大の体長4〜5a。関西を中心にした暖地に多く、「シャアシャア」という鳴き声が特徴。県内ではクマゼミの分布はこれまで、大磯町と平塚市の境を流れる花水川以西の沿岸部と三浦市の城ケ島とされていた。
 グループ顧問の岸一弘さんによると、「3年連続で発生していることは確かで、自力で分布域を北に広げ定着している。要因は温度条件しかあり得ず、温暖化が引き起こした現象ではないか」と指摘。来年以降も調査を継続する方針だ。
 県立生命の星・地球博物館学芸部長の高桑正敏さんも「ほとんど個体が見つかっていなかった茅ケ崎市内で400という数の多さは羽化を裏付け、驚きだ。クマゼミの生息エリア入りするほど、暖かくなっていることを示している」と説明している。

8/10 河川敷にトンボ池2号 中村市・四万十川

 高知県中村市岩崎の四万十川河川敷に、トンボが生まれる“ふるさと”となる「トンボ池」の第2号が完成。8日は小学生が周辺にヨシ類を植え、池の仕上げ作業を行った。
 国土交通省中村工事事務所が四万十川自然再生事業の一環として、先月から工事を進めていた。岩崎地区の河川敷はもともとトンボの成育に適した湿地帯であり、同工事事務所は昭和57年にトンボ池の第1号を整備。現在は池の周囲に人の背丈を超える草が茂り、トンボが羽化する絶好の場所になっている。
 今回完成した2号は、1号とゲートボール場を挟んで隣接している。広さは約300uで、深さ30〜50a。設計にあたっては、同市の「トンボと自然を考える会」の杉村光俊・常務理事のアドバイスを受け、底に緩やかなこう配をつけるなど、より“トンボに優しい”構造を目指した。
 池の水は市街地に降った雨水が排水管で流入してたまる仕組み。今後、雨水や四万十川の伏流水で池が自然に満たされるのを待つ。
 この日の仕上げ作業には、市スポーツ少年団の小学生ら約50人が参加。トンボのふるさととなるよう願いながら、大人は池の底に川砂を敷き、児童はヨシ類を1本1本植えた。

7/31 県内で初の幼虫、「貴重なデータ」と専門家

 神奈川県内では生息の確認が極めて珍しいとされる昆虫ヒサゴクサキリ(キリギリス科)がこのほど、藤沢市遠藤で発見された。見つかったのは幼虫の姿で、県内では初めてとされる。動植物に詳しい専門家は「幼虫の発見は、発生場所をも特定する貴重なデータ」と分析している。
 発見されたのは、ヒサゴクサキリの雌で、成虫へ脱皮する直前の終令幼虫という。体長は産卵管を含め約5a。茅ケ崎市の香川公民館主催で27日、藤沢市遠藤の笹窪(ささくぼ)谷戸で行われた自然観察会で、参加者が、竹の一種モウソウチクの幹にいるのを発見した。
 ヒサゴとはヒョウタンの意味で、顔を正面から見ると下部の膨らんだ形がヒョウタンに似ていることから、ヒョウタンキリギリスの意味で名付けられているという。
 県のレッドデータ生物調査報告書などによると、ヒサゴクサキリは、南方系の種で、竹類ササ群の一種メダケを食草とする。小さな声で鳴くため発見しづらい。伊豆半島南部で多く確認されているほか、房総半島でも生息が知られているが、県内ではともに1993年に、小田原市酒井と平塚市浜口でそれぞれ1匹ずつが採集されたのみで、県の希少種に指定されている。
 市民グループ「茅ケ崎野外自然史博物館」(森上義孝館長)メンバーの岸一弘さんによると、その後、2001年に、茅ケ崎市赤羽根で雌の成虫1匹が発見されているが、幼虫の発見は、県内では今回が初めてという。
 岸さんは「幼虫の発見は発生場所を示すことになり貴重。メダケの葉しか食べないとされるが、発見場所にメダケがあったかどうかは確認できず、生態もまだよく分かっていない。今後の調査に期待したい」と話している。

7/30 徳島県内のチョウ生息状況などを紹介

 チョウ愛好家らでつくる徳島蝶の会(事務局・鴨島町知恵島)が、初の会誌「蝶報徳島」を発刊した。徳島県内のチョウの生息状況や研究の歴史、珍チョウ発見にまつわるエピソードなどについて会員が紹介。保護の必要性などを訴えるのが目的で、一般向けにも販売している。年1回発行する予定。
 「蝶報徳島」はA4判、50ページ。300部作製した。県内のチョウ111種類を「分布している」「分布しているが個体数は少ない」などに4分類し、生息状況が一目で分かる一覧表を掲載。土成町内の採集ポイントの紹介、県内の研究の歴史をまとめた「徳島とチョウ50年 私の回想録」、四国にいないとされていたダイセンシジミ(別名ウラミスジシジミ・シジミチョウ科)を美馬郡内の山中で発見した際のエピソードなどを会員ら23人が寄稿している。
 同会は2000年12月に設立され会員は28人。チョウを中心にした昆虫の調査や研究、保護などを目的に月1回、会合を開くなどしている。会員の研究発表の場を設けるとともに県内の生息状況を記録として残し保護活動に生かすために、会誌の発刊を計画。昨年5月から会員に投稿を呼び掛けるなどして、準備を進めていた。
 同会によると、森や里山などが道路工事や宅地開発などで減り、チョウの生息環境は悪化する一方。小川昌彦代表は「保護活動がますます重要になっている。5年に1回程度は生息状況などをまとめて、一般向けに出版したい」と話している。

