上京

ある5月の晴れた日、くまさん(20歳)は上京しました。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
くまはやりたいことを見つけるために東京へ行きます。
そんな感じの上京でした。

東京駅に着くと、会社の人が迎えに来ていました。
その会社は駅の食堂や列車の食堂車をやっている会社です。
くまさんは新幹線の食堂車で働くことになっていました。
でも、それは取り敢えずの就職で、あまり長くやるつもりはありませんでした。

3日間の研修後、食堂車のウェイターとして配属されました。
調理見習いとして応募したのですが、サービス係が足りないということで、そうなったそうです。
でも、それはラッキーなことでした。サービス係は女性ばかりなのです。 女の中で男一人。

でも、それはまちがいでした。
所属する班にうるさいおねえさんが一人いて、その人にいつも怒られていました。
その人はその班の女性で一番年長で指導的な立場の人でした。
怒られるたびに「すみません」と謝っていましたが、腹の中では「どうせすぐやめるのだから・・・」と思っていました。

ある日、ついにキレて反抗的な態度をとったことがありました。
少し時間がたって、その人は言いました。
いつもうるさく言ってるけど、それはあんたのためだ。来年になったら班の編成も変わるし、後輩も入ってくるんだからね。というようなことを。
それを聞いて、少し罪悪感を感じました。来年、ここにいる気はなかったから。

それをきっかけに少し頑張ることにしました。
夏が過ぎる頃になると、仕事に慣れてきて、怒られることも少なくなりました。
何事もなく日が過ぎていき、2月に会社をやめました。
やりたいことは見つかりませんでした。
金が少し貯まったし、専門学校にでも行くか。
そんな感じで帰郷しました。

おわり。