第5章 ロールが出来た




4日目(H12.4.8)天候:晴れ(うす曇)風強し。 場所:豊川(桜淵公園) 水位-0.2m 単独


スプレイスカートを交換しての初パドリングである。今回のスプレイスカートはどんなものだろうか?艇にしっかりフィットするだろうか?装着はどうだろうか?不安がつきまとう。

いろいろ考えているうちに、いつもの河原に到着。4日目になると準備もテキパキとなってくる。手馴れてきた感じである。朝がた強かった風もここにくるとあまり感じない。まわりが木に囲まれているせいだろうか?

カヤックに乗りこみ上流部の瀞場を目指す。フォワードストロークも慣れてきたせいか、艇もクルクル回ることが少なくなった。周りの景色を見る余裕が出てきた。耳をすますと

「ホ〜ホケキョ。」「ホ〜ホケキョ」

どこからともなく、ホトトギスの鳴く声が聞こえてくる。
「う〜〜〜ん、至福の時だ!」
自分言うのもおかしいが、映画のシーンの一場面を想像してしまうぐらい素晴らしいシチュエーションだ。「カヤックを初めてよかった〜〜!」と思える瞬間でもある。

公園内から上流へ300mほど上ったところに、練習に最適な瀞場がある。(自分で最適だと思っているだけかもしれないが)

基本練習ともいえる、フォワード・リバース・スイープの練習をする。次に、横への移動のドローストローク・スカーリングの練習。徐々にではあるが、自分でも上手くなっていくのが分かる。(艇の安定を保つことが出来るようになってきたのである)
しかし、油断は禁物だ。初日のパドリングでドローストロークの練習で沈したのを思い出せ。

一瞬の内にひっくり返ったんだよな、気を引き締め、再度練習である。
基礎練習をしてるうちに体が慣れてきた。

「そろそろロールの練習をしようか。」

独り言をいいつつ、流れのない水深2mくらいのところへ移動する。

「さ〜〜〜て、やるか」

ビデオで見たロールシーンを思い浮かべ、イメージトレーニングをする。
「絶対出来るはずだ!」心の中でそう思いこみ、(メンタル面が一番といわれていたので)
パドルを艇の左側に平行に構え、握りを確認。イメージトレーニングよし。

「いけ〜〜〜」

右側に沈をする。
「ブクブクブク・・・・」
(パドルセットよし。ブレードの角度よし。ここでスイープだ。)

ブレードが水面を履くようにする。艇の真横にパドルが来た。
(ここだ!)

膝で艇を感じながら、腰にひねりを加え、一気に艇を起こす。と同時にブレードが水をとらえているのが分かる。

「グリン!!」

艇が返った!肩、頭の順におこしながらブレードで水をドローストロークの要領で捕まえる。

「やった〜〜〜!!出来た!!」

と、思った瞬間である。勢いあまって反対側に艇が傾く。

「あっ、やべ!」

もう、修正がきかない。見事に逆沈である。
こうなると、パドルがどうなっているのか、自分がどのような状態にいるのか検討もつかない。一種のパニックに陥る。

(え〜〜〜い、沈脱でい。)
しかたなしに、グラブループを握りスプレイスカートを外す。

「くそ〜〜、出来たのに!」

天を仰ぎ、大声で叫ぶ!(てなことはしなかったけど、心の中では思ってた。)

艇を岸に上げ、水抜きをして一呼吸おく。
「出来たぞ〜。一応、艇は返ったんだ。」
なにか、無性に嬉しくなってきた。びしょぬれになっているのも構わず、再度、艇に乗りこみ漕ぎ出す。
「もう一回だ。今度は起きた後のバランスにも気をつけよう」
自分に言い聞かせ、再度チャレンジ。


パドルをセット。ブレード角度よし。
「いけ〜〜!」
右側に沈をする。
「ブクブクブク・・・・」
同じように
「グリン!!」
艇が返った!肩、頭の順におこしながらブレードで水をドローストロークの要領で捕まえる。
(今度は、バランスにも気をつけて)


「よっしゃ、できた!!」


暫く、その場で感傷にふけっていた。
(やった。出来たんだ、ロールが・・・・)


その後も、数回練習をする。
しかし、2回に1回は艇が戻らず、失敗をしてしまう。
腰のひねりが効いてなかったり、頭を先に上げようとすると、艇は返らずロールが失敗に終わってしまうことが分かった。