7/26 高山チョウDNA調査 信大教授ら保護の在り方提言へ

 絶滅の恐れがある県内の動植物を冊子にまとめる「県版レッドデータブック作成委員会」(委員長・清水建美信大名誉教授)と信大の理・農・医学部の教授らがこのほど、県内の高山にすむチョウのDNA調査に着手した。来夏までの2シーズンの間に10種類について遺伝的な独自性や多様性を調べて絶滅の可能性を探り、保護の在り方などを提言する。対象は、主に標高1,500b以上の亜高山帯・高山帯に生息するクモマツマキチョウ、ベニヒカゲ、タカネキマダラセセリなどで、全種類が県天然記念物に指定されている。

 調査は環境省や県の許可を得て、北アルプスや八ケ岳など6山域で行っており、採取には信州昆虫学会の会員らも協力。高山帯と低地で羽の色などの形態が異なるアサマシジミは、諏訪市や北佐久郡軽井沢町でも採取する。
 下界から隔離された高山のチョウは、何世代にもわたって一定の山域内で繁殖を繰り返しているため遺伝的多様性が少なく、環境の変化に弱いとされる。また、特定の環境に適応できるよう、独自の遺伝的形質を持つようになっているとも考えられている。
 このため、今回の調査ではチョウの細胞からDNAを分析。遺伝的な多様性の大小を調べて絶滅の可能性を測定、重点的な保護につなげる考えだ。また、特定の山域の個体群がいつごろ隔離されたのか、進化の過程も推測する。

 調査をしている藤山静雄・信大理学部教授は「温暖化や紫外線増加で山の環境バランスは崩れかかっている。希少種を絶滅させないためにも、最新の科学手法で現状を把握したい」と話している。採取したチョウのデータは2004年3月発行予定の「県版レッドデータブック無脊椎動物編」に遺伝情報に関する特記事項として載せる予定だと言う。

7/25 台風の置きみやげ? 「アサギマダラ」ニセコに

 道内では観察例がごく少ない大型のチョウ「アサギマダラ」を、札幌市南区の写真家梅沢俊さん(56)が後志管内ニセコ、倶知安両町などにまたがるニセコアンヌプリ(1,308b)で撮影した。本州から南風に乗って道内まで渡って来るチョウだが、道南より北で7月に見られるのは珍しく、久万田敏夫・元北大教授(昆虫分類学)は「7月上旬から中旬にかけて北海道に接近した台風の風に乗って、一足早くやってきたのかもしれない」と話している。
 梅沢さんによれば19日昼、標高900bほどの登山道脇でコガネギク、ハナニガナなどの花から花へと飛び移り、蜜を吸っていた。黒地に薄水色の斑紋がある美しい上羽が特徴で、羽を広げると12aほどになる成虫だった。
 アサギマダラは本州南西部から梅雨前線の南風に乗り、繁殖を続けながら北上する。1999年5月には釧路管内厚岸町で見つかったこともあるが、道南より北での観察例は大半が8月以降だ。

7/19 珍チョウ「カバマダラ」今年も飛来

 鹿児島県川内市久見崎町の公民館主事、渋谷誠さん(67)が南方系の珍チョウ、カバマダラを撮影した。
 カバマダラは、沖縄本島や八重山諸島、奄美大島などに生息するチョウで、羽を広げた大きさは7−8a。羽はオレンジで、先端部分が黒地に白の斑点模様。頭部や胴体部分も白の斑点模様になっているのが特徴だ。
 渋谷さんによると、5、6年前から同町で見られるようになり、今年は7月4日に初めて見つけたという。
 渋谷さんは20年ほど前、神奈川県内の女子大でチョウの生態を教えた経験を持つ専門家。現在、自宅の約千坪の庭にフジバカマやトウハタなど約30種類、数百本の花を植え、飛来するチョウの観察を続けている。年間を通して64種類のチョウが飛来。今の時期は、モンキアゲハやナガサキアゲハなど10種類が観察できるという。
 渋谷さんは「今年もまた美しいチョウが見られてうれしい。最近、南方系のチョウが多いのは地球温暖化の影響かも。興味のある方はどうぞ見に来てください」と話している。滄浪公民館・渋谷さん=0996(27)3159。

7/18 ミカンコミバエ確認、豊見城、糸満は収束

 かんきつ類の重要害虫で、沖縄県内から根絶されたミカンコミバエの寄生果実が豊見城、糸満、那覇の3市で見つかった問題で県は17日午前、JAや農家からの問い合わせに追われた。豊見城、糸満の両市については、7月の調査で疑いのある果実がなくなったことからほぼ収束したと判断。那覇市では同月も7個が見つかったが、2〜3週間をめどに根絶できるとみている。ミバエの根絶宣言は、幼虫・成虫の個体が最後に発見されてから2世代(2〜4ヵ月)経過することが必要となるため、最短で9月末ごろになる見通し。

 沖縄県農林水産部は「果実はすべて民家から発見されており、農家が出荷用に栽培したものについてはまったく問題ない」として不安の沈静化に努めている。
 今後も、オスの成虫を強力に引き付ける化学物質を染み込ませた「テックス板」を発生地域に大量投入し、防除を徹底。メスに関しては、ミバエの栄養分のプロテイン剤を特定の昆虫だけに作用する殺虫剤と混ぜ、果実の葉裏に塗る防除法を取る。
 その上で県農水部は「万全の態勢を取っている。限定的な被害であり、過剰な心配をする必要はない。ウジの発生など異常な果実が発見された場合は直ちに関係機関に連絡してほしい」と呼び掛けている。

7/12 カマキリ博士に援軍

 昆虫や動物はなぜ自然災害を予測できるのか―。カマキリの卵の位置で最深積雪予想を行う新潟県長岡市の会社社長、酒井与喜夫さん(67)の研究に、今年から新潟県建設技術センター(熊谷幸夫理事長)が全面支援することになった。センターは酒井さんが開発した音響測定器を使って科学的な見地から今後検証を行っていく。センター職員7人は8日、酒井さんから測定技術を習うため小千谷市で調査実習を行った。
 酒井さんは単独で調査してきたが、年齢などを理由に15年間続けた「冬を占う」という積雪予測冊子を2001年度版で終了する予定だったと言う。

