注釈


カヌーショップ:

カヌーショップといっても、カヌーや用具を専門に扱っている店というのはごく少ない。カヌー人口は微々たるものなので、パドラーだけを相手にしていると採算がとれないのだ。では、カヌーはどんな店で売っているのだろうか?
たいていはアウトドアショップとしての看板を上げている。釣り具屋や四駆ショップなどが副業的にカヌーショップを営んでいることもある。ホームセンターやデパートなどにも、ファルトボートやインフレータブル(空気を入れて膨らます型のカヌー)が置いてあることがある。
では、どんなショップでカヌーを買うのが理想的なのだろうか?
ひとつ考えておかなくてはいけないことは、特に初心者の間、情報や知識の入手も含めて、ショップはカヌーイングの拠点となることが多い、ということである。特に、カヌーを一緒にやる仲間がまだいない人にとっては、頼るべきはショップしかないのだ。
話し相手になってくれて、親身に相談に乗ってくれるオーナーや店員がいる店、そしてもちろんアドバイスするだけの専門知識や経験を持っている店を見つけるのが、その後のカヌーライフを楽しいものにする最初のステップだと思う。

総合アウトドアショップ:

いわゆる量販店という奴である。規模的には大きく、アウトドア一般に品揃えがよい。ただし、カヌーについてはファルトボートやカナディアンなど初心者向けのものを揃えているだけのことが多く、店員にもそれなりの知識のある人は少ないように思う。
こういう店は季節によって売り場構成を大きく変えることが多く、秋〜冬にかけてはスキー用品店に変身したりする。もちろん、カヌーは春〜夏にかけてしか売り場に並んでいない。



キャンプ用品やらウェアやらがごじゃごじゃと

カヌーショップといえど、実際はアウトドアショップを名乗ったり、アウトドア用品の品揃えを多くしているところが多い。アウトドア全般なら、最近人口も増え、ある程度の採算がとれるからである。しかし、こうした「アウトドア用品を扱うカヌープロショップ」と「カヌーも扱うアウトドア用品店」の区別は非常につけにくい。
強いて判別法をというのなら、店主、店員と話をしてみて、その知識のほどを探り出すしかないだろう。


テーブルに招き、コーヒーを振る舞って:

こうしたカヌープロショップでは、往々にしてこうした風景が見られる。中には、何も買うつもりがないのに、店に座り込んでコーヒーを飲ませてもらい、何時間も話をしていく常連客もいる。しかし、こうしたコミュニケーションの中から販売活動が成立するので、これは店にしてみれば販促行為なのだ。
こうした話しやすい店では、フネや用具に関する相談もしやすい。親身になって相談に乗ってくれる店であれば、多少割引が少なかろうとそこで購入することをおすすめする。割引の少ない分は、コーヒー代と情報料だと思えば腹も立たない。


どういう風に遊びたいと思ってるんですか?:

艇選びというのは、結局のところここにかかっているのだと思う。遊び方によって、適した艇というものは違うのだし、流行っているからといって自分の遊び方に適さないフネを買ってしまうと後悔のタネになる。遊び方というのは、経験によっても左右されるし、初心者のうちに考えていた遊び方と年々変わってくることも考えておこう。
あなたがポリ艇未経験者だと仮定しよう。最初の遊び方は、ホワイトウォーターでのスキルアップに違いない。(どんな遊び方でも、最低限のスキルがないと楽しめないからである)こうした人には、最新流行のフネ(その対象は十分なスキルを持っている人であったりする)ではなく、ボリュームの大きいダウンリバー艇か、クリークボート、をおすすめする。ある程度スキルが上達してから、あらためて自分の遊び方に合ったフネを選び直せばよい。
さいわい、ポリのホワイトウォーター艇というものは、ファルトやシーカヤックほどには高価ではない。それでも、金がないという方なら、最初の一艇は中古艇にしておくことをおすすめする。


ファルトは組みたてが面倒そうなこと

ファルトには分解・組立がつきものである。2〜3日のツーリングだとまだしも、日帰りのショートツアーに毎週出るにはちょっとわずらわしい。
ちなみに、ファルトの組立は適当にやっても30分、ていねいにやれば1時間を要する。分解のときにも、分解してパッキングするだけで30分、ある程度乾燥させようとするとさらに1時間くらいかかる。また、持ち帰った後で、必ず広げて乾燥させていた。(これを怠ると、特に木製フレームのファルトは持ちが極端に悪くなる)。
これに対して、ポリ艇だと積み降ろしと着替えだけで、すぐ漕ぎ始めることができる。撤収の時も積むだけである。結果的に、ポリ艇に乗り換えたから毎週のように漕いでいてもわずらわしくないのである。最初にポリ艇を欲しいと思った動機も、やまさんの場合そこにあった。


どれくらいの予算がいるでしょうね

まず、カナディアンカヌー、ファンカヤック、リバーカヤック、インフレータブル等それぞれによって金額も変わってくる。カナディアンは20万〜30万円、ファンカヤックは10万〜15万円、リバーカヤックは10万〜14万円くらいである。中古艇はオーナーの値付けだから一様ではないが、市価の半額と思っておけば普通だろう。(ただし、気にいった中古艇が手に入るかどうかは運しだいである。後述)新品の艇だと、浮力体(艇内に入れる浮き袋)も買っておいてほしい。これが5千円〜1万円くらい。中古艇には浮力体がついてくることがある。

パドルは2〜3万円を見ておけば、後々上達しても使えるものが手に入るだろう。ホワイトウォーター艇の場合、スプレースカートは必須である。これが1万5千円程度。もしヘルメットを持っていないなら、これも必要である。1万円以下で十分使えるものが手に入る。

以上で、だいたい川に漕ぎ出せるのであるが、川まで運ぶ手段はお持ちだろうか。車にポリ艇を積むためには、最低限キャリアとストラップは必要である。車によってちがうが、ベースキャリアだけなら安売りで1万円くらいからあるだろう。ストラップは必ず2本一組で買う。2〜3千円で買える。