1999,8,15掲載 ばんばこ舞 仙北郡南外村上釜坂で採譜(県教委) 

ハア何舞もかに舞も おっ取りおいて取りおいて 取り置いてさて置いて ばんば舞とは見っさいな ばんば舞とは見っさな ばんば舞の事には コラ村はずれの権九郎兵衛婆様には娘三人居だけな

コラ一番目の娘は かぼちゃ頭に縮れ髪 鼻は獅子鼻鰐口で どったら腰にがに股で 娘は婆んばとそっくりだ ソラ婆んばは娘とそっくりだ

コラ二番目の娘は 金壺まなぐにがげなずき 顔色黒くて髪赤く 杓子おとげに首長く 娘は爺様とそっくりだ 爺様は娘にそっくりだ

コラ三番目の娘は 髪はカラスの濡れ羽色 顔立ちよくて鼻高く 色はほんのり桜色 姿はすんなり柳腰 歩く姿は百合の花 歩く姿は百合の花 本家の爺様にそっくりだ 本家の爺様にそっくりだ

コラ三人三色の娘持た 娘は年頃嫁頃で 浜辺さ一人 山方に一人里に一人 娘三人嫁に出た 娘三人嫁に出た婆んば喜んだ安堵した

コラ浜辺の娘から婆んばに来いとの言づてだ 婆んばいっぱい行ってやれ 縞の風呂敷しょっかけで 浅黄の手ぬぐいで頬被り 足中草履にまっか杖 つっぱりやっぱり行ったれば 婆んばよく来たなどて 横座さどっさり上げました
浜の習いどてタラかしら御馳走した 婆んばいっぱい食ってやれ 前歯で噛んでもガッキモキ 前歯で噛んでもゴッキモキ 奥歯で噛んでもゴッキモキ 奥歯で噛んでもゴッキモキ あんまりごしょ腹ぶっちゃけで ものも言わずに ぐっと立った コラぐっと立った

コラそれから四五日経ったれば 山方の娘から婆んばに来いよの言づてだ 婆んばいっぱい行ってやれ 浅黄の手ぬぐいで頬被り 足中草履にまっか杖 婆んばよく来たなどて 横座さどっさり上げました
山方の習いとてとろろ飯御馳走した 婆んばいっぱい食ってやれ 前歯で食っても苦が苦が 奥歯で食っても苦が苦が あんまりごしょ腹ぶっちゃけで ものも言わずに ぐっと立った コラぐっと立った

コラそれから四五日経ったれば 里の娘から婆んばに来いよの言づてだ 婆んばいっぱい行ってやれ 縞の風呂敷しょっかけで 浅黄の手ぬぐいで頬被り 足中草履にまっか杖 つっぱりやっぱり出かけた

コラ婆んば小便出てきた 小便ごちょごちょ屁ぶっぷ つかみ鼻ぶっ飛ばし 娘の家まで着いたれば 婆んばよく来たなどて横座さどっかり上げました 里の習いどて とろろ飯御馳走した 婆んばいっぱい食ってやれ 一杯食ってもまだ足りぬ
二杯食うてもまだ足りぬ 4567杯も食ったれば 臍の下痒ぐなた 臍の下痒ぐなた 縦に掻けばしぼまる 横に掻けばはだかる とかく面倒だと回し掻きにしてやれ

何舞もかに舞も 千秋万秋内の宝外にはやらず 婆んば舞とは見納めだ 婆んば舞とは見納めだ

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