7/10 珍チョウ保護で科学技術教育の最高賞

 岩手県紫波郡紫波町中島の元盛岡農高教諭牧一郎さん(40)は第4回科学技術教育に関する実践レポート(科学技術教育協会主催)の同協会会長賞を受賞した。チョウセンアカシジミをテーマにした農業、環境教育で地域に密着した活動と高く評価された。現在、滝沢村の国立岩手山青年の家に勤務する牧さんは「より幅広い保護活動を」と夢を膨らませている。
 科学技術教育協会は文部科学省の外郭団体で年1回学校現場における科学分野の実践レポートを募集。今年は全国の小、中、高校教員から38点の応募があり、牧さんの論文が最高賞に当たる同協会会長賞に輝いた。

 牧さんのレポートは、盛岡農高生物工学科の生徒の提案で始めた珍チョウ、チョウセンアカシジミの研究・保護活動を環境保全型農業の理解へと導いた教育実践をまとめた。
 チョウの食樹デワノトネリコの培養や、自然条件下での人工ふ化など学術的に大きな成果を挙げ、自治体や市民団体、大学などと連携、地域に密着した保護活動も高く評価された。
 同科の生徒は昨年、第38回日本学校農業クラブ全国大会最優秀賞をはじめ複数の賞を受賞。論文応募はこれらの大会主催者に勧められた。全国の農業高校長で組織する全国農業高校長協会からも功績表彰を受けた。
 牧さんは4月から国立岩手山青年の家に専門職員として勤務。敷地内にデワノトネリコを植樹し、盛岡農高の協力を得ながら、全国から訪れる利用者に向けた環境啓発事業を計画している。

7/2 宮古市田代川でチョウセンアカシジミ観察会

 国内では岩手、山形、新潟のごく一部の地域だけで生息が確認されているチョウ、チョウセンアカシジミの観察会(宮古市教委主催)が30日、岩手県宮古市田代の田代川流域で行われた。
 この日は、市文化財保護審議委員で、民間のボランティア団体「チョウセンアカシジミの会」代表の尾形洋一さん(49)が講師となり、チョウの一生や生息に適した環境などを説明し、田代川流域を約2時間観察した。参加者たちは食樹のデワノトネリコの葉の上で羽を休めるチョウの姿を写真に収めていた。
 チョウセンアカシジミは羽を広げたときの長さが3pほどの小さなチョウ。自然破壊などにより、生息数が激減し、市民による保護活動の輪が広がりつつある。田代地区の昨年の産卵数は、前年の3倍増となった2000年並みの4,741個だった。

6/29 札幌都心にミツバチの大群

 デパートやビジネスビルが立ち並ぶ札幌市中央区の中心街に27日午後、1,000匹ほどのミツバチの大群が突然、現れた。通行人は「怖い」「気持ち悪い」とスクランブル交差点を右往左往。けが人はなかったものの、文字通り「ハチの巣をつついたよう」な騒ぎとなった。
 同区地域保健課などによると、女王バチが働きバチを連れて古巣を出て新しい巣を作る「分封」(ぶんぽう)の途中、女王バチの”気まぐれ“で市街地に出てきたらしい。目撃者の話では、午後2時頃、交差点の歩行者の頭上を覆うように飛び交い始め、1時間ほどして付近の歩道の自転車のかごにとまり、直径約20pの塊となった。
 刺激しなければ人に危害を加えることはないものの、警察官が出動し歩道を一時通行止めに。午後4時すぎ、業者がハチの塊に袋をかぶせ殺虫剤で駆除した。近くのビルの関係者は「こんな光景は初めて」と心配そうに見守っていたが、記念写真を撮る通行人もいたと言う。

6/28 新種のカブトムシだった 南大東島で45年前採集

新種のヒサマツサイカブトムシ 南大東島で約45年前に採集された昆虫が国内で珍しい新種のカブトムシであることが分かり、長野県木曽福島町の民間昆虫研究家、永井信二さん(54)が26日までに日本昆虫分類学会会報に発表した。
 1957年に採集された体長4.8pと4.9pの雌2匹で、標本を保管していた久松定成・元愛媛大教授の名前から、和名「ヒサマツサイカブトムシ」と名付けられた。
 永井さんは、沖縄に生息する「タイワンカブトムシ」などに比べて赤みがかっていることや、胸のくぼみの形の違い、ずんぐりした体形などから新種と判断した。現在まで、ほかに採集例はないという。
 久松元教授は「南大東島は離島なので新種が見つかる可能性が高い。日本で新種のカブトムシが見つかるのはこれが最後でないか」と話していると言う。

6/26 ミヤジマトンボ羽化シーン撮影に成功

 広島県宮島町にだけ生息するミヤジマトンボの幼虫から飛び立つまでの羽化シーン撮影に、山口市中央の希少昆虫研究家の有近邦夫さん(50)が初めて成功した。
 環境省のレッドデータブックに危急種として記載されているトンボ。6月初旬の未明から夜明けにかけ、干潮時の浜辺で8匹の羽化を確認した。
 有近さんは、日本蜻蛉(とんぼ)学会会員でミヤジマトンボの保護委員でもある広島市中区の鍵本文吾さん(43)と調査。ヒトモトススキの生い茂る湿地に入り約5時間にわたる羽化を50カット近く撮影した。
 羽化は7月下旬まで続く。度重なる台風や山火事で生息場所が荒れ、一時は絶滅の恐れがあった。県や町が、湿地を復元するなどの工事を施し、徐々に生息環境は復元しつつあると言う。

