01年の生き物ニュース

生き物ニュース

 2003,1,7〜12,30

12/30 アサギマダラ 南大東が中継 本州から南下の24匹捕獲

 南大東島がチョウ「アサギマダラ」の渡りルートとして注目されている。今秋からこれまでに群馬県や滋賀県などでマークされた個体24匹が捕獲された。群馬からの距離は約1140`と遠く、その間に中継地となる陸地がないことから、専門家は「渡りの上で貴重な島」と関心を寄せている。長年研究を続け、今回アサギマダラを捕獲した長嶺邦雄さん(62)は「ミーニシ(北風)に乗って来て、その後フィリピンまで行くのではないか」と話している。

 マーキングされたアサギマダラは今年9月26日に群馬県赤城村で放された個体で、同島に住む長嶺さんが10月22日に捕獲した。羽を広げた長さが約8〜12aで、羽に黒や茶のまだら模様がある。
 秋に北上し、春に南下することで知られ、同島には昨年秋にも和歌山県でマークされた個体が確認された。長嶺さんは「こんなに長い距離を自力で飛び続けるのは無理だろう。ミーニシに飛ばされてくるのでは」と予測する。
 同島でマークした個体は1、2週間ほどで島からいなくなり、その後どこへ移動するのかに専門家らの関心が集まっている。島に生息するチョウは、他の陸地から飛ばされるなどして移ってきたもので、長い年月を経て亜種化しているものもあるという。
 日本鱗翅学会アサギマダラプロジェクト担当理事の福田晴夫さん(70、鹿児島市)は「南大東島のような小さな島でアサギマダラがいくつも発見されるのは珍しい。なぜあそこに行くのか興味深い。渡りをする上で、貴重な場所だ」と指摘する。
 渡りルートは現在、台湾まで確認されている。「今後定点観測をする人が中国やフィリピンなど国外にも増えれば、謎を解明できる」と期待する。
 アサギマダラの渡りが今年、県内で確認された事例は、愛知県田原市蔵王山から与那国島久部良岳間の1788`を35日間で渡ったケースも確認されている。沖縄タイムス

12/29 青いチョウの輝きを再現

 中南米に生息するモルフォチョウの青く輝く仕組みを解明、同じ輝きを人工的に再現することに大阪大の木下修一教授(レーザー分光学)らの研究グループが成功した。色素を使わないため熱や光にも色あせず、服飾などの新素材として期待できそうだ。
 モルフォチョウの羽は反射する光が干渉し合って青色を強調する。シャボン玉に色がついて見えるのと同じ原理だが、シャボン玉と違いモルフォチョウは光を広い角度で反射するため、見る角度を変えても青色はほとんど変わらない。
 人間の髪の毛の表面に似たタンパク質が7〜10層に積み上がったモルフォチョウの羽の構造を明らかにした研究グループは、酸化ケイ素と酸化チタンを交互に重ね合わせ、ガラスの切れ込みに埋めこんで青い輝きを再現した。

12/28 オパールのように輝く甲虫発見

 宝石のオパールのように虹色に輝く体をした新種の甲虫がオーストラリアで見つかり、英オックスフォード大の研究者らが英科学誌ネイチャーの最新号で発表した。
 ゾウムシの仲間で、発見場所は豪州東北部のクインズランド州の森林。電子顕微鏡で背中の表面を観察したところ、うろこ状の組織がオパールとよく似た構造をしていた。この組織が光を反射して、見る角度によって色が変わる独特な輝きを発するという。研究チームは、背中の組織を詳しく分析すれば、オパールの人工製造法の開発につながる可能性があるとみている。

12/18 アゲハの目に特殊な細胞

 アゲハチョウの目には、赤い光を感じるタイプと緑の光を感じるタイプの2種類のタンパク質を持つ細胞があることを横浜市立大の蟻川謙太郎教授や木下充代研究員らのチームが13日までに見つけた。
 このタンパク質にはビタミンAが結合しており、「視物質」と呼ばれる。どの動物でも1個の視細胞で1種類だけ機能するとされてきた。その常識を覆す発見で、蟻川さんは「2種類が混在する細胞は感じる光の波長幅が広い。暗い場所で物を見る能力のもとではないか」としている。
 アゲハの目は直径約0.02_の個眼が1万2千個も集まった複眼。個眼はさらに9個の視細胞から成る。チームは視細胞がどの波長の光に反応するかを調べた。すると、紫外線や紫、青、緑、赤の光にそれぞれ鋭く反応する細胞のほか、青から赤にかけての幅広い波長の光に反応する視細胞が見つかった。この視細胞を調べた結果、赤い光を感じるのに必要な視物質と、緑の光を感じるのに必要な視物質が混在していることが明らかになったという。

12/10 究極の“寄生”細菌発見

 イネを実らせないなど植物に大きな被害をもたらす病原細菌のファイトプラズマが、生物で最も少ない遺伝情報しか持たず、生存に必要な物質のほとんどを寄生相手から調達していることを、難波成任東京大教授(植物病理学)らが突き止め、8日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティックス電子版に発表した。
 植物や昆虫に寄生するファイトプラズマは、自分で栄養分などを合成する機能まで捨て去る究極の退化をしたらしい。難波教授は「ウイルスと細菌の中間に位置するが、自分では何も作らず、生物として例外的な存在だ」としている。
 難波教授らがゲノムを解読したところ、遺伝子は754個あった。しかし、タンパク質を構成するアミノ酸や生体エネルギー源の合成酵素、DNAの材料など、生物が生きるのに必須とされる物質を作る遺伝子の多くがなかった。

11/29 県希少生物の保全策探る 徳島県

 開発から希少種を守るなど絶滅の恐れがある野生生物の保全策を話し合う徳島県希少野生動植物保全対策検討委員会の初会合が27日、徳島市で開かれた。県では委員会の議論を踏まえて希少種の保護対策を盛り込んだ県自然環境保全条例の改正作業を行う。
 県立博物館の学芸員や自然保護団体の代表ら19委員のうち18人が出席。委員長に鎌田磨人徳島大工学部助教授を選んだあと、県版レッドデータブックに記された希少生物などを具体的にどう保全するかについて意見を交わした。
 その結果、せきつい動物、無せきつい動物、昆虫、植物の分類群ごとに<1>守るべき種<2>保護対象地域<3>保全すべき環境タイプ(ため池や用水路、水田、里山など)−を来年1月の次回会合までにリストアップすることを決めた。さらに県や事業者、県民が希少種情報をどう共有し、その情報をどう活用していくかのシステムづくりも検討することにした。
 検討委は来年度、リストアップした種や地域などの保全策や開発規制措置を具体的に煮詰め、県はそれらの意見を反映した県自然環境保全条例の改正案を作成、2005年度中の施行を目指す。

11/16 アリの2割は「働かない」

 黙々と働くと思われていた働きアリの約2割が、実はほとんど働いていないことを、北海道大大学院農学研究科の長谷川英祐助手(進化生物学)らが15日までに確認した。
 長谷川助手らは、林の土中などに生息するカドフシアリ約30匹ずつの3つのコロニー(血縁集団)を、石こうでつくった人工の巣に移し、1匹ずつマーカーで印を付けて観察。1日3時間、昨年5月からの5カ月間で、行動類型を分類した。
 すると「女王アリや卵などをなめてきれいにする」「巣の掃除をする」「エサ取りをする」などの労働行為をするアリは各コロニーの約8割で、「停止している」「自分の体をなめている」「何もせず移動している」だけで、ずっと働かないアリが約2割いた。
 このうち1つのコロニーで、最もよく働く6匹を取り除いてみたところ、次によく働くアリの労働量が増えたが、働かないアリは何があっても働かなかった。
 働かないアリは、年を取って働けないか、そもそも寄生するだけの存在とも考えられるが、長谷川助手は「働かないことでコロニーに何らかの貢献をしている可能性もある。集団で行動する生物にとってどんな個性が必要なのか、興味がある」と話している。

11/15 カマキリ博士が研究まとめる

 『カマキリが木の高いところに産卵した年は大雪になる』など40年にわたって、昔からの言い伝えを検証しているカマキリ博士℃井與喜夫さん(長岡市東新町3、68歳)が、これまでの研究成果をまとめた「カマキリは大雪を知っていた」を出版した。昨年まで、雑誌に掲載された連載を中心にまとめたもの。
 「なぜ産卵の位置で最深積雪がわかるのか」「なぜカマキリは積雪を予測できるか」など一つ一つの疑問に応える形で構成されている。「言い伝えが単なる言い伝えでないことが分かり、昔の人の観察力に感動した」と話す。より

