紀尾井坂の恋人


ものいわぬ彼の背中を
今夜も独りで 待ち続ける


散り急ぐ花弁を
厭わしげに いとおしげに 寂しげに


何か言いたげな彼の背中を
いつまでもいつまでも 待ち続ける


月に浮かぶ
青白い桜の下で






*  *