教えてもらったとおりにやれば出来るのだが、慌ててしまうと腰の返しを忘れたり、頭を先に上げようとしたりしてしまうのである。

「基本に忠実でないとロールは出来ない」

失敗しても、再度水中でパドルをセットしなおしてロールをしていたので、沈脱はしなかったが、水に浸かっている時間が長いので体中びしょぬれで、さすがに寒くなってきた。

「ここらで休憩しよう。」
岸に上がり、服を乾かしながら昼食をとる。

昼からは風向きが変わったせいか、川に白波が立ってきた。
ちょっと、不安になり時計をみる。

「2時か。」
「そろそろ帰ろう。」

そう思い、下流に向かって漕ぎ出す。
向かい風が強く、パドルが時折あおられる。波がバウにかかり水飛沫が顏にかかる。
艇は振られ、バランスを崩しそうになる。ちょっと油断すると沈しそうだ。

駐車場の河原近くにくると、ボートに乗ってるカップルが、うじゃうじゃいる。
(ここで沈したら、カップル連中においしい話題を提供するんだろうな。)

「こんなところで沈するもんか。」

と、思えば思うほど緊張する。
見られていると思うとよけいに体が硬くなる。しかし、艇のバランスを取りながら一心不乱に駐車場の河辺を目指す。そして数分後、なんとか駐車場まで来ることが出来た。
人に見られているといった違った意味での緊張を味わいながら・・・・・・

★教訓:風の強い日の午後は、さらに風が強まるので気をつけよう。


★やまさん独自のロール練習法
その1(お勧め度bP)
寝る時に、目をつむってビデオの映像を思い出しイメージトレーニングをするんです。今、沈した。パドルをセットした。スイープ。腰を返す。最後に頭。てな要領で。そうすると朝起きた時にはロールが出来てる。このイメージトレーニングが大事でした。要は、ビデオを見て頭にロールの動きを叩き込むのがよかったんですね。
(なるなるさんには感謝してます)

その2(お勧め度:ちょい恥かしいので男性向き)
風呂に入って、足を上げて半分頭を水に浸けた状態(いわゆる沈した状態)で、パドルセットの状態を作るわけですよ。で、スイープして風呂の中で腰を返す練習をするんです。想像してみてください。思いっきり笑えちゃう格好ですよ・・・。(^^)

その3(お勧め度:バタバタうるさいので一戸建て向き)
布団で寝る時に仰向けになりますよね。そのまま足を持ち上げて頭の方に持ってくるんです。寝たまま前屈の状態を作るんです。で、そのまま横にコケる。するとスイープして体が横に来た状態になります。この状態で、バタバタと腰を返す練習をするんですよ。まるで、こめつきバッタのごとく・・・。この時の腰の返しを体に覚えさせるんですよ。

やまさん独自の間抜けな練習法でした〜〜〜。m(__)m


Special thanks

★おけいこさんより(おけいこさんのHP
稽古熱心なやまさんに、スイープロール成功に一歩近づく方法を伝授。おちゃらけやまさんの写真ありましたが、あのままバウから90度、いわゆる真横に体をう〜んと投げ出し、パドルもう〜んとなげだし左ひじは、脇をしめて、パドルの浮力に体をあずけます。パドルの浮力でカヤックを90度傾けても、絶対沈みません。もし、失敗してしずんだら、沈脱、または、自分なりに、ロールの練習してください。

★ジンさんより
おけいこさん、ナイスなアドバイスです。あと付け加えるとしたら、息が出来る程度に頭(顔)も半分水中に入れてしまうと、 より安定します。ロールの基本の「頭は最後に上げる」と同じです。頭が水面より上にあると不安定になってしまいます。 パドルは「水面を、水面を」スカーリングです。決して、沈ませないようにして下さい。パドルが沈まなければ、体も沈みません。 ゆっくりでいいですから、大きくスカーリングしてみて下さい。

★なるなるさん(なるなるさんのHP
ロールのビデオを見るに限る。これにつきます。私もロールを教える時に 言葉で説明するのが難しく苦労しております。力を使って起きるのでは無いという点が一番難しいようです。で、ビデオを貸して、これ100回見てと言っているのですが、初心者にはイメージを持つというのが、難しいようです。



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