10/9 「移入種」改め「外来種」、環境省

 環境省は6日、本来の生息地域から人為的に持ち込まれる生物の呼称を、これまで使っていた「移入種」から「外来種」に改めることを決めた。
 外来種問題で初めて法制化の枠組みを決めた中央環境審議会小委員会の中間報告について、環境省は6日から国民の意見を求める手続きを取り始めたのを契機にした呼称変更。
 これまで環境省は「国外だけでなく地域間移動の種も対策の対象とすべきだ」と「移入種」を使用。30年近く使われてきたとの説もある。
 専門家から「生物学では自力で入るのが移入種。導入種か外来種と表現すべきではないか」と意見があったが「既に文書で定着している」と変更をためらってきた。しかし今月2日の「移入種対策小委員会」で「国際的にも外来種の方が分かりやすい」「法制化前に変える最後のチャンス」と、委員らから意見が集中していた。

10/7 天竜村にナガサキアゲハ

 長野県飯田下伊那地方でチョウやガの調査研究を続けている飯田市上郷黒田の井原道夫さん(63)が、主に西日本地域に生息するチョウ「ナガサキアゲハ」の羽の一部を下伊那郡天竜村で見つけた。県内での確認は初めてとみられる。井原さんは「温暖化や夏の猛暑の影響。県内での確認も時間の問題だった」と話している。
 井原さんは松本市のチョウ研究家の男性と9月下旬、天竜村鴬巣(うぐす)に別のチョウの調査で訪れた。民家近くの草むらの中に落ちていた羽の一部を持ち帰ったところ、裏側の基部に、ナガサキアゲハ特有の赤い斑紋(はんもん)が見つかった。
 幼虫はユズやカラタチといったかんきつ系の葉を好む。天竜村にはユズの木もあり、約50年間、チョウなどの研究を続けている井原さんは「幼虫も見つかるかもしれない」と話ていると言う。飯田市吾妻町の中電ふれあいギャラリーで7日まで、実物を展示している。

10/4 国内最古のアリの化石発見

 福島県いわき市大久町小久の白亜紀後期(8500万年〜8800万年前)の地層から、国内最古の約8500万年前のアリの化石を含む琥珀2つが発見されていたことが3日、分かった。日本蟻類研究会によると白亜紀のアリはこれまでに米国やロシアで数例発見されているが、国内では初と言う。
 同市のアマチュア自然科学研究者で作る「いわき自然史研究会」の鈴木千里代表(53)がこ今年8月上旬までに直径7〜8aの琥珀2つを見つけ、中にアリかハチが含まれていることを確認。蟻類研究会の久保田政雄会長に鑑定を依頼した。触覚や腹部の形などから共に働きアリで体長約2_の「カタアリ亜科」と5_の「ハリアリ亜科」の祖先と見られる。

10/3 長野県でクモヘリカメムシ初確認

 長野県病害虫防除所は2日、斑点米などを発生させる加害種の一つ、クモヘリカメムシが県内では初めて、飯田市などで確認されたと発表した。発見した場合、カメムシ類に用いる農薬で防除するといった対策を取るよう、呼び掛けている。
 同所によると、8月に飯田市、下伊那郡南信濃村、天竜村の雑草地や水田で捕獲された。成虫の体長は15〜17_ほどで、体色は黄緑色。斑点米や変形粒などの原因になるという。飛翔能力が高く、稲への依存性が比較的強いため「水田全体に分布する可能性がある」(防除企画課)としている。

9/30 チャドクガに注意

 この時期、日が落ちると街路灯や玄関の明かりに誘われ、体長約2.5aの黄色い「チャドクガ」が舞い飛ぶび、不用意に触れると、ひどくかぶれる。現在、中国、関西地方で異常発生し猛威を振るっている。
 チャドクガは本州以南の日本各地に分布する。名前の通り茶葉の害虫だが、同じツバキ科の木々にも発生。毛虫の集団は、ツバキやサザンカなどの庭木に群がり、葉をバリバリ食い荒らす。身に危険を感じると毒針毛を風に飛ばしながら逃げ回るため、駆除には細心の注意が必要。不用意に近づくと刺されてブツブツと赤く発疹(はっしん)、いつまでも強いかゆみが残る。この毒針毛は、毛虫ばかりではなく脱皮殻やサナギ、成虫、さらに卵塊にまであり、一生を通じて"危険"な虫だ。
 また7〜8月に神奈川県内各地の保健福祉センターに寄せられた被害相談件数は、横浜市で49件(前年同期4件)、川崎市で15件(同1件)と昨年に比べ急増している。横浜市衛生局によると「増加件数は深刻なレベルではない」というが、首都圏でも千葉、埼玉、静岡県では大発生していると言う。今年は特に西日本で大発生しており、被害も深刻だが、専門家の間でも原因ははっきりしないという
 5月にふ化した毛虫は夏場に成虫となり、産卵。この卵からすぐに次の毛虫が生まれて爆発的に数を増やす。今の季節は、羽化した成虫が越冬する卵塊(黄色の毛玉状)を葉裏に産み付けている。毛虫と違って逃げ回らないので、冬のうちに毒針毛に注意しながら葉ごと切り取り、焼却するか、土中に埋めるのが効果的な対策。
 毛虫は園芸用殺虫剤でも駆逐できるが、死がいに触れるだけでもかぶれる。しかも、まき散らした毒針毛が洗濯物などに付着し、それが肌に触れるだけでも肌を痛めるので要注意だ。
 もし、刺されたことに気付いたら、決してこすらず水でよく洗い流した後にセロハンテープなどで毒針毛を丁寧に取り除く。患部には抗ヒスタミン軟こうを塗っておくと有効だという。
 駆除する場合の注意として横浜市衛生局は、「チャドクガに風下から近づかないなど慎重に。もしも刺されて症状が重い場合は、すぐに皮膚科の医師に相談して」と呼び掛けている。

9/26 カシノナガキクイムシにより西会津で立ち枯れ2600本超

 関西以南を中心に生息している広葉樹の病害虫「カシノナガキクイムシ」が福島県内に侵入し、会津地方で立ち枯れの被害が急速に広まっている。今夏、西会津町で確認されただけでナラの木が約30ヵ所でまとまって枯死した。紅葉のように変色した枯れ木が斜面を覆い、景観だけではなく、雪や雨による倒木災害が懸念されている。

 西会津町と県によると、県内では平成12年8月に町内の上野尻、奥川地区で初めて確認された。当初は70本程度だったが、今夏は町内で2600本以上が枯れていることが判明した。県境など調査が及ばない地域も多く、被害は拡大しているとみられる。近隣の高郷村、会津坂下町、柳津町でも発生している。
 カシノナガキクイムシの生態は不明な点が多く、研究者が解明を急いでいる。木の根から吸い上げる水分を遮断する菌を運んでいるとされ、防止策としては木々を1本ずつ薬剤処理する方法がとられている。
 西会津町は、国や県の補助を受け、町森林組合が駆除処理に当たってきた。しかし、限られた予算では年間に250本ほどしか処理できない。林道がなかったり、急斜面のため入り込めない山林も多く、対応は困難を極めている。水源かん養など森林機能が失われることや生態系の乱れ、雪崩や土砂崩れ防止機能の低下などが懸念され、町森林組合の清野邦夫組合長は「豪雪地帯だけに災害発生が心配だ」と話している。
 この虫が年間に移動する距離は約6`と推定され、町や県は「現在の対処方法では被害拡大のスピードに追い付かない」と頭を悩ませている。
 既に集団枯死の大量発生が確認されている新潟、京都など日本海側の各府県でも対応に苦慮している。新潟県の関係者によると、昨年の被害は約8000本だったが、今夏は約5万本と爆発的に増加した。
 国や各府県は駆除方法の研究を進め、富山県は被害の早期発見に努めるため人工衛星を使った監視システムの開発に取り組んでいる。福島民報より

9/13 「トラ」の虫特別展 伊丹市昆虫館

 阪神タイガースにちなんだ昆虫を集めた特別展「トラ・とら・虎〜昆虫タイガース大集合!」が10日、伊丹市昆虫館(同市昆陽池)で始まった。
 黄色と黒のしま模様から名前のついた「オオトラカミキリ」や「トラフアゲハ」などの標本約60点を展示。中でも体長約3aの「オオトラカミキリ」は希少種のため、北海道紋別郡の丸瀬布昆虫生態館から借り受けたという。
 選手の名前を冠した「アカホシテントウ」「ヤノトラカミキリ」「ムーアシロホシテントウ」なども“ラインアップ”され、珍しい名前も展示。 公開は10月下旬までの予定。

