冬の約束。*-+-+-+-+-+-+-+-2009.12.30 up-+-*-+-by ぷらいべえぃと♪+-+-*








「雪が降ったら信じる。」


『雪?』


「そ。クリスマスの日に、雪が降ったら、忠義の事、信じる。」
































































君は憶えているやろか。

寒い寒い冬の日に交わした約束。



"君"なんて言う柄ちゃうけど。

なんとなく

頭ん中でフレーズ化するほど、


毎年毎年この季節になると思い出す。


と交わした、冬の約束。



結局、その年もその次の年も


ホワイトクリスマスにはならんかって。


結局とは今も昔も友達のまま。


もうホンマ運命の皮肉すら感じる。


関係性が変わらんのと同じく、

への想いも全然 変わってへんのやから。。。



ええ加減諦めろって声が聞こえてきそう。


そら俺やって、新しい恋でも出来たらって思うけど、


11月に入ったとたんに増え始める


クリスマスツリーやらイルミネーションの数々。


完璧なクリスマス仕立ての景色見たらやっぱり絶対 思い出してまうねん。


ほんで、ちょい女々しくも 当日まで


"今年こそ"って


毎日毎日ホワイトクリスマスになる事、 願って、願って。














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あの日。


今にも雪が降ってきそうな寒い寒い冬の日。




忠義『好きやねん。』


『え』


忠義『の事、好きやねん。』


『。。。』


忠義『返事とかすぐやなくてええから』


『ごめん。』


忠義『?』


『ごめん。あたしそーゆーのん信じられへんから。』


真っ直ぐ視線を落とした

忠義『そーゆうのんって?』


忠義は焦ったように聞き返した。


『好きとかそういうん。』


忠義『信じられへんってオレはホンマに。』





『嬉しいけど。ごめん。』






『。。。』



忠義『。。。どないしたら信じてくれるん?』


もどかしさに耐え切れず忠義は少し考えてからにゆっくり問いかけた。


『え』


忠義『俺、本気やから、には信じてほしいねん。』


真剣な忠義の表情には、


『。。。』


少し黙り込んでから口を開いた。


『ほんなら、、、』


忠義『?』








『雪が降ったら信じる。』


忠義『雪?』


『そ。クリスマスの日に、雪が降ったら、忠義の事、信じる。』


忠義『それって期限有り?』


『期限?』


忠義『もし今年降らんかっても来年降ったら有効 とか。』


『忠義が憶えてるまで有効でええよ。

    いうても来年にはもう忘れてるやろ』


忠義『忘れるわけないやん。約束やで?』


『 わかった。』





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忘れるわけないやん、ホンマ。


未だに憶えてるっちゅうねん。




楽屋からイルミネーションに飾られた景色を見下ろしながら

忠義は数年前の出来事を鮮明に思い起こしていた。



しばらくして、ふいに後ろを通り過ぎようとしている安田の存在に気づき、

窓に視線を向けたまま問いかけた。


忠義『今年のクリスマスって雪降るんかな。』


安田『んー?』


忠義『雪。降るんかな』


安田『あれ?それ去年も言うてへんかった?』


安田の声に

錦戸『降ったら何かあんの?』


近くにいた亮もすぐさま反応した。

丸山『何かって。ホワイトクリスマスの方がロマンチックやんなぁ?』


さらに伝染するように話題はあっという間にメンバー間を流れ、


内『そらそうやろ☆むっちゃロマンチックやん。』


横山『そうなん?雪、なぁ。』


すばる『雪!?雪なんて降ったら寒いだけやんけ!』


村上『一喝やなぁ 笑』


どんどん発展していっている話題に苦笑いしつつ、

安田は再び忠義だけに聞こえる声で問いかけた。


安田『ホンマ、何かあるん?』


忠義『ん。まぁ。』


安田『何?何?』


忠義『前に、約束してん。』


安田『約束?』


忠義『細かい事は秘密。』


安田『何やねん。そこまで言うといて。むっちゃ気になるー』