6/25 佐野の犬伏幼稚園児が蚕飼育 繭玉作り真っ最中

 佐野市犬伏下町の犬伏幼稚園で、今年も園児たちが飼育している蚕が順調に育ち、繭玉作りの真っ最中。
 同園では、虫の生態と命の尊さを学んでもらおうと、7年前から園児による飼育を始めた。今年も5月下旬に県農業試験場南河内分場から教材用の蚕を譲り受け、クラスごとに育てている。
 餌となる桑の葉は園の農園から運び、園児たちが毎日与えて成長を見守ってきた。卵からふ化させ約1ヵ月。現在6pほどに育った1,500匹の蚕は、「マンション」と名付けられた「まぶし」に移され、順調に繭玉を作り始めている。
 きれいに出来上がっていく繭に園児たちも大喜びで、「最初は気持ち悪かったけど、今はかわいい」と、うれしそうに話していると言う。

6/22 北会津・ホタルの森公園、舞う夏の光

 21日は24節気の1つ、夏至。福島県北会津郡北会津村中心部にあるホタルの森公園では、ゲンジボタルが毎夜、乱舞している。
 村はホタルが生息する環境の保全に力を注いでいる。 公園のホタルは「北会津村ホタルの里をまもる会」のメンバーらが幼虫の育成や環境美化などに取り組んだ成果として、村のシンボルとなっている。
 今年は好天が続いたため、例年よりも早めにホタルが飛び始めた。 訪れた人は暗闇の中の幻想的な光に酔いしれた。

6/15 架空の環境省名「昆虫採集許可証」 白馬村で発見

 長野県北安曇郡白馬村で、環境省の名を無断で使った架空の「昆虫採集許可証」が見つかり、同省は、マニアなどの間で悪用されている可能性があるとして、県や森林管理署などに注意と情報提供を呼び掛けている。
 同省中部地区自然保護事務所(南安曇郡安曇村)や大町署によると、許可証は、今年4月下旬、同村北城の平川上流で拾われたリュックサックの中にあった。約10p四方の白い紙には、実在しない「環境省昆虫類分布調査課」や、「分布生息確認のため採集を許可する」「ただし特別天然記念物を除く」「長野県、富山県、群馬県、岐阜県における高山種は1♂1♀とする」という名前や文章が印刷されていた。
 「許可者名」も記入され、顔写真も張られていたが、実在の人物かどうかは不明という。
 同事務所によると、平川上流は一部が中部山岳国立公園の第一種特別地域に含まれる。同地域での昆虫採集に自然公園法上の規制は無いが、特別保護地区では同省の許可が必要。架空の許可証を使って、特別保護地区で昆虫を採れば、同法違反になるという。
 村教委などによると、平川流域には同省が「レッドリスト」で準絶滅危ぐ種に分類するチョウのクロツバメシジミや、ガの一種アズミキシタバの食草の群生地がある。同村内ではギフチョウやヒメギフチョウを採る人が絶えず、ボランティアが巡回、監視している。

6/14 ホタルの乱舞に歓声 「自然体験講座」開講−静岡県川根町教委

 4月から始まった学校週5日制に合わせ、静岡県榛原郡川根町教育委員会は町内の小中学生を対象にした自然体験講座「かわねチャレンジクラブ」をこのほど、開講した。同クラブは「人・もの・自然とのふれあい」をテーマに、年5回、講座を開く。
 初回はホタルの観賞会を同町笹間上の笹間保育園で開き、町内の親子連れ約80人が参加した。ホタルの人口飼育を手掛ける榛原郡金谷町金谷河原の大石勇さんがホタルの成長する過程や、「なぜ光るのか」などを説明。子供たちは実際にホタルを手に取って観察した。
 その後、参加者は近くの笹間川でホタルを観賞。子供たちは乱舞するホタルに歓声を上げ、「ホー、ホー、ホータル来い」の歌も飛び出した。

6/8 オオムラサキの羽化始まる 広島県府中市

 国チョウのオオムラサキが、府中市僧殿町の人工保護ネット内で羽化を始めた。サナギの殻を破り、青紫色の羽を開くまでの2分余りの営みを繰り広げている。
 エノキの葉にぶら下がったサナギ(体長6a)の背中が、縦にひび割れた。乾いた音を立て、まず姿を現したのは頭と触覚。縮んだ羽を少しずつ開く。5時間近く乾かすと、10aを超える羽を広げ飛び立っていく。
 「昨年は幼虫の餌になるエノキの葉をマイマイガに食われたが、今年は順調」。22年前からネットを設け、人工繁殖に取り組む「オオムラサキを守る会」の後藤功会長(55)は目を細めた。7月末までに1000頭くらい羽化しそう、という。

5/31 希少種チョウ「オオムラサキ」復活作戦

 石川県が欧州の事例を参考に進める休暇を利用した里山保全活動のモデル地区、金沢市夕日寺健民自然園で、かつて周辺を舞っていた希少種のチョウ「オオムラサキ」の復活作戦が始まった。県は29日までに、防鳥ネットを張り巡らせた保護・飼育用ケージ(かご)を園内に設置し、県内で捕獲した幼虫約50匹を放した。ケージ内での産卵、繁殖を目指しており、成功すれば里山のシンボルとして園内の雑木林に戻す。
 オオムラサキの生息には、広い雑木林が必要で、伐採などにより個体数は全国的に減少している。夕日寺周辺では、えさとなるエノキ林の荒廃が進んで数が減り、ここ10数年は確認されていない。県はふれあい昆虫館と協力して、別の地区から幼虫を捕獲した。
 ケージは5b四方、高さ約3.5bの大きさで、内部にはエノキを植えている。幼虫を見失わないよう枝ごと袋がけした。順調に成育すれば、来月中旬にも成虫になる。県はワーキングホリデーによるエノキ植林などで環境整備を進める。