9/11 ヤンバルテナガコガネ採取違法行為悪質化

 国指定の天然記念物「ヤンバルテナガコガネ」の密猟防止協議会が9日、国頭村のやんばる野生生物保護センターであり、テナガコガネが生息する古木をチェーンソーで切り倒すなど悪質化する不法採取の実態が明らかになった。
 環境省の報告によると、今年5月の調査で、古木の穴に生息する幼虫をとるため、木に足場となる釘が打ちつけられたり、チェーンソーで根から切り倒されるなどのケースもあったという。
 調査にあたった同センターの澤志泰正自然保護官は「釘や切り取った後からは菌が入り、台風で倒れやすくなるなど、同虫の繁殖に影響を与えている。不法採取は個体だけでなく、生息環境にも大きな影響を与えている」と危機感を募らせた。
 同会議には沖縄総合事務局や琉球大学、市町村などの担当者ら約30人が出席。同虫などの希少生物の乱獲状況や防止活動などが話し合われた。また協議後は、不法採取の防止を呼びかけるポスターや横断幕を村内の幹線道路や観光スポットなどに設置した。

8/26 水俣市の湯の鶴温泉ですず虫まつり

 水俣市湯出の湯の鶴温泉で23日夜、恒例の「すず虫まつり」があり、山里に秋の訪れを告げる涼しげな羽音に住民らが耳を傾けた。
 昭和45年、当時、水俣署湯出駐在所勤務だった黒木憲行さん(65歳、同市陣内)の提案で始まり、今年で34回目。同温泉の初秋の風物詩として定着している。湯の鶴観光協会を引き継いだ観光物産協会エコみなまたが昨年から主催している。
 会場の温泉街中央のゲートボール場には愛好家が持ち寄った虫かご100個が並んだ。1箱に雄3匹、雌2匹のスズムシが入れられ、夕方の涼しい風が吹き始めると「リーン、リーン」と合唱が始まった。家族連れらが音色に聞き入り、かごの番号を投票。多くの票を獲得した飼育者には発案者にちなんだ「黒木賞」や「市長賞」などが贈られた。

8/25 秋田県内沿岸部・県南地域にカメムシが大量発生 

 秋田県内沿岸部と県南地域を中心に、斑点(はんてん)米の被害をもたらすカメムシ類が平年以上に発生していることが、21日までの県病害虫防除所の調べで分かった。カメムシ類が確認された県内の地点数は過去7年間の調査では最高。白米の一部を黒く変色させるためコメの品質低下が懸念され、防除所は「カメムシ類の幼虫が発生する9月上旬に防除を徹底してほしい」と注意を呼び掛けている。
 県病害虫防除所が18、19の両日行った巡回調査によると、県内58ヵ所のうち31.0%(平年13.9%)でカスミカメムシ類を確認。個体数も全県平均で平年値の約2倍と多い。
 出穂・開花時期とカメムシ類の発生盛期が重なって水田への侵入量が増えており、幼虫の発生時期は9月上旬ごろ。県水田総合利用課は「転作強化で水田周辺にカメムシの生息環境が広がっている。コメの等級を落とさぬよう個人防除を徹底してほしい」と話している。

8/19 山梨県長坂町オオムラサキセンターイベント情報

 ▽小枝で作る!虫の工作(16日午前10時、24日午後1時 森林科学館)
             小枝を使ってカブトムシやクワガタなどを作る。材料費無料

 ▽昆虫標本教室(17、23日午前9時半 森林科学館)
             カブトムシやクワガタなどの標本を作る。定員各20人

 ▽夏休み工作教室(23日午後1時、31日午前10時 森林科学館)定員各20人。
             23日は糸のこを使って、風に揺れる木のオブジェやモビールなどを、
             31日は本立てやCDラックなどを作る。
             材料費23日は100-200円、31日は500-700円

 ▽棚田にソバをまきましょう(24日午前10時 日野春農村公園棚田)棚田にソバをまく

 ▽望月悠加切り紙の世界〜私の大好きな虫たち(31日まで 森林科学館)
             昨年日本昆虫協会の全国昆虫研究大賞を受賞した「Lovely!カマキリの赤ちゃん」をはじめ、
             チョウやセミ、カゲロウ、動物などの切り紙を展示している。

 森林科学館入館料大人400円、小・中学生200円。(電話)、ファクス0551(32)6648(オオムラサキセンター)。

8/16 南方系チョウ繁殖か

 南方系のチョウ、カバマダラが13日、高知市長浜の日本鱗翅学会会員、森沢正さん(71)の畑で5匹飛んでいるのが見つかった。台風10号で運ばれた迷チョウの可能性があるが、羽が全く傷んでないため、森沢さんは「温暖化で土着している可能性も」と指摘している。
 カバマダラはマダラチョウ科の1種で、オレンジ色や黒で構成された鮮やかな羽を広げると7a程度ある。国内では奄美諸島以南に分布し、時折、台風に乗って本土でも見つかる。
 幼虫はトウワタ、フウセントウワタなどの葉を食べて成長。夏や秋なら本土でも迷チョウが繁殖するが、寒さに弱く、越冬してすみ着くことは難しいと考えられている。ただ温暖化により、九州南部で越冬の可能性が指摘されている。
 高知県内では平成10年に同市一宮などで大発生。室戸市でも時々発見されている。今回は13日朝、長浜にある森沢さんの畑で、花の周りを元気に飛び回っているのが見つかった。この畑には昨年も飛来したという。
 森沢さんは「迷チョウは羽がぼろぼろになっていることが多いが、今回は非常にきれいで新鮮な個体ばかり。高知でも土着の可能性がないわけではない。春に見つかればその可能性が高くなる。いずれにしても、このチョウは温暖化の指標になる」と指摘している。高知新聞より

8/15 病害虫、8年ぶり多発、石川県が注意報

 コメの減収や品質低下を引き起こす病害虫「コブノメイガ」と「セジロウンカ」が石川県内で多発し県は14日、病害虫発生の注意報を出した。2種類の病害虫の大量発生は1995(平成7)年以来で、今年は既に九州地方などで多発しており、梅雨明け後の前線の活動や、台風10号が県内に接近した際に、風に乗って大量に飛来したとみられる。
 県は日照不足などで生育が思わしくない水稲に「さらにダメージを与える」として、防除の徹底を呼び掛けている。
 13日の調査で平年の16倍の発生量が確認されたコブノメイガはガの1種で、コシヒカリに集中産卵し、葉を食べる。セミの1種のセジロウンカはイネの養分を吸い取り、枯らすなどの被害を起こす。コブノメイガは加賀市や鳥屋、田鶴浜町、セジロウンカは輪島、七尾市、田鶴浜、鳥屋町などで多く発生している。北国新聞より

8/5 春日部で世界のカブトムシやクワガタ

 各国の珍しいカブトムシやクワガタムシ、魚などを集めた夏休み特別企画展「動物ワンダーランド」が18日まで、春日部市粕壁東1丁目のロビンソン百貨店5階催事場で開かれている。カブトムシやヒトデなどを手にとって触れ合うコーナーも設けられるなど、大勢の親子連れで賑わっている。
 「カブトムシVSクワガタ」のコーナーには、強さ世界一のコーカサスオオカブトムシ(マレー半島、スマトラなどに生息)、長さ世界一のヘラクレスオオカブト(カリブ諸島、ブラジル等に生息)、重さ世界一のアクティオンゾウカブト(ペルー、エクアドル等に生息)や、オスの最大体長10a前後もあるアルケスツヤクワガタ(フィリピンの島々に生息)、パワーフタマタクワガタ(スマトラ等に生息)など、生きたままの生態が観察できる。
 また「海の宝石箱」のコーナーには、キイロハギ、タコクラゲ、ハリセンボン、チョウチョウウオ、クマノミなど魚の遊泳が楽しめる。
 時間は午前10時から午後7時(最終日は午後5時)まで。入場料は大人600円、子ども(4歳から高校生)400円、3歳以下無料。

7/31 天然記念チョウ捕獲で、東京の会社員を逮捕

 国の天然記念物のチョウ、「カラフトルリシジミ」を捕獲したとして、根室署は29日、文化財保護法違反の現行犯で、東京都江東区大島、会社員高橋正敏容疑者(47)を逮捕した。
 調べでは、高橋容疑者は同日午前7時ごろから約三時間かけ、根室市落石東の国有林内でカラフトルリシジミ56匹を捕獲、うち25匹を死なせた。捕虫網で追いかけているところを巡回中の警察官に見つかった。
 調べに対し、高橋容疑者は「昆虫収集が趣味で、東京から採集に来た」と話しているという。
 カラフトルリシジミは雄が濃い青紫色で、開張約2.5aの希少種。1972年に天然記念物となり、道内では同市内のほか、大雪山系や北方領土・国後島にも生息している。

