はらはらと雪はまっすぐ舞い落ちる
すべての人のすべての肩に
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◆剣崎 三月
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ふたひら みひら頬にふれくる風花は
あの日と同じ宙をあふぎぬ
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◆紅 ゆみこ
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「まっててね」と言い来し妻もこのごろは
「先に行ってて」といふではないか
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◆斎藤昌淳
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散々な評価を受けて席を立つ
事実であると判おされつつ
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◆泉山 和美
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疑問符の解けないままに水に尾を
打ち続けいるしおからとんぼ
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◆卯城 えみこ
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あらたまの年の初めに祈ること
九十八才の母すこやけくあれ
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◆古沢 達夫
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川柳と異なる短歌に挑みおり
父の齢を超えて生きるに
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◆鶴田 浩二
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色競う牡丹の花も昨日よりの
雨に打たれて形崩しぬ
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◆那須 くにこ
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あいさつに生きてますかと夫を呼ぶ
明るい部屋に今日が始まる
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◆石王 愛志
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騒がしき街中ゆえに消され行く
音あり手話を習わんと思う
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◆森田 なおや
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