プロの料理人に聞く
情報宣伝委員会
開催日 平成19年3月26日(土)
場 所 兵庫県芦屋市内

今年度の情報宣伝委員会の企画はプロの料理人が鰹節をどのように考え、料理に使用しているかを皆様に紹介いたします。
それぞれの料理人さんにはこだわりがあり、その地方、その料理人さんによって料理法も異なりますが今回は京料理の懐石料理を通じて一つの例として紹介させていただきます。


まず、お世話になった料理人さんを簡単に紹介いたします。
学生時代にイギリス留学の経験をもち、京都の超一流料亭にて修行を積み現在兵庫県芦屋市にて京料理の店を営んでいます。
海外生活の経験のある彼は日本文化の大切さ、特に和食文化を子供たちに継承していくことの大切さを重んじて小学校での食育活動などを積極的に行っている方です。
今回は懐石料理を作ってもらいながら料理法や料理人と鰹節との付き合いなどを教わりました。

そもそも日本料理の中でも代表的な懐石料理とはもともと禅僧が修行中に食す質素な料理でしたが茶道の創始者である千利休が安土・桃山時代に茶道を確立していく中で、茶を美味しくいただくため禅料理を茶道に取り入れ、その精神をさらに追求し完成させ今日まで発展してきた料理です。
現在では四季折々の海・山・川の食材で料理の中に美しい日本の風景が浮かぶような料理になっています。

新鮮な旬の食材と磨かれた調理技術とを用い、「もてなしの心」をもって供される懐石料理は世界に誇れる日本の素晴らしい食文化です。

これから彼に鰹節を使った料理の作り方を教わったことを紹介していきますが最初に彼との会話のなかで私たちと二番だしの取り方について根本的な認識の違いがありました。
皆さんご存じの通り一番だしは主に削り節の上品な旨みだけをあっさり引き出し、吸い物などに使用されるもので二番だしは旨みを強く引き出し、味噌汁や煮炊き物、お浸しの下味をつけたり、椀盛りの具を温めたりといろいろな用途に使用するものです。
私たちは二番だしとは一番だしを取った残りの削り節を使い更にかつお節を足して一番だしよりもよく炊き濃いだしを取るものを二番だしと考えてましたが彼のやり方は一番だしで取った残りのものは使用せず二番だしも新しい削り節を使い一番だしよりも良く炊き出してしっかり濾してだしを取るというやり方です。
彼は一番だしの残りを使うよりもより美味しい二番だしを料理に使うためにこの方法をしているそうです。
一番だしは私たちが知っている通りのやり方でほとんど炊かずに濾す時も絞ることのないやり方でした。

今回、一番だしは椀盛(お吸い物)にのみ使用しています。
二番だしは胡麻豆腐にかける美味出汁(うまだし)、いろいろな素材に下味を付ける八方出汁(はっぽうだし)、味噌汁、信州蒸し、焚き物で筍を焚くのも二番だしです。

炊き合わせには糸削りも使用いたします。
先 付   生雲丹と海老の胡麻豆腐
一寸豆と木の芽

この料理には下ごしらえの段階で八方出汁(はっぽうだし)、仕上げに美味出汁(うまだし)を使用しています。

作り方…二番出汁11に対しみりん1うすくち醤油1を入れ、みりんのアルコールを飛ばしながら一度火にかけます。
      沸騰寸前に追い鰹をしてすぐに火を止め濾します。この時はしっかり絞ります。
      氷水を入れた容器に美味出汁を入れたボールを浮かしながら冷やすと今回の胡麻豆腐のたれの出来上がりです。
      玉子豆腐にも使用できます。
     
      この胡麻豆腐にも実はかつお節の出汁が使われています。
      二番だしを半分に薄めて(にぶだし)400cc 胡麻100gをミキサーにかけたものをガーゼで濾し、葛(くず)を1割入れ練ります。
      容器に入れて冷やし固める。冷えて固まった胡麻豆腐を切り分けて胡麻豆腐の出来上がり。