7/30 辰野駅に風鈴とスズムシ

 今年は梅雨明けが遅く、本格的な暑さはこれからだが、長野県上伊那郡辰野町のJR辰野駅構内に28日、25個の風鈴が飾り付けられ、「チリリン」という涼しげな音が、構内で飼っているスズムシの鳴き声と響き合っている。
 虫かごに入った約50匹のスズムシは、篠宮康夫駅長が松本市内の知人から譲り受けたもので、「リーン、リーン」ととても元気がいい。一方風鈴は、駅舎内を行き交う利用客に一服の清涼感をと、同駅が毎年取り付けているもの。透明なガラスの風鈴やスズムシは見た目にも涼しげと好評だ。

7/24 ウスイロヒョウモンモドキの交尾写真

 絶滅の危機に瀕している「ウスイロヒョウモンモドキ」が兵庫県養父郡のハチ高原周辺に出現し、このほど貴重な交尾シーンの撮影に成功し、23日付「神戸新聞」に写真入りで掲載された。
 ウスイロヒョウモンモドキは、前翅長約2.5aのタテハチョウで、草原など限られた環境に生息する。中国山地周辺にしか見られず、各地とも草原環境の減少で激減している。環境省レッドデータの絶滅危ぐ1類に指定されており、県版でもAランク。
 年一度、6〜7月に羽化し、交尾は数秒間。草原を滑空するペアが、地表近くの葉に止まり、ヒョウ柄模様の翅(はね)を重ね合わせた。 同高原でも、5年ほど前から乱獲でチョウが激減。地元有志らが採集禁止の看板を設置したほか、幼虫の食草オミナエシの増殖など、継続的な保護活動を検討していると言う。

7/6 西ナイル熱対策、専用わなで蚊を採取

 横浜市は4日、米国で感染が拡大したウエストナイル(西ナイル)熱の上陸を防ぐため、専用わなで原因ウイルスを媒介する蚊などを捕まえる調査を始めると発表した。
 国内でウイルスを保有する蚊などは見つかっていないが、海外の貨客船が横浜港に入港、米軍専用ふ頭もあるため対策に取り組む。
 同市によると、東京都がカラスの死体のウイルス検査をしているが、本格的に蚊のウイルス調査を行うのは全国で初めて。
 検査は今月15日から11月末まで。市内20ヵ所の公園に、電灯とドライアイスを使った専用のわなを仕掛けて蚊を採取。遺伝子検査でウイルスの有無を調べる。
 また、米国で西ナイル熱患者増加の予兆として、カラスの死亡例が増えたことから、カラスの死体の調査も実施。調査結果は、市役所の担当者と専門の医師らで構成する対策検討会で分析する。

7/2 倉敷市の由加山のヒメボタル

 倉敷市の由加山で、数百匹のヒメボタルが青白い光を放ちながら、竹やぶや雑木林の中を飛び交い、幻想的な世界をつくりだしている。午前零時ごろ、1匹、2匹と登場。午前1時すぎには200匹以上の雄が、地面で待つ雌を求めて単独あるいは5、6匹で舞い始め、光の競演が2時ごろまで続く。さながら“地上の銀河”の様だと言う。

6/30 園児がオオムラサキ飼育

 群馬県新里村関のすぎの子幼稚園(小池文司園長)と、おおぞら保育園(小池静子園長)の昆虫飼育観察施設で、国蝶のオオムラサキの羽化が始まった。紫色に輝く羽を広げて舞う姿が、園児たちを喜ばせている。
 群馬国蝶オオムラサキの会会長で、同幼稚園の送迎バスを運転する阿部勝次さんが中心となって、園児たちとともにオオムラサキを飼育。羽化させて毎年、園庭で放蝶している。
 小池静子園長は「蝶の飼育を通して、地球環境のことを考えられる子どもが育ってほしい」と、蝶を育てる意義を説明。阿部さんによると、この地域はオオムラサキに適した環境。同施設内では今年、7月上旬までに約150匹が羽化するという。

6/29 レンゲ畑荒らすゾウムシ

 群馬県農業技術センターは26日、レンゲやクローバーなどマメ科の植物を食べ荒らす外来の害虫「アルファルファタコゾウムシ」が県内で初めて確認された、と発表した。農産物への実害は少ないとみられるが、休耕田などを利用してレンゲを植え、イベントを行う地域も多いため、大量発生した場合に影響が出ることも懸念されている。
 確認されたゾウムシは5月上旬、同センターの職員が太田市内の農家のレンゲ畑で1匹見つけ、独立行政法人・畜産草地研究所(栃木県西那須野町)に鑑定を依頼していた。
 アルファルファタコゾウムシはヨーロッパ原産。レンゲなどに産みつけられた卵が3月ごろ、ふ化し、体長1_超の幼虫が茎や葉、花を食べる。さなぎの段階を経て5月ごろから体長4〜7_の成虫になり、食害を続けながら10日間ほどすると、11月上旬まで石の下や樹皮の裏などで休眠。その後、成虫は約1ヵ月間、葉を食害して5月上旬まで産卵(雌1匹当たり数百―3千個以上)を続ける。
 特にレンゲの場合、開花の時期と幼虫の発生のピークがほぼ重なることから、花芽に著しい害が出る可能性がある。
 国内では、1982年に福島、沖縄両県で初めて見つかった。その後、中国、四国、近畿、中部地方へと分布を拡大させ、関東では昨年に埼玉、栃木両県、今年も茨城、神奈川両県で発生が確認されていた。
 同センターは、薬剤散布する場合、同ゾウムシ専用かゾウムシ類の登録防除薬剤を幼虫発生時期の3月中旬から4月上旬ごろを目安に使用するよう呼びかけている。

6/28 甲虫の生態把握へ再捕獲調査

 長野市の長野県自然保護研究所は、カブトムシやクワガタムシなどの甲虫類を一度捕らえて記号を付けてから放し、その後もう一度捕獲して生態を調べる「再捕獲調査」に協力してくれるボランティアを募っている。2001年度から行っているが再捕獲できる例は少ないため、1月から本格化する今年の調査に向け、人数を大幅に増やして効果を上げる。
 再捕獲調査では、里山や河川敷などで捕まえた甲虫類の背部に記号を付け、種類、雄雌の別、大きさなどを記録。放して後日、記号のある虫を捕獲できたら研究所に報告する。成果は、甲虫類の行動範囲や生息環境を知る基礎データにする。
 これまでは研究員やボランティア十数人が参加。長野市安茂里の林で捕獲して放したノコギリクワガタが約2`離れたJR長野駅近くで再度捕獲され、行動範囲の広さを確認した例もある。
 しかし再捕獲の例は極めて少ない。01年度は2000匹を放したが、再捕獲は75匹。02年度は2000匹のうち30匹だった。調査の精度を上げるには一夏に5万匹程度を捕まえる必要があり、大勢のボランティアを必要としている。
 研究所の前河正昭研究員(景観生態学)によると、人間活動の変化につれて、人と共生してきた甲虫類の生息環境も変わっている。また、宅地開発などで生息地域が孤立し、えさが不足したり交配する個体が限られて、次第に個体数が減る可能性もある。前河研究員は「虫の移動状況が分かれば、生息環境を保全できる」としている。ボランティアの問い合わせは県自然保護研究所(電話026・239・1031)へ。

6/16 高知市三里地区、ハエ大発生

 高知市の三里地区では大量発生したイエバエが住民や商店経営者らを困惑させている。発生源は農業用のビニールハウスらしいが、今のところ抜本的な解決策はないまま。住民らは殺虫剤などで自衛的に消毒を行うしかなく、食品を扱う店主の1人は「消毒代だけでもばかにならない」と頭を抱えている。
 同地区のハエ対策は20年以上も前から課題になってきた。発生源の一つとされるのがハウス内で使われる有機肥料。油かすや魚粉などを混ぜ合わせた有機肥料は化学肥料と比べて砂地での作付けと土づくりに有効で、同地区で長年にわたり使われてきた。
 イエバエが産卵するのは、主にショウガやシシトウなど野菜栽培に使う追肥の中。ビニールハウスの中は成育に適した温湿度に保たれており、そこで育ってハウスの外へ飛んでいく。湿気の多い日は、民家や商店の至る所にハエの黒い姿が。