5/21 秋田県内でハグロケバエが大量発生

 秋田県内で最近、ケバエの一種ハグロケバエが大量発生し、群れをなして飛び回っている。主に福島県以南に生息する虫だが、温暖化の影響で本県まで生息域を広げたとみられる。「刺したり病原菌を運ぶことはなく、人に害を及ぼすことはない」(秋田市環境業務課)が、車のフロントガラスや洗濯物に群れて止まるなどして住民を驚かせている。
 「スーパーの駐車場で黒い虫が集団で飛んでいた」「ハチともハエともつかない虫が、洗濯物に大量に止まっている。害がないか心配」。秋田市環境部や秋田県病害虫防除所には、今月に入って住民からの電話が10件ほど寄せられた。
 虫の正体はケバエ科のハグロケバエ。全長13_ほどで羽も含め全身が真っ黒、体と頭がつやのある短い毛で覆われているのが特徴。県内でふだん見かけるハエよりも体が細い。
 本県を含む北東北では目撃されることがほとんどなかったが、ここ数年、カメムシやヒトスジシマカなどと同様、大量に発生している。日本衛生動物学会員の木川弘さん(秋田市、72歳)は「地球温暖化の影響で、これらの昆虫の生息域が拡大した」とみる。
 ハグロケバエは本来、山林や水田など涼しくて湿った場所を好むが、今年は大量発生したため、普段は目に付かない住宅地でも頻繁に目撃されるようになったと考えられる。
 秋田市保健所は「気持ち悪いかもしれないが、特に害を及ぼす虫ではない。虫の発生には周期があるため、来年はこれほど大量に出ることはないだろう」と話している。

5/17 トンボ教室始まる、佐賀市

 清流に住むトンボの観察を通じ、水に恵まれたふるさとの環境を再発見する佐賀市の「トンボ教室」が12日、始まった。さわやかな晴天の下、参加者は富士町の山あいの小副川で、トンボの採取や水生昆虫をウオッチングした。
 教室は「トンボ王国」づくりを進める佐賀市が、佐賀トンボ研究会(吉田喜美明会長)の協力を得て1989年から毎年開催している。同日は市内外から親子連れ約50人が参加した。
 それぞれに虫捕り網を手にした参加者は、新緑もまぶしいなか、清流に入りトンボとりに熱中。水がきれいな所にしか住まない珍しい「アオサナエ」も捕まえるなど、トンボが目の前を横切るたびに歓声と水しぶきが上がっていた。
 教室は5回シリーズ。10月までキャンプ場で泊まりがけの「トンボキャンプ」を開くなどし、「トンボ学」を修めた修了証も渡される。

5/15  モンシロチョウ異常発生キャベツ畑全滅  トノサマバッタ、キビ畑飛び交う

 少雨傾向の中で10日に梅雨入りした沖縄県地方。「恵みの雨」が望まれているが、13日、雨不足が影響したと思われる虫の大量発生が読谷村と平良市の畑で見つかった。読谷ではモンシロチョウ、平良ではトノサマバッタとみられるバッタがそれぞれ、キャベツとキビの葉を食い荒らしていた。ともに約2週間前から徐々に見られるようになったといい、関係者は「雨が少なく、ふ化が活発になったと思う」と説明。具体的な農作物被害は報告されていないが、今後の拡大を心配していた。

 【読谷】モンシロチョウの異常発生が12日、読谷村渡慶次のキャベツ畑で確認された。畑を覆うモンシロチョウの数は数1,000匹とみられ、キャベツは全滅していた。
 異常発生は、渡慶次区の間でも話題になっている。区民の嘉数三重子さん(50)は「約2週間前から発生している。約30年ここに住んでいるが、こんな経験は初めて」と驚く。
 村役場によると、現在のところモンシロチョウによる農作物の被害の報告はないという。
 沖縄気象台によると、読谷村の2001年10月から02年4月末までの降水量は平年の約4割。梅雨入りしてからは、わずか24_しか降っていない。北谷町に住む蝶愛好家は「昨年の冬からの雨不足の影響で、例年に比べ今年は羽化する時期が早い」と指摘する。雨不足が、モンシロチョウの異常発生に影響があるとみられる。
 勝連町南風原のレタス畑でも、モンシロチョウの異常発生が確認されている。

 【平良】平良市下里のキビ畑では、バッタが異常発生している。ギラギラとした日差しが肌を差す中、大量のバッタがキビの葉を食いちぎっていた。畑に足を踏み入れると一斉に飛び交い、一見して1,000匹は超えると思われるほど。
 畑の隣の民家に住む和田卓也さんは「10日、朝起きると家屋の壁いっぱいにバッタがいて、気持ち悪かった。こんなのは初めて」と驚きを表した。
 平良市では今年に入り、まとまった雨が降った3月を除き、降水量は平年の四分の一。5月はわずか8_が記録されただけだ。バッタが発生したキビ畑では、ほとんど葉を食われたキビもあり、現場を見た宮古虫の会の砂川博秋会長は「毎年見られるが、今回は特別。まだ幼虫だが、2週間ほどで成虫になる。葉の被害は大きくなり、キビの成長への影響が心配」と話した。

5/11 ミカドアゲハ 園児ら300匹放つ

 高知市小石木町の筆山で9日、市内の園児や児童らがミカドアゲハなど約300匹を放った。国土交通省高知工事事務所の主催で8回目。
 ミカドアゲハは黒地に青い紋が浮かんだチョウで、国の特別天然記念物。筆山周辺はミカドアゲハの生息地の一つで、同事務所は土佐道路の開通を機に、生息環境を改善しようと幼虫の餌となるオガタマノキなどを植樹している。
 ことしは、同市竹島町の城南保育園年長組の園児25人と、同市追手筋2丁目の追手前小学校の3年生17人が参加。日本鱗翅(りんし)学会員の清水昭三さん(74歳=吾川郡春野町弘岡下)が自宅で羽化させた、ミカドアゲハ約30匹やアオスジアゲハ、モンキアゲハなど計約30種、300匹をパラフィン紙に包み、越冬状態のまま持参した。
 清水さんは「触角の間から手を伸ばして、指に乗せるように」と触り方を説明。園児らが、チョウを包んだ紙をゆっくり開いた。
 もぞもぞ動いたり、飛んできて服に止まったりするチョウに、園児らは大はしゃぎ。中には「腕を登ってきゆう」と驚く子も。薄曇りの空をひらひらと飛び回る姿に、「元気でね」と小さな手を振る児童もいた。
 清水さんは「今年は暖かいせいか、羽化が早かった。命が短いので、ちょっと数が少なくなりました」と少し残念そう。それでも「高知では生息が増えているようですよ」とにこやかにチョウを目で追っていた。