忠義『♪』


忠義は安田に意味深な表情を作った後、フッと笑いかけて、また目線を窓へと戻した。








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"雪が降ったら"なんて


今考えれば願掛けみたいなもんやった。。。




バイト先のケーキ屋でショーケース越しの外の景色をは眺めた。




忠義と初めて逢うたんはもう何年も前の話で。


その頃のあたしは、ただ流されるままに毎日を過ごしとった。


好きって感情も分からんまま、


告られたら付き合って時が過ぎれば別れるの繰り返し。


『俺らって運命やんな。』 何度言われたやろ。


続いた事ない運命に、もう何の期待も抱いてなんかなかった。


いつの間にか『好きや』 言葉さえ、信じられんようになっとって。


それでも別に、たいして気にしてへんかったんは、

自分の気持ちがなかったから。




そんな時、


忠義『なぁ、忠義って呼び難ない?』


それまで特に深く話した事なかった忠義からふいに問いかけられた。


考えてみれば、その時点で同じように出会った友達は

いつの間にか、苗字呼びに変わっとって。

"忠義"そう呼んどんのはあたし1人だけやった。


「呼び難いも何も名前やん。」


考える間もなくそう答えた瞬間、


忠義『笑 そうやんな。ありがとう。』


一瞬固まった表情から

それまで見たこともないような優しい顔で笑いかけられた。




まぁ、そんな、なんて事ないやりとり。


けどな、、、


たぶん、その瞬間、あたしは忠義に恋してしまったんやと思う。





好きとかそんなん信じられへんなんて。


それだけちゃう。


ホンマは怖かった。


好き? 好きかも。 好き、めっちゃ好き。


逢う度に今までもった事ない感情が大きなってってる。




自覚し始めたのと同時に、忠義から想い告げられて。


嬉しいより先に不安の方が先に現れた。


本気で誰かを好きになった事なかったから。


いざ、忠義を前にしたら、


それまで続いた事ない恋愛に踏み切る勇気がもてんかった。


同じような結末迎えてまうんやないかって。




けど、


これがホンマの運命ならきっと、叶えてくれる。


漠然とした想いが駆け巡った。


奇跡にかけるなんてアホみたいって分かっとっても。


それでもどうやったって見えへん気持ち、

信じるんが怖かったあたしは、かけるしかなかった。


そんなん理由にならへんけど、


結局、忠義の気持ち、試すような最低な事を、あの日あたしはしてしまった。。。


ぼんやり、イルミネーションを見つめながら数年前の出来事を思い起こしていると


『何ボケっとしてんの。』


友人であり、このケーキ屋の店主を任されているに軽く怒鳴られた。


『ごめん。』


『どうせ大倉君の事でも考えてたんやろ?』


『違っ!』


『図星やし。』


『違う言うてるやん。』


『ええ加減みとめたらええのに。』


『何がよ』


が好きやって言うたらそれで丸く納まることやん。』


『そういう問題ちゃうし。』


『あんなぁ、いつまでも意地張っとったら獲られてまうで?』


『それはそれでしゃあないと思ってるし。』


『はぁ!?』


『ちょ、そんな顔しとらったらお客さん逃げてまうから。』


『ホンッマ、ありえへん!大体あん時、素直にOKしとったらええだけの話やのに』


確かにのの言うとおり、


あの日、


何も考えんと、うん。


そう、答えとったら…


考えんかった事もないけど。




思えば、あの日もはこの場所で怒っていた。


毎年この時期になると忙しくなるの実家のケーキ屋にはかり出されていて、

ちょうど最後のクリスマスケーキの予約注文をとり終えたところに忠義がやってきたのだ。


店に入って早々、


忠義『ちょっと、借りてもええ?』


そう切り出した忠義に何かを感じたは間髪居れずに

『どうぞどうぞ!』とを強引に押しやった。


数十分後、期待の眼差しで見つめるに事情を説明するや否や

『アホちゃう!?』


の一声が店に響き、今のような半ば説教のような言葉を延々続けられた。





『聞いとんの?』


『聞いとるよ。今年はちゃんと言うつもり。』


『言うって逢う約束でもしたん?』