 昭和50年代末からは幼虫の成育を阻害する薬剤を肥料に混ぜてハエの防除をしてきた。一時はこの方式で効果があったものの、平成9年ごろからはハエに薬剤耐性がついて効かなくなった。
 住民の一部はこれまで市への陳情も繰り返したが、「伝染病の危険がないときは公共物から発生した害虫だけに対処することにしている」「農家に強制的に肥料を変更させることはできない」などのスタンス。市としては今のところ、地区の衛生組合が週2回程度屋外散布する消毒液を全額補助する形で対応している。
 高知市農協三里支所によると、近い将来に特効薬的な効果を期待しているのがハエの繁殖を抑える新肥料。ハエが嫌う自然物質を混ぜた肥料で、一昨年から実験的に投入、ポット実験では「ハエを8、9割方減らす効果が確認された」という。新肥料を使ったある農家も「ことしはハウス内での発生がほとんど見られない」と話す。ただし普及はこれからで、同支所の担当者は「新肥料を取り入れる農家は徐々に増えているが、従来の肥料を使う農家もまだ多く、ハエの抑制には農家の意識向上が不可欠」と話す。

 天候が不順になると人家周辺にハエが増え、住民の不快指数は高まるばかり。商店主の1人は「毎年のようにハエは飛んでくる。薬剤を買って自己防衛するしかないのが現状で、毎月の消毒費用もばかにならない。観光客に対する高知の観光イメージも心配」と話しているとか。

6/13 渓流魚付き保全林

 岐阜県益田郡馬瀬村は11日までに、馬瀬川の渓流魚の生息環境を守るため、村内6地区の渓流流域の民有林を「渓流魚付き保全林」に指定。同保全林指定の効果を高めるため、村と岐阜森林管理署は同日、隣接する国有林について施業上の連携強化を図る覚書を同村役場で調印した。
 「魚付き保安林」は、海岸林などに設定されている例はあるが、渓流魚を保全するための設定は全国初。また、国有林が渓流魚保全を目的に自治体と協力する取り組みも初という。
 馬瀬川は全国有数のアユ、アマゴなどの釣り場。村の1994(平成6)年からの現地調査や研究により、森林が陰をつくり、水温上昇を防ぎ、低温を好む渓流魚の生息環境を守っていることや、森の昆虫が魚の餌になることなど、清流と森林には重要なかかわりがあることが分かり、保全が不可欠と判断した。
 指定した民有林は同村川上、黒石、惣島、下山の6地区にある462fで、森林所有者98人の同意を得た。隣接する国有林約1910fを合わせると、村内の森林面積の約26%に当たる2381fが渓流魚保全のための森林として位置付けられることになった。
 村が定めた保全林指定要綱に基づき、森林所有者には皆伐を避け、下刈りや間伐、広葉樹の保存に努めてもらう。覚書は、同管理署が国有林で「渓流魚付き保全林」に配慮した林業施業を行うとする内容で、村と協力して同保全林のPRに努め、一層の連携強化を図っていく。
 今後、両組織で連絡調整会議を設置し、漁協や森林組合などと連携して技術指導などの支援策についても検討すると言う。

6/8 プールで水生生物観察会

 三重県一志郡三雲町市場庄の町立米ノ庄小学校(山路總平校長、138人)は5日、同校のプールで、ヤゴの観察会「やご大作戦」を開き、水生生物の生活環境を学んだ。総合学習の一環として、毎年「学校環境デー」に当たる5日に開き、今年でで3回目になると言う。
 今年は 2、3、4年生69人が参加、水を抜いたプールに入り、網でヤゴを探した。児童等は「冷たい」「ぬるぬるする」とはしゃぎながら、ヤゴやアメンボ、アカムシ、ゲンゴロウなど次々に見つけた。ボランティア講師の漁師でトンボ研究家、刀根定良さん(松阪市猟師町)が指導にあたった。

6/5 ホタル通年飼育システム

 ホタルの光を一年中楽しむことができる「ホタル通年飼育システム」を佐藤工業(本店 ・富山市桜木町)が完成させた。水温などの環境条件をコントロールし、自然界では1年かかるとされるホタルの成長を4ヵ月程度に短縮。癒やし効果のあるホタルの光を利用し た「ホタルセラピー」として、福祉施設や病院などへの導入を提案していく。同社は、自然環境の再生・復元事業の一環として、ホタルの生息する水辺の環境整備を 前橋工科大学の梅津剛助教授(土木工学)と共同で研究している。
 ホタルは幼虫時代を水中、さなぎ時代を地中、成虫時代を水辺で過ごす。自然界では幼虫時代を迎える冬は水温低下などの影響で活動が低下する。
 通年飼育システムではヒーターで水温、気温を上げ、ホタルの活動を活発化させて幼虫の期間を短縮。短い飼育サイクルを実現した。サイクル短縮のほか、ホタルが成育しやすい環境の研究も進めており、水槽を使った 「ホタルセラピー」用の室内飼育のほか、学校やビルの屋上にビオトープ(最小限の生態系)の導入を検討している顧客へホタルの飼育を勧める。
 幼虫のえさとなる貝類のカワニナ、サカマキガイなどを繁殖させる「えさ供給システム」の研究にも取り組むことにしている。

6/4 ウスイロヒョウモンモドキの保護に「大田の自然を守る会」が発足

絶滅の危険にあるチョウや山野草など、全国に誇れる豊かな自然環境を後世に引き継ぐため、島根県大田市内の自然愛好家などが「大田の自然を守る会」の発足を準備。31日夜、関係者が集まって旗揚げした。この7月には草原性のチョウ「ウスイロヒョウモンモドキ」の観察登山会や、チョウの食べる草の移植、釣り場のクリーン作戦などを実施、活動の輪を広げる。
 市内には、国立公園・三瓶山や大江高山(808b)など豊かな自然環境が残されている。
 全国で絶滅の危機にあり、ヒョウに似た紋様を持つウスイロヒョウモンモドキは、島根県では三瓶山が唯一の生息地。県内だけに分布する貴重な山野草「イズモコバイモ」といった数少ない自生地も確認されている。
 守る会は、星川和夫島根大生物資源科学部教授の助言を受け、15年前からウスイロヒョウモンモドキなど三瓶山の自然保護活動に取り組む蝶遊会が計画。関係団体などに参加を呼び掛けていた。
 初会合では市内の自然保護団体、釣り愛好者、公民館関係者ら40人が参加。蝶遊会の伊藤宏さん(同市昭和町、63歳)を初代会長に役員を選んだ。
 伊藤会長は「自然環境への関心が高まり、市内各地で活動が芽生えてきた。今こそ、多くの人の力を合わせ、行動していこう」とあいさつ。観察登山会など本年度の活動計画を決めた。
 相談役に就いた星川教授は「豊かな自然が残る大田を守ろうと、多くの人が集まり心強い。子どもたちに生き物の楽しさ、美しさを伝えてほしい」と期待を寄せた。

6/3 山川町で7日「ツマベニチョウ・サミット」

 鹿児島県揖宿郡山川町のシンボルとして知られるツマベニチョウの実態と研究成果を共有しようと、同町の愛好家らが7日、町内で視察と情報交換のための会を開く。題して「ツマベニチョウ・サミット」。生息の北限とされる鹿児島と宮崎の研究者が集まるユニークな試みだ。
 企画したのは、山川町で「ツマベニチョウに感謝し協力する会」を主宰する同町岡児ケ水の町議でペンション経営、大和田靖憲さん(61)ら。町を代表するチョウといいながら盛り上がりに欠ける保護運動を憂慮し、1年前から愛好家数人で活動を続けてきた。
 初めてのサミットは「ネットワークづくりの第一歩に」と願って開催。同町のほか、指宿市や鹿児島市、喜入町、上屋久町、宮崎市の賛同者十数人が参加する。視察の予定などはまだ固まっていないが、同日午後1時、山川町成川の町立図書館研修室に集合。
 問い合わせは同会事務局の中島さん=0993(45)2683。