      今回は雲丹と海老と一寸豆を盛り付けてますがこの海老と一寸豆にもかつお節の出汁が使われています。
      海老は塩湯がきして一寸豆は塩蒸しして八方だしに漬けて下味を付けます。
八方出汁 美味出汁
二番だし    20
味醂       1
うすくち醤油   0.5
塩        少々
二番だし    11
味醂       1
うすくち醤油   1

追い鰹

  

  
椀 盛   清 汁 仕 立木の芽

この料理には一番だしを使用しています。

吸い物
      
先ほど出来上がった一番だしに塩、淡口醤油を入れて仕上げます。
塩分濃度が0.7%位が良いと言われていますがプロの料理人さんは季節や天候、お客さんによって変化をもたらすようです。
少しづつ塩と淡口醤油を入れて味を調えて下さい。実際にやってみると意外に少なく、
よもぎ餅も八方だしで暖めて下味を付けておきます。
筍は二番だしに塩、淡口醤油、味醂を少々入れて炊きます。
鶯菜は塩茹でして八方だしに漬けて下味をつけます。
八方出汁
二番だし    20
味醂       1
うすくち醤油   0.5
塩        少々

 

造 り    割り醤油
炊き合わせ

筍は米ぬかで湯がき皮を剥き、適当な大きさに切ります。
二番だしで炊き始めて沸いてくると極少量の砂糖を入れ暫く炊きます。
仕上げに塩、淡口醤油で味を整えます。
それを冷まして味を含ませ提供する直前に加熱し糸削りのかつお節を絡ませて出来上がりです。
水菜(京水菜)は塩湯書きして八方だしに漬け込んで下味を付けます。
筍の煮汁をかけて出来上がりです。
八方出汁
二番だし    20
味醂       1
うすくち醤油   0.5
塩        少々
八 寸

飯蛸を炊くのも二番だし5酒2砂糖1.味醂0.5濃口醤油1.2溜まり醤油0.2を煮立たせたところに頭を先に入れ15分炊き足を入れて5分ほど炊きます。
蕗の薹は衣に花かつおを細かくしたものを混ぜ込んで天ぷらにしていました。
黄身酢にも二番だしが使われています。
黄身酢とは卵とダシで作る和風マヨネーズのような物でマヨネーズに比べてカロリーが少なく上品でいろいろな物に合い重宝する調味料です。
二番だし40cc 酢20cc みりん20cc 砂糖大さじ1 うすくち醤油10cc 塩小さじ1 卵黄6ヶ サラダ油数滴
全ての材料を鍋の中に入れ、割り箸5,6本でかき混ぜながら弱火にかけペースト状になれば出来上がりです
合 肴

あぶらめの信州蒸し(蕎麦を使った蒸し物)
あぶらめは片栗粉を付け揚げる
湯がいた蕎麦でそのあぶらめを包み蒸す。
二番だし13 酒1 味醂1 淡口醤油0.5 濃口醤油0.5 を沸かしてウルメを入れて5分ほど炊き濾した後に吉野葛でとろみをつけ仕上がった物をかけます。
焼 物

玉味噌(白みそ100g 酒20cc 卵黄1ヶ 砂糖70g を練り合わせた物)に花かつおを粉を混ぜ込み蒸した長いもの上に塗り焼き上げます。
菜種は塩茹でして八方だしに漬けて下味を付けます。
御 飯  、汁物、香の物

二番だしを沸かしながら赤味噌を溶かせ味醂を少々入れ豆腐と三つ葉を入れます。
赤味噌は少し酸味があるために少し味醂を入れるそうです。

料理人の一日はまず鰹節の出汁を取ることから始まると言います。
彼は、鰹節は主役の食材にはなりませんがほとんどの料理に使用して、日本料理には欠かすことができない名脇役だと言いました。
今回の料理も刺身以外のすべての料理にかつお節の出汁を使用しています。
この企画に協力していただいたプロの料理人さんに目の前で懐石料理を作っていただき感じたことはお吸い物や味噌汁だけじゃなく素材に下味を付けるために出汁で煮たり漬けおいたり、素材の中に混ぜ込んであったりと目に見えない部分でかつお節の出汁が大活躍していることをあらためて感じることができました。また、彼は次々と料理の説明をする中で日本料理におけるかつお節の重要さとこれからの日本人が忘れてはいけない本当のかつお節の味を大事にしなければならないと言いました。
かつお節の出汁を取ることは決して難しいことでなく家庭で本物の出汁を取り、時には子供たちに出来合いの料理を出さずに愛情のこもった手作りの和食を食べさせてあげることも私たちの大切な使命だと思います。
今回は京料理のプロの料理人さんに懐石料理を通じてかつお節の出汁の使われ方や料理方法を聞かせていただきましたが是非このホームページを参考にご家庭でもお試しいただければ幸いです。
  