5/9 1年中、チョウが舞う 東風平町の蝶・植物園

 沖縄県島尻郡東風平町の宇根農園内「蝶・植物園」では、オオゴマダラなどのチョウが優雅に舞っている。同農園代表の宇根良一さん(54=豊見城市)が1年を通してチョウを育てることに成功。「飼育法やエサの管理について助言できる。多くの人に、生物の仕組みと自然の不思議さを体験してほしい」と話している。
 育てているのはオオゴマダラ、ツマベニチョウ、リュウキュウアサギマダラ、カバマダラと、それぞれの食草。常時、200から300の幼虫が次々とさなぎになり、花の上でチョウが乱舞している。
 宇根さんはこれまでに、10ヵ所の幼稚園や個人宅にチョウの施設を造り、幼虫や食草を提供した。「多くの人は最初、本当に飼えるか半信半疑だが、順調に育っている」と言う。
 「蝶・植物園」は見学ができる。盲学校の児童たちが来たときは、頭に甘い香りの整髪料などを付け、チョウを止まらせたことも。「手で優しくチョウを触り、喜んでいた」と、宇根さんはうれしそうに話した。
 宇根農園「蝶・植物園」への問い合わせは宇根さんの携帯電話090(3196)7949へ。

5/3 世界中の珍カブトムシ集合、箱根園

 神奈川県箱根町元箱根の箱根園ホールで7日まで、「世界の生きたクワガタ・カブト大集合」(幻の昆虫館実行委員会主催)が開かれている。珍しいヘラクレスなどの世界のカブトムシを、子供たちが手にとって見られるようになっている。同時に「ワールドカップサッカー出場国に生息する虫たち」と題して、参加32ヵ国の昆虫標本を集めた展示も行っている。
 同ホール内を仕切って、「ふれあいの森 熱帯ジャングル」と名づけたコーナーに、世界の生きたクワガタムシ、カブトムシ200匹を放している。木の枝などをあちこちに据え付け、クワガタムシやカブトムシが自然の中で暮らしているように演出。2本の長い角を持った大型の「ヘラクレス」や3本角の「コーカサスオオカブト」など、日本では見られない珍しい虫たちが歩いている。
 中に入った子供たちは、こわごわといった風情で、黄色味がかったヘラクレスの背中に触ったり、手でつかんで見たりしていた。
 「ワールドカップサッカー出場国に生息する虫たち」は、32ヵ国・400匹のクワガタムシ、カブトムシの標本を展示。中でも緑が少ないサウジアラビアの虫を用意するのには苦労したという。スタッフが同国の収集家に依頼してやっと入手したバッタなどを並べている。

4/18 早くもホタル 「全国で一番?」 

 熊本県球磨郡相良村柳瀬で15日夜、今年初めてのホタルが飛んでいるのが確認された。昨年より1週間ほど早く、県ホタルを育てる会(山田勝彦会長)は、「全国で最も早いのではないか」と話している。
 柳瀬で養魚場を経営する生駒泰成さんが同日午後9時ごろ、養魚場内の湧水池で体長2aほどのゲンジボタルが発光しながら飛んでいるのを見つけた。生駒さんは昨年も同所で初ホタルを確認した。
 同湧水池周辺は日照時間が長く水温が高い上、ホタルの幼虫のえさになるカワニナも豊富でホタルの生育に適しており、「くまもとホタルの里百選」にも選ばれている。5月中旬ごろから、ホタルの乱舞が見られるという。

4/11 アリモドキゾウムシ本年度にも根絶へ、沖縄県久米島

 久米島でのアリモドキゾウムシ根絶作業が最終段階に入る。県は同虫の再侵入を防ぐ目的で15日から久米島を防除地区に指定し、甘しょ(サツマイモ)などの寄主植物の持ち込みを規制する。2002年度中にも国の検査で駆除が確認される見通しで、生イモの県外出荷に向け、県では引き続きイモゾウムシの根絶事業を本格化する。
 根絶方法はかんきつ類やウリ類に寄生していたミバエ類の根絶事業と同じ不妊虫放飼法(ふにんちゅうほうしほう)を採用。昨年から野生虫の約10倍にあたる200万匹の不妊雄虫を毎週散布した。
 久米島では3月から県が防除効果確認調査を開始した。県の調査でゼロを確認後、さらに国が6ヵ月以上の駆除確認調査を行う。
 確認調査のため、15日から空港、港湾に防除員を配置し、久米島への寄主植物の移動を取り締まる。久米島での根絶後は県全域に根絶事業を展開するが、今後10年程度要する見通し。県農林水産部では「中部や宮古などのイモ産地で集中的に駆除を開始し、効率的に作業を進めたい」と語っている。
 生イモの県外出荷に向けては、イモに寄生する2種の特殊病害虫のうち残るイモゾウムシ根絶が課題となるが、久米島では、05年度の同虫根絶を目指し事業が進んでいる。

アリモドキゾウムシ 
 甘しょの茎やイモに産卵し幼虫はイモを食い荒らす。加害後には悪臭と苦味を生じる。まん延防止のため植物防疫法により県外への寄主植物の移動が規制され、県内甘しょ生産振興の障害となっている。主に熱帯アジアに生息し、1903年に県への侵食が確認された。