5/31 ホタル保護で山林購入

 南九州有数のゲンジボタルの名所とされる宮崎県小林市・出の山公園のホタルを守ろうと、小林市は公園内の水路沿いの民有林の購入に乗り出す。
 本年度の一般会計補正予算案で、購入費など4,292万円を計上することを29日、明らかにした。伐採や荒廃を防ぎ、ホタルが生息しやすい環境づくりを図る。
 購入予定地は長さ約300bの水路沿い、奥行き60bの山林2.1f。市内在住の数人が所有し、竹やスギ、雑木が生い茂っている。市は本年度中に買い取り、雑木を植えるなどの整備を進める計画だ。
 市は6年前にも同山林の買収を計画して一部分を取得したが、その後予算を獲得できず中断していた。
 今回は環境省の「自然共生型地域整備推進補助事業」で補助金1,430万円を受けられることが決まり、購入に踏み切った。
 同事業は自然と昆虫、植物など生態系ネットワークの保全を支援するもので、全国7ヵ所が選ばれている。
 同水路はホタルが多く生息する観賞スポットで、今の時期は午後8時ごろになると林いっぱいに乱舞がみられる。山林は昼間、ホタルが休息するために必要という。
 同市観光協会(坂本新平会長)は、市に以前から山林の取得を要望。購入費に充てようと、観賞客から寄付を募る「ホタル保護基金」を3年前から続けてきた。

5/30 島原・眉山でアカシジミなど絶滅危ぐ昆虫を確認

 長崎県島原市の船員、中薗信行さん(同市新山2丁目、49歳、長崎昆虫研究会、県生物学会所属)は、同市内の眉山(まゆやま)に、県指定の絶滅危ぐの昆虫、アオマダラタマムシとアカシジミなどが生息しているとして、眉山の環境保全を訴えている。
 県のレッドデータブックによると、アオマダラタマムシは、同県では対馬、長崎市、多良岳などで点々と採集されているだけで、まれな種類。アカシジミは、対馬に分布しコナラなどの雑木林で生息する。
 中薗さんによると、アオマダラタマムシは数年前、島原半島では初めて確認。昨年は、10匹程度をまとめて見つけた。アカシジミも2年前、久しぶりに再確認した。このほか、ヒオドシチョウなど数種の絶滅危ぐの昆虫がいるという。
 同市は5月末と6月の2回、眉山の約126fで、松くい虫の駆除を目的に薬剤のヘリコプター散布を予定しているが、散布の仕方や時期をよく研究してほしいと長崎昆虫研究会は訴えている。

5/23 大分で「トンボサミット」

 大分県中津市の中津文化会館で24、25の両日「第14回全国トンボ市民サミット」が開かれ、全国各地のトンボ生息地から約900人が集まり、生息環境などを話し合う。
 同市は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で希少野生動植物種とされるベッコウトンボの全国有数の生息地で、市内の農業ため池で1000〜2000匹の生息が確認されている。ベッコウトンボはかつて全国各地に生息していたが、環境変化から激減、今では大分のほか、佐賀、長崎、鹿児島県など数カ所となっている。
 サミットでは、同池などを観察、全国各地の生息状況などと比較しながら情報交換し、トンボとの付き合い方や楽しみ方を3分科会に分かれて話し合う。

5/17 兵庫県レッドデータブック、368種追加

 兵庫県内から姿を消しつつある貴重な動植物などをまとめた「県版レッドデータブック」を、県がこのほど8年ぶりに改訂した。絶滅の危機に瀕しているAランクが前回の1.4倍の403種に増加。ため池や干潟など、身近な自然の生態系崩壊が進んでいる。
 改訂版ではクモ類、干潟の生物、コケ類を新たに加え、絶滅、危機度A、B、C、要注意など7項目に分類。前回より368種増の1375種が、リストアップされた。
 ツキノワグマ(A)やトビハゼ(A)、ハヤブサ(B)などランクアップしたものも多く、アカトンボの仲間ミヤマアカネ(C)やクツワムシ(C)など、かつては当たり前に見られた生き物が名前を連ねる。
 さらにオトギリソウ科の多年草トサオトギリ(A)など全国的に確認例の少ない希少種や、生息地が限られる干潟のカニ、ハクセンシオマネキ(A)などが新たに加えられた。
 植物群落、自然景観など貴重な環境は、前回より209ヵ所増の868ヵ所になった。

5/15 アリガタシマアザミウマを「生物農薬」に認可

 沖縄県農業試験場は13日、ウリ科やナス科の害虫ミナミキイロアザミウマを捕食し防除する天敵昆虫アリガタシマアザミウマが、生物農薬として農水省の登録認可を受けたと発表した。同試験場と農薬製造販売の琉球産経(豊見城市、新垣勲社長)が共同研究。琉球産経と提携するアリスタライフサイエンス(大阪市)が昨年7月、農水省に農薬登録を申請していた。4月22日の認可。生産増殖技術については県が特許を申請中。
 国内では13例目の生物農薬の登録で、県内製造は初めて。アザミウマ類が対象害虫の生物農薬は4例目だが、天敵が同じアザミウマ類の生物農薬は世界でも初めてという。アリガタシマアザミウマは、成虫の体長が2.5〜3_の昆虫。本来は新大陸の分布だが、近年は東南アジアでも確認され、国内では沖縄だけで確認されている。

5/8 太古の南極大陸にハエ 

 太古の南極大陸に現在のハエに似た昆虫が生息していたことを示す小さなさなぎの化石を、米ノースダコタ州立大などのグループが発見し、8日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 南極大陸にはこの種の進化したハエは住んでいなかった、との定説を覆す発見だという。
 グループは南極点から約500`離れた南緯85度にあるベアドモア氷河の近くで、長さ5_前後のさなぎの化石を発見した。化石には現在のイエバエのさなぎに似た尾部の呼吸孔や、腹部の小さな突起が確認された。
 化石が発見された地層は300万−1700万年前の地層で、当時の南極の気候は比較的温暖だった。ハエは暖かい北から飛んで来たか、南極大陸やオーストラリアなどが一体になっていたとされる数千万年前の「ゴンドワナ大陸」の時代から生きていたかの、どちらからしいという。

5/5 海を越えて600` アサギマダラが飛来

 沖縄県の南大東島で放されたアサギマダラが、直線距離で約600`ある宮崎県日南市宮浦のサンメッセ日南で確認された。
 専門家によると春の北上確認は珍しく、全国では過去20年余りで6例目、県内では初めてと言う。
 確認されたのは羽を広げると約10aの雄。サンメッセ社員2人がみつ源になるスイゼンジナの花壇で1日、捕獲した。
 茶色や白の混じった模様の羽に「4/7」「大東」などと黒の油性ペンでマークされ、同島で昆虫の観察をしている長嶺邦雄さん(61)が4月7日に放したと分かった。

 アサギマダラは渡りをすることで知られる。行動範囲は謎が多く、春に沖縄や台湾辺りから北上し、秋になると南下する個体もいる。
 春以外の季節に宮崎県内で渡りが確認された例は、北上が1回、南下が2回。
 昨年7月には鹿児島県指宿市から放されたアサギマダラが、田野町の鰐塚山で確認されている。定住するアサギマダラは県内各地で見られる。
 確認に立ち会った宮崎昆虫同好会の中尾景吉副会長によると「台風に乗ってやって来たか、島を経由しながら来たかのどちらかだろう。いずれにしても貴重」としている。
 長嶺さんは「約1,600匹放したが、確認の報告を受けたのは今回が初めてでうれしい。移動ルートの解明に役立つのではないか」と喜んでいると言う。宮日紙より

4/25 ツマグロキチョウが絶滅寸前

 和歌山県紀北ではすでに絶滅し、昨年、県が作成した県レッドデータブックには準絶滅危ぐ種として掲載されているチョウの仲間ツマグロキチョウ(シロチョウ科)が、数少ない生息地の富田川や日置川でも河川改修などの影響で、絶滅寸前になっていることが分かった。南紀生物同好会員でチョウに詳しい白浜町庄川、田中昭太郎さん(66)らは「もっと自然に配慮した工事計画が必要」と指摘している。
 ツマグロキチョウは、かつて湿地など小さな谷でも普通に見られた。最近は河床整備など河川改修が進み、幼虫が食べるマメ科の植物カワラケツメイが姿を消し、成虫が越冬するための河川敷の雑草地もなくなった。このため、紀北筋では数年前に絶滅。群生地である富田川や日置川でもここ数年で、その数を激減させている。

 田中さんらの調べでは、最も多く生息していた富田川の市ノ瀬橋上流付近で餌となるカワラケツメイが河床整備で全滅し、市ノ瀬小学校前、岩田橋周辺、大塔村鮎川の鮎川新橋上流に少し残っている程度。日置川の安居周辺の状況はもっと深刻だという。
 整備したところにも種が残っていたり、流れてきたりして、復活する可能性はあるが、時間がかかるという。田中さんは「もっと詳しく調べれば古座川や熊野川でも生息地が見つかるかもしれない」と生息の可能性を指摘。「昨年、県が作ったレッドデータブックに載っていて、整備も県管理で行われている。これだとレッドデータブックが役に立っていない。もっと内部で話し合うべきだ」と批判した。