今回お世話になった京料理の料理人さんの一番だしと二番だしの取り方
一番だし …主にお吸い物のだしに使います。
         かつお節・削り節の上品な味と香りだけを取り出します。
一番だしの取り方
       
水1.8g 昆布30g 60g
       水に昆布を入れ、中火にかける(65℃〜80℃)で約30分煮出す。
       昆布の旨味が十分出た事を確認して昆布を取り出します。
       この時点で1.8gだった水が蒸発と昆布が水を含むことにより1.4g〜1.5gに
       なってます。(鍋の形態などによって異なります。)
       強火にして昆布だしが沸騰したらかつお節(今回は血合い抜き鮪節)を入れ、すぐに火を止めます。
       約30秒置きキッチンペーパー等で濾しますがこのときに絶対にしぼらないこと。
       この時点で出汁は1.2g〜1.3gになってます。

二番だし …煮物、お浸し、味噌汁をはじめ茶碗蒸し、丼の汁、天ぷらのつゆ、寄せ鍋の出汁、玉子豆腐のかけ出汁、または醤油や味醂を加えて素材の下味をつけたりと幅広い用途に使用します。
二番だしの取り方
水1.8g 昆布15g 30g
       水に昆布を入れ、中火にかける(65℃〜80℃)で約30分煮出す。
       昆布の旨味が十分出た事を確認して昆布を取り出します。
       この時点で1.8gだった水が蒸発と昆布が水を含むことにより1.4g〜1.5gに
       なってます。(鍋の形態などによって異なります。)
       強火にして昆布だしが沸騰したらかつお節を入れ一煮立ちさせて火を止めます。
       キッチンペーパー等で濾しますが一番だしの時は決してしぼりませんが二番だしではある程度しぼって下さい。
       この時点で出汁は1.2g〜1.3gになってます。
京料理の料理人さんに教えていただいた割表
  出汁(二番だし) 味醂 醤油 その他 用途
美味出汁 11 × 1(淡口) × 玉子豆腐のかけ出汁など
天出つゆ × 0.5/0.5(淡口/濃口) × 天ぷらのつゆなど
そうめんつゆ × 1(濃口) 追い鰹 そうめんつゆなど
つけそばつゆ 1(濃口) 追い鰹 ざるそばつゆなど
温そばつゆ 16 0.5/0.5(淡口/濃口) 追い鰹 そばやうどんのだし
寄せ鍋 16 1(淡口) × 鍋物のだし
親子丼 0.5 1(濃口) × 丼の汁
数の子地 0.5/0.5(淡口/濃口) 追い鰹 数の子の付け地
  出汁(二番だし) 味醂      
八方酢 淡口少々 塩少々 酢の物全般
土佐酢 0.5 淡口少々 砂糖0.5 鰹だしの効いた酢の物
もずく酢 0.5 淡口0.3 塩少々 もずくの酢の物
黄身酢 40cc 20cc 20cc 淡口10cc 砂糖大さじ1
塩小さじ1
卵黄6ヶ
サラダ油数滴
和風マヨネーズ
※京料理の料理人さんに作成していただいたデータです。各ご家庭でお好みの味付けに調整して下さい。
料亭のそうめんの作り方、黄身酢の作り方はこちらを参考にして下さい。




『かつお節カレーと茶節試食会報告』
『かつお節ぶっかけうどん試食会報告』
『こだわりのそばつゆ試食会報告』
『水とダシの関係』

『ダシさえ取れば…』
『焼津地区企画』
『小学生向け食育資料作りました』 1  2  3
『茶節のすすめ』