4/9 珍しいチョウを展示 日光だいや川公園緑の相談所

 栃木県今市市の日光だいや川公園緑の相談所で「文学に登場する昆虫たち」「おもしろいチョウの世界」展が開かれている。
 いずれも日光在住の昆虫愛好家新部公亮さんのコレクション。展示のほか、ぬり絵でチョウのカレンダーを作るコーナーもあり、子どもたちの人気を集めている。
 「文学に登場する昆虫たち」展は、北杜夫さんの「どくとるマンボウ昆虫記」に登場するアポロチョウ、ムツゴロウこと畑正憲さん「天然記念物の動物たち」のウスバキチョウなど16点を展示。それぞれの標本と作品の登場場面、著者の紹介などが一つの標本箱に収められている。
 「おもしろいチョウの世界」展には、県内で見られるチョウを中心に標本箱17箱にぎっしり展示。オオムラサキをはじめ早春のチョウ、切手になったチョウたちなど色も大きさもさまざまなチョウが並んでいる。
 14日まで。無料。詳しくは同緑の相談所電話0288(23)0111へ。

3/24 ギフチヨウが次々と羽化 黒田庄町の飼育ドーム

 “春の女神”と呼ばれるギフチョウが、兵庫県多可郡黒田庄町門柳、東はりま日時計の丘公園の飼育ドームで次々と羽化している。ぽかぽか陽気に誘われ、例年より1週間早いデビュー。優雅に舞う姿が4月上旬まで楽しめる。
 同公園では今春、「ギフ蝶ドーム」を新設。地元の住民グループが飼育したさなぎ約500匹を入れ、羽化を待っていた。15日に最初の4匹が飛び立ったのをはじめ、1日10〜20匹が羽化している。同グループ世話役の宮崎甲子太郎さん(84)は「20年近く育てているが、こんなに早い時期の羽化は初めて」と驚いている。
 羽化のピークは25日から4月5日頃までといい、数100匹の乱舞がドームの中でじかに観察できる。同グループのメンバーらが、同7日までギフチョウについて説明している。

3/20 「チョウを翔ばそう会」が首里城公園で食草を植栽

 首里地区でチョウやコオロギの繁殖などのために活動を続けている「首里城下にチョウを翔ばそう会」(高良鉄夫会長)は10日、首里城公園「上の毛(イーノモウ)」でチョウの食草植栽セレモニーを行った。会員や地域住民らが多数参加し、植栽樹のそばにそれぞれの名前を記した札を付けた。
 植栽には、地域子ども会やボーイスカウトのメンバーらも参加。高良会長は「植栽でオオゴマダラはとても喜んでいることだろう。チョウが増えるころ、きっとみんなの前で感謝のダンスを舞ってくれるはずです」とあいさつ。「多くの力を結集して、琉球列島を東洋のガラパゴスにしよう」と呼び掛けた。
 翁長雄志那覇市長らによる記念植樹の後、参加者全員で、ホウライカガミやギョボク、トウワタなど580本を植えた。ボーイスカウトの仲間と参加した東恩納優(すぐる)くん(金城小4年)は「那覇の街がチョウでいっぱいになってほしい」と笑顔で話した。
 同会では今後、近隣の公園や学校でも食草の植栽を推進していく。チョウ園などを設置し、地域の子どもたちがチョウやコオロギに直接触れられる環境づくりにも力を入れていく考えだ。

3/8 カブトムシ買い入れ式

 福島県常葉町振興公社恒例のカブトムシ幼虫買い入れ式が啓蟄(けいちつ)の6日、同町の昆虫館で行われた。第1陣はムシにちなんだ640匹。招待された地元園児が歓声を上げていた。
 幼虫生産者である板橋たばこ総代区婦人部の村上ケサヨさんら4人が大きく育った幼虫を搬入。常葉幼稚園の園児43人は「大きい」「動いてる」と、目を丸くしながら幼虫に触れていた。
 公社社長の渡辺国義町長が「今年もカブトムシを通じて、夢のあるまちづくりに努める」とあいさつしたあと、同幼稚園に幼虫観察セットをプレゼントした。
 農家からの幼虫買い入れは、今月21日から本格化する。買い入れ予定は約7万匹で、7月上旬にカブトムシドームに成虫を放す。

2/8 広島県伊尾小、ギフチョウの観察成果発表 

 広島県甲山町伊尾、伊尾小学校(熊谷英雄校長、49人)の地域公開・研究発表が6日あり、ギフチョウの観察を通して学んだ成果などが発表された。
 総合的な学習の一環として、絶滅危惧2類に指定されているギフチョウを取り上げたのは五年生10人。昨春、幼虫9匹を持ち帰り、脱皮を繰り返して成長するさまを詳しく記録に残した。
 八田原ダム建設に伴いギフチョウ保護区が設置された意味や恩恵、影響にまでテーマを広げて学習し、写真やスケッチも使いながら、この日訪れた保護者らに発表した。
 また、1996年春から、ギフチョウ保護に一貫して関わってきた建設コンサルタント会社の亀山剛さん(32=廿日市市)が講演。保全の成果により、毎年20〜30個体が安定して確認されていることを明らかにした。一方、幼虫の食草となるミヤコアオイは、徐々に減っていることから、「保護区周辺と、元の生息地にミヤコアオイの補植を」と提案した。

2/6 珍しいチョウ、海南で撮影 成虫で越冬の絶滅危ぐ種

 環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定され成虫で越冬するツマグロキチョウの写真撮影に、海南町浅川の日本昆虫協会員の幸壬政治さん(62)が成功した。
 撮影場所は近くのピクニック公園。1月24日午前11時ごろ、同公園の運動場で昆虫採取をしていた際、高さ30aほどのところを1匹で飛んでいるのを見つけた。手持ちのカメラで撮影。羽を広げた体長は約四10_で、雌雄は分からないという。
 ツマグロキチョウは初夏、秋の年2回発生し、関東以南で生息。主に河原で見ることができる。黄色い羽の先が黒く、先端がとがっている。羽の裏に茶色の線が見える。開発が進み、幼虫のエサとなり産卵場所でもあるマメ科のカワラケツメイが減少したため四国内でもツマグロキチョウはほとんど確認されなくなっているという。
 幸壬さんは「10年ほど前に同所で見つけて以来の発見。昔は多くいたが開発が進み姿を見なくなった」と話していた。