 県レッドデータブックに絶滅種として掲載されているミヤコグサを餌にするシルビアシジミ(シジミチョウ科)も、県内で唯一、上富田町市ノ瀬付近に生息していたが、ここ数年は姿が見えなくなり、絶滅したと考えられている。
 河川を管理する県建設部管理課は「各河川の漁協とは話し合ってきたが、自然公園や天然記念物に入っていない野生動植物について今まで内部で取り上げたことはない。今はそういったことにも配慮する時代」と話し、今後は、工事方法など配慮したい、としている。紀伊民報より

4/20 全国ホタル研究大会開幕

 国内外のホタルの研究家や愛好家が各地に生息するホタルについての研究成果を紹介する「第36回全国ホタル研究大会久米島大会」(全国ホタル研究会主催)が19日午前、沖縄県久米島町具志川農村環境改善センターで始まった。全国から約250人が参加し、ホタルの保護によってまちづくりを進める神奈川県や久米島町での取り組みに聞き入った。
 久米島町での開催は県指定の天然記念物で国内でも非常に貴重なクメジマボタルが生息することから、町内の研究家や観察に取り組んでいるグループ、町などが誘致を進めてきたもので、全国大会の開催は同県内で初めて。
 開会式で古田忠久会長は「ヤンバルクイナなど多くの固有種が生息する沖縄で大会を開くことができうれしく思う。ホタルが自力で生息できる環境づくりに取り組もう」とあいさつ。久米島高校、仲里中学校の生徒がわらべ歌「じんじん」を合唱して歓迎した。
 発表では、昆虫研究家木村正明さんが、1993年4月にクメジマボタルを発見した時の驚きと喜びを語った。午後は島の動植物の保護に取り組む久米島ホタル館の佐藤文保さんや町教育委員会の宇江城洋一さんによる報告や久米島町の小学生の発表など。沖縄タイムスより

4/19 早くもホタル乱舞

 熊本県芦北郡芦北町を流れる湯浦川支流、内野川の中流で、早くもゲンジボタルが舞い始めていると言う。
 町ホタル保護監視員の吉川慶弓さん(53歳、同町大川内地区)が9日、今年初めて自宅付近でゲンジボタルが舞っているのを確認。以後、2〜5匹を観察している。内野川では毎年4月中旬ごろから、ゲンジボタルが舞い始める。内野川でゲンジボタルの乱舞が見られるのは、今月下旬ごろになりそうだと言う。熊日紙より

4/18 春なのに、もうアカトンボ

 秋を代表するトンボのアキアカネが14日、青森市内の住宅地で見つかったと言う。例年、青森県内でアキアカネの成虫が現れるのは7月上旬ごろといい、約3ヵ月も早い出現は、「国内で最も早い記録になるのではないだろうか?」と話題を呼んでいる。
 アキアカネが見つかったのは、青森市花園1丁目の会社員加藤義孝さん(63)方。14日午後5時半ごろ加藤さんが帰宅したところ、玄関前の床に小さなトンボがへばりついていた。「死がいだと思って捕まえたら、生きていたのでびっくりした」と加藤さん。家の中に放すと元気に飛び回ったという。
 県トンボ研究会会長の奈良岡弘治さん(板柳町)によると、このトンボは、童謡「赤とんぼ」にも歌われたアキアカネで、黄褐色の体色や尾の付け根の形から、赤く成熟する前のオスとみられる。
 アキアカネは卵のまま越冬する。春に幼虫(ヤゴ)になり、初夏にかけて羽化する。夏の間は山地で過ごし、秋に里に下る。
 こうした生態のリズムが、生息環境の変化などで狂ったのだろうか。
 奈良岡さんは「前例がなく、どうして出現したのか不思議だ。去年、羽化するはずだったヤゴが羽化できずに越冬し、暖かくなって出てきた可能性もある」と推測する。
 奈良岡さんは近く、「季節はずれのアキアカネの出現」を昆虫の専門誌に正式に発表すると言う。東奥日報より

4/17 南九州大キャンパスでフェニックス害虫対策

 宮崎県高鍋町の南九州大は、キャンパス内のフェニックスの成長点部分の幹をむしばむ甲虫「ヤシオオオサゾウムシ」が繁殖、2本が枯死したため、10日から造園建設会社に依頼して卵飛散防止などの防虫対策を始めた。
 同甲虫はカブトムシの雌ぐらいの大きさで、フェニックスの樹冠部に卵を産み付ける。
 卵からかえった幼虫は樹冠の内部を食い尽くすため、上部は空洞状態となり成長が停止。葉もすべて落ちてしまうために、切り倒さなければならなくなる。
 昨年は2本が枯死状態になり切り倒されたが、県内各地で食害が問題になっているという。
 10日は、クレーン車3台を使ってフェニックス上部に漁網を巻き付け、成虫が別の木に移って卵を産む行動を阻止、さらに殺虫剤を散布して成虫の根絶を図るもの。キャンパス内の65本全部に行うため、10日以上かかるという。 宮日紙より

4/16 イワサキクサゼミ、鳴き始める

 イワサキクサゼミが八重山で鳴き始めており、竹富町では14日、石垣で囲まれたサトウキビ畑から「ジージー」と聞こえる。石垣市では同日、28.5℃と今年の最高気温を記録した。
 イワサキクサゼミは国内最小のセミで、体長約15_。本島南部から宮古、八重山に生息する。石垣島地方気象台によると、同市では3月30日に「初鳴き」が確認されていると言う。

4/11 50年間のチョウの採集記録を出版

 静岡昆虫同好会がこのほど、会員が50年間にわたって報告した県内のチョウの採集記録をまとめた「静岡県の蝶類分布目録―駿河の昆虫編」を出版した。同会発足50周年記念。編集者で同会事務局の諏訪哲夫さんは「自然環境の保全に少しでも貢献できれば」と話している。
 設立当時から年に4回発行している会誌「駿河の昆虫」の200号分をまとめた。A4判、1368ページにわたって50年間で会員が採集した約160種のチョウの記録が細かく記されているほか、県内では珍しくなったギフチョウの標本や年代別の分布図も掲載され、県内のチョウの分布や衰亡など変遷が分かる貴重な資料になっている。
 諏訪さんは、「採集記録を蓄積していくうちに、富士山周辺のチョウの衰亡が激しいなどさまざまなことが見えてきた。これからも継続的に生息調査を続けていきたい」と話している。本の問い合わせは、同会事務局諏訪さん[電054(247)6524]へ。以上、静岡新聞より

4/3 大曲市自然保護の会が写真図鑑刊行

 子供たちが古里の自然や環境を学ぶ際に活用してもらおうと、秋田県大曲市に生息する山野草や野鳥、虫たちの姿を収めた写真図鑑「生きている自然・大曲」が、大曲市自然保護の会(鈴木宏会長)と市教育委員会によってこのほど刊行された。
 同市の姫神山や伊豆山、松山などで撮影した植物150種、昆虫など35種、野鳥127種をオールカラーで収録。冊子を片手に動植物を観察できるよう、散策用の案内図も掲載。
 撮影は自然保護の会会員で山野草研究家の田村武志さん(同市)と、同じく会員で野鳥研究家の鈴木三郎さん(神岡町)。山野草や虫たちの交尾の瞬間、ハヤブサの親子など、貴重な写真もある。
 図鑑はB5判、73ページ。500部印刷して、市内の小中学校や高校に配布した。今後は自然保護の会が増刷し、希望者に一部1000円で頒布するという。
 問い合わせは自然保護の会事務局・江橋TEL0187・62・0039か、県立農業科学館TEL0187・68・2300へ、以上秋田魁紙より