『まだやけど、親戚に呼ばれて来週東京行かなあかんくなって。』


『そうなん?』


『逢えるかは分からんけど、逢えんかったらそん時は電話で。』


『アカン!』


『?』


『そういうんは、直接言わな意味ないねんで?』


『そう、いうん?』


『ついに大倉君に気持ち伝えんねやろ?そういうんは直接言わんと』


『ちゃうよ。今更そんなん出来るわけないやん』


『はぁ!?』


『憶えてるか分からんけど。約束の事。はっきりさせんと。

    いつまでも引きずるわけにいかんし。』


『なっ』


『あたしな、かけてみたかってん。忠義との事。

    あん時、アカンかったって事は結局上手くいかへんかったって事やと思う。

    適当に恋愛しとったツケがまわってきてん。笑』


。』





そう、いつまでも引きずったらあかん事くらい分かってる。


今まで先延ばしにしとったコト。


今年は言うって決めたから。





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深夜、テレビ局での仕事が終わり、移動車から降りると、


"寒っ"


忠義は着込みに着込んだ上着の上からさらにマフラーを追加した。


それから真っ暗な空を見上げ、


"こんだけ寒がりな俺が 雪、待ち望んでんねやから恋のチカラって凄いわ"


妙な感心をして歩き始めると、仕事の間、バイブにしていたケータイが カバンの中で振動しているのに気づいた。


寒さで思わずポケットに突っ込んでいた手を


カバンへと潜り込ませケータイの所在を探った。


何度目かの振動でやっと手の中に収まったケータイを開いた忠義は

着信相手の名前を目にしたとたん、慌てて通話ボタンを押した。


忠義『もしもし??』


「あ、忠義?」


忠義『ぉん。どないしたん』


「ごめんなぁ。遅くに。」


忠義『全然ええで』


「今、東京?」


忠義『そうやで。』


「来週もそっち居る?」


忠義『ぉん。年末まではほとんどこっちやわ。』


「あんな、あたし来週、東京行く事なってん。」


忠義『えっ そうなん?』


「うん。そんでもし、時間あったら逢うてくれへんかなぁ思て。

    話したいコト、あんねん。」


忠義『大丈夫やでっ 夜やったら空けるし。』


『ホンマ?ありがとう。ほんなら、また近なったら連絡する。』


忠義『ぉん。オヤスミ。』


『オヤスミ。』



通話時間 僅か1分00秒。


それでも通話を終えた忠義の足取りはみるみるうちに早くなり

寒さのことも一瞬忘れ、すでに気分は来週へと向かっていた。


















12月24日 23:32





待ち合わせの時間から数十分遅れて忠義がやって来た。


忠義『ごめん!リハ長引いてもうて。』


「全然、そっちメインやん。こっちこそ忙しい時にゴメン。」


忠義『笑』


「何?」


忠義『変わってへんなぁって』


「何が?」


忠義『昔もよう皆で遊びに行く時、ちょうど仕事で遅れてもうたりして。

   そん度に言うてくれとった だけ。そっち[仕事]メインやん。って。』


「そう、やった?」


忠義『そうやで。仕事続けるか悩んどった時もそれで頑張ろうって思ってん。』


「え。」


の驚いた反応に、思わず忠義は話題を変えた。


忠義『笑 あ、なぁイヴの日、一緒に居るなんて久々ちゃう?』


「うん。ホンマ。久々、やね。」


忠義『良かったわぁ、今年こっち居って。』


「けど、明日も仕事なんやろ?別に今日やなくてもよかったんに」


何気なく放ったの言葉に


忠義『アカンよ。』


突然忠義の声のトーンが変わった。


「?」


忠義『は憶えてへんの? 約束したやん?クリスマスに雪降ったら、、、』


「憶えとるよ。」


忠義『やったらそんなん言わんとってや。』


「忠義、、、」


。。。


沈黙が流れ、すっかり会話が途切れてしまった中、


忠義『あ、そうや、話したい事って何?』


耐え切れなくなったように忠義が切り出した。


「え。あ、、、あんな。。。」




いつまでも引きずったらあかん事くらい分かってる。


今まで先延ばしにしとったコト。


今年は言うって決めた。





"これが最後でもしゃあない。


適当に恋愛してきたツケが回ってきてんから。"