2/6 リュウキュウアサギマダラ越冬中

 奄美大島以南の南西諸島に分布するチョウ、リュウキュウアサギマダラが、集団で越冬している。鹿児島県大島郡笠利町(奄美大島)の海岸近くのモクマオウ林には、100匹以上が身を寄せ合ってじっと春を待っている。
 リュウキュウアサギマダラは、気温15℃を下回るとほとんど動かなくなるという。風の通りにくい低い場所を選び、枯れ枝やつるに群れをなしてぶら下がっている。
 日中、温度が上がると、ふと目覚めたようにふわふわと舞うこともある。そして近くの花のみつを吸っては、また冬ごもりに戻っていく。

1/25 沖縄の蝶80種収録ビデオ発売

 チョウの映像生態研究家の金子実さん(75=石垣市大川在住)が20年近くにわたって記録した県内に生息する80種のチョウの生態ビデオ「琉球列島の蝶」がこのほど、石垣島サイエンスガーデン(橋爪雅彦代表)から発売された。金子さんは「地域の環境教育に役立てば」と石垣市内の小・中学校にビデオを贈呈する。
 ビデオは金子さんが1984年以降、沖縄本島から与那国島まで訪ね、収録。琉球列島で土着が確認されている代表的なチョウのほか、台湾やフィリピンから飛来する迷蝶を選んで編集した。
 近年、個対数の急激な減少が指摘されている天然記念物のフタオチョウや、リュウキュウムラサキ、ヤエヤマムラサキ、マルバネルリマダラなど珍しい種も含まれる。各種ごとに産卵、ふ化などチョウの一生の変遷と習性を記録し、学術的にも貴重な映像に仕上げている。
 金子さんは滋賀県内の公立高校教諭を退職後、オーストラリアのクイーンズランド大学などでチョウの生態を研究。96年に石垣市へ移住し、チョウを追い続けている。「全日本アマチュア映像コンクール」や「ファーブル大賞日仏共同コンクール」で最優秀賞を受賞するなど、チョウの生態映像家の第一人者として活躍している。今回、長年の研究成果をまとめた「オーストラリアの蝶」も同時発売する。
 販売を手掛ける橋爪さんは「舞う宝石といわれるチョウの神秘的な映像世界を石垣島から世界へ発信したい」と意気込んでいる。
 ビデオは60分。定価3,500円。問い合わせは石垣島サイエンスガーデン、電話090(9573)8745。

1/14 絶滅危惧種のコバネアオイトトンボ生育確認 

 環境省が絶滅危ぐ種に指定しているコバネアオイトトンボの生息地が香川県大川郡大内町内で見つかり、日本蜻蛉(とんぼ)学会は「全国有数の生息地」と注目している。数が数1000匹単位と多いほか、希少種のベッコウトンボなどがいる可能性も。期待の「トンボ王国」だが、国道バイパス工事で生息地が影響を受ける心配も出ている。
 コバネアオイトトンボは全国で数が激減し、四国では絶滅したとみられていた。1994年、数は少ないが満濃町、国営讃岐まんのう公園の逆様池で見つかり、四国唯一の生息地とされていた。
 大内町内の生息地は、三殿地区にある才の池(周囲約1.8`)と周辺の林や湿地帯。昨年10月、徳島県内の同学会員、吉田一夫さん(45)が数千羽単位で生息しているコバネアオイトトンボを発見、同学会自然保護委員で高知県中村市トンボ自然公園内の社団法人・トンボと自然を考える会の杉村光俊常務理事が才の池を訪れ確認した。
 杉村常務理事は「池と林、湿地がうまく連動し絶好の生息地だと感心した。これだけの数がいる所は全国にないだろう。3月から才の池でヤゴの調査などをしたい。環境が良好だから、四国で絶滅したとされるベッコウトンボがいることも考えられる。目を離せない貴重な池だ」と話している。
 注目の生息地だが、国土交通省・香川工事事務所が大内町小砂―白鳥町伊座間(9.2`)で国道11号バイパス工事を計画。4月に路線案が発表されることになっているが、生息地がルート内に入るなどして影響を受けることも考えられ、関係者をヤキモキさせている。
 杉村常務理事は「バイパス工事で日本有数の生息地が消滅しかねない。この貴重な場所を香川の環境学習の拠点に活用できないだろうか」と警鐘を鳴らしている。

コバネアオイトトンボ
 小型で腹長30_前後の金緑色をした小型種。日本では本州、四国、九州に生息しているといわれている。

2002,1,11 季節はずれのイトトンボ成虫に

 季節外れのトンボが9日、長崎県佐世保市大野町の会社員、松本静雄さん(38)方で見つかった。
 1週間前、自宅のメダカを飼っている水槽の底で、ごそごそと動く生き物に松本さんが気付いた。「(トンボの幼虫の)ヤゴかな?」と家族で話していたが、体が細長くて通常のヤゴの形とは違い、正体は分からずにいた。
 9日朝、松本さんが木の棒をヤゴに近づけると、棒に渡って登り始め、水面から1aほどの所で成虫になった。トンボは体長約2.5aで、色は茶色っぽい。水槽は昨年夏ごろ購入してメダカを飼っていた。その後、川からタニシや水草を採ってきて中に入れていたという。
 ふるさと自然の会の川内野善治副会長は、ヤゴの形や成虫の大きさなどから「恐らくイトトンボの仲間」と言う。「卵が水草に付着して持ち込まれ、水温の高い水槽にいたことで、早く成虫になったのではないか」と推測。トンボの今後の運命については「えさの昆虫がいないので、そう長くは生きられないと思う」と話した。

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