3/8 松くい虫から町をまもる条例

 象潟町は、全国でも珍しい「松くい虫から町をまもる条例」案を、10日開会の3月定例町議会に提出する。松くい虫の被害防止や防除はこれまで町が一手に引き受けてきたが、条例は町と個人による防除を分けて、住民自らが防除と、植林への協力に取り組む姿勢を促すのが狙い。同種の条例は全国で3例あるが、県内では初めて。
 条例の対象地域は海岸の松林や九十九島、幹線道路沿いの松林など。町の防除策を▽薬剤散布▽樹幹注入剤による防除▽被害木の伐倒―と規定する一方で、個人の土地や管理する地域の薬剤散布、個人が保有・管理する被害木の伐倒は「それぞれが行う」としている。個人が防除できない場合は、町が有償で受託する。
 また防除のほか、伐倒跡への植林などに特に協力的な住民を表彰する制度も盛り込んだ。表彰をうたって住民の発奮を促すのは、同種の条例では全国で初めて。
 同町では昭和57年に県内で初めて松くい虫が確認されて以降、被害は全域に拡大。これまで約2万本を伐倒したが、実際の被害木は少なくとも2倍以上はあるとみられる。
 14年度までの20年間に、町が伐倒や薬剤散布、樹幹注入など防除対策にかけた費用は約5億8000万円(国が2分の1、県・町が4分の1負担)で、年間約8300万円を費やした年もあった。しかし被害が全国に広がるにつれて、負担が重くなった国が対象を絞るよう指導。町が住民の協力を望んでいたこともあって、できる範囲の防除や植林は住民自らが行う、という内容の条例案となった。魁紙

2/12 象潟町で新種のクモ発見

 秋田県象潟町の三崎公園で見つかった雌グモが世界初確認の新種と分かり、このほど東京上野の国立科学博物館研究紀要で発表された。発見したのは日本蜘蛛学会会員で秋田市横森の福島彬人さん(73)。カニグモ科の新種で、学名は採集者にちなんで「フクシマイー」と名付けられた。頭部と腹部に丸みがあることから、和名は「マルオチバカニグモ」と命名された。
 福島さんによると、発見したのは平成7年9月2日。標本にして文献で種類を調べたが分からず、昨年秋に同博物館動物研究部の小野展嗣主任研究官に同定に依頼したところ、カニグモ科オチバカニグモ属の新種と判明した。
 クモは暗褐色で体長わずか2.7_。福島さんは三崎公園でクモ類の調査中、がけっぷちで落ち葉に埋もれかかった平らな石があるのに気付き、「クモがいる」と直感。さくにつかまってそっと石を返したところ、石と土の間に米粒ほどのクモが隠れていたという。(魁紙)

2/5 雌雄の模様持つチョウ確認 伊丹市昆虫館

 伊丹市昆虫館(同市昆陽池三)で3日、左右それぞれの羽に雄と雌の模様を持つ「雌雄(しゆう)型」のチョウが羽化しているのが確認された。突然変異とみられ、年間約1万匹のチョウが羽化する同館でも珍しいという。
 同市内でもよく見られるツマグロヒョウモンで、体長約3p。左の羽は鮮やかなオレンジ色に黒の斑(はん)点がある雄の模様で、右の羽には、オレンジの斑点模様の先が紺色で縁取られた雌の特徴を持つ。
 同館では、約4年前にも左右の羽の色が違う別種の雌雄型が確認されたが、模様の違いがはっきりした今回のような例は初めて。長期間の生存は期待できないというが、同館は「来館者に昆虫の不思議を知ってもらいたい」と、標本などでの公開を考えている。

1/20 オツネントンボ越冬中

岩瀬村の「いわせオニヤンマの里」でオツネントンボが成虫のまま越冬する姿が確認された。減反した水田を借りてオニヤンマの里を整備している須賀川市の会社社長・安積清美さんが越冬場所をつくったところ、数十匹がじっと冬の通り過ぎるのを待っている。
 日本には成虫のまま冬を越すトンボが何種類かおり、オツネントンボもその1つ。しかし、実際に越冬している成虫の姿を一般の人が見る機会はなかなかないという。
 いわせオニヤンマの里の周辺にはオツネントンボが生息している。安積さんは越冬する姿を観察できるように敷地内に小屋を建てて中に板を置いたり、建築資材の板を重ねてわずかなすきまをつくるなど越冬場所を確保した。
 11月ごろから小屋や板のすき間にトンボが入るようになった。今月15日には板に張り付いている体長3.5a、褐色のオツネントンボが数十匹確認できた。重ねた板のすき間にいるトンボは風が吹いて飛ばされ、そのまま死んでしまうこともあるという。3月半ばすぎには冬眠状態から覚め、飛び立つ。
 日本昆虫学会会員の須田孫七さん(東京)によると、オツネントンボは頭を中心部に向けて菊の花のように並んで集団で冬を越す。体を寄せ合うような状態になることで温度はもちろん、湿気を保つことができるという。オツネントンボは乾燥に弱く、それを克服する1つの知恵のようだ。
 安積さんは5年ほど前からオニヤンマの里でトンボの生態を子どもたちに見せている。越冬の観察ができることが分かったため、今後は子どもたちにも小屋をつくってもらうなど自然への関心をさらに高める方法を考えている。

1/18 岡山県木アカマツ再生へ 松くい虫に強い「桃太郎松」

 岡山県の木アカマツの再生が今年からスタートする。県林業試験場(勝央町)が4半世紀をかけ開発した松くい虫被害に強い抵抗性アカマツ「桃太郎松」で2月末から3万9千本が初出荷され、約11fの山林に植えられる。
 同松は1978年から開発に着手し、松くい虫の被害に遭った松林の中から、生き残った松を接木して養育。被害の原因となるマツノザイセンチュウを接種して、生き残ったアカマツの種子を選ぶ作業を繰り返した。通常の松より3倍程度、被害に強いとされる。
 実用化のメドが立った昨秋、県森林組合連合会が2年生(高さ20〜50a)の苗木を1本46円で販売したところ、自治体や山林所有者、ボランティア団体から予定を上回る申し込みが殺到した。被害林のほか、山火事跡やマツタケ林の再生目的で使われるケースが多いという。
 県は今後、同試験場内で育っている抵抗性アカマツから年約1`の種子を採取し、年間2万〜2万3千本程度の苗木を生産する計画。
 県内では01年、松林面積全体(12万3千f)の3分の1にあたる約4万fで松くい虫被害が発生している。しかし松枯れに加え材価の低迷で、治山事業を除いては松が植えられることはほとんどなかったという。
 県治山課は「被害面積に比べればわずかだが、地道な再生活動を続け県の木の復活につなげたい」と話している。

1/16 奄美でチョウが集団越冬

 鹿児島県・奄美大島の北部でリュウキュウアサギマダラと呼ばれるチョウの集団越冬が見られるようになった。奄美大島が生息域の北限とされており、冷たい北風を避け、薄暗い林の中でつる性の植物に集団でぶら下がり越冬する。

1/15 前橋市北部でモズのはやにえ、多数確認

 モズ特有の習性で、捕らえた小動物を小枝などにくし刺しにする「モズのはやにえ」が、前橋市北部の嶺小学校周辺で数多く観察されることが、同校の子どもたちの調査で分かった。平地ではあまり見られなくなっており、調査を指導した同校の特別非常勤講師で、50年間にわたって“はやにえ”を研究している栗林夏樹さん(73歳、同市西片貝町)は「豊かな自然が残る地域とはいえ、これほど見つかるとは思ってもみなかった」と驚いている。

 モズはスズメ目モズ科の鳥で、春から夏にかけて山間地で過ごし、秋から冬は平地に移動する漂鳥。はやにえについては、冬に備えて餌を残すという説があるものの、栗林さんは「干からびた小動物を食べているのを見たことがない」ことから、ただの習性にすぎないと推測している。
 栗林さんが理科の授業でこの習性を教え、調査を呼びかけた結果、萩原健斗君(4年)、小見紬さん(3年)、木暮有希君(同)と教諭で計16例を発見。すべて栗林さんが確認し、小動物の種類、地上からの高さなどをまとめた。毛虫7例、カナヘビ4例、マイマイカブリの幼虫3例をはじめ、ミミズやイナゴも見られたという。
 前橋、伊勢崎両市や玉村町など、県内の平野部で毎年、調査を続けている栗林さんによると、ここ5、6年、観察される数は激減。栗林さんも、今シーズンはまだ2例しか見つけていない。巣作りに適した雑木林や餌が減っていることが原因とみられている。

1/7 日本各地の化石550点展示

 日本各地の化石を一堂に集めた「日本の化石」展が、滋賀県水口町北内貴のみなくち子どもの森自然館で開かれている。
 展示しているのは、彦根市在住の化石採集家大八木和久さん(52)が、約35年前から国内各地で採集した化石約9200点のうち550点。大八木さんは中学時代から化石に魅せられ、全国各地を巡って採集。2000年に「産地別日本の化石800選」を出版した。
 会場には、1992年に北海道苫前町で採集した直径約60センチの中生代白亜紀のアンモナイトをはじめ、土山町などで採集したシャコの化石や魚の化石などが、地域、時代、種類別に分類されて展示されている。
3月16日まで(月曜休館)。入館料大人200円、小・中学生100円。


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