忠義『ん?』


は決意を胸に口を開いた。


「そのさっきの約束の事。なんやけど。

      もし明日降らんかったら、そん時は…もう」


続くはずの言葉は







忠義『あ、雪や!』


忠義の一声でかき消された。




忠義の言葉で思わず空を見上げると真っ白な雪がふわふわと降りてきた。


「嘘。。。」


忠義はすぐさまコートのポケットの中からケータイを取り出し時間を確認すると、

そのままに見えるようにケータイを突き出した。


忠義『クリスマスや。』


いつの間にか、クリスマスイヴからクリスマスへと日付は変わっていた。


満面の笑みを見せて、忠義は、をふんわり抱きしめ包み込んだ。


忠義『諦めんで良かった。 これで、信じてくれるやんな?』


「、、、あたしで、ええの?」


忠義『当たり前やん。』


「ホンマに?あたし、忠義の気持ち、試すような事してんで?」


忠義『他の誰かでええんやったらとっくにそうしてる。』


"雪が降ったら"なんて


今考えれば願掛けみたいなもんやった。。。




好きとかそんなんが信じられへんなんて嘘。


信じられへんのは自分の気持ち。


ホンマは


好き? 好きかも。 好き、めっちゃ好き。


逢う度に今までもった事ない感情がおっきくなってってる事が怖かって。




いざ、忠義を前にしたら、


それまで続いた事ない恋愛に踏み切る勇気がどうしてももてんかった。





けど、これがホンマの運命ならきっと、叶えてくれる。


漠然とした想いが駆け巡ってん。


奇跡にかけるなんてアホみたいって分かっとっても。


それでもどうやったって見えへんふわふわした気持ち、

信じるんが怖かったあたしは、かけるしかなかった。


そんな、想い、全部、アホみたい。


忠義に抱きしめられた瞬間、それまでの不安なんて一気に吹っ飛んで、

運命なんて、そんなん、どうでもようなって。


はっきり、分かってん。





「アタシ、」


忠義『ん?』


「アタシ、アタシな、忠義の事、好き。めっちゃ好き」


忠義『っ、、、俺もめっちゃ好きやで。てかもう』





『?』











忠義『愛してもうてるかも 笑』


























-----Epilogue-----



を宿泊先のホテルまで送っていく間、2人は並んで歩いていた。


歩き始めてすぐ、忠義はに問いかけた。


忠義『なぁ、憶えてる?』


『んー?』


忠義『に逢ってからちょっとしてみんな大倉ーとか呼び始めた時に

   1人だけ忠義呼んでくれてたやん。

   そんで俺が呼び難ない?聞いたら 呼び難いも何も名前やん。て言うて。』


『。。。憶えとるけど。』




















忠義『俺、あん時からずっと好きやってんで?』


『っ』


驚くの反応を期待するかのように顔を覗き込んできた忠義に対して


『あたしも。』


はそう返して歩き続けた。


忠義『え』


思わず立ち止まったままの忠義の方をが振り返ると、

照れくさそうに苦笑いしている忠義と目が合い、

なんとなく引き寄せられるようにお互いに笑い合った。



降り止んでいた雪が ふたりの間にまた 舞い降りた、、、




























+++Comment+++


実は2006年頃?に作ってたお話をベースにしたものなのですが、

色々手直ししている間にどんどん完成が遅くなってしまいました。(゜ー゜;A

てか短編なのに長いような?

肝心のラストが雑なカンジになってしまって申し訳ないです。


あ、因みに今回は背景に拘ってみました。

変化をつけたくて、前編up時点では意図的に降らせてませんでした★

変化に気づいた方はカナリのぷらべ通デス(⌒〜⌒)



気に入っていただけましたら感想&ランクリお願いします(*゜ー